中国化する日本 の商品レビュー
「中国化」と「江戸化」の二側面から見た日本の歴史書。平易な語り口で、難解な主張を述べていて、少しずつ頭が熱くなってくる。噛み砕けたわけではないけれど、歴史のこういう見方もあるんだ、とまさに目から鱗で、そして民主党政権が終焉を迎えて、再び「中国化」へと歩み出した第2次安倍政権が支...
「中国化」と「江戸化」の二側面から見た日本の歴史書。平易な語り口で、難解な主張を述べていて、少しずつ頭が熱くなってくる。噛み砕けたわけではないけれど、歴史のこういう見方もあるんだ、とまさに目から鱗で、そして民主党政権が終焉を迎えて、再び「中国化」へと歩み出した第2次安倍政権が支配する日本の今後を考える道しるべにもなるんじゃなかろうか!?と勝手に思った。 この本の主張が面白いと思うかどうかは、今、再び熱くなっている憲法9条の「改正」と「護憲」の論議を「大切なことはそこなのか?」と疑えるかどうか・・・になるだろうか。ちなみに著者は「理想なんてそんなものと鷹揚に構えて、実際にはそこそこに安全保障策を講じてればよいのです」とあらゆる議論を無駄とずばっと切って捨てる。そして、それが一定、納得いってしまう。 日本は「中国化」と「再江戸時代化」の狭間をいったりきたりしてゆらゆら動いてきた。その中で、世界は着々と「中国化」の道へと歩みを進めている。そして、小泉改革という「中国化」の反動の第1次安倍、福田、麻生政権と民主政権による「江戸時代化」が再び行き詰った日本は「中国化」する道しか残されてない―というのが本書のざっくりとした主張で、重要なことは「中国化」と「再江戸時代化」とは何かを歴史を振り返りながら理解していくこと。
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読みやすいふりして、ホントに読みにくいな。現実と自分の比喩とをごっちゃにしている気がする。比喩にはあてはまっても現実にはあてはまらないような論が多いような。真剣に読んでないからそこを読み分けられないだけか。 構図の説明だとかはしているけれどほんとにその因果の流れを解説できている...
読みやすいふりして、ホントに読みにくいな。現実と自分の比喩とをごっちゃにしている気がする。比喩にはあてはまっても現実にはあてはまらないような論が多いような。真剣に読んでないからそこを読み分けられないだけか。 構図の説明だとかはしているけれどほんとにその因果の流れを解説できているのかが疑問。ただ馬鹿にしてたって仕方ないだろうに。その馬鹿げた事実の、その理由をこそ解説しろよ、といいたい。 また日本人の価値観だの感覚だのの一貫性を直感的に信仰していて読んでいて気持ちが悪い。別に本気で主張しているわけではなくて、「そんな風に思うなぁ」くらいのノリなのも分かるけど、それをいちいち読み分けるのもややこしいしめんどくさい。 視野が広いようなふりをしつつも、表面的に中国史にふれるだけで、西洋にも他地域にも目が行き届いておらず実は狭いとも思う。 あとは単純に最近の政治情勢より歴史上の出来事の方が身近に感じられてしまって、この本の姿勢自体に魅力を感じられないらしいと気付いた。 個人的な問題だけど、これは自分がダメだな・・・
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読んでいる時はいちいち納得して、なるほどと頷いていたが、読み終わってみると誤魔化されたような気がしてくる。何故かと考えてみると、第一に科学および技術の発展がほとんど無視されているからだ。近代化には経済成長も含まれ、経済成長には技術による生産性の向上が欠かせないからだ。中国はこの点...
