中国化する日本 の商品レビュー
宋代中国の政治・経済システムを軸に、日本史(主に近現代)や時に世界史を見つめ直す。 読みやすさを意識した軽い文体や皮肉たっぷりの言いまわしに好き嫌いが分かれそうだけど、「中国化」を軸にした日本史の見方は斬新で刺激的。 筆者も何度も強調しているけど、「中国化」というのは「日本が中国...
宋代中国の政治・経済システムを軸に、日本史(主に近現代)や時に世界史を見つめ直す。 読みやすさを意識した軽い文体や皮肉たっぷりの言いまわしに好き嫌いが分かれそうだけど、「中国化」を軸にした日本史の見方は斬新で刺激的。 筆者も何度も強調しているけど、「中国化」というのは「日本が中国に侵略される」とか、そういう内容ではないよ。
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新自由主義を「中国化」と置き換えている部分があるので、言葉は刺激的だが、中国との関係性で歴史を見てみるという視点が新鮮。面白い。護送船団方式VS個人主義、どの軸で社会を組み立てるのかという話。これだけで解決する話ではないが、軸にはなると思う。この著者のほかの本も読んでみようと思う...
新自由主義を「中国化」と置き換えている部分があるので、言葉は刺激的だが、中国との関係性で歴史を見てみるという視点が新鮮。面白い。護送船団方式VS個人主義、どの軸で社会を組み立てるのかという話。これだけで解決する話ではないが、軸にはなると思う。この著者のほかの本も読んでみようと思う。
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12.11.25 ●巨大公益企業の役員をされているKさんから 戸並様 トナメール、いつも楽しませていただいております。 私は今回の選挙、戸並さんがおっしゃるように「老人」対「若者」 という構図がもっと明確にならないといけないのだろうと思います。 そうな...
12.11.25 ●巨大公益企業の役員をされているKさんから 戸並様 トナメール、いつも楽しませていただいております。 私は今回の選挙、戸並さんがおっしゃるように「老人」対「若者」 という構図がもっと明確にならないといけないのだろうと思います。 そうなって、若者が老人(既得権益者)を倒せば、本当に明治維新 と同じ構図になるのだろうと思います。 これは最近読んだ『中国化する日本 日中「文明衝突」の一千年史』 という本に書かれていた歴史観によるものです。この本、本当に目から うろこの歴史観でした。ぜひ、読んでみてください。 一番心配なのは、現在の日本の若者がこれだけ虐げられ、理不尽な 扱いを受けているにもかかわらず、その状況を変えようというパワー が全く生じてこないことです。 たとえばITの普及状況は全く同じなのに、中東で起きたような、 あるいはNYでも起きたような、そういう社会に対する主体的な動き が全く現れてこないこと、それこそがもっとも深刻な問題のように 感じられます。
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中国化=自由競争、身分のない社会、人間の移動が自由、グローバル化、勝者総取り、正義や理想を重視 江戸時代化=競争を否定、調和を重視、身分と権力や財力の一貫制が低い、小さい社会単位での助け合い、本音と建前 という対比をし、平安後期に一度中国化しかけたが、平家の没落により江戸時代化...
中国化=自由競争、身分のない社会、人間の移動が自由、グローバル化、勝者総取り、正義や理想を重視 江戸時代化=競争を否定、調和を重視、身分と権力や財力の一貫制が低い、小さい社会単位での助け合い、本音と建前 という対比をし、平安後期に一度中国化しかけたが、平家の没落により江戸時代化が進み、明治時代に再度中国化しかけたが、日清戦争の後、再度江戸時代化が始まった、と分析。 そして、現在、江戸時代的企業社会が行き詰まり、資本と女性が日本から逃げ出し始めている。
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1979年生まれの若手歴史学者が書き、昨年話題になった本。 遅ればせながら読みましたが、知的刺激を大いに得ることができ、非常に面白い。 ここで「中国化」とは、今云われている「グローバル化」と同義。 経済的には、身分制や世襲制を廃した徹底的な自由、自己責任の競争社会。 政治的には...
