銃・病原菌・鉄(下) の商品レビュー
詳しく評価できるほど理解できたかは怪しいが、文字の重要性や、孤立した状況に置かれると一度手に入れた生産様式を放棄することがあること、ニューギニアとオーストラリアのように、近くでも気候が違いすぎて伝播しないなど、膨大な知識量のみならずそれを張り巡らせたネットワークのように、組織化で...
詳しく評価できるほど理解できたかは怪しいが、文字の重要性や、孤立した状況に置かれると一度手に入れた生産様式を放棄することがあること、ニューギニアとオーストラリアのように、近くでも気候が違いすぎて伝播しないなど、膨大な知識量のみならずそれを張り巡らせたネットワークのように、組織化できてることのすごさよな。
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食物生産、家畜、土地の広がりが東西か南北か等の要素が複雑に絡み合って人間の社会性の進化が導かれることを学べた。
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ヨーロッパ大陸がひと足先に他の大陸よりも有利な発展を遂げたことは議論された。「ではなぜ同じユーラシア大陸にある中国ではなかったのか」という疑問について、エピローグでごく簡単にまとめている。こちらの方が新たな知見が得られた気がしたので、個人的にはエピローグが1番良かった。 また、...
ヨーロッパ大陸がひと足先に他の大陸よりも有利な発展を遂げたことは議論された。「ではなぜ同じユーラシア大陸にある中国ではなかったのか」という疑問について、エピローグでごく簡単にまとめている。こちらの方が新たな知見が得られた気がしたので、個人的にはエピローグが1番良かった。 また、本書のタイトルは『銃・病原菌・鉄』とあるが、ほとんどが病原菌と食傷生産について書かれており、銃と鉄についてはそれほど触れられていない。しかし口当たりの良さや覚えやすさを考えると、良いタイトルをつけたなと感心する。
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世界は侵略と征服の歴史。結局は文明を発展させた地域が銃と病原菌と鉄で発展の遅れた地域を支配してきて今があり、これからも続く。 では地域による差はどのようにして生まれたかを明快に説明したのが本書。 ・農業に適する原生植物が近くにあったかどうか ・家畜化に適する動物がいたかどうか...
世界は侵略と征服の歴史。結局は文明を発展させた地域が銃と病原菌と鉄で発展の遅れた地域を支配してきて今があり、これからも続く。 では地域による差はどのようにして生まれたかを明快に説明したのが本書。 ・農業に適する原生植物が近くにあったかどうか ・家畜化に適する動物がいたかどうか ・大陸が東西に長いか、南北に長いかは文明の伝播速度つまり発展速度に大きく影響する。 本書でユーラシア大陸が他の大陸より有利な条件で発展したところまではすんなり理解できたが、 ではユーラシア大陸の中で中国やインドではなく西洋文明が覇権を握ってる理由に対しての説明は薄い。 時の中国の指導者が対外航海を禁止したから、だけなのか。 もっと知りたくなるという意味で良書。
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本書を一言で要約すると、今日の人間社会のありようがかくも多様なのは、大陸ごとの食糧生産と哺乳動物の家畜化の開始の時期と伝播のあり方による。ある意味決定論もしくは環境要因論的な要素によるものであり、人種や民族の優劣に基づくものではないということだろう。 いち早く食糧生産や哺乳動物の...
