夢違 の商品レビュー

恩田陸【著】

2012/08/31

夢の映像を”夢札”として記録し、後からそれを見ることができる…そんな技術が進んだ社会の物語。
夢を解析する仕事の主人公は、小学校で集団パニックに陥った子供たちの夢札の中にある女性の気配を見いだす。彼女は予知夢を見る能力を持ち、自ら予知した災害で命を失ったはずなのに…
夢を映像化したものを他人が見て読み解く、というアイデアはそれほど奇抜ではないかもしれないが、子供たちの夢を繰り返し見るあたりのゾッとするような描写はさすがである。
中盤までの魅力的な謎の展開に対してラストがちょっと消化不良だが、すべてが可視化されていくと人は、社会はどう変わってゆくのかと考えさせられた。

2012/08/30

初めて恩田さんの作品に触れましたが、最初は不思議な事件から引き込まれて、本を置けないぐらい次の展開が気になりました。

しかし、読みすすめていくと、確かに謎は少しずつとけてはいるのですが、何だか最初の事件があやふやになっているように感じます。
私の読解力のなさのせいかもしれませんが…

最後も私としては消化不良の結末で、少し残念。
せっかく、題材は面白いのに。

2012/08/26

夢を記録出来る技術が確立された世界での話、なんだけどアイデアからして陳腐で、「えっ、これで終わり？」という感じ。
雰囲気や曖昧模糊な引っ張り方は上手だと思うけど・・。

2012/08/22

結婚相手はどうするの？
兄さんとは？
そういう人間関係は置き去りな感じがしてしまった。
作者のインタビューに書きすぎないように、
とコメントしてあったけど、
描かれてない事がこの物語の本筋なんじゃないかなあ、
と思うんですが。
急ぎ過ぎてて世界観が追いついてないように感じられた。
結末は読者の方の想像に、という物語もあるでしょうが、
何故と、何が？が分からないままなのはなあ。

2012/08/21

不思議な感じの茫洋とした感じの話でした。
なんとなくこの世界観が好きでした。
いろんなことが漠然としたまま終わってしまうけれど、この話はそれでいいのだと、この漠然とした世界が、この本を読んだひとりひとりの中で発酵していろんなふうに形を変えていくんだろうなと思いました。

2012/08/19

尻すぼみ、というか広げるだけ広げて回収するにはページが足りなくなった。そんな印象をうける作品でした。
多くの方がそういう感想を残した理由がよく分かった。
この方の作品は初読だったのだが、なんだか残念。もう一歩だなあ、ともらしたくなります。
うーん、最初は面白かったのにオチがなあ……。

2012/10/20

■キャンプに持って行って読み切り。（笑

■もう読み始めからどんどん引き込まれてしまうのはまさに恩田ワールド全開。この人の作品はいきなり引き込まれるか最初から最後まで入れないかのどちらかしかないね。（笑

■誰かの夢を可視化して他人が見るだけじゃなくて、それが職業になっているという発想がすごいよね。

■そして最後は「あれ？」って思ってる間に終わってしまうのもまさに恩田ワールドなんだろうなぁ。それもまた好きです。

2012/08/17

３分の２くらいまでは、とにかく惹きこまれるように読んだ。
特に煽るような書き方をしているわけではないのに、どことなく不気味で怖い雰囲気が漂っていて、読み進めると何か恐ろしいことが起こるような気がするのに、先を読まずにいられないような。
それだけ期待させながら、ラストは肩透かしというか何というか。恩田陸の作品には、往々にして広げた風呂敷を畳み切れていないというか、竜頭蛇尾というか、結末にがっかりしてしまうことがあるからそれを心配していたのだが、今回もまさにそれで残念。

2012/08/16

夢が可視化でき、映像として記録することのできる世界。
夢を解析する「夢判断」を職業とする浩章は、兄の恋人であった結衣子を忘れられない。
頻発する子どもたちの集団パニックや神隠しは、結衣子の死と何か関係があるのか。

夢のおぞましさや不穏な気配が巧く描かれていて、読んでいるうちに吸い込まれていきそうな幻惑にさらされる。

さまざまな謎がちりばめられているが、最後まで解決するようなことは何一つ無く、むしろ謎が深まりすぎて意味不明に。
ただ、物語を覆う緊張感や不気味さがとても魅惑的なので、それだけでも読む価値はあるかも。

2012/08/09

夢札を使って夢を可視化できる世界。
無意識を意識した影響が世界に現れ始める。

同じようなことを、昨今のスピリチュアル世界の流行で感じましたね。
魂の上位世界？を意識した結果、この世界に何か起きたりするのだろうか、と。
着想でこれだけの本を書けるのが作家のすごいところ。
しかも、恩田陸のこうしたシャーマニックな時の作品は不思議な説得力と勢いがあり面白いのだけれど、
いつも最後の方は言葉足らず、というか尻切れな印象が物足りない。