1979年生まれの若手歴史学者が書き、昨年話題になった本。 遅ればせながら読みましたが、知的刺激を大いに得ることができ、非常に面白い。 ここで「中国化」とは、今云われている「グローバル化」と同義。 経済的には、身分制や世襲制を廃した徹底的な自由、自己責任の競争社会。 政治的には、権力の独占と普遍的な理念に基づく統治。 それに対置される「江戸時代」的な社会とは。 農村モデルの静態的コミュニティを基盤にした、流動性の低さ。 権力の分散と相互牽制による分権的政治体制。 今年大河ドラマでやっている平氏政権、後醍醐天皇の建武の新政、明治維新など、日本の歴史においても「中国化」勢力が勃興することはあったが、その都度「反中国化」勢力が対抗して長続きしない。 特に長い長い江戸時代は、その後の日本社会の在り様を規定し、「中国化」の波が寄せる度に「再江戸化」の反動が巻き起こる。 現代においても、小泉ブームの勃興とそれへの反発、そして今また橋下ブームとまたまたそれに対する反発、と「中国化」「再江戸化」のせめぎ合いはエスカレートしている。 こういった史観は非常にイメージしやすく、すっきりと腹に落ちてきます。 個人的に興味深かったのは、双方の社会におけるセーフティネットの在り方の相違について。 「中国化」社会では、地域に関係の無い父系氏一族の繋がりがセーフティネットの役割を果たす。 一方で「江戸時代」社会ではご存じのとおり、地域・職域の中間共同体が福祉の役割を担う。 朝鮮併合時の創氏改名とは、同化政策というよりも「イエ」を単位とする日本的統治構造への組み入れという意義が強かったという話は目から鱗でありました。 本格的にグローバル化、「中国化」が進む世界において、「再江戸化」勢力が根強く存在する日本社会はどのような道を歩むべきか。 終章に著者の考えが述べられますが、このあたりはイマイチ歯切れがよくない。 著者が「中国化」支持派であることは明らかなようには思えるのですが… それでも「江戸時代」的な心地よさを捨てきれないところは、同じ日本人として気持ちはよくわかります。 語り口があまりにバッサリと鮮やかなので、本当にここに書かれていることを鵜呑みにしてよいのか、逡巡するところもありますが、それは豊富に紹介されている引用文献に自らあたって自分の頭で考えてみよ、ということなのでしょう。 とにかく読み物として抜群に面白い。 著者は映画好きのようで、映画の引用も多く見られます。 そのあたりも個人的には共感と好感を抱いたところ。
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中国化と江戸化という枠組みで捉え直すことによって日本が抱える問題を炙り出している。部分的にはやや乱暴に感じる部分もあるが、新しい視座の提供という点では興味深い。大きくマインドを切り替えることを要求する。引用を多用する手法は誠実だが、それぞれを引用元に遡るのは難しく、やや難があるか...
中国化と江戸化という枠組みで捉え直すことによって日本が抱える問題を炙り出している。部分的にはやや乱暴に感じる部分もあるが、新しい視座の提供という点では興味深い。大きくマインドを切り替えることを要求する。引用を多用する手法は誠実だが、それぞれを引用元に遡るのは難しく、やや難があるか。
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現代の歴史学の見解では「二〇世紀初頭、ヨーロッパは遅れており(軍事力以外)中国が進んでいた」、「民主主義国家の世論は強硬論・好戦的に傾きがちで、1941年、日本の対米開戦も世論に圧されてのこと」などが常識という。 「東アジアで日本だけが近代化に成功したのはなぜか」という古典的な...
現代の歴史学の見解では「二〇世紀初頭、ヨーロッパは遅れており(軍事力以外)中国が進んでいた」、「民主主義国家の世論は強硬論・好戦的に傾きがちで、1941年、日本の対米開戦も世論に圧されてのこと」などが常識という。 「東アジアで日本だけが近代化に成功したのはなぜか」という古典的な設問に、現在の大学授業レベルの歴史学では「清はすでにヨーロッパに先行して近代化を果たしていたから体制変更の必要を認めなかった」と応えるらしい。中国化とは宋の時代に確立された皇帝の絶対権力のもとで流動の自由を保障する今日のグローバリズムである。封建制=『家』中心のシステムへの郷愁はコメ本位制、身分制など封建制への郷愁が日本の戦後政治にときおり噴出し体現者が田中角栄であった。司馬遼太郎的史観と真逆に「明治維新は失敗、昭和維新は成功」と説く衝撃 清のほうが優位というのはトインビー『歴史の研究』史観(銀が流出するのだから勿論、経済優位だろう)(それを還流させるためのアヘン戦争)、思想的優位なシステムとして朱子学というのは山本七平『現人神の…』(本文中に明記、しかも「動機が純粋であれば玉砕も讃える」という小泉郵政選挙の勝因も予言していたことになる)。ゴネ得の封建体制であればこそ“参院優位”にすぎない(一人区での圧勝)民主党が政権交代を要求し、戦前では陸軍大臣を出さないことで陸軍が国策を決めた。