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傷痕 の商品レビュー

3.2

103件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    24

  3. 3つ

    45

  4. 2つ

    15

  5. 1つ

    3

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2012/08/17

 桜庭一樹の永遠のテーマである父と娘。その父が、マイケル・ジャクソンだったら? そんな仮定法で書かれたのがこの作品。もちろん、実名は登場していない。実名どころか、父にもその兄弟親戚たちにも実名は与えられていない。多彩な脇役たちに何の名前もなしに、小説が進んでしまっていいのか? と...

 桜庭一樹の永遠のテーマである父と娘。その父が、マイケル・ジャクソンだったら? そんな仮定法で書かれたのがこの作品。もちろん、実名は登場していない。実名どころか、父にもその兄弟親戚たちにも実名は与えられていない。多彩な脇役たちに何の名前もなしに、小説が進んでしまっていいのか? との疑問も無きにしも非ずだが、実際、キャラクターに個性がありすぎて、なるほど、これでは名前なんて、存って無きが如し、かなと思われてしまう。桜庭マジック。  しかし、唯一名前を与えられているのが、いつもこの作家のヒロインとなる娘、少女、である。その名も「傷痕」。この作家のヒロインの名前が滅茶苦茶なのは何も今に始まったことではないから、今更驚くものかと望むのだけれど、「傷痕」ばかりは読めなかった。悔しいかな。  スーパースターである父が死んだ、というところから物語は語られ始める。どのくらいのスーパースターか、というところがすごい。社会現象を通り越して、あまりにも世界に影響を与えすぎるくらいのスーパースターである。そんな父は誰なのかな、モデルは誰なのかな、と読み始めには作者が捧げるオマージュの対象すらわからず、ただただ人間ではない、スーパースターの人生の奇妙さだけが物語としてこの作品の中軸に居座る。それは怪物とも呼べるし、神とも読める。不思議な、あまりに不思議なスーパースターの一生。  彼をとりまく多くの人たちの独白が、連作短編小説のように、スーパースターの存在を紡ぐ。ストーリーは、特にない。ん? いいのかな? 本当にストーリーがないぞ。しかし、そも、桜庭劇場にはたいてい安物のストーリーなんか要らないのではなかったか。状況が人生を語り、特殊な人生が物語となって立ち現れるのが彼女の作品の常なのではなかったか。  いつも作家が追いかける、象徴としての父は、今度もスーパースターとしてさらに象徴性を強烈に高め、その存在感は極限に迫ろうとする。傷痕は、呪いの仮面のようなものを被らされ、素顔を知られぬまま、世界のどこかへと消えてゆき、残るのは父の伝説だけとなる。  参考文献で、マイケル・ジャクソンの名前がずらりと並んでいなければ、この作家のこの作品へのモチーフが理解できたかどうだか、怪しいものだ。それほど、奇妙で遠くにある作品であるように感じた。つまり、大して面白くなかったけれど、それなりにヘンテコでよかったぞ、ということ。

Posted byブクログ

2012/08/24

マイケルジャクソンをモチーフにした作品。筆者の独自の物語だけどノンフィクションにしかおもえず面白味が無い。作者のマイケルリスペクト具合はよく分かった。

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2012/08/13

桜庭一樹の作品は、これ程つまらないものだっただろうか。…読みながら、そして読み終えた印象としても残ったのはその一言。 それは読者の私の価値観や嗜好が変わったのか、或いは彼女の作品がマンネリ化しているのか。それでも直木賞以前に出された作品の数々と較べると、“作者の楽しさ”が見当らな...

桜庭一樹の作品は、これ程つまらないものだっただろうか。…読みながら、そして読み終えた印象としても残ったのはその一言。 それは読者の私の価値観や嗜好が変わったのか、或いは彼女の作品がマンネリ化しているのか。それでも直木賞以前に出された作品の数々と較べると、“作者の楽しさ”が見当らない、「書く事を楽しんではいない」という感じが強い。マンネリ化を防ぐ為に施された“工夫”が、人為的で違和感しか感じさせない。 登場人物の名前を極力伏せるのは、神秘性や謎めいた雰囲気を醸し出す材料として優れているとは思う。 しかし、そればかりに拘っているあまり読後感の充たされた感じや、呑み込み切れない「何か」が残る事もなく、印象付かずに霧となって消えてしまう。最早、誰を引き立て何を語りたいのかすら、この作品を手掛けた「目的」がまるで見当らない。そんな印象ばかりが残った。 これと云って印象に残ったエピソードや言葉もなく、ぼんやりと、読み進めるのを苦に思わない「魅力」を僅かに感じただけだった。

