銃・病原菌・鉄(下) の商品レビュー
昔読みたかったのが、文庫版になってたから上下読んでみた。 人類史の謎と言いつつ、結局のところ「運」と言ってしまっていいような、いい意味でニュートラルな環境決定論ありきの長い考察。 それでも飽きずに読めるのは、自分自身(と研究分野そのもの)の限界を知りながら、トンデモ理論を持ち出...
昔読みたかったのが、文庫版になってたから上下読んでみた。 人類史の謎と言いつつ、結局のところ「運」と言ってしまっていいような、いい意味でニュートラルな環境決定論ありきの長い考察。 それでも飽きずに読めるのは、自分自身(と研究分野そのもの)の限界を知りながら、トンデモ理論を持ち出さないであくまで整然と説明してくれるからだと思う。 憧れの美徳の一つ。(長い説教がなければ)上司にほしいタイプ。
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1万3000年前の更新世末期は全ての人間が狩猟採集活動を行い、同じような生活水準にあった。ところが、今日の世界では富は大きく偏在する。欧米のような富が集中する地域・民族がある一方で、アフリカ・アジアなど恵まれない地域・民族が存在する。医者であり生物学者でもある著者が、ニューギニア...
1万3000年前の更新世末期は全ての人間が狩猟採集活動を行い、同じような生活水準にあった。ところが、今日の世界では富は大きく偏在する。欧米のような富が集中する地域・民族がある一方で、アフリカ・アジアなど恵まれない地域・民族が存在する。医者であり生物学者でもある著者が、ニューギニアでの体験を通じ、この1万3000年の間にどのようにして富が偏在していったのかを検証する壮大な歴史大著。 下巻では、本書のタイトルである銃や鉄といった技術や、文字がどのように生まれ伝播して行ったか、そして成熟した政治形態がどのようにして生まれて行ったのかを検証して行く。また、具体的な事例としてオーストロネシア・中国・アフリカに焦点を当て、先史時代から文明の発達までを考証していく。 もうね、とにかくすんげー面白い。歴史が好きな人もそうじゃない人もとにかく読むべき。
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2012/4/1 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2013/7/25〜8/1 これぞ文理融合の知の結晶。なぜ人類の発展には地域差が存在するのか、という謎に挑み説得力のある論を展開する。私自身は理系の業界で生きているので、客観的事実による議論のみ信用できる口であるが、文科系の...
2012/4/1 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2013/7/25〜8/1 これぞ文理融合の知の結晶。なぜ人類の発展には地域差が存在するのか、という謎に挑み説得力のある論を展開する。私自身は理系の業界で生きているので、客観的事実による議論のみ信用できる口であるが、文科系の議論は根拠に依りつつも、最終的には正解はわからず、どれだけ説得力が有るか、が評価対象となろう。そういう観点からは著者は大成功を納めていると思う。評判になるのも尤も。
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非常に興味深い考察。思ったより時間かかっちゃったけどww これで、また新しいネタを仕入れることができた!
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論の立て方、視点のユニークさなど参考になる点が非常に多い 楽読しながら知的好奇心をくすぐられる 中立的かつ俯瞰的な視座を持ちたい
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下巻は文字と人類の関わりや、各地域論など話題が現代に近くなってくる。 私は、こういう世界全体を相手にしている本は、その中での日本の位置づけがどうしても気になるのだが、戦国時代に渡来してきた銃を、江戸時代に作らなくなってしまったことが「せっかくの技術を捨ててしまった例」として挙が...
下巻は文字と人類の関わりや、各地域論など話題が現代に近くなってくる。 私は、こういう世界全体を相手にしている本は、その中での日本の位置づけがどうしても気になるのだが、戦国時代に渡来してきた銃を、江戸時代に作らなくなってしまったことが「せっかくの技術を捨ててしまった例」として挙がっているのがとても印象的だった。この本の中で「これはよく知られていること」として書かれているのがまた自分には新鮮で、果たして自分は何を勉強してきたのだろう?と思ってしまった。鉄砲伝来は1543年(以後予算なく…)と覚えていたのを思い出し、そういえばその後の歴史でしばらく鉄砲は出てこないんだ!、といろいろ思いを巡らす。 論点を網羅するためか、オーストラリア近辺、アフリカ、中国にまで考察が及ぶ。論点が広すぎて個別に見るとひょっとすると突っ込みどころがあるのかも?と思っていたが、そういう読み方は野暮というもんなんだろう、と思う。 「知」の在り方のようなものも自身よく考えることだ。各カテゴリへ分割された諸学問を精緻に掘り下げていく手法も大事なのだと思うけれど、広い視点というのも必要なのだろうと思う。ある精緻な分析が世界全体のことを結局語ってしまっているような書物(なんとなく『資本論』とか?)もあるけれど、そもそもの視点の広さ、というのも必要に思われる。そしてお互いを補完しあうような関係になればいいのだという気がする。 これはもっと現実世界とか実務レべルでも思うことである。ゼネラリストとスペシャリスト。どっちがいいとか言うわけではなくて、お互いに補完しあえればいいのではないか。 「あいつがこっちをやっているから、私はこっちをやろう」 「こっちは私がやっておくから」 「あれはあいつがやっているから任せよう」
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ヨーロッパより先に文明化したメソポタミアやインカ帝国が、何故滅ぼされたのか。その逆は何故起こらなかったのか。現代世界の不平等性を1万3千年前に遡って、銃•病原菌•鉄をキーワードに、スリリングに解き明かしてくれる。
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上巻で人類史の根源は語り尽くされた気がする。 下巻は各大陸の具体的な発展の話だった。後は国家の成立について。 オーストラリアの特異性、中国の統一、アフリカの民族分布など。突然言語学レベルの研究になって面食らった(私は面白かったけど)。 結果論で考えてしまえば今の世界が必然的であ...