読んでいる時はいちいち納得して、なるほどと頷いていたが、読み終わってみると誤魔化されたような気がしてくる。何故かと考えてみると、第一に科学および技術の発展がほとんど無視されているからだ。近代化には経済成長も含まれ、経済成長には技術による生産性の向上が欠かせないからだ。中国はこの点で完全に出遅れたのである。著者は、ヨーロッパが銀を手に入れたことによって産業革命を起こせたと説明しているが、それだけでは不十分である。第二には日本も中国化することが不可避である事の理由は、中国化=グローバリゼーションが世界の流れだからだとという論理構成になっているからだ。第3には、歴史学的な大きな流れを細かい具体的な事象の原因としていることが挙げられる。日本の政治、社会的な現象を全て中国化と江戸時代化に結びつけようとするには無理があるようだ。さらに、現代の日本の政治の失敗の原因として、中国化と江戸時代化のいいとこ取りをしようとして、かえって悪いところ取りになってしまってるからだとしているが、なぜいいとこ取りができなかったのか分析されていない。
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イギリスのサッチャー政権やアメリカのレーガン政権の行った小さな政府が象徴する「新自由主義」は、中国の宋が既に行っていたことだという主張。 これを「中国化」と呼んでいる。今、グローバル化と言われている内容と同義か。これに対して、社会主義的な保護政策のことを封建的な「江戸時代化」と呼...
イギリスのサッチャー政権やアメリカのレーガン政権の行った小さな政府が象徴する「新自由主義」は、中国の宋が既に行っていたことだという主張。 これを「中国化」と呼んでいる。今、グローバル化と言われている内容と同義か。これに対して、社会主義的な保護政策のことを封建的な「江戸時代化」と呼んでいると思われる。日本の政治をこの二つの流れの揺り戻しとして説明し、日本人の中にある「江戸時代的なもの」好きが、「中国化」した明治期から長い昭和の「江戸時代」を出現させたという。そして、再びグローバル化の波が来ている。考え方としてはかなりおおざっぱだが、うまく流れは捉えていると思った。しかし、江戸時代や自民党が社会主義的で、本当の社会主義国の中国がグローバル、日本の社会主義政党は単なる反戦に、と位置づけが複雑でわかりにくい。もう少し丁寧な解釈があってもよいと思った。 内容的には、言葉の概念が曖昧すぎる(特に、多民族を束ねる統治倫理としての徳、理念の考え方は、中国やイスラムは先駆者かもしれないが、アメリカやヨーロッパの市民革命でも同様のことがあったわけで、「中国化」は適切な言葉ではないように思った。)のでしっくりこなかったが、グローバル社会の先駆者としての中国の統治機構と個人の生き残り策としての宗族の考え方(いわゆる華僑ネットワーク)という点については、なるほどと思った。確かに、日本人の統治の考え方は中国に近いかもしれない。 宋の建国が960年で日宋貿易は平清盛に大きな影響を与えたと考えられ、鎌倉幕府は揺り戻しの「江戸時代」的だが、その後の室町時代はグローバル化の影響を強く受けていたのかもしれない。南北朝時代に後醍醐天皇が中国同様のグローバル国家を建設する可能性もあったという記述は興味深かった。そうすれば江戸時代、あるいは江戸時代的な物は存在しなかったかもしれない。 映画好きなのか、アニメを含めていろんな映画を文脈の中で紹介していて興味深かった。
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はじめに 新たな歴史観としての「中国化」 第1章 終わっていた歴史 第2章 勝てない「中国化」勢力ー元・明・清朝と中世日本 第3章 ぼくたちの好きな江戸 第4章 こんな近世は嫌だ 第5章 開国はしたけれど 第6章 わが江戸は緑なりき 第7章 近世の衝突 第8章 続きすぎた江戸時代...
はじめに 新たな歴史観としての「中国化」 第1章 終わっていた歴史 第2章 勝てない「中国化」勢力ー元・明・清朝と中世日本 第3章 ぼくたちの好きな江戸 第4章 こんな近世は嫌だ 第5章 開国はしたけれど 第6章 わが江戸は緑なりき 第7章 近世の衝突 第8章 続きすぎた江戸時代 第9章 「長い江戸時代」の終焉 第10章 今度こそ「中国化」する日本 おわりに ポスト「3・11」の歴史観へ
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18〜19世紀、西欧では先にコロンブスが発見した南北アメリカから大量に流入した銀と契約文化の素地で産業革命がおこった →そのため、これまで世界の後進地域だった西欧が一時的に中国を追い抜いて、世界経済のトップランナーに躍り出た →だけど、21世紀に入って、その先進性を支えていた...