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2012/08/12

スターの突然の死をきっかけに、彼についてを語り始める人たち。 こういう構成って、視点が変わって揺らいでいく過程が面白いもの。 彼は、だれが語ってもスーパースター。 もっと疑わせて推測させて堂々めぐりをさせてほしい。

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2012/08/03

マイケルジャクソンをモチーフにした作品なんだが、ある意味全くのフィクションだし、ある意味ノンフィクション。その中途半端さが違和感となってのめりこめない。まあ、実験作だよな…失敗作だと思うけど。

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2012/07/30

マイケルジャクソンの話。私も彼が亡くなった日は衝撃受けた。数々の光と影のエピソードが映画の様で、色んな考えが頭に浮かんだ。何故、作者が日本設定にしたのか?その割には実際の話に沿ってるので違和感がある。でもただ単に彼の人生を書いてみたかっただけって感じがした。30代後半〜の世代は面...

マイケルジャクソンの話。私も彼が亡くなった日は衝撃受けた。数々の光と影のエピソードが映画の様で、色んな考えが頭に浮かんだ。何故、作者が日本設定にしたのか?その割には実際の話に沿ってるので違和感がある。でもただ単に彼の人生を書いてみたかっただけって感じがした。30代後半〜の世代は面白く読める。

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2012/09/02

キング・オブ・ポップの死を受けて、それぞれが一人称で彼への想いを語った物語。 憧れたり、憎んだり、愛したり、思いは様々だ。 音楽の持つ、不思議な力を感じた。

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2012/07/18

偉大なるMJ。 彼が亡くなったことで、 もともと神様みたいだったのがさらに神格化されていますね。 彼の存在は一つの時代であり、 生活のいちツールであり、 同時代に生きてる人の感情の体現だったんだなぁと思いました。

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2012/06/29

この国が20世紀に産み落とした偉大なるポップスターがとつぜん死んだ夜、報道が世界中を黒い光のように飛びまわった。彼は51歳で、娘らしき、11歳の子どもが一人残された。彼女がどうやって、誰から生を受けたのか、誰も知らなかった。凄腕のイエロー・ジャーナリズムさえも、決定的な真実を捕ま...

この国が20世紀に産み落とした偉大なるポップスターがとつぜん死んだ夜、報道が世界中を黒い光のように飛びまわった。彼は51歳で、娘らしき、11歳の子どもが一人残された。彼女がどうやって、誰から生を受けたのか、誰も知らなかった。凄腕のイエロー・ジャーナリズムさえも、決定的な真実を捕まえることができないままだった。娘の名前は、傷痕。多くの人が彼について語り、その真相に迫ろうとする。偉大すぎるスターの真の姿とは?そして彼が世界に遺したものとは?―(「BOOK」データベースより) 銀座の廃校に楽園を作り、そこに愛する娘・傷痕と暮らす「キング・オブ・ポップ」。 まぁ、まんまMJがモデルなんですが、彼の生き様やライブやルポを見れば充分わかる話だよって感じでした。 それに肉付けされている部分が少なかったかなぁ。 章ごとに、色々な人物の視点からみる彼の姿って設定も普通だし、その姿にそんなに違いがなかったというのもマイナス点。 「あまりに老成しすぎた寂しい子供のような彼」の姿があんまり印象的すぎて、本来の主人公であるはずの傷痕の存在が薄まってしまったのも残念でした。 でもここで書かれた彼の姿はとても好き。 誰もが愛さずにはいられなかった不思議な魅力の持ち主。 桜庭さんが書いてみたくなってしまう位、偉大な人物だったって事でしょう。 その存在こそが魔法のよう(アメージング)。 失ってしまった世紀最後の〈BIG〉に思いを馳せ、ページを閉じました。

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2012/06/21

これはいかん。桜庭一樹ファンなあなた買わない方がいいです。作家って作品を生み出すのにネタ探しで苦しむんだろうけど、これはマイケルジャクソンとその家族をモチーフにしながら舞台を日本に持ってきているが、安易なモチーフ持ち出してきてなにを言いたいのかまるでわからない。選んで買ってるので...

これはいかん。桜庭一樹ファンなあなた買わない方がいいです。作家って作品を生み出すのにネタ探しで苦しむんだろうけど、これはマイケルジャクソンとその家族をモチーフにしながら舞台を日本に持ってきているが、安易なモチーフ持ち出してきてなにを言いたいのかまるでわからない。選んで買ってるのであまり残念な作品はないのだが、これは申し訳ないけどまったくおすすめ出来ません。

Posted byブクログ