解錠師 の商品レビュー
スティーブ・ハミルトンなる兼業作家の青春犯罪小説。2011年上梓。IBMに勤めているらしい。 さすが、ハヤカワポケットミステリ!はずれるわけがない。主人公マイクルの特殊スキルとトラウマ、アメリアの思春期性かつ献身的なヒロイシズム、援助者ゴーストと暗躍するあれやこれや。 グレマ...
スティーブ・ハミルトンなる兼業作家の青春犯罪小説。2011年上梓。IBMに勤めているらしい。 さすが、ハヤカワポケットミステリ!はずれるわけがない。主人公マイクルの特殊スキルとトラウマ、アメリアの思春期性かつ献身的なヒロイシズム、援助者ゴーストと暗躍するあれやこれや。 グレマスの物語構造論にピッタリ当てはまるようなベタなキャラクター造型にロードトリップの要素が加わって、もちろん金庫泥棒の場面はハラハラするし、言うことなしに面白い!あとマッチョな大学生にその富裕層の親とか、ベタすぎるけど面白い! 2つの時間軸が交互に進む構成も相応に効果的だったけれど、後半からちょっと煩わしさを感じた。 深い哲学とか人生の教訓めいたものはないかもしれないけれど、物語の行方を純粋に楽しめるエンタメ小説として傑作だと思った。
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主人公が喋らないからこそ、人の感情が間近に感じられたり、スリリングなシーンの緊迫感が増されたりしていました。 解錠を芸術的に描いている分、主人公がより芸術家気質な人に見えてくるのですが、 それが犯罪に繋がり、どんどん大変な事態に巻き込まれてしまうのがつらいところです。
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過去と現在の二つの時間を行きかってマイクルの現在までが解き明かされる。しゃべることができない少年であったマイクル。解錠師という秘儀を身に着けたマイクル。ただ一人理解してくれる彼女を見つけたマイクル。過去と現在の話のとりことなる。
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8歳の時に、ある事件に遭い、発話が出来なくなったマイクル。不器用だが優しい伯父とともに暮らしながらも、孤独な日々を過ごしていた。 高校で絵を描くことで、自己を表現し始める。 また、鍵を開けると言う特技を持っていた。それを、先輩に知られある家に忍び込むことに加担し、警察に捕ま...
8歳の時に、ある事件に遭い、発話が出来なくなったマイクル。不器用だが優しい伯父とともに暮らしながらも、孤独な日々を過ごしていた。 高校で絵を描くことで、自己を表現し始める。 また、鍵を開けると言う特技を持っていた。それを、先輩に知られある家に忍び込むことに加担し、警察に捕まり、保護観察処分となる。保護観察中、奉仕活動として忍び込んだ家のマーシュ家の庭にプール用の穴を掘り始める。そこで、マーシュの娘アメリアに出会い、互いに惹かれあう。 しかし、マーシュにも鍵を開けられる特技を知られ、金庫破りと言う犯罪に巻き込まれていく…。 アメリアに会った頃、金庫破りとしてアメリカを渡り歩く頃、二つの時間軸を交互に、刑務所入所中の27歳のマイクルが読者に語りかける形で物語が進んでいく。 最初、二つの時間軸に混乱したが、ぐいぐい引き寄せられる最後だった。
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読む前の予想と違い青春小説だった。手法的には過去とちょい過去が交互に語られて読みやすい。映像化したら面白いかも。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
幼少期に起こった、衝撃的な事件。 奇跡的に生還した少年は、けれど口を利くことが出来なくなってしまった。 事件の因果か天性か、ある日手に取った南京錠から解錠の仕組みに取り付かれ、やがて錠前破りとしての人生を歩き出すことになる。 前に英語で読みかけて、面白そうだなと思いつつ挫折してました。 洋書で、口が利けないとか、実は自閉症とか、イレギュラー設定が出てくると、それが読み取れなくてもやっとして挫折すること多い…。 少年は運命に絡め捕られるように、金庫破りのプロとしてマフィア傘下の窃盗団に加担しながら生きてゆくようになるんだけど、彼自身は悪意もさほどの欲もなく、解錠という挑戦への情熱と、押し殺したささやかな愛を希望に灯しながら、この不本意な運命を生き抜こうとしている。 ただ鍵のパズルを解き明かすこと、自分を絡め取った運命が少女にまで陰を落とさないよう見守ること、それだけを胸に、課せられたルールに従って従順な獣のように生きている少年が切なくてなんだか美しいものに思える
