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神様2011 の商品レビュー

3.9

114件のお客様レビュー

  1. 5つ

    32

  2. 4つ

    29

  3. 3つ

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  4. 2つ

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  5. 1つ

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2024/08/11

地震が来る!という理由ではないが、このタイミングで読むことになったのは、何かの縁。ウランの神様に怒られないように備えをお願いします。

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2024/01/13

 過去の作品と、時を経て書き直した作品とを載せている本。  最初なんで熊が普通に三つ隣りの部屋に住んで、散歩なり普通に会話をしたりなどしているのかと思い、何処か童話か寓話なのかと思われたが、これが福島原発事故を受けて、リメイクとなり、ところどころにストロンチウムやセシウムなど熊と...

 過去の作品と、時を経て書き直した作品とを載せている本。  最初なんで熊が普通に三つ隣りの部屋に住んで、散歩なり普通に会話をしたりなどしているのかと思い、何処か童話か寓話なのかと思われたが、これが福島原発事故を受けて、リメイクとなり、ところどころにストロンチウムやセシウムなど熊との会話で出てくるのであるが、全体的に柔らかい文体だけあって、逆に何処かそれらの言葉か生々しく、おどろおどろしさを感じた。  題名からも神様ということで、熊やセシウムは、人為を超える別のベクトルでの神々であり、それらの対象を描くことで、軽いながらも「悪くない日」を過ごしていく人としての生き方について考えさせられる。  

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2023/10/09

シチュエーションやセリフは、ほとんど同じだけど「神様」はファンタジー。東日本大震災の後で書かれた「神様2011」は寓話のように僕は読めた。 ラストで、くまが作った干し魚を「神様」では焼く描写が書かれていて、食べることを想像できるが「神様2011」ではくつ入れの上に飾り、そのまま...

シチュエーションやセリフは、ほとんど同じだけど「神様」はファンタジー。東日本大震災の後で書かれた「神様2011」は寓話のように僕は読めた。 ラストで、くまが作った干し魚を「神様」では焼く描写が書かれていて、食べることを想像できるが「神様2011」ではくつ入れの上に飾り、そのまま眠ってしまう。 くまのアドバイスに従い明日になったら干し魚を捨てるんだろうか。福島原発の処理水放出が始まった今、このラストはなにかを暗喩しているようで心に残った。

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2023/03/18

川上弘美さんらしい柔らかで優しい文体の中に、まじらわず冷たく光る"あの事"の描写。みんな口々に放射線の話をしている。神様自体が可愛らしくて大好きな短編だが、こんな形でリメイクするとは思いもしなかった。 変わってしまったんだなあ。もう戻もどらないのか、それとも人...

川上弘美さんらしい柔らかで優しい文体の中に、まじらわず冷たく光る"あの事"の描写。みんな口々に放射線の話をしている。神様自体が可愛らしくて大好きな短編だが、こんな形でリメイクするとは思いもしなかった。 変わってしまったんだなあ。もう戻もどらないのか、それとも人の力で元にもどせるのか。

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2022/05/28

日常は変わる。 話す熊、よりも不可思議なことが起きる。 体が大きいけれど礼儀正しくチャーミングな、 時に狂気も忍ばせる存在。 「貴方と頭の中で漢字を想像しながら呼びかけてください」

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2022/03/19

『日常』は さりげなく過ぎ忘れていく 『あのこと』は 忘れることができない 柔らかい手ざわりですが、読んだあと 忘れられない作品です。『神様』収録中の『神様』はデビュー作。『神様2011』は東日本大震災直後に書かれた作品です。名久井直子さんの装丁もすてき。 作者の...

『日常』は さりげなく過ぎ忘れていく 『あのこと』は 忘れることができない 柔らかい手ざわりですが、読んだあと 忘れられない作品です。『神様』収録中の『神様』はデビュー作。『神様2011』は東日本大震災直後に書かれた作品です。名久井直子さんの装丁もすてき。 作者の あとがき より~ 2011年の3月末に、わたしはあらためて、「神様 2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性をもつものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。静かな怒りが、あの原発事故以来、去りません。むろんこの怒りは、最終的には自分自身に向かってくる怒りです。今の日本をつくってきたのは、ほかならぬ自分でもあるのですから。この怒りをいだいたまま、それでもわたしたちはそれぞれの日常を、たんたんと行きてゆくし、意地でも、「もうやになった」と、この生を放りだすことをしたくないのです。だって、生きることは、それ自体が、大いなるよろこびであるはずなのですから。

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2022/01/24

熊に誘われて散歩に出るわたし。デビュー作『神様』に「あのこと」が起こった2011年に、書き直した『神様2011』。 「あのこと」により、私たちに生活、日常は大きく変わった。それでも生きていかなくてはならない。日常は続いていく。川上さんは、静に激しく怒っている。自分自身に向かって。...

熊に誘われて散歩に出るわたし。デビュー作『神様』に「あのこと」が起こった2011年に、書き直した『神様2011』。 「あのこと」により、私たちに生活、日常は大きく変わった。それでも生きていかなくてはならない。日常は続いていく。川上さんは、静に激しく怒っている。自分自身に向かって。『神様』には、熊の神様が『神様2011』には、ウランの神様が描かれている。そして、現在も大きな出来事により日常が変わっている。『神様2021』を読んでみたい。50ページ弱の短い作品ですが、何度も何度も読み返しました。

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2021/11/23
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※このレビューにはネタバレを含みます

ゴア描写もないのにグロテスクと感じる文章 作者あとがきにもある通り、何某かの怒りが、深い穴から湧き出てくるような描写力でした。 くまとのハグが、あんなに空寒く感じるのかなちい

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2022/03/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

川上弘美先生ご自身のあとがきで、この作品が補強されました。 短い作品ではありましたが、とても深い作品だと思いました。

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2021/02/27

東日本大震災を受けて、デビュー作「神様」を題材に「ポスト震災」「ポスト福島第一原発」を描く。既存作を題材にして改変を行うことで、日常の在り方が変わってしまったこと、そしてそれは二度と戻ることがないことを描き出した方法論が見事だと思う。実際、10年が経っても東日本大震災、福島第一原...

東日本大震災を受けて、デビュー作「神様」を題材に「ポスト震災」「ポスト福島第一原発」を描く。既存作を題材にして改変を行うことで、日常の在り方が変わってしまったこと、そしてそれは二度と戻ることがないことを描き出した方法論が見事だと思う。実際、10年が経っても東日本大震災、福島第一原発の事故は消し難い傷跡を残しているのだから。

Posted byブクログ