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紙の月 の商品レビュー

3.8

367件のお客様レビュー

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    56

  2. 4つ

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  3. 3つ

    90

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2012/03/16

面白くて怖い一冊だった。買い物するのが一瞬怖くなる。でもだからこそちゃんと考えていたいなぁとか思う。初角田作品だったけど、他の作品も読んでみたくなった。いろいろ角田さん好きな書店のお姉さんに教えてもらおう。

Posted byブクログ

2012/03/12
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角田光代ワールド。横領・海外逃亡犯である梨花と我々の差がほんの僅かであることをじわじわと小さな行為と感情の積み重ねで迫ってくる傑作。これが怖い。人は大きな決断やドラマティックな出来事で変貌するのではなく気付かないほどのずれが時間軸においていつの間にか全く違った世界に、まるで自分は普遍で世界だけが変わってしまったかのようにそこに佇むのだ。

Posted byブクログ

2012/03/10

お金に囚われ堕ちていく女のお話。きっかけとなる夫婦のズレや違和感の心理描写がリアルでその後の流れに説得力があった。何かに嵌まる感覚は頷けるし、一線を越えてしまうとこーなるかもしれないと思うとゾッとする。お金って怖いわ。木村多江さんで映像化かな…面白かった!

Posted byブクログ

2012/03/08
  • ネタバレ

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お金の話である。 そして、タガが少しずつどうやってはずれていくのか、という話である。 怖い。読み進めるのが怖い小説であった。 違う、違う、と何度も声に出し、首を横にふる。違う、私はそうじゃない、と。 そう強く否定せずにおれなくなるのは、自分の中にも似たものがあるのではないか、何かのきっかけで自分も同じ道をたどる素質があるのではないか、だから怖いのについ引き込まれて読まずにおれないのではないか、と、思ってしまうからだ。 しかしそもそも金銭感覚も、築いてきた夫婦の関係も、ここに登場してくる人たちと自分はまるで違う。 普通の日にお財布に5万円入っていたり、その5万円で化粧品を買ったり、デパートを歩きながら万単位のお洋服を1日に幾つも買ったり、万単位のコース料理を食べたり、そんなことを私はしない。出来る状況でもない。 こんなに、言いたいことも言えない、遠慮し合ったり互いのハラを探り合ったりするような夫婦の関係も、私にはちょっと想像がつかない。 それなら、そもそもなんで結婚して夫婦になったの?と思う。なんなの、この関係は?夫婦ってこんななの?と思う。 買い物やエステで不安が鎮まったり、心が満たされることもない。 誰かに物を買い与えることで、優位に立ったような気持ちになったり、満足を覚えたりもしない。 結婚して、何万何十万円もする食器を揃えたいと思ったこともない。結婚は食器を揃えることではない。 でも、こっちにお金がないからそっちから一時だしておけばいいや、明日戻しておけば同じことだ、とか、小さなところで共感があるので、もしや自分の延長上に、この梅澤梨花があるのではないか…と、ふと思って怖くなるのだ。 その梨花に「進学や結婚は言うに及ばず、その日何色の服を着たとか、何時の電車に乗ったとか、そうしたささいなできごとのひとつひとつまでもが、自分を作り上げた」と言わせる。 お金で解決出来ないこともある、と早く気付きなよーと思いながら読み進んだ。なんでこんなにお金に、消費することに依存しているの?と。 ここまで来ないと、そのことに気付かないのか? 後味は悪くない。 中條亜紀が気付いてくれたから。

Posted byブクログ

2017/10/16

銀行から1億円横領して、海外逃亡中の梨花が主人公。梨花だけでなく、過去に梨花とかかわりのあった女たちの現在の生活が平行して描かれています。1億円横領なんてそんなすごい事件!と思うけれど、ちょっとしたきっかけで使ってしまった小額のお金、そこから後1万円、後10万円、後100万円くら...

銀行から1億円横領して、海外逃亡中の梨花が主人公。梨花だけでなく、過去に梨花とかかわりのあった女たちの現在の生活が平行して描かれています。1億円横領なんてそんなすごい事件!と思うけれど、ちょっとしたきっかけで使ってしまった小額のお金、そこから後1万円、後10万円、後100万円くらいならとずるずる進んでいく気持ち、わからなくはない。本人にはそのうち返そうという気があるのだし。消費者金融から1万円、2万円と借りて借金が膨らんでいくのと同じ感覚なのだろう。登場する女性全てに共通するのは、なんとなく現在の生活に物足りなさを感じているところ。これといって不満があるわけではないけれど、このままでいいのだろうかという不安は常にある。そんな気持ちの時期って、誰にでもあるのではないだろうか?それが事件を引き起こす事もあれば、何事も無いときもある。心理描写が巧みで面白かったです。

Posted byブクログ

2012/04/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

買ったその日に読み始め、一気に読了。自分には程遠いことをした女の人の話なのに、共感して、まるで自分がこの人なんじゃないかと思うほどに、のめり込んだ。 パート、契約社員、正社員。そこを分け隔て、正社員以外を見下げる夫。私には夫はいないが、まさにタイムリーな話で、そこから共感がはじまったのかもしれない。あからさまに言われるわけではないが、そう感じるのは被害妄想だけではなく、世間にはそう考える人が多いから。契約上、それはそうだけど、正社員以上にやっていると自負している場合、この釈然としない気持ちはどうしたらいいの。って、本の感想からそれた。 主人公だけでなく、同じようなことをする女たち。わかる、とても分かる。自分もやってしまいそうで、とても分かる。やらないけど。でも今は自分ひとりで働きお金を自由に使えるけど、結婚したり子供ができて環境が変わると、自分もどうなるか分からない。働く働かないで、お金との付き合い方は大きく違うだろう。 バンコク、チェンマイ、チェンコン、フェイサイ。旅したことのある場所が出てきたから、あの宿を、あの昼間っからビールを飲んだくれた店先 を、屋台を、ナイトマーケットを、出会った人たちを思い出し、よりリアル。 面白かった!明日もう一回読もうかな。

Posted byブクログ

2012/03/11

【わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が約一億円を横領した。梨花は発覚する前に、海外へ逃亡する。梨花は、果たして逃げ切れるのか? ――自分にあまり興味を抱かない会社員の夫と安定した生活を送っていた、正義感の強い平凡な主婦。年下の大学生・光太と出会ったことから、金銭感覚と日常...

【わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が約一億円を横領した。梨花は発覚する前に、海外へ逃亡する。梨花は、果たして逃げ切れるのか? ――自分にあまり興味を抱かない会社員の夫と安定した生活を送っていた、正義感の強い平凡な主婦。年下の大学生・光太と出会ったことから、金銭感覚と日常が少しずつ少しずつ歪んでいき、「私には、ほしいものは、みな手に入る」と思いはじめる。夫とつましい生活をしながら、一方光太とはホテルのスイートに連泊し、高級寿司店で食事をし、高価な買い物をし・・・。そしてついには顧客のお金に手をつけてゆく。 】

Posted byブクログ