天地明察(下) の商品レビュー
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面白く読み進めることができた。所々難しい言葉が使われ、北極出地の観測場面では、どういう大きさでどんな器具が設置されたのか想像が難しかったが、全体的には読みやすかった。 23年にも及ぶ改暦への軌跡。主人公春海は碁打ちの名人であり、算学にも通じている。はじめ、算額絵馬では無術による失敗をするが、北極出地を通して改暦への道のりを進んでいく。そして、様々な人の助けがあり、改暦事業は達成される。 その後30年間、どういった気持ちで春海は過ごしたのだろうか。最後には、夫婦そろって神社に誤問の算額絵馬を取り戻しにいっている。春海にとっては恥ずべき絵馬のはずが、妻えんにとっては大切なものとして扱われているのが面白い。まるで無術が明察であるかのように、夫への愛そのもののように思えた。 ぱちん、ぱちん。と柏手の音が聞こえた気がした。柏手とは陰陽の調和であるらしい。無術明察。春海はどういった気持ちで参拝を終えたのだろう。
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今更ながら読んでみたが非常に面白かった。 実話でありながら、将軍お抱えの囲碁の棋士が、算術や天文学も究める中で、和算の開祖関孝和との出会い、全国への北極星測量の旅を通じて、暦の改定という大事業に取り掛かっていく、漫画としか思えない展開を、非常に美しい日本語で綴る本作はレベルがと...
今更ながら読んでみたが非常に面白かった。 実話でありながら、将軍お抱えの囲碁の棋士が、算術や天文学も究める中で、和算の開祖関孝和との出会い、全国への北極星測量の旅を通じて、暦の改定という大事業に取り掛かっていく、漫画としか思えない展開を、非常に美しい日本語で綴る本作はレベルがとても高いと言える。 暦というものは、人が宇宙にも行き、太陽系の天体の動きもかなり明らかになった現代では、当たり前のように正確なものが日々我々の目の前に提供されているが、江戸時代という科学技術も限られた世界の中で、それこそ宇宙も見たことがないような人々が、地球からの観測と、数学、そして何より圧倒的な想像力を持って、天体の軌道やそれに連動する暦を考えるというのは、本当に途方もない努力が必要であると痛感した。 数十年という途方も無い年月をかけ、多くの人々の意思を継いで新暦が完成するまでの過程は、感動に値する。 余談だが、日本史を専攻していなかったため、江戸時代の幕府の機構がよく分かっていなかったが、本作を通じてかなり勉強になった。
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下巻。それにしても改暦事業という壮大なことは、容易ではなく、時がかかる。それはこの時代においては人がよく亡くなるということであり、この小説も漏れずに登場人物の移り変わりが激しい。しかし改暦事業の意思は、確かに主人公である渋川春海に託され、徐々にではあるが、形となっていく。 そ...
下巻。それにしても改暦事業という壮大なことは、容易ではなく、時がかかる。それはこの時代においては人がよく亡くなるということであり、この小説も漏れずに登場人物の移り変わりが激しい。しかし改暦事業の意思は、確かに主人公である渋川春海に託され、徐々にではあるが、形となっていく。 そして特に下巻は、情熱だけでなく、春海自身の新たな挫折とともに成長が感じられる。円熟さが増して、単にド直球だけではない、あらゆる角度で妙手を繰り出し、まるで碁を指していくが如くに事業と人を囲っていく。 勿論春海へ対する好感もそうだが、大事業に対して、一丸となって成していくことに素晴らしさや何としても行なっていく強き意思や旧弊を改めることの困難さなどがよくよくはっきりと伝わり、そしてその読後はまさに少しの勿体無さを伴いながらも明察へと至るのではなかろうか。
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めちゃくちゃ傑作でした。 何かにチャレンジするとき、頑張ろうとしているときにまた読み返したい作品でした。
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江戸時代、囲碁棋士安井算哲又の名を渋川春海が改暦の総大将として改暦に天に挑む話。上巻で既に面白かったのに下巻で更に面白さが増す。改暦の任命震えたし、挫折と挑戦を繰り返す春海尊敬する。歴史に疎いからこそめちゃくちゃ興味深く楽しみながら読めた。まだ熱が冷めぬ。
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爽やか成長小説。晩年に向けて淡々と語られていくのは仕方無いのだろうか。若者が壮年になり、老年になるに従って表面的な活発さが減っていくからこそ、個人的には、老境に差し掛かってからの述懐や後悔など、もっと丁寧に書いてほしかったです。
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「失敗を恐れてはいけない」この言葉が、本当に心に深く刺さる。こんなにも失敗を繰り返し、罵声を浴びながらも諦めない人はいるだろうか。関わってきた人の想いを胸に達成する。その気持ちの強さに胸が打たれた。数学の公式もしかり、暦もしかり…昔の人のたくさんの努力の上で成り立ち、今の世の中で役に立っているのかと思うと、頭が上がらない。感動…。
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途中何度も別の本に走ってしまい、長い時間をかけてようやく読み終えました。こういう時代ものは映像化された方がいいかもしれません。 説明や言い回しが堅苦しくて、漢字も多すぎて読むのにすごく時間がかかりました。馬鹿みたいな感想ですが、本音です。また、前半はとても丁寧に時間をかけて物語が...
