絶望の国の幸福な若者たち の商品レビュー
絶望を知っているからこそ、幸福をかみしめることができる。学校では教えてくれない幸せの定義がここにある。
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社会学者の古市憲寿氏の若者とはについて書かれた一冊。 テレビでみる印象しかなかく、興味があって読んだのですが、自分と同世代からみた若者について、非常に色々と考えさせられた一冊でした。 そもそも若者とはどうしてできたのかや若者はこんな不安定な時代でも幸せを感じて生きている著者な...
社会学者の古市憲寿氏の若者とはについて書かれた一冊。 テレビでみる印象しかなかく、興味があって読んだのですが、自分と同世代からみた若者について、非常に色々と考えさせられた一冊でした。 そもそも若者とはどうしてできたのかや若者はこんな不安定な時代でも幸せを感じて生きている著者なりの見解などデータや自分で行った取材に基づいて書かれていて色々な発見があり、そこからまた深く現代社会について考えさせられ、著者自身もピースボートに乗った経験があり、そのうえで政治的なデモに参加する若者や東日本大震災のボランティアに参加する若者との交流を通じてそれぞれの若者の思いや感じたことは非常に興味深いものでした。 最後に書かれている崩壊に一歩ずつ近づく日本という社会のなかでそれぞれのコミュニティーで得るコンサマトリーを感じているのは若者だけではなく、全ての世代であることや世代で区別して自殺者の問題などを提起することの矛盾については非常に興味深い発見でもありました。 若者を通して現状の日本という国の問題について考えさせられる非常にいい機会となりました。メディアなどで取り上げられる若者の側面が全てではない裏付けと作れらてきたニッポン像と若者のニッポンに対する想いについて納得できる部分がありました。様々な項目が数々の著書、自身の経験やデータをもとに深く切り込んでおりいち社会学者の持論ではありますが、メディアで取り上げられるのも確かに納得できる良書だと感じました。 また本書で書いた考察を俳優佐藤健にする部分もあり、そこでは佐藤健の演技に惹き込まれるわけがわかりました。
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古市憲寿さんの30歳ならずしてワイドショーで、確信犯かただ馬鹿なのかは知りませんが、自身の独特!?な論を展開して、孤軍奮闘する姿は素直にカッコイイと思います。また、今作については僕個人的な意見として、共感出来る部分も沢山あったし十分楽しめました。ところでアマゾンのレビューで老若の...
古市憲寿さんの30歳ならずしてワイドショーで、確信犯かただ馬鹿なのかは知りませんが、自身の独特!?な論を展開して、孤軍奮闘する姿は素直にカッコイイと思います。また、今作については僕個人的な意見として、共感出来る部分も沢山あったし十分楽しめました。ところでアマゾンのレビューで老若の方から罵倒と賞賛の嵐で、中にはここまで言うかってぐらい暴言吐かれているのもあって笑っちゃいました。この怠惰な若者像は社会学的分析に基づいた一般的な若者モデルであって、これが若者全員に当てはまるわけはないし、まさか若者を全員やる気がないなんて思っている人なんかいないだろうから、そんなに熱くならなくとも。歴史的に稀代な絶望の国で今を過ごせることをある意味で感謝しつつ、のらりくらりと楽しみたいと思って、割と読んだ後はむしろ気分良かったです。
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この3年間、年始にニッポンのジレンマを見ていて、その影響もあって特に面白いなと思った古市さんや宇野さんらの本を読んでます。 多様化し若者を一括りにできないという話に対し、若者というジャンルにいれてほしいという自分の存在をぜひ古市さんに分析してほしいなと思いました。(笑) 学生...