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このミスで1位とのことで読んでみた。8歳である事件の後、言葉を失った少年が解錠師になっていく1年間となってからの1年間が交互に語られる。面白くなくはないが、正直1位?と思ってしまう。ミステリーという枠組み?ただせつない話ではあった。
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図書館で。本屋で平積みになってるし評判が良さそうなので借りてみました。正直期待しすぎたかなあ、という感じです。 彼の8歳のころの事件が謎のまま金庫破りとしての人生が語られだし時が錯綜するので少しこんがらがります。それにしても可愛くないガキだなあ、とは思いますが。個人的には伯父さ...
図書館で。本屋で平積みになってるし評判が良さそうなので借りてみました。正直期待しすぎたかなあ、という感じです。 彼の8歳のころの事件が謎のまま金庫破りとしての人生が語られだし時が錯綜するので少しこんがらがります。それにしても可愛くないガキだなあ、とは思いますが。個人的には伯父さんはよくやってる方じゃないかなあと思うのですが。 なんだか自分の世界が自分と好きになった女の子のみで完結してしまっているのでそれだけで生きていけたらよかったねえとは思います。が。彼は外の世界に出てさてどうなるのやら?ある意味その後の方が色々と心配だったり。まあ人生何とかなるって話じゃないし苦労するんでしょうけどね。 錠前破りの辺りは面白かったですが主人公の行動が共感できず色々と思う所があり…それほど楽しめませんでした。文章も微妙に読みにくい。訳の所為なのかなあ…?
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こんな解錠師もいていいのだと思う。陳腐だけど唯一自分の意志で開けた鍵は恋人の心。鍵を開けることへの興味から、知人の思いつき、大人の思惑によって鍵を開ける手段としてのみの存在となり、唯一のつながりは恋人のアメリア。 しゃべることをやめた主人公と恋人をつなげるのは、芸術域まで高められ...
こんな解錠師もいていいのだと思う。陳腐だけど唯一自分の意志で開けた鍵は恋人の心。鍵を開けることへの興味から、知人の思いつき、大人の思惑によって鍵を開ける手段としてのみの存在となり、唯一のつながりは恋人のアメリア。 しゃべることをやめた主人公と恋人をつなげるのは、芸術域まで高められた絵物語。たった1年の間に起こった主人公の大きな人生の変化と、そして守るものができた行動は、彼の人生の新しい扉を開ける。今はまだ、刑務所の中で鍵の中の生活だけれども、その鍵は時間が書けば物理的ではなく、いつか解錠される。 主人公の閉まっていた無防備な心の扉を勝手に開いていく友人や大人は、その解錠の腕前だけを認め、本当に開けたのは恋人のアメリアだけだった。一度開けられた鍵は番号を変えない限り、開いたままだ。鍵だけではどうしようもない。それがまたこの物語の幼い愛の永遠性をロックする。ハードボイルドでもなく、ハーレクインでもない、純情を貫く若き青年の必死な恋の物語。
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このミス2013海外編1位ということで図書館から。 少年少女が主人公で、アメリカのジュブナイル小説という感じ。幼少期のトラウマのせいでしゃべれない金庫やぶりが主人公。色々と鮮烈なイメージを残すシーンがあってよかった。ふたりがバイクで走るシーンは、レオス・カラックスの3部作を連想。
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