紙の月 の商品レビュー
心の隙間を物で埋まるもんなのかな・・・ 主人公が道を外したきっかけはなんだったんだろう。 このカード社会の中で、主人公と自分が紙一重のような気がして、 おそろしい感じがした。 読んでいて苦しくなるような切迫感を感じた。 角田さんうまいな。。
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うまい。たたみかけるような展開に引きずり込まれ、一気に読まされた。小説としてのテクニックが随所に散りばめられているが、嫌味じゃない。 今年のベストになるかもしれない。
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まさに、「どうしてこうなった」という読後感。 色々な人たちが出てきますが、なぜこんなことになってしまったのか、最後まで読んでもわからない。それゆえ、怖いです。
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大きな事件を引き起こした主人公と、それに関わる人たち。彼と我の差はなんだろう、と誰もが考え、誰もが超えうる一線だったと薄々気づく。 本当に大切なものはなんだろう。お金でひきとめられるものってなんだろう。 みんなさびしかったんだな。
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銀行のお金約一億円を横領した女の話。 手口や女性心理から松本清張の小説を思わせるにおいを感じた。 ただ違うのは、警察などは追ってこなくて主人公である梨香と過去に関わりを持った人間の視点で描かれているということ。その誰もがお金に関わる問題を抱えている。社会派小説にならなかったのは...
銀行のお金約一億円を横領した女の話。 手口や女性心理から松本清張の小説を思わせるにおいを感じた。 ただ違うのは、警察などは追ってこなくて主人公である梨香と過去に関わりを持った人間の視点で描かれているということ。その誰もがお金に関わる問題を抱えている。社会派小説にならなかったのは、彼らのお金に関わる心理に終始したからだろう。 ずぶずぶと深みにはまってゆく梨香を見ていると、いつ自分がそのような状態になってもおかしくはないという目に見えない恐怖を感じた。 彼女が逃げ切れたのか、捕まったのか判然としない終わり方だが、その分この目に見えない恐怖というのが強調される。それが納得できない読者も多いだろうが、そのせいで心の奥に黒い影を落としいつまでも消えない。
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様々な登場人物のなかで、大学生である光太の存在が興味深い。なぜなら、彼だけが人生について無垢、あるいは無知だから。お金が貴重なものだということくらいはわかったいる、でも本当の有難さや恐ろしさにまで気持ちが及ばないナイーブさ。あっけらかんと夢を語りながら、その夢のために計算高く強...
様々な登場人物のなかで、大学生である光太の存在が興味深い。なぜなら、彼だけが人生について無垢、あるいは無知だから。お金が貴重なものだということくらいはわかったいる、でも本当の有難さや恐ろしさにまで気持ちが及ばないナイーブさ。あっけらかんと夢を語りながら、その夢のために計算高く強かに生きているわけでもない。結局は誰かを頼って生きるしかないのに、そんな現実の厳しさを自覚することができない、ふわふわした存在。 この本の登場人物は、お金の有難さや恐ろしさをわかっている。浪費癖で離婚した女や、妻や愛人の金銭感覚に恐れを抱く男は勿論、13歳の子供でさえも、その有難さや恐ろしさをわかっているが故に、時に小狡く、あるいは控え目に生きていこうとしている。それぞれの厳しい現実と向き合いながら。 だが、光太にはそういう現実感覚がない。悪意すらない自然な振る舞いで、1億円横領事件などお金を巡る不正へと小説の中心人物(敢えて「主人公」とは言わない)である梨花を陥れて行く。だから、その光太がお金の本当の有難さや恐ろしさを知ったとき、誰かのお金の頼って生きていかねばならないという不自由で厳しい現実に気付いたときに、本当の物語が始まるのだと思う。 主人公は登場人物の誰でもない、「お金」であるということも。
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銀行の契約社員として働く梅澤梨花が横領事件を起こす。彼女と彼女の周りの人々の物語。 一気読み。 一億円もの大金の横領なんて、およそよくあることではもちろんないのだけれど、なんだかとてもリアリティがある。 主人公は41歳の主婦。 一通り人生の山や谷は通り過ぎ、この先の将来もなんと...
銀行の契約社員として働く梅澤梨花が横領事件を起こす。彼女と彼女の周りの人々の物語。 一気読み。 一億円もの大金の横領なんて、およそよくあることではもちろんないのだけれど、なんだかとてもリアリティがある。 主人公は41歳の主婦。 一通り人生の山や谷は通り過ぎ、この先の将来もなんとなく予測がつき、かといって諦観しきってしまうほどに老いているわけでもなく、何かにすがりたいけれどすがるべきものも、なりふり構わず夢中になれるものも見当たらない。自分はなぜここにいるのか、いつまでいるのか、これからどうしていくのか。 現実の世界でも、そんな空虚で行き場のない年齢かもしれない。だからこんなにもリアリティを感じてしまうのかもしれない。 いつだって、こんな答えの見つからない、怖いほどに生身の人間の心を描き出してみせてくれちゃうんだよなあ。 恐るべし、角田女史。
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普通の主婦梅澤梨花が1億円を横領する。女性心理、堕ちていく描写がなんとも巧い。友人、元交際相手の視点からも描かれる。一気に読んだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
横領事件の裏側に潜む女性の心理をのぞける作品です。 過去の回想がほとんどで、今、なぜ逃げているのか、 つかまらないよう逃げているだけなのか、よくわからなかった。 追いかける側の登場人物がいなかったのが残念でした。
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角田光代は逃げる女が好きなのか?八日目の蝉に続く逃げる女を主人公にしたスリリングな作品、読後満足感満点の傑作!
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