この3年間、年始にニッポンのジレンマを見ていて、その影響もあって特に面白いなと思った古市さんや宇野さんらの本を読んでます。 多様化し若者を一括りにできないという話に対し、若者というジャンルにいれてほしいという自分の存在をぜひ古市さんに分析してほしいなと思いました。(笑) 学生時代だったら、30代はおっさんカテゴリーとし、若者カテゴリーから排除した気がするけど、いざなってみると学生時代と大して変わっていないというか明確に変わった感がないので若者カテゴリーに属している感が強く、若くいたいという思いもあるんだろうね。 内容は、面白かったです。お〜、なるほどって 感じ。社会学って面白いね。物の見方がかわる。 自分が古市さんの言う若者に当てはまるかわからないけど、かなり当てはまるところがあり、納得感がありました。 確かに日本の将来は不安だし、社会に期待していない。恥ずかしい話だが、僕はほとんど選挙に行かない。理由は多くの若者と一緒で行ったところで何かが変わるという実感が持てないからだと思う。仕事柄、周囲の人は選挙になると選挙に行こうぜ〜みたいな方が多く、僕のフェイスブックのフィードは、選挙祭りみたいになっている。頭で理解し行こうとも思うけどやっぱり腰が重い。周囲の温度差を感じ、与えられた選挙権を行使しないなんてもったいないぜって日本人にも選挙権のないよその国の人にも攻められているような感覚。社会に貢献したいという思いはあるし、良い社会にしたいとも思う。仕事自体が社会に直接寄与することだし、寄付も一般の人以上にしている。メディアをにぎわす政治家の人たちとか見ているとやっぱり期待できなくなっちゃう。この制度は良い悪いなら言える気がするけど、どのパーティも良いとこ悪いとこある中で正直選べない。この本で出てくる社会貢献したいけど選挙に行かない若者と一緒。。 これからの先行きが不透明だからこそ、今安定してても将来どうなるかわからない企業で働くのはリスクが高いと感じている。社畜になって、会社倒産して路頭に迷うなんて一番嫌だ。 それよりもスキルや生きてく力、個人のソーシャルキャピタルを蓄えられる環境で働いた方が、何かあっても生きていける気がする。逆にフリーでも仕事を選べなくなったら、所謂安定している企業で働く方がよいのかもしれない。(自分の話としては、今のフリータンスが良いかって言うと決して良くないので、中長期的にがっつりコミットする仕事に取組んでいきたい。信頼できる本気になれる仲間と一つのゴールを目指したいし、スキルやソーシャルキャピタルを蓄えていきたいと思ったりしている。それができるなら企業でも起業でも個人でも全く厭わない。) 社会に期待していない。仲間と楽しく働きたいなんて、ま〜、この本そのものだよね。しかもコーチングの影響もあって、自己肯定感が高まっているから日常が幸せに感じるコンサマトリー化しちゃっているし。それと、若者だけじゃない気がするけど、身近な人と比較して、キャリアが大幅に違う人とは比較しないっていう点もわかる気がする。 ただ海外に行きたいっていう強い思いはあるので、内向きであり外向きでもあるので、外向き二なりたい自分としては、この本でも言われているきっかけ「出口」を見つけて、外に出て行かなければ行けないんだね。あと、自分をどこの対象に位置づけるかって言うのも。 がんばろっていうところに落とし込みました。 仕事にもいくつかヒントになったし、読んで正解の本した。
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著者は1985年生まれ。今年27歳。若者の仕事やコミュニケーションの研究以外にも、マーケティングやIT戦略等の仕事もしているという。世間ではここ数年、若者の○○離れと云うことが何かと話題になる。曰く海外旅行、酒、車、恋愛、留学、政治・・・これらの多くは大きな消費物なので、経済に与...
著者は1985年生まれ。今年27歳。若者の仕事やコミュニケーションの研究以外にも、マーケティングやIT戦略等の仕事もしているという。世間ではここ数年、若者の○○離れと云うことが何かと話題になる。曰く海外旅行、酒、車、恋愛、留学、政治・・・これらの多くは大きな消費物なので、経済に与える影響が少なくない、で、皆が嘆いているという図式だ。しかし本当にそうなのであろうか。この本によれば、確かに車を買う比率も海外旅行に行く比率も減少しているが、その他のPC、携帯やスマホ、ゲーム等は良く買っているようだ。これは消費行動が変化しただけである。また、日本の若者には不満は無いが不安はあるという。確かに若年層の失業率は(最近上昇傾向だとはいえ)他の成熟国と比較してもかなり低い。また、家電等も溢れかえっている。これでは政治に興味が行かないのも無理は無い。結局は今が良すぎて、逆に将来が暗く思えてしまうのかもしれない。したがって今は不満だらけでも、きっと将来は明るそうだと思っていた、われわれの世代と比較すると生活パターンに変化が起きた、という感じではないだろうか。あと、政治の章にも書いてあったのだが、若者の保守化傾向がある。これは真正保守を自認する私からすると、根本のところが間違った方向に向いている気がする。特に自称保守派の中に、排他的(特に反中国・嫌韓国の人々)思想が増えてきたことだ。日本の保守はまず天皇をどう考えるのか、から始めるべきで、それが抜け落ちた最近の保守思想活動にはほとほと嫌気がさす。私が若い人たちに言うとすれば、「人類は長期的に見ればその誕生から常に進歩している」と「明けない夜は無い」ということであろうか。