途中何度も別の本に走ってしまい、長い時間をかけてようやく読み終えました。こういう時代ものは映像化された方がいいかもしれません。 説明や言い回しが堅苦しくて、漢字も多すぎて読むのにすごく時間がかかりました。馬鹿みたいな感想ですが、本音です。また、前半はとても丁寧に時間をかけて物語が描かれていますが、後半は怒涛の展開です。ほとんどエピローグです。 改暦。日本史として学ぶと「ふーん」という感想しかありませんでしたが、その事業がどれほど大きな影響を人々に与えるのかがこの作品でよく分かりました。 機会があれば岡田准一主演の映画も観てみたいと思いました。
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素晴らしい1冊でした!改暦というとピンとこないのですが、一月を30日にするか、31日か、28日にするかし、1年を何日にするか考え、誤差が生じないようにする暦にすることでしょうか。この改暦に携わる渋川春海。何度も挫折に遭いながらも、一歩ずつ進む姿が印象的でした。事をなすには、一足飛...
素晴らしい1冊でした!改暦というとピンとこないのですが、一月を30日にするか、31日か、28日にするかし、1年を何日にするか考え、誤差が生じないようにする暦にすることでしょうか。この改暦に携わる渋川春海。何度も挫折に遭いながらも、一歩ずつ進む姿が印象的でした。事をなすには、一足飛びには無理。いかに地道な努力が必要かがよくわかります。そしてそれを支える多くの人たちの思い。算術の天才、関孝和。時の大老、酒井。会津藩の保科公や水戸光圀。そして妻のえん、などなど。この人たちの想いや別れにジーンときました。最後は、二人で旅立って良かった。
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今、本屋さんを覗くとこれが山積みされてるね。 9月から映画が始まるから、その宣伝かな。 あー、角川か。映画も角川なんだろな。 で、読了したけど映画は見なくていいなぁ。 日本の暦を作るための23年間を綴っているが、これを2時間程度の物語に押し込めるのは無理があると思うな。 特に下...
今、本屋さんを覗くとこれが山積みされてるね。 9月から映画が始まるから、その宣伝かな。 あー、角川か。映画も角川なんだろな。 で、読了したけど映画は見なくていいなぁ。 日本の暦を作るための23年間を綴っているが、これを2時間程度の物語に押し込めるのは無理があると思うな。 特に下巻は渋川春海の伝記のようでストーリーが淡々と進み、あまりドラマチックな展開はない。 そもそも宣明暦とか授時暦とかよくわからん。 日食って数年に何回もあるものなの? それを予想するのに数学が使われるのは(なんとなく)わかるけど、それが外れたからといって何なんだ? まあ、江戸中期、幕府、朝廷、暦の存在・・・そんな物語があったんだぁ・・・なんて知識として得ることはできたので良しとするか。 冲方丁(うぶかた とう)、他の作品はどうなんでしょ? あまり興味は持ちませんでした。
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