18〜19世紀、西欧では先にコロンブスが発見した南北アメリカから大量に流入した銀と契約文化の素地で産業革命がおこった →そのため、これまで世界の後進地域だった西欧が一時的に中国を追い抜いて、世界経済のトップランナーに躍り出た →だけど、21世紀に入って、その先進性を支えていた諸条件も崩れ始めたので、世界はまたもとの「常態」=「中国が資本主義経済的に世界の先進国だった19世紀以前」に戻っていくよ。 ついでにいっとくと、西欧側のインテリが常識だと思ってる民主主義とか通用しないよケラケラ。 というかんじ。アカデミズムではすでに常識になりつつあるというマクロな歴史展開をわかりやすく解説してくれる対談本。元ネタはドイツ人の社会人学者アンドレ=グンダー•フランクさんという人が書いた『リオリエント』(文字通り、re-orient東洋に戻っていく)という本だそうです。 この文脈をふまえると、19世紀後半から東アジアに位置しながら西欧のほうに歩調を合わせた(というか合ってしまった、と解説されてるけど)日本の未来は、、、、明るくはないなあ。 http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%88-%E3%80%94%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%8E%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%80%95-%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AC-%E3%82%B0%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF/dp/4894341794/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1356322917&sr=8-1
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早くから身分制を廃止し、皇帝独裁の体制へと移行した中国。実は、自由市場主義で経済発展をした国のさきがけであった。自由競争の代償として、格差拡大が進行し、セーフティネットもないため、民衆のサバイバル術としての宗族ネットワークが出来上がったという。日本では何度か中国化の機会があったが、結果的には江戸時代という安定的だが抑制的な体制に落ち着いた。その後、明治時代には再び中国化したが、戦中・戦後にかけては再度江戸時代化した。1980年前後で世界が中国化への傾斜を深めていく中、日本は江戸時代的な社会を維持してきたが、とうとう中国化しようとしている。時代の変化を中国化と江戸時代化という軸で整理することで、これまでの西洋的な(?)視点ではなかなか腑に落ちなかった日本近代史がよくわかります。とても面白い歴史本でした。
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タイトルからすると誤解を受けやすくなっていますが、本質としては政治の形態は中国が一番早く進化していて、日本がようやくそれに追いつく状況となったという話です。 とはいえ、今までの学校教育から考えると信じがたい話ですが、読むととても納得が行きます。ただし、その進化した形態が「正しいか...
タイトルからすると誤解を受けやすくなっていますが、本質としては政治の形態は中国が一番早く進化していて、日本がようやくそれに追いつく状況となったという話です。 とはいえ、今までの学校教育から考えると信じがたい話ですが、読むととても納得が行きます。ただし、その進化した形態が「正しいかどうか」は分かりません。歴史的な認識でとらえると、一番進化した形になっている。そういう話です。 あとは、わざとかも知れませんが、筆者が通常の学校教育の範疇の知識で歴史を認識している人たちを「小馬鹿にしすぎ」です。内容自体は★5個つけたかったのですが、文章の記載が嫌味だったので★4つです。内容的には優れていますが、どうも読み手を小馬鹿にしている気がします。
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2012/11/03:読了 中国化 中国の属国になることでなく、「宋代に実現した皇帝を中心とした自由で平等な社会」のような新自由主義の世界。アメリカ化も同じこと。 江戸時代化 「土地に代々続く統治者(藩主)とそこに土地を持って住む住民(農民)を家という単位でまとめあげる封建制/企業社会もその延長」 日本は、家・会社の仕組みが破壊されたので江戸時代化はできず、中国化するしかない...という本。 「中国化」「江戸時代化」の2極しかないとは思わない。 原 丈人「だれかを犠牲にする経済は、もういらない」という方向に進むべきだし、出来ると思う。
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タイトルからイメージする内容とは全く違います。 著者の言わんとすることを簡単に説明できない。 面白かったけれど、ちょっと頭がくらくらしたぜ。
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