これからの「正義」の話をしよう の商品レビュー
功利主義と平等主義、どちらも欠点があって私たちのモヤモヤを完全に解消してくれる訳ではない。 アリストテレスの唱えた善き生、道徳、政治のつながりからリベラル・保守など政治のことまでよくわかって
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本書は、正義とは何か?という問いに対し、次の3つの視点から説明している。 ①最大多数の最大幸福(効用や福祉の最大化を目的にした功利主義的な見方) ②選択の自由(市場を重視する自由至上主義的な立場と、リベラルな平等主義者とで立場が別れる) ③美徳と共通善 現代において正義をめ...
本書は、正義とは何か?という問いに対し、次の3つの視点から説明している。 ①最大多数の最大幸福(効用や福祉の最大化を目的にした功利主義的な見方) ②選択の自由(市場を重視する自由至上主義的な立場と、リベラルな平等主義者とで立場が別れる) ③美徳と共通善 現代において正義をめぐる議論は、効用や自由を中心に行われているが、 本書ではそれらについて功利主義や自由至上主主義における伝統的な議論を踏まえた上でその限界を示す。 そういった正義における考え方の限界を乗り越えるために、美徳や共通善からのアプローチが必要だと著者のマイケル・サンデルは説く。 本書を読んで良かったことは、正義における様々な立場を理解することができたこと。 この本の目的としては、正義をめぐるいくつもの考察を経ることで、自分自身がこれまで漠然と抱いてきた見解を批判的に見るということだと思う。 効用の最大化も、選択の自由も、必ずしも道徳や正義にかなう結論には至らない場合もあり、 「この考えが正解」という万能薬は無く、時代や状況に合わせて共通の善や美徳を追求するという考え方も大事だと感じた。
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正義を理解するためのフレームワーク(最大幸福、自由、美徳)を学べたことで、日常生活で直面する正義に関する問題への解像度が上がったように感じる。 ロールズの「無知のベール」と「格差原理」は、最近考えていた世の中の不平等への疑問にヒントを与えてくれるものだった。
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この一冊を一言で言うならば、「大人の道徳」。 正義とは何か?をさまざまな視点から、具体例とともに述べられている。 特に印象に残った話は、暴走する電車。 1人の命と5人の命、どちらかを犠牲にしなければならないとしたら、多くの人は1人の命と言うだろう。 しかし、命は数なのだろうか...
この一冊を一言で言うならば、「大人の道徳」。 正義とは何か?をさまざまな視点から、具体例とともに述べられている。 特に印象に残った話は、暴走する電車。 1人の命と5人の命、どちらかを犠牲にしなければならないとしたら、多くの人は1人の命と言うだろう。 しかし、命は数なのだろうか。 他にも、妊娠中絶やアファーマティブアクション、パープルハート勲章、代理出産など、答えが出ないテーマが本書には描かれる。 読みにくい箇所も十分あったが、自分の知識により深みが増すような一冊だと感じる。
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難しい。というのか、欧米人と日本人の違いなのか、一般人と哲学者の違いなのか。途中、引き込まれる部分もあったけれど、よく分からなかった。なにを重要視してるのかがそもそも違うのかな。僕が自分のことを分かってないだけなのかも。
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功利主義やリバタリアニズム・リベラルといった思想の具体的な内容と限界、そこから導かれる「道徳」の必然性を、様々な事例とともに理解できる一冊。例えば、功利主義(="最大多数の最大幸福")と基本的人権は両立しない(功利主義は、少数の人権を蔑ろにして多数の効用が向上...
功利主義やリバタリアニズム・リベラルといった思想の具体的な内容と限界、そこから導かれる「道徳」の必然性を、様々な事例とともに理解できる一冊。例えば、功利主義(="最大多数の最大幸福")と基本的人権は両立しない(功利主義は、少数の人権を蔑ろにして多数の効用が向上することを是とするから)等、あの有名な考え方にはこんな弱点があったのか!と目から鱗な点が多数あった。 が、全体としてそれらが整理されておらず、似たような話がダラダラ続いたり、逆にいきなり主題が切り替わったりして、かなり読みにくい印象も受けた。講義としては面白いのかもしれないが、本の構成(≠内容)としてはあまり良い出来とは思えなかった。本書をこれから読まれる方は、最終章である10章に比較的筆者の主張がまとまっているので、そこから読むと少しは全体感を理解した上で読み進められるのでは無いかと思う。(なお、筆者もその点は理解したのか、巻末についている別著「WHAT MONEY CAN'T BUY」の前書きでは、当該本における筆者の主張が明瞭に記されている)
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正義とは?の正解が書かれている本ではないが、以下の点において大変有意義な読書だった。 また随所に出てくる例はとても分かりやすい。 1. 我々が普段考える正しさが政治哲学上でどのような考えにあたるのかが良く理解できた。 2. 功利主義やリベラルと言った一般的な考え方からもう一歩...
正義とは?の正解が書かれている本ではないが、以下の点において大変有意義な読書だった。 また随所に出てくる例はとても分かりやすい。 1. 我々が普段考える正しさが政治哲学上でどのような考えにあたるのかが良く理解できた。 2. 功利主義やリベラルと言った一般的な考え方からもう一歩進んだ視点として、他者の道徳的・宗教的信念も積極的に理解すべく話し合うと言う考え方がある。 3. 道徳的・宗教的な問題に向き合うことなくして良い社会は作れないが、対立する意見がまとまらない事も多い。自分の考えに反対する意見も一歩離れて冷静に見れる視点を持つ。
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倫理的な問題に当たった時に今まで考えていたよりもさらに深く考えることが大切だと気付かされた。何が正しいのかはわからないけどなるべく深く考えて決断できればいいのかなと思った。
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正義について書かれた哲学書。考え方によって正義は異なり、人と哲学の数だけ正義があると実感した。正義の反対側には悪があるのではなく、反対の正義があるのだと思う。 以下、印象的な2文。 ・正義の意味や善良な生活の本質を把握するには、先入観や決まりきった日常生活を乗り越えなければならな...
正義について書かれた哲学書。考え方によって正義は異なり、人と哲学の数だけ正義があると実感した。正義の反対側には悪があるのではなく、反対の正義があるのだと思う。 以下、印象的な2文。 ・正義の意味や善良な生活の本質を把握するには、先入観や決まりきった日常生活を乗り越えなければならない。 ・幸福とは心の状態ではなく人間のあり方であり、「美徳に一致する魂の活動」なのである。
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「正義」について1つの決まった正解はなく、人の数だけ考え方があるので、その折り合いをつけるように努力することが大事である。 その折り合いをつけるためには様々な哲学を知る必要がある。例えば、功利主義、カントの哲学、ロールズの平等主義である。本書は、哲学について紹介することで...
「正義」について1つの決まった正解はなく、人の数だけ考え方があるので、その折り合いをつけるように努力することが大事である。 その折り合いをつけるためには様々な哲学を知る必要がある。例えば、功利主義、カントの哲学、ロールズの平等主義である。本書は、哲学について紹介することで私たちに道徳心や倫理観について考える題目をもたらしてくれる。 カントの動機を重要とする考え方は、個人の主観によるところが大きく、様々な解釈が可能となるので興味深いと思った。
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