銃・病原菌・鉄(下) の商品レビュー
なぜ人類は現在のような人種の分布になったのか、人種間での優劣の結果なのか、といった疑問に対し、人種による生物学的な優劣はなく地理的・環境的要因によるものと説明する本。地理・言語・生物学・文化・食物など猛烈に幅広い視野と多角的な切り口で分析し、人類の文明誕生から種族がなぜどのように...
なぜ人類は現在のような人種の分布になったのか、人種間での優劣の結果なのか、といった疑問に対し、人種による生物学的な優劣はなく地理的・環境的要因によるものと説明する本。地理・言語・生物学・文化・食物など猛烈に幅広い視野と多角的な切り口で分析し、人類の文明誕生から種族がなぜどのように移動・繁栄してきたかを、ユーラシア、オーストラリア、アメリカ、アフリカなど地域ごとに長いスパンで考察しているので、上下巻合わせてまあこれくらいのボリュームになるのも仕方無いかと思える。密度は高いが、平易な文章で納得しやすい。人類史はもともと興味はなかったが、読んでみたらとても面白かった。 ①栽培しやすい穀物や家畜によるユーラシア大陸での人口増加 ②技術や文化的発明の発展(東西に長いユーラシア大陸では交流も多かったため、技術が発展しやすかった) ③病原菌への耐性(ユーラシア大陸は人口稠密で人間と家畜も近かった) これらの背景からヨーロッパ人が銃・病原菌・鉄をもって他部族を侵攻すると、他部族が技術力と疫病で大量に死んでしまい、ヨーロッパ人の侵略が成功、という事例が多かった模様。
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読んでいる途中で4ヶ月ほど間を空けてしまったので、内容が少し飛んでしまったが、それでもやはりこの本の伝えたいことは、欧米とその他の差というのは長年の環境の違いがもたらしたものだということ。 また中国が覇権を取れなかった理由も興味深い。要因としては中国がヨーロッパのようになってい...
読んでいる途中で4ヶ月ほど間を空けてしまったので、内容が少し飛んでしまったが、それでもやはりこの本の伝えたいことは、欧米とその他の差というのは長年の環境の違いがもたらしたものだということ。 また中国が覇権を取れなかった理由も興味深い。要因としては中国がヨーロッパのようになっていてもおかしくなかった。しかし結局は当時の政治が優れたものを採用しなかったので、差が生まれた。 この本全体を通して、何かを今後に繋げるのなら、 与えられた環境をいかに活かすか。そしてその中でどれだけ自分を発揮するかということだと思う。 転職して1ヶ月半ほど経つが、だんだんと新しい環境に慣れてきた。それが良くも悪くもある。 自分がどれだけ充実した時間を送れるかは、自分次第だと思う。 印象的なフレーズ 『つまり多くの場合、「必要は発明の母」ではなく、「発明は必要の母」なのである』
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世界的ベストセラーの下巻。上巻におとらず奥が深い。 日本についてだけ語られた章はないけど、ところどころに日本についても書かれてあって面白かった。 識字率が100%の国の例としてあげられてたり、日本人は「l」と「r」の区別ができないと書かれてあったり。 なお、日本人がアルファベッ...