本書を一言で要約すると、今日の人間社会のありようがかくも多様なのは、大陸ごとの食糧生産と哺乳動物の家畜化の開始の時期と伝播のあり方による。ある意味決定論もしくは環境要因論的な要素によるものであり、人種や民族の優劣に基づくものではないということだろう。 いち早く食糧生産や哺乳動物の家畜化などを実現した地域の人間が狩猟採集社会から定住型生活に移り、人口を増大させ、アメリカやアフリカ、オーストラリアの諸大陸を征服したという流れは一般的ににもよく語られているところである。 一方、著者はこの要因を、ユーラシア大陸が東西に広がっていることから食糧生産や家畜化の伝播が比較的スムーズに進んだ(=緯度が大きく異なることがないために農作物や哺乳動物の移動にさほどの困難を伴わない)ことに対して、その他の大陸では南北に長いことが要因により食糧生産並びに家畜の伝播が遅い、もしくはできない(=赤道をまたぐような緯度の変化は、農作物や哺乳動物の移動を困難にする)ことが要因であることを示唆している。 そして、哺乳動物を家畜化した農耕民は、狩猟採集民に対する最大の武器を手に入れた・・。それが病原菌だという。農耕民は哺乳動物との濃厚な接触により、様々な感染症に対する免疫を身につける。この病原菌は、やがてヨーロッパ人が大陸に行き着くたびに現地の人々を壊滅的に追いやった。 巨視的な視点で描かれ、豊富な示唆に富んだ書。
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第3部が非常に良かった。 2部までの人類と食料生産の流れを、さらに発展させて言語と技術にまで派生する。その流れからの大陸毎の話(4部)がまた再度読み直したくなる深さだった。 著者も文章内で言うように、反論の余地や考察の意味、分類することの弊害を感じているが、そこを加味しても人類...
第3部が非常に良かった。 2部までの人類と食料生産の流れを、さらに発展させて言語と技術にまで派生する。その流れからの大陸毎の話(4部)がまた再度読み直したくなる深さだった。 著者も文章内で言うように、反論の余地や考察の意味、分類することの弊害を感じているが、そこを加味しても人類史を多視点から考察する意義は非常にあると思う。 20年以上前の本だが、今も褪せることはない。 研究もさらに進んでいるだろから、続編や他の人類史系の本を読みたくなりました。 というより僕自身が人類史にとても興味があることを認識させてくれた本です。 何故か。 →長い尺度でみた今の人類のあるべき姿を思考できる。 問と新たな視点をもらえる。 当たり前を壊し再構築してくれる。 上記3つに意義を感じた本です。
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なぜ、同じアフリカに起源をもちながら、ヨーロッパ人は多くのものを持ち、それ以外のものたちは持っていないのか。 そこに人種的な優劣はなく、ただ食物生産性に優れた地域に住んでいて、それゆえに集権国家が誕生した。文字や文化が発展し、疫病に対する抗体をもつことができ、銃火器を発達させる...
なぜ、同じアフリカに起源をもちながら、ヨーロッパ人は多くのものを持ち、それ以外のものたちは持っていないのか。 そこに人種的な優劣はなく、ただ食物生産性に優れた地域に住んでいて、それゆえに集権国家が誕生した。文字や文化が発展し、疫病に対する抗体をもつことができ、銃火器を発達させることができた。 つねに人は、その時々の利益を考えて行動するため、日本の戦国時代に伝来してきた銃は、島国ゆえの文化により衰退して失われ、黒船来航によってその選択は不利益となった。 中国の強すぎる中央集権国家にも同じことがいえる。 ヨーロッパ諸国は周りに小国が乱立し、それゆえに互いを牽制し合って技術を発達させていった。 そういった、地理的要因、環境的要因に恵まれていた。 未来は不確実性に満ちている。江戸幕府を開いた徳川家康が、250年後に黒船来るから銃火器の技術残しておこうよ、とは言わなかったように。 それを考えれば、ある特定の人種だけ先見性に優れているというのも不思議な話なので、本書を読んで大いに納得した。
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この本のタイトルは「食物・病原菌・環境」の方がしっくりくる気がする。あるいは「言語(文字)」を追加してもいいかもしれない。いずれにせよ、地理的範囲も広いし時間軸も長い割には同じ話が幾度も出てくるので、本当はもっと色々なことを書けたのではないかと思ってしまう。 銃火器と冶金について...
この本のタイトルは「食物・病原菌・環境」の方がしっくりくる気がする。あるいは「言語(文字)」を追加してもいいかもしれない。いずれにせよ、地理的範囲も広いし時間軸も長い割には同じ話が幾度も出てくるので、本当はもっと色々なことを書けたのではないかと思ってしまう。 銃火器と冶金については学校などでも習うという観点から記述が少ないのかもしれないけど、影響度は大きいとはいえ表層的であり著者の言う究極の要因とはなりえないのではないか?
