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黒猫の遊歩あるいは美学講義 の商品レビュー

3.3

137件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

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  3. 3つ

    58

  4. 2つ

    14

  5. 1つ

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2013/04/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第1回アガサ・クリスティ賞受賞、の文字にフラフラと手に取る。 選評に若竹七海さんの名前があることにも興奮。 鼻息あらく読み始めた。 仰々しい台詞まわしに慣れるのがたいへん。(森見さんのあとなだけになおさらかもしれない) 「美学」がよくわからず、調べてみたり。 「美学とは」伝統的に美学は美とは何かという美の本質、どのようなものが美しいのかという美の基準、美は何のためにあるのかという美の価値を問題として取り組む学問。 「ポオ」の作品を下敷きにして黒猫と私が怪事件の謎を解く。 アリスのお茶会のようだ。きっと意味がわかっていれば、楽しみ方が全然違うんだろう。ポオは有名どころは読んだことがあるけど、ここまで語られてもイマイチぴんとこない。 表面の怪事件を解決するミステリを楽しむのなら、独特の空気とわかるようなわからないような解説でそれなりに楽しめる。 ポオの作品と怪事件が微妙に重なって、ポオの解釈が事件のヒントになる。 ただ、なんだろ、え、そこも知り合い?っていうのが多くてそこが微妙。 ン十年前に受けた夏目の講義を思い出した。 「著者と読者のキャッチボールを楽しむのが読書です。もう乱読はやめなさい。一冊をより深く読む歳にそろそろなっていますよ。」とY先生は繰り返し仰っていたっけ。 でも一年かけて読んだ夏目漱石は私には詫びしいだけだった。解体されてしまった物語に興味が持てなかった。 一言一言に意味を見出すより、一作の楽しさが心地良いんだもの。 ポオが大好きな人がこの本を読んでどう思うんだろう。 「趣味が単なる好みの問題なら、それに良い悪いもあるわけがない。ところが実際にはことのよしあしが関わっていることになる。」 「人は生きて行く。生きて行くということはその人なりのレトリックを習得していくことに他ならない。でもその奥には消し去れない思い出がある。そして、その一つ一つが彼を、そして自分を作り上げている。 そのことが嬉しい。」

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2013/03/19

でたらめな地図に隠された意味(月まで)、しゃべる壁に隔てられた青年(壁と模倣)、川に降りかけられた香水(水のレトリック)、現れた住職と失踪した研究者(秘すれば花)、頭蓋骨を捜す映画監督(頭蓋骨のなかで)、楽器なしで奏でられる音楽(月と王様)。 日常のなかにふと顔をのぞかせる幻想と...

でたらめな地図に隠された意味(月まで)、しゃべる壁に隔てられた青年(壁と模倣)、川に降りかけられた香水(水のレトリック)、現れた住職と失踪した研究者(秘すれば花)、頭蓋骨を捜す映画監督(頭蓋骨のなかで)、楽器なしで奏でられる音楽(月と王様)。 日常のなかにふと顔をのぞかせる幻想と現実が交差する瞬間。美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」は美学理論の講義を通して、その謎を解き明かしていく。(あらすじより) 黒猫と、ポオの研究をしている主人公が、日常の中の謎を”美学”に基づきながら解いていく連作ミステリー。 謎自体がとても変わっていて、真相も突拍子もないのだけど、文体やキャラクターなどの空気感と相俟って幻想的で心地よい。 えっ、本当にそういう真相なの?そういうことあるの?と思うところもあるのだけど、”美しい真相”としてはそうなのだといわれればまあしょうがない、という感じ。 ポーの著書についての論説や、美学談義は難しく、ややこしい言い回しをしているわりに、それぞれの謎の内容にうまくつながっているので、ぼんやりした理解でもなんとか飲み込むことができたかな。 ミステリーというより、美学についての論文にエンタメ要素を足した感じ。 水のレトリックが好きだった。

Posted byブクログ

2013/03/03

一応ミステリーだけど、大体が題名の通り“遊歩”と“美術講義”の話(ほんのり恋愛要素も)。 黒猫の話す美術論は難しくて、眩暈がしそうになったけど、こういう雰囲気好き。 黒猫と付き人の名前が気になる。 それに、どうしてこれで付き合ってないのかも気になる(笑) ポオが読みたくなった。 ...