世界的ベストセラーの下巻。上巻におとらず奥が深い。 日本についてだけ語られた章はないけど、ところどころに日本についても書かれてあって面白かった。 識字率が100%の国の例としてあげられてたり、日本人は「l」と「r」の区別ができないと書かれてあったり。 なお、日本人がアルファベットやカナ文字でなく漢字を使うのは、漢字の社会的ステータスが高いからなのだとか。そんな風には考えたことなかったから新鮮だ。 後、日本の話でいうと、1600年頃は世界でもっとも高性能な銃を多く持つ国だったとか(なのに今は、銃をもっている人はほとんどいない)。確かに、1600年の関ヶ原の戦いでは鉄砲で戦ってるイメージがあったけど、そんな優れていたのかと驚いた。 多くの場合、「必要は発明の母」ではなく、「発明は必要の母」という話はなるほどなと思った。案外、役立つか分からないような発見でも、未来には役だったりするしね。 蒸気期間についても、発明されてから結構な年月がたって普及したらしい。発明についての歴史については、それだけで一冊の本として読んでみたいと思えた。 オーストラリア周辺のオセアニアの歴史については全然詳しくなかったのだけど、なかなか面白かった。 ニューギニアは面積の割に言語の多い地域だとか。島々の生活だけど、結構多様性に富んでいるのだなと思った。 病原菌についての話は、コロナ禍の今読むと、感慨深い。COVID-19に限らず、中国発祥の病原菌は多いよう。 後、「日本は、日本語の話し言葉を表すには問題がある中国発祥の文字の使用を今だにやめようとしていない」と書いてあったけど、どういうことなんだろう。確かに、漢字が読めないと思うことはあるけど、話し言葉を表すのに問題があると思ったことは無いなぁ。 不思議だったは、マダガスカル島。アフリカから比較的近いのに、東南アジアから人がやってきたと考えられてるらしい。どうやってこの島に流れ着いたのだろうか。 そういえば、文系・理系という分け方は日本独特なんて話をどこかで聞いたことがあるけど、エピローグで「歴史学は、通常、理系の学問ではなく文系の学問に近いと考えられている」と書かれてあって、日本だけの考えじゃないのかと思った。調べてみると、世界にもあるけど、日本ほど断絶されてる国は珍しいらしい。知らなかった。
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12章 文字を発明したのははっきり分かっているのは、シュメール、中米、中国?エジプト?のみ。その他は、実体の模倣またはアイディアの模倣。 シュメールは、表音文字と表意文字の組み合わせ。 13章 発明は必要の母 発明があって、それをどう利用しようかと考え、発展してきた。 技術...
12章 文字を発明したのははっきり分かっているのは、シュメール、中米、中国?エジプト?のみ。その他は、実体の模倣またはアイディアの模倣。 シュメールは、表音文字と表意文字の組み合わせ。 13章 発明は必要の母 発明があって、それをどう利用しようかと考え、発展してきた。 技術が受容されるか否か。 経済性、社会的ステータス、互換性、メリットの分かりやすさ 時代によって保守性は変化する。例、中国、イスラム 技術の伝播は農業の伝播と似ている。ユーラシアは伝播しやすい。 14章
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下巻では文字の発明、技術面での発明、社会の大規模化の過程が説明され、その後は各論として世界の特定地域に関する分析が述べられています。基本的な主張は上巻と同じで、食糧生産を早く進めた地域が大きなアドバンテージを得たということになります。またユーラシア大陸のように東西に長い大陸は食糧...
下巻では文字の発明、技術面での発明、社会の大規模化の過程が説明され、その後は各論として世界の特定地域に関する分析が述べられています。基本的な主張は上巻と同じで、食糧生産を早く進めた地域が大きなアドバンテージを得たということになります。またユーラシア大陸のように東西に長い大陸は食糧伝搬が早いのに対して、南北に長い北中南米大陸とアフリカ大陸では、大陸内の気候の差が激しい、あるいは地形的な問題で食糧や技術、文字の伝搬がきわめて遅かったという分析がなされています。 他の方々が述べられているように、ところどころ納得しがたい点はあるものの、全体を通してみれば筋が通っているという印象は持ちました。エピローグには欧州と中国の比較分析をして、なぜ中国が世界の覇者になれなかったか、というのを政治システム面と地政学的側面から述べているのはなかなか面白かったです。というよりもエピローグではなくもっと早く本編でしっかり分析して欲しかったと思いました。 しかし最後までわからなかったのは、彼のロジックを日本に当てはめるとどうなるのか、という点です。巨砲を備えたアメリカ軍艦が幕末に日本に来た後に、なぜ日本はインカ帝国のようにならなかったのか。なぜ日本は超スピードで欧米に迫るキャッチアップができたのか(インカ帝国はキャッチアップできなかったのか、病原菌のせい?)。しかし全体的にはなかなか読み応えがあって知的好奇心を満たしてくれましたので大満足ではあります。
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読み始めるきっかけが何だったのか、忘れてしまうくらい前に買った本。 やっと読み終わった。 自分の歴史観に、堅牢な柱を作りあげた本。 歴史が異なるのは、人の違いではなくて環境の違いによるもの。 人種差別を論じる本はいくつか読んだけど、この本による説明が一番腑に落ちた。 歴史の本な...
