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盤上の夜 の商品レビュー

3.7

106件のお客様レビュー

  1. 5つ

    20

  2. 4つ

    30

  3. 3つ

    35

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    2

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2013/12/19

 ヨハネスブルグの天使たちで宮内悠介を知って、これは良い作家だということで盤上の夜を手にとった。ボードゲームの類の小説といえば、坂口安吾が少しエッセイに書いていたり、竹本健治がゲーム底本というものにまとめてミステリというものでだしている。しかし、これはどのジャンルに入るのだろうか...

 ヨハネスブルグの天使たちで宮内悠介を知って、これは良い作家だということで盤上の夜を手にとった。ボードゲームの類の小説といえば、坂口安吾が少しエッセイに書いていたり、竹本健治がゲーム底本というものにまとめてミステリというものでだしている。しかし、これはどのジャンルに入るのだろうか。一応創元SF大賞で賞はとっているし、量子コンピューターという言葉も散見されるのでSFというものに分類されていいかもしれない。  ヨハネスブルグの天使たちではフィクションとノンフィクションがDX9という点で交錯し、どこか現実的で非現実的、どこか非現実的で現実的な、フィクションともノンフィクションともつかないような様をなしていた。  この盤上の夜でも、将棋、囲碁、麻雀、チャトランガといったボードゲームを起点として人びとの交錯が描かれる。それはどこか遠いようで近い、近いようで遠い、そんなところで繰り広げられている話だ。  短篇全てを通してある一人の記者を通して描かれており、本当に記事のように書かれており、それは俯瞰したものであり、最初は物足りなさを感じた。しかし、そのもの足りなさにより想像力を掻き立て、読み進めるにつれ本の向こうに情景を見ることができた。見事に引き込まれてしまった。

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2013/11/05

天才現る!と宮内さんが新聞に紹介してあったので、読んでみました。(新人賞で直木賞候補って!!) やっぱり盤上の夜が一番面白かったです。 由宇が本当にどこかに実在していると思わせてくれました。力強い女性でパワーがひしひしと伝わってきました。 チェスターの話はなんかの雑誌の特集で...

天才現る!と宮内さんが新聞に紹介してあったので、読んでみました。(新人賞で直木賞候補って!!) やっぱり盤上の夜が一番面白かったです。 由宇が本当にどこかに実在していると思わせてくれました。力強い女性でパワーがひしひしと伝わってきました。 チェスターの話はなんかの雑誌の特集でも読んでるようで、小説としての面白みは無し!でもボードゲームとコンピュータの戦いというのは、やっぱりボードゲーマには懸案事項なんだとよくわかりました。 麻雀の話(清められた卓)はやっぱり、宮内さんが麻雀プロを目指していただけあって、内情が詳しく書いてあって、物語も面白かったです。 将棋で出てきた、ゲームをゲームで壊したい的なことは納得。それが、正しいやり方だ。 記者目線の回顧録だったので、読みづらくやたら総合失調症など、精神を病んでいる人が多かったのがずるい気がしましたが、新しい発見がたくさんある勉強になる小説でした。

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2013/10/14

チェス、囲碁、将棋、麻雀ー。ありとあらゆるボードゲーム?の短編。 実話っぽい話もあるし、フィクションもあり、一つずつじっくり確かめていきたくなる。 SFといわれると、どうかな…

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2013/09/14

読み終えるのに苦労しました。盤上遊戯、卓上遊儀をめぐる六編の物語ということで、アイデアや対局する人間の姿という点については、面白いと思いました。しかし一人のジャーナリストが語り手であるということから、説明の連続であり、描写が極端に少なく、小説というよりも新聞記事を読んでいるような...

読み終えるのに苦労しました。盤上遊戯、卓上遊儀をめぐる六編の物語ということで、アイデアや対局する人間の姿という点については、面白いと思いました。しかし一人のジャーナリストが語り手であるということから、説明の連続であり、描写が極端に少なく、小説というよりも新聞記事を読んでいるような印象を受けました。もしかしたら、それがねらいなのかもしれません。短編ではなく、灰原由宇という女性の半生を描く長編小説であれば、もっと物語に感動することができるのにと思いました。この中では「千年の虚空」が好きです。葦原兄弟が対局する最後の場面が心に残りました。

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2013/09/08

不思議な物語だ  四肢を失い、盤の状況が自身の触感として認識するようになったヒロイン。その触感を言葉にする段階でオーバーフローって流れがオープニング作品「盤上の夜」なんだが、なぜ触感を言葉にする必要があったのかが理解できずに乗れなかった。  しかし、SF風の「人間の王」には驚...