一応ミステリーだけど、大体が題名の通り“遊歩”と“美術講義”の話(ほんのり恋愛要素も)。 黒猫の話す美術論は難しくて、眩暈がしそうになったけど、こういう雰囲気好き。 黒猫と付き人の名前が気になる。 それに、どうしてこれで付き合ってないのかも気になる(笑) ポオが読みたくなった。 『月まで』 いきなり主人公にまつわる謎とは…。 もっと後にもっていった方が良かったかも。 学者をやりながらシングルマザーって凄い。 『壁と模倣』 ミナモは色んな意味で強いんだろうな。 関俣くんはある意味一番の被害者だな。 『水のレトリック』 最初に出てきたCDがこんな風に繋がるとは。 会う順番が違っていたら、どうなったんだろう。 『秘すれば花』 世舟が付き人に(具体的には)何をしたのか気になる。 黒猫の使った催眠術も。 『頭蓋骨のなかで』 そんな簡単に変われるものなのかなぁ? それにしても、冷花さんは一体何者? 『月と王様』 実際にそんなこと出来るのか?とは思うけど、深く突っ込むのは野暮かな。 郷田先生はどんな気持ちで“遊び”をしてたんだろう。

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2013/02/27

美学という、人間が持つ感覚についての学問から人間関係をあぶりだすスタイルの作品。知識量が多いですが、わかりやすい構成になっているのでさくさく読めます。「私」の「黒猫」に対する心境の変化も甘酸っぱくて楽しめます。 一方で、選評にもあったように、文学作品の解釈による推理が中心のため...

美学という、人間が持つ感覚についての学問から人間関係をあぶりだすスタイルの作品。知識量が多いですが、わかりやすい構成になっているのでさくさく読めます。「私」の「黒猫」に対する心境の変化も甘酸っぱくて楽しめます。 一方で、選評にもあったように、文学作品の解釈による推理が中心のためネタバレになってしまっていること、そして「私」と「黒猫」に非常に近しい周囲で物語が回ってしまっているため「黒猫」の特殊な設定の必要性があまり感じられないというウィークポイントを持つ作品でもあります。 前者については、おそらく、研究を活かしながら文学作品の新たな読者層を広げるという意義があるし、後者に関しても「私」の恋模様同様に続巻で何か語られるかもなので、続編での変化に期待したいです。

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2013/02/26

なんて美しいミステリ。 黒猫の美学的推理には「私」じゃなくてもハマるなぁ~ ポオを読んだのは随分と昔だけど これ読んだら久しぶりに読み返したくなってきた。 美学講義シリーズは後2冊出ているようなので 次に図書館に行ったらポオとともに借りてこようっと。 ただ… 黒猫のキャラは東野...

なんて美しいミステリ。 黒猫の美学的推理には「私」じゃなくてもハマるなぁ~ ポオを読んだのは随分と昔だけど これ読んだら久しぶりに読み返したくなってきた。 美学講義シリーズは後2冊出ているようなので 次に図書館に行ったらポオとともに借りてこようっと。 ただ… 黒猫のキャラは東野圭吾のガリレオシリーズ湯川とかぶる感じ。 美学と物理の違いはあれど。

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2013/01/25

図書館にて借りる。初森晶麿作品。面白かったけど、ポーを読んでからの方がもっと面白いのかも。黒猫が天才という設定のせいか謎があったり解かれすぎな気がする。

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2013/01/16

猫!しかも、黒猫!! ということで、すぐに借りて読んでみることに…。 しかし、期待は外れてしまった。 美学理論を駆使する24歳という若さで大学教授になった、通称「黒猫」とその「付き人」を務めるポオの研究者。 そんな不思議?な二人が出会った6つの事件物語なのだが、何とも分かりに...

猫!しかも、黒猫!! ということで、すぐに借りて読んでみることに…。 しかし、期待は外れてしまった。 美学理論を駆使する24歳という若さで大学教授になった、通称「黒猫」とその「付き人」を務めるポオの研究者。 そんな不思議?な二人が出会った6つの事件物語なのだが、何とも分かりにくい! 大学の講義を受けているみたい…。 ポオとはエドガー・アラン・ポーのことなのだと。 一話、一話進むごとにポーの作品が書いてある。 それを題材にして書かれたのだろう。 中々読みにくかったが、密かな「黒猫」と「付き人」の恋心。 この先どうなるのかな?とわくわくさせられました。

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2012/12/30

ポオに擬えた6つの連作集。 美学理論が専門の大学教授「黒猫」と付き人がちょっとしたミステリを美学的に美しく解く。ポオの作品は、モルグ街の殺人から大鴉まで色々な作品が登場する。しかも話が理屈っぽいので、解らない部分が多い。それでもキャラクターは魅力的だし雰囲気はクールな感じで良い。...

ポオに擬えた6つの連作集。 美学理論が専門の大学教授「黒猫」と付き人がちょっとしたミステリを美学的に美しく解く。ポオの作品は、モルグ街の殺人から大鴉まで色々な作品が登場する。しかも話が理屈っぽいので、解らない部分が多い。それでもキャラクターは魅力的だし雰囲気はクールな感じで良い。 次作も読もうと思う。

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2012/12/22

ポーの作品を絡ませながら、謎を解いていく。 その作品たちを読んでいたら、さらに面白さも増すのかも。 読みやすく、どんどん引き込まれていくが、私はそこまで魅力を感じなかった。 メインキャラの二人は魅力的だった。

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2012/12/19

図書館にて。 アガサクリスティー賞受賞ということで読んでみた。 難しい、理屈っぽい・・・専門用語が多かったり、出てくるポーなどの名作も読んでないとイマイチわからなかったり。 でも、キャラクターが魅力的で斬新。引き込まれる。 続編も手元にあるので楽しみだ。

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