さて著者の見立てた結論は快いものではない… 「東の朱子学に対し、西のコーラン」との指摘にも驚いた。イスラムの合理性は知っていたが。流動化する人材では職人的なもの(ひいてはノーベル賞的なもの)は作れないから長期的競争力で比較劣位かと思ったが、考えてみるとノーベル賞受賞はユダヤ人の独占的状態であり「知性そのものもユダヤ人の発明」なのだろうか。「中国・韓国はコピーばかりで独創的商品がない」と思っていたが、数十年前には日本もそう言われたし、20世紀初めはアメリカもそうだった。経済優位が持続すれば開発力もついてくるかも知れない。 日本の生産システムも高齢化と女性負担過重(結果として少子化と育児・学業放棄)農業だけでなく全地方で衰退している、と著者は見立てる。トドメを刺したのがこの本の出版直前に起きた3.11で。安い電力だけでなく原発労働がなくなればどのように産業を維持すれば良いのだろうか。著者が「海外移民を受け入れる環境作り「手始めに外国人参政権」と言うのには抵抗があるが「さもないと北朝鮮になる」は首肯せざるを得ない。資源小国、ことに食糧自給できない半独立国で軍事力を正統性の根拠とし“自国の歴史観・君主制に固執する… 中国化というより朱子学システム=宋化で。絶対正義の池田をいただく創価=フロント機関・公明党は「与党内抵抗勢力」と思っていたが、むしろグローバル化推進する立場かも知れない。社会の下部が窮乏化・幼稚化すれば布教の沃野になるだろう。問題は池田の魅力が尽きマインドコントロール醒めて来たことだが。
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「聖書」や「コーラン」の布教の半分くらいは「剣」と共にあったのに対し、「論語」は概ね「文」の力だけで広まった。 そう言われると、確かに世界が中国に追いついただけなのかもしれない
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2011年刊。著者は愛知県立大学日本文化学部歴史文化学科准教授。内容の是非につき、私には判断する力はない(特に中国の宋代以降、その中でも経済面・社会面での知識が不足。中国近世の開始を宋代期とする見解(内藤湖南説?)の是非はその典型)。また軽妙だが洒脱とは言い難い文体は好みが分かれるかも。加え、素人の私が見ても明代の極端な等閑視は?と思える。が、個人的には間違いなく面白く感じた。理由は①中国近世と日本近世の異同や対比、西欧近世との対比は大きな関心事だった点、②文中適示の多様な文献(映画)を読みたくさせる点。 ③日本史部分はラディカルだが、ある面ではそうとも思えるよなぁという書き振りなど。なお、「中国化」(多分、経済活動の自由を保障する反面、権力・権威が属人化し、その者≒皇帝と彼の手足となる官僚が皇帝の意向を受け政治権力を独占・支配する政治的中央集権体制?)「江戸時代化」といった、自ら定義づけた特殊な用語を用いるので、その意味内容は字句のまま理解するとおかしなことになってしまう。軽妙な文体とはそぐわず留意すべき点かも。 なお、備忘録。①宋代の経済活動の自由と産業革命後の西欧の経済活動の自由を果たして同一視できるか、②現代中国における毛沢東の影響、特に国家統合の面での影響はまだ軽視できないのではないか、③自由は経済活動の自由だけではない、表現の自由等の精神的自由も内包されるが、これに関する視点が皆無、④グローバル化の進展と言われつつも、共産主義のカウンターとして成立してきた福祉主義は現段階では完全に消滅していない。特に欧州。単純すぎる二項対立的分析の問題を内包。⑤宗教、特に西欧の一神教を分析視座から外している。
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【久保田和男先生】 最近読んだ若い気鋭の日本史研究者の史論を紹介します。この本の題名を見ると、ネトウヨ用の中国バッシング本ではないかと考える人も多いと思いますが違います。日本は、昔から「中国化」したり、「江戸時代化」したりして歴史を繰り返していたという歴史の見方です。民主化とか西...
【久保田和男先生】 最近読んだ若い気鋭の日本史研究者の史論を紹介します。この本の題名を見ると、ネトウヨ用の中国バッシング本ではないかと考える人も多いと思いますが違います。日本は、昔から「中国化」したり、「江戸時代化」したりして歴史を繰り返していたという歴史の見方です。民主化とか西欧化とかではない歴史の見方が新鮮です。「中国化」というのは、完全に著者の造語です。「中国」といっても共産主義の中国ではなく、「宋朝」の中国です。私(久保田)が研究している中国です。この時代の中国は、自由経済が発達し、庶民が政治に参加する科挙が普及した時代でした。日本には宋の銅銭や禅宗が流れ込み、日本(鎌倉時代)は、まさに「中国化」していたのです。今再び「中国化」しつつある日本。ではその「中国化」とはどんなものなのでしょうか。現代日本を考えるのに好適な書物です。現代日本の成り立ちを考えているあなたに一読を勧めます。
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