上巻で人類史の根源は語り尽くされた気がする。 下巻は各大陸の具体的な発展の話だった。後は国家の成立について。 オーストラリアの特異性、中国の統一、アフリカの民族分布など。突然言語学レベルの研究になって面食らった(私は面白かったけど)。 結果論で考えてしまえば今の世界が必然的であるように思うけど、「なぜ違う道には進まなかったのか」と考えると深くなるのね。まったく無から食料生産、文字などの必要性に気づき、作り出した人々は凄い。 あと2000年くらいでアメリカでも文字が発達していったのかもと考えるのは胸が熱くなる。 どんなに未熟な古代国家でも、成立するのは人類の大進歩の証なんだね。 私としては古代宗教の話や「時間」の発見なども言及して欲しかったなー
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人類13000年に渡る壮大な歩みを様々な視点から辿ることのできる素晴らしい読み物です。著者は自然科学の生態学や進化生物学を専門としていますが、父母の影響を受け途中医学や言語学も志していたこともあるため、この本の内容は疫学や遺伝学、文化人類学、地理的要因を基礎とした世界中の植物や動...
人類13000年に渡る壮大な歩みを様々な視点から辿ることのできる素晴らしい読み物です。著者は自然科学の生態学や進化生物学を専門としていますが、父母の影響を受け途中医学や言語学も志していたこともあるため、この本の内容は疫学や遺伝学、文化人類学、地理的要因を基礎とした世界中の植物や動物の分布はもちろんのこと、言語学からの文字と技術の伝播についても詳しく述べられているのですから驚きです。事実を丹念に積み上げ検証を伴う科学的な手法を用いることによって、人類の歴史を単なるロマンに終わらせることのない説得力のある内容に仕上げています。 私は人類の祖先ホモ・サピエンスはアフリカで誕生したということをこれまで知識として持っていました。しかし、この事実はなんだか漠然とした違和感がありました。人類が誕生した土地なのに現在アフリカ地域は世界的にみると決して発展を遂げているとは言い難い、何故なんだろう・・・。著者もヨーロッパ人がアフリカに入植するのではなく、アフリカ人がヨーロッパに入植しなかったのは驚きである・・と述べていたりします。スタートで有利でいたはずなのに気の遠くなるような膨大な時間は因果関係を全く異なるものとしました。そこにはどういう要因が潜んでいたのか。俄かに知的好奇心が湧きだすのです。表題になっている銃や病原菌や鉄はその地域ごとの格差を生んだ象徴的な要因として登場します。スペイン人のインカ帝国の征服の場面などは歴史の必然性を物語っていて印象深いものでした。大陸ごと気候や地形の違いなど地理的条件に伴う人間の生活様式の違いが様々な社会を生み、それをその時々に合わせ取捨選択した結果が発展や孤立につながり、その結果として現在のような格差のある世界が出来上がったという論理が展開されています。 この中で技術の伝播を述べている章で、技術は非凡な天才がいたおかげで突如出現するものでなく、累積的に進歩し完成するものである。・・という内容にあらためてたゆみない名もなき人々の努力の積み重ねの上に私たちの今の生活が成り立っているのだと実感することができました。また環境とは全く違った文化的要因、最初は取るに足らない要因が定着してしまって恒久的に定着してしまうような現象も、タイプライターのQWERTYキーボード配列の採用の経緯を取り上げていて興味深いものでした。初めの些細な差異が時間の経過とともに大きな変化をもたらすという歴史の予測不可能な側面は、以前に読んだ「歴史はべき乗則で動く」の内容を思いださせるものでした。 壮大な人類の歴史を学ぶことは、そこに不変の法則を見出し、今に生きる私たちに何らかの示唆を与えてくれるのだろうと考えています。
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ついに読み終えたぞという感が強い。なれない固有名詞が多く、特に上巻の中盤では眠くなってしまったが、途中から加速度的に面白くなってくる。 下巻は民族移動について詳しい。民族生物学とか人種に基づく考察だけではうまくいかなくて、言語学を交えた考察が深くされてるんだけど、とても興味深かっ...
ついに読み終えたぞという感が強い。なれない固有名詞が多く、特に上巻の中盤では眠くなってしまったが、途中から加速度的に面白くなってくる。 下巻は民族移動について詳しい。民族生物学とか人種に基づく考察だけではうまくいかなくて、言語学を交えた考察が深くされてるんだけど、とても興味深かった。お気に入りはオーストロネシア人の、太平洋とマダガスカルへの拡散についての章。総じて、発見の塊みたいな本でした。 ああ、あとエピローグでは歴史科学について書いてるのが面白かったです。もしこのエピローグを読んだ人で科学としての歴史ということに興味がわいたら「系統樹思考の世界」を勧めたい。コントロールの入れようのない歴史学という分野において、現在では定量的な蓋然性の評価がおこなわれるようになっている。
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