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2023.11.01 秋になり、読書欲が戻った。 東西に長い大陸と南北に長い大陸。そんな単純な違いがもたらす影響の大きさに驚愕する。 文化の伝播のしやすさには、気候の同一性がクリティカルであり、東西に長いユーラシアがたまたまそれに適した形であったのだ。 環境が決する要因の大き...
2023.11.01 秋になり、読書欲が戻った。 東西に長い大陸と南北に長い大陸。そんな単純な違いがもたらす影響の大きさに驚愕する。 文化の伝播のしやすさには、気候の同一性がクリティカルであり、東西に長いユーラシアがたまたまそれに適した形であったのだ。 環境が決する要因の大きさを実感する。そんなことで先進国と後進国が決まってしまったとは。 家畜できる種の少なさと、家畜を持つことで手に入れた病原菌への耐性。ユーラシアの人類が持った病原菌が新世界の人類を削減してしまうということなんて、誰が想像できたろう。 人類の歴史とは途方もない。 視野が大きく広がった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
長い。だが割とすんなり読める。学のないわたしでも、意味を知らなかった言葉は上下巻合わせて10もなかったし、語り口も丁寧であるため、難しいということはあんまりない。ただやはり長くって嫌になる可能性は大きい。また、同じような話が何度も出てくることになるので、それもまた読破を諦めてしまう理由になると思う。 同じような話が何度も出てくること、長いこと、それらは著者が科学的に誠実であろうとしているゆえだろう。というか扱っているテーマがデカすぎて、まぁこれだけの尺は必要か、とも言える。 一番印象に残ったのは、これは人種差別主義者たちに対する声明だな、ということ。明らかに、人種差別がいかに無根拠で無意味かを伝えている。 地球に存在する様々な人間たちが、その人種であることを理由に栄えたり滅びたりしたのではない、人種による人間の差が仮にあったとしても、長い歴史の尺度で見れば意味がないのだということを徹底して言っている。 欧米の人間が世界をリードしているようなこの現状は、人種の差ではない。それは、「地域の環境差」、つまりたまたまでしかないのだ。 また、上下巻続けてずーっと使われている「直接の要因」と「究極の要因」という考え方は、素晴らしい発明だと思う。 ヨーロッパが他の地域を征服できた直接の要因は、銃・病原菌・鉄を先に手に入れたからである。先に銃を持っていれば他民族を追い出し、または殺せる。先に病原菌に対する免疫を持っていれば、他の土地で免疫を持たない人たちは勝手に死んでいく(銃による被害者どころではない数が)。鉄の武器や道具で有利に立ち回る。これらは「直接の要因」だと。 本書のキモは、ではなぜ銃・病原菌・鉄を先にゲットできたんだ?その「究極の要因」を考察しなきゃダメだろってことで話を進めるところだ。 で、その究極の要因は先に書いた通り、地理というかその場所(環境)だ、ということだ。 ちょっと意外でおもしろいのは、南北に長い大陸よりも東西に長い大陸の方が進歩しやすいという話。どゆこと?と思うが、これは簡単なことで、東西方向ならば日照時間が同じで気候の差も少ない。しかし南北方向だと気候が全然ちがう。そのため、ある地域で栽培や家畜化が始まったとき、東西には早く伝わる。南北にはなかなか伝わらない。なるほど、そりゃそうか。 究極から直接への流れを、思い出しつつ書いてみる。 ★スタート★ 環境がいい(地形、気候、作物、動物) ↓ 栽培や家畜化を始めやすい ↓ 移住を繰り返す狩猟採集民から定住民へとシフト ↓ 家畜と接する時間の増加により病原菌をもらってしまう(免疫の獲得) ↓ 食糧確保および定住により養える人口が増える ↓ 食糧生産者以外の職が生まれる(政治家や職人や宗教者) ↓ 技術発展しやすい ↓ 「銃・病原菌(への免疫)・鉄」を獲得 ↓ 周辺地域を征服できる ↓ つまり最初の環境がすべてやんけ ★ゴール★ ざっくりだけども、だいたいこういう感じか。
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