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今の「若者」の過去の時代の若者よりも満足度が高いという統計結果の意味は、将来があまり明るいとは思えないので、それに比べたら今のほうがぜんぜんマシと思っているからだ、という記述に納得感がありました。
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読みやすいのと、自分にスタンスが近いのかなんとなく思ったことあることが整理されていくようだった。若者論の振り返りも面白かった。
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私は20代の若者である。私は正直、私の世代を幸せであると思うことができない。それは上の年代の人達が決めた政策で過ごし、その政策が失敗だったとわかった途端何故かその中で育った私達が攻められたり、就職難という未来に希望を持ちにくい中で生活を送ったりしているからだ。そのため、この書のタイトルを初めて見たときは驚いた。しかし、読み進めていくうちに「なるほど」と苦笑いをしつつ理解ができた。 この書は「若者論」として、若者について多方面から論じておりとても良くできていると思う。そのなかでもやはり「幸せな若者」の正体がおもしろかった。「将来に希望を持てないからこそ、今を幸せと感じている」という指摘に思わず納得してしまった。また、20-30歳の人だけではなく国民が若者化しているという視点も非常に興味深かった。 また、補章として載っている俳優の佐藤健との対談もおもしろかった。というのも、著者が投げかけた質問に対する佐藤健の答えが本書で描かれていた若者の回答や行動と重なる点が非常に多かった為である。この書の前置きにもあるように、この中で語られているのはあくまで一つの若者像ではあるが、佐藤の回答との一致は単なる偶然ではなくこの書が今の若者像を良くとらえているという一つの強い論拠なっているのではないだろうか。 個人的には今の自分が置かれている立場を客観的に見ることが出来たこともあり最期まで面白く読み進めることができた。
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社会学の研究書として読むと肩透かしを食らうが、2011年における「若者」のスケッチとしては非常に秀逸な作品だと思う。「コンサマトリー化」や「相対的剥奪」という概念は勉強になった。また、著者オリジナルの「ムラムラ」という表現も、当代の若者の思考をよく言い得ていると思う。 著者は、日...
社会学の研究書として読むと肩透かしを食らうが、2011年における「若者」のスケッチとしては非常に秀逸な作品だと思う。「コンサマトリー化」や「相対的剥奪」という概念は勉強になった。また、著者オリジナルの「ムラムラ」という表現も、当代の若者の思考をよく言い得ていると思う。 著者は、日本で階級社会化が進んでも、モラルエコノミーが維持されれば、幸福感は持続可能であるというような記述をしているが、私は、本書で描かれている「幸せ」は持続可能なのかという点については懐疑的である。これまで総中流意識のあった日本で、それぞれの階級の中だけで満足できるような安定した階級社会が成立するのか疑問なのと、国が最低限の生活保障もできなくなるのではないかと考えるからだ。 本書は、内容にはそれほどおかしなところはないと思うのだが、著者の傍観者的・冷笑的な語り口(ありていに言えば、「ちょけた」語り口)が批判を呼ぶ一番の原因ではないかなと感じた。個人的には、嫌いではないけど。
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これまでの様々な若者論を振り返り、論評しつつ、最近の若者とは?を様々な角度から考察したり、そんな若者たちが生きる日本というコミュニティ、社会とはどのようにして作り上げられたか、どう変化してきたかを論じたり。これ一冊で今まで若者についてどんな風に考えられてきたかまるっとわかる感じ?でも実際に網羅的に読んだことがある訳じゃないから、本当に客観的に中立的に書かれているかはしーらない。若者は大体において満足してるよね、自己承認欲求が簡単に満たされる社会であるから。そしてそれは決して悪いことではないよね、未来のことを考えると若者がかわいそう!って、優しい大人が勝手に言ってるだけだよね、君たちもそういわれてきてたよね?って感じかな。先が明るい未来だから今幸福でないと感じ、先が暗い未来だから今幸福だと感じる、ってところはじわってきた。今は幸せ、先行きは不安。会いたくて震える、会いたくても会えないっていう状況は今どきあんまりないし、ロマンティックだから憧れるよねって話は若者論の主題ではないだろけどは~ん?笑ってなんかなった笑 戻るべき「あの頃」もないし、目の前に問題は山積みだし、未来に「希望」なんてない。だけど、現状にそこまで不満があるわけじゃない。なんとなく幸せで、なんとなく不安。そんな時代を僕たちは生きていく。絶望の国の、幸福な「若者」として。 最後のこのしめはうまーくやんわーりまとめてて若者(笑)らしくて、いいな、と思った。
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