銃・病原菌・鉄(下) の商品レビュー
人類の歴史の発展度合いの差を、鉄器や銃、病原菌に起因するとし、その三点が生じた理由を更に掘り下げる。気候、植物、家畜。 その差は、人種や民族の差では無い。 本当にそうなのか、論駁するための材料が欲しい所。遺伝子レベルで、より真実に迫って欲しかった。民族間で肉体に差があるのは、...
人類の歴史の発展度合いの差を、鉄器や銃、病原菌に起因するとし、その三点が生じた理由を更に掘り下げる。気候、植物、家畜。 その差は、人種や民族の差では無い。 本当にそうなのか、論駁するための材料が欲しい所。遺伝子レベルで、より真実に迫って欲しかった。民族間で肉体に差があるのは、オリンピックでも明らか。脳に差が無いはずは無いだろう。この本は、世界平和的論点において、聞こえの良い着地点に帰結させているが、必ずしもロジカルな内容にはなっていない。
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1万3千年前に世界中で同じような狩猟最終生活を送っていた人類。なぜヨーロッパの白人だけが他の地域に入するに至り、その逆は起こらなかったのか。一言でいえば、メシを増産できる環境があったか。そこに稠密な人口密度を持った社会が生まれ、コミュニケーションの手段として文字が発達し、食料管理...
1万3千年前に世界中で同じような狩猟最終生活を送っていた人類。なぜヨーロッパの白人だけが他の地域に入するに至り、その逆は起こらなかったのか。一言でいえば、メシを増産できる環境があったか。そこに稠密な人口密度を持った社会が生まれ、コミュニケーションの手段として文字が発達し、食料管理のための集権的な統治システムが確立され、分業によって新しい技術が次々と生み出された。 中でもユーラシア大陸は東西に長く、生物相のギャップが少ないエリアに次々と作物や家畜が伝播した。もともと濃厚に適した植物が少なく、家畜化できる動物の少なかった今で言う〝第三世界〟の住民たちは加速度的な進歩の波に乗ることができなかった。 著者が結論として言いたいのは、人種間の優劣が世界の覇権を左右したわけではない、ということ。例えば1万3千年前にかえって白人とアボリジニの居住地域をそっくりそのまま入れ替えたなら、現代の世界掌握していたのはアボリジニの人々かもしれない。 とはいえ、文明が進化するスピードの差異の原因が全て説明されたわけではない。著者も、最後にこれから解明が期待されることをいくつかあげているが、人類1万3千年の歴史を数百ページで語れるものでもない。旧来の文献至上主義、考古学的な見地からの歴史学には限界がある。けれど本書のように自然科学、文化人類学、言語学など学才的に統合された視点というのが、歴史学の新しい扉を開きつつあるというのは、ワクワクさせてくれる。歴史の教科書はまだまだ書き換わる余地がある。
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人類の長い歴史を多角的に見ながらその進化や荒廃の原因を示唆していく様はさながらミステリの謎解きのようで、ひとつの物語を読んでいるよう。今後は科学の積極的な導入による新たな道筋も期待されると結ばれているだけに、今後の展開からも目が離せない。
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生物としてのヒトが社会化されるプロセスを描いた上巻に比べ、下巻はより近代の社会学的アプローチが目覚ましい。 具体的な地域をつぶさに拾っていくため、馴染みのないニューギニアなどの展開は少し退屈。
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2013.09 人類の歴史を遡りながら、なぜ現代社会がこのような状況にあるのか。なぜ欧米主流の社会が出来上がったのかをのべている。人種間の能力差ではなく環境の違いがこのような差を生んだとのこと。
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- ネタバレ
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世界に存在する不平等はなぜ生まれたのか? その理由を著者であるダイヤモンドが、解き明かしてゆきます。 環境要因がその一番の原因だというのが彼の主張でした。 素晴らしい一冊。
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上巻で究極的要因として語られた土地による環境の差異を土台として、文字の発達や発明についても語られ、雑学的な面白さは抜群にアップする下巻。 特に社会と発明の関係の部分は興味深く読める。昔の中国があれだけの文化的先進国であったのにも関わらず、近代で停滞したのかを疑問に思う人は一つの見...
上巻で究極的要因として語られた土地による環境の差異を土台として、文字の発達や発明についても語られ、雑学的な面白さは抜群にアップする下巻。 特に社会と発明の関係の部分は興味深く読める。昔の中国があれだけの文化的先進国であったのにも関わらず、近代で停滞したのかを疑問に思う人は一つの見解として一読の価値あり。 エピローグも上手くまとまって、長々と読んだあとのおさらいとして充分に機能してくれる。 ただこれを全て鵜呑みにせず、あくまで著者の研究として頭の中に入れることを忘れずに。クリティカル・シンキングを持って読んで欲しい。 人種的差異は存在しないと主張する著者だが(自分も全くその通りだと思う)、正直にいうと、著者の偏見は完全に取り払われていない印象を受けた。
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読みごたえのある一冊。地球上に誕生した人類がどのように生活し、文明を築き、貧富の差が出来上がったのか。ifを頭のなかで繰り返しながら読み進める。アーモンドは人に栽培されるうちに、毒がなくなったという話が雑学的に面白かった。だから、青酸カリはアーモンドの匂いなんだね。
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子供の「なんで?なんで?」の質問に真摯に向き合う、といったような本書。 最後の方は同じことの繰り返しのだったように思うけど、それってつまりあらゆる現象は数個の原因によるものだっていうことを示している。 他の本で読んだけど、「専門家とは、内輪のサロンで自分たちにしかわからない言葉...
子供の「なんで?なんで?」の質問に真摯に向き合う、といったような本書。 最後の方は同じことの繰り返しのだったように思うけど、それってつまりあらゆる現象は数個の原因によるものだっていうことを示している。 他の本で読んだけど、「専門家とは、内輪のサロンで自分たちにしかわからない言葉やトピックで話す人では決してなく、自分たちの専門分野と他の専門分野とをコラボレートできる人のことだ」と。 それを実感した。それによればダイアモンド博士はまさに専門家で、学際の達人だ。
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文明の発達の差は究極的にその環境(地理的要因)によるという観点から, 多面的に人類の文明を分析している。著者はもともと生理学者でもあり, フィールドワークを通じた進化生物学の研究成果が本書に結実したという。知的好奇心を膨らませてくれる良書。
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