シフォン・リボン・シフォン の商品レビュー
田舎にできた高級ランジェリーショップに訪れる人々の短編集。男が読んでもわからんな~ 2012.6.27
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+++ 下着が人の気持ちを変える? 弾ませる? 東京のファッションビルの一角でランジェリーショップ「シフォン・リボン・シフォン」を成功させた水橋かなえは、母の介護のため、活気をうしないつつある地方都市に戻ってきた。まだ30代の彼女は、通信販売で固定客を得ていたこともあって、この街...
+++ 下着が人の気持ちを変える? 弾ませる? 東京のファッションビルの一角でランジェリーショップ「シフォン・リボン・シフォン」を成功させた水橋かなえは、母の介護のため、活気をうしないつつある地方都市に戻ってきた。まだ30代の彼女は、通信販売で固定客を得ていたこともあって、この街でも店を開く。機能的な下着から自由でチャーミングなものまで、いろいろ勢ぞろい。さびれた商店街にできたこのちょっと気になるお店に、やがて人々は引き寄せられる。かなえと同様に介護生活をおくる32歳の佐菜子、米穀商店の女装する若い息子、旧家の時代を忘れられない年配の女性……。レースやリボン、小さい花柄をあしらった下着が、彼らの人生をほのかに弾ませる。母と娘の屈託、息子と父の反目、嫁と姑の気詰まりをなぜかほどいていく。小さな人生模様がえがかれ、摩訶不思議でほのぼのとした小説集。 +++ 寂れつつある地方都市の商店街にオープンしたランジェリーショップ、「シフォン・リボン・シフォン」が繋ぐ、四つの連作短編集である。 たかが下着、されど下着である。誰に見せるわけでなくても、身体に合った機能的で美しい下着を身につければ、それだけで身体が軽く感じられ、気持ちまで軽やかになるのである。女性ならたぶん誰でもうなずくことだろう。ことさら表立って語られることがない分、下着に関する悩みもおそらく十人十色、様々であることだろう。そんな下着に関する憧れや思い入れが随所に感じられ、ほほえましくなると同時に、気分がしゃきっとするような心地にもなる。あたたかい気持ちにさせてくれる一冊でもある。
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