読み始めるきっかけが何だったのか、忘れてしまうくらい前に買った本。 やっと読み終わった。 自分の歴史観に、堅牢な柱を作りあげた本。 歴史が異なるのは、人の違いではなくて環境の違いによるもの。 人種差別を論じる本はいくつか読んだけど、この本による説明が一番腑に落ちた。 歴史の本なのに。 ネアンデルタール人が別な種類の人類であることも知らなかった。 この本で知った後、アニメのドラえもんでスネ夫がすでに知っていたこともビックリ。 文字の伝播に自然環境が影響しているのにはびっくり。 説明を読むと、「そりゃそうだよな」と思う。 日本の方言分布も、もしかしたらそうなのかもしれない。 今度そういう本も読んでみたい。
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上巻よりおもしろかった!野生植物や野生動物の生息状況の違いと、大陸の形や気候の違いといった自然要因の話が主だった上巻とくらべ、そうした違いが文字戦争技術発明等、文化文明的にどのような違いをもたらしたのかが詳しく書かれていて興味深かった。また、ユーラシア大陸内でのヨーロッパ、肥沃三...
上巻よりおもしろかった!野生植物や野生動物の生息状況の違いと、大陸の形や気候の違いといった自然要因の話が主だった上巻とくらべ、そうした違いが文字戦争技術発明等、文化文明的にどのような違いをもたらしたのかが詳しく書かれていて興味深かった。また、ユーラシア大陸内でのヨーロッパ、肥沃三日月地帯、中国の発展の違いに触れられたエピローグは個人的に割と目からウロコ。統一された社会と不統一社会では長期的に発展スピードが異なる。統一不統一の究極的要因もやはり地理が影響。
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いまさらですが歴史に残る名著。学術的な名著かつ読み物として大変面白かった。 著者の言うところの歴史科学としての人類史。 文庫本上下計800ページ超。主張の結論は、拾い読みや内容の要約、別の読み物(例えば「父が娘に語る経済の本」第1章とか)でも可能だが、じっくり読むことで得られるも...
いまさらですが歴史に残る名著。学術的な名著かつ読み物として大変面白かった。 著者の言うところの歴史科学としての人類史。 文庫本上下計800ページ超。主張の結論は、拾い読みや内容の要約、別の読み物(例えば「父が娘に語る経済の本」第1章とか)でも可能だが、じっくり読むことで得られるものも多いと思われる。(日本の政治家等は読んでいてもらいたい)
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・社会性の構築に関して、文字というのも関係している。その要因として、農業ができる・地形の問題があるとかとか ・「発明は必要の母」といっているのが結構納得がいく。以前 "Weekly Ochiai"で富野由悠季が理系の純粋な直線的な発想を否定していたのだが、これ...
・社会性の構築に関して、文字というのも関係している。その要因として、農業ができる・地形の問題があるとかとか ・「発明は必要の母」といっているのが結構納得がいく。以前 "Weekly Ochiai"で富野由悠季が理系の純粋な直線的な発想を否定していたのだが、これってまさしく発明が必要よりも先行しているのではないかということがわかる。必ずしも必要が先行しなければいけないとは思わないが、社会の目線に立つことは今後より重要になると考える。 ・すごい発明なんてない。常に今までの積み重ねというものがそこに存在する。 ・宗教の力って本当にすごい。宗教によってネーション内の抗争を減らすことに成功したし、権力とかといったものを正当化することができる。 ・余剰食料が労働の分化につながる。分化することによって組織がより複雑化するし、その規模も拡大する。そしてその組織をまとめることができるとより長く集団が保つ。
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