不思議な物語だ  四肢を失い、盤の状況が自身の触感として認識するようになったヒロイン。その触感を言葉にする段階でオーバーフローって流れがオープニング作品「盤上の夜」なんだが、なぜ触感を言葉にする必要があったのかが理解できずに乗れなかった。  しかし、SF風の「人間の王」には驚いた。知性となった王との会話がすばらしい。人対機械。そして、機械となった人。オチも軽快でいい作品だ。  同じ盤ゲームをテーマに短編が続くのだが、次は麻雀「清められた卓」。オカルトっぽいが、超能力の謎が暖かくてある意味感動的だ。  しかし、仏陀はまだしもダイバダッダまで出てくると、レインボーマンの歌が脳内を駆け巡り、収拾がつかなくなる「象を飛ばした王子」はわかりにくいお話。  途中までとてもワクワクする「千年の虚空」は、後半からの展開が遅くてダレる。量子歴史学はすばらしいアイデアだし、オチもいいし、なによりもセルダンを思い出ささせてくれたんだけど、消化不良だなぁ。  ラストの「原爆の局」は再びオープニング作品の続きとなるが、碁を知らないからか、乗り切れずに終了。  すべてにおいて、光るアイデアがあるんだが、物語としては後一歩かな。

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2013/09/03

ゲームを題に統一された短編集。それぞれ違うゲームを異なる切り口で料理してあって、なんというか、端正なたたずまい。色々な勝負師の感じもうまく出ていると思う。若い勝負へのひたむきさ、老練な勝負師の寡黙と饒舌と。 プログラムやITによる人間の思考の変質では’無く’、人間の認識が変容して...

ゲームを題に統一された短編集。それぞれ違うゲームを異なる切り口で料理してあって、なんというか、端正なたたずまい。色々な勝負師の感じもうまく出ていると思う。若い勝負へのひたむきさ、老練な勝負師の寡黙と饒舌と。 プログラムやITによる人間の思考の変質では’無く’、人間の認識が変容している話が多かったのが興味深い。意識がメタにいく話は、わざと語らなかったのだろうか。それとも、歴史への価値付けの話しのようにメタ評価が全部イコールになってしまうと結論して小説にならないと考えているのかな。そう、プログラムが限界を超えないで人間が超えてしまうお話ばかりなのです。 ・完全解という形でチェッカーを葬られてから、彼は何をもって生き甲斐としたのだろうか。あくまで、チェッカーに固執したのだろうか。それとも、何か別の生きかたを見出したのか。 いや、語弊を承知で言ってしまおう。わたしはこう思ったのだ。 この話の裏にいま隠されているもの―それは、わたしたち皆にとっての問いなのだと。 ・よくある誤解として、このような人と機械とのゲームを、人間と機械の知恵比べとして見る向きがあります。ですが、実際はそうではない。あくまで、人とプログラマとの戦いであるわけです。このことを、ティンズリーはしかと認識していた。その上で、彼は言ったのです。 自分という存在のプログラマは神なのだから、負けはないと。 →神に関して言えば、これでは足りないな。プログラマのプログラマも神、になってしまうはずなのです。

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2014/04/27

第1回創元SF短編賞で山田正紀賞を受賞しましたが、盤上に濃縮された世界観は世間一般に考えられているSFの概念とは外れており独特です。 6編とも、テーブルゲームに人生をかけた人たちを描いています。【人間の王】と【清められた卓】はミステリー色が強い作品だったのでお気に入りです。

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2013/08/23

囲碁、チェッカー、麻雀、チャトランガ(チェスの起源)、将棋、再び囲碁と盤を使ったゲームを題材にした短編集。 個々のゲームを知っていればより楽しめたと思います。 表題の盤上の夜と完全解が見つかったチェッカーの話(人間の王)が、良かった。 何のために人はゲームするのだろうと考えさせら...

囲碁、チェッカー、麻雀、チャトランガ(チェスの起源)、将棋、再び囲碁と盤を使ったゲームを題材にした短編集。 個々のゲームを知っていればより楽しめたと思います。 表題の盤上の夜と完全解が見つかったチェッカーの話(人間の王)が、良かった。 何のために人はゲームするのだろうと考えさせられます。 でも、たいていの人は楽しいからか暇つぶしですかね。 ここに登場する人物のような頂点には立ちたいとは思いますが、実際には夢のまた夢。それを読んで同じ感覚が得られるのはすごいと思います。

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2013/08/14

6編の短篇が収められた短篇集ですが、正直よく分かりませんでした。 チェッカーを扱った「人間の王」とチャトランガを扱った「象を飛ばした王子」は面白く、興味深く読めたのですが、他の作品は少々難解で何を言わんとしているのかが理解できませんでした。ただ、「原爆の局」で、原爆が投下された後...

6編の短篇が収められた短篇集ですが、正直よく分かりませんでした。 チェッカーを扱った「人間の王」とチャトランガを扱った「象を飛ばした王子」は面白く、興味深く読めたのですが、他の作品は少々難解で何を言わんとしているのかが理解できませんでした。ただ、「原爆の局」で、原爆が投下された後も、碁の対局が続けられたというエピソードには驚きました。勝負師というのは凄いものですね。

Posted byブクログ

2013/07/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

イイタイコト:ゲームと現実のLINK 戦いに勝ち負けはなく、天命なのだ 千年の虚空:隣国た一本の歴史を、一つの公益を共有する。 碁とは~九割の意志と、一割の天命です 5割の虚構と5割の現実

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