まともな家の子供はいない の商品レビュー
父親が仕事をせず家でゲームばかりしている。 母は夫が機嫌を損ねないように、何も言わない。 妹はうまく取り繕っている。 そんな仲良し家族を装っている家庭状況に耐えられないセキコは、家に居場所がなく夏休みは友達の家に行くか、図書館で過ごすかしていた。 図書館では同じ塾の室田さんを...
父親が仕事をせず家でゲームばかりしている。 母は夫が機嫌を損ねないように、何も言わない。 妹はうまく取り繕っている。 そんな仲良し家族を装っている家庭状況に耐えられないセキコは、家に居場所がなく夏休みは友達の家に行くか、図書館で過ごすかしていた。 図書館では同じ塾の室田さんを見かける。頭のいい室田さんがなぜ家で勉強せず図書館に来ているのかセキコは不思議だった…。 ナガヨシや室田さんの家でも、実はそれぞれ家庭に問題を抱えている。 でも中学生のセキコたちには他人の家庭は幸せそうにしか見えず、自分の家と比べては悲嘆する。 タイトルの通り、まともな家の子供なんてそうそういないのだろう。
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なんかものすごくリアルに中学生の生活を垣間見た感じ。 それにしてもまともな大人のいないこと(笑) どの家庭もそんなものかも。 そんな親に育てられても 子どもってなるようになるんだね。 好きだなーこの本。
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うちの母の口癖・「どんな家にも色々な問題があるんだよ」を思い出してしまった。 このお話の中の“子供”たちは中学三年生。かなりいろんなことがわかるお年頃とは言え、まだまだ子供。そして何より、親の庇護なしでは生きられないのがしんどいよね、と言ってあげたくなるくらい、その親たちが・・...
うちの母の口癖・「どんな家にも色々な問題があるんだよ」を思い出してしまった。 このお話の中の“子供”たちは中学三年生。かなりいろんなことがわかるお年頃とは言え、まだまだ子供。そして何より、親の庇護なしでは生きられないのがしんどいよね、と言ってあげたくなるくらい、その親たちが・・・。 親、というか、大人になる、ということは、どんなに一本切れてても、ふらふらと腰が定まらなくても、生きて行くことはできるんだよね、なんて、変なことに感心してしまった。ホント、まともな親がいないんだもの! まぁ、全て子からの目線なので、大人の事情は何も忖度してないし、子には分からない切なさや苦労もあったのだろうけど、だからこそ逆に、私は少なくとも全て自分の責任で右往左往する方の大人でよかったよぉ~なんて思っちゃうのが可笑しかったです。 主人公のセキコのお父さんはしょっちゅう仕事を辞めちゃうし、それに対してお母さんは受け入れるというより現実を見てない感じだし、友だちのナガヨシのお母さんは買い物中毒、そして・・・と、もうキリなくいろんな大人が出てきて、これはまずいでしょう!の連続。(でも、絶望的なタッチじゃないんだよね。子供たちの諦観+たくましさがよかったです。(*^_^*)) 夏休みの塾の宿題を誰から写させてもらうか、に四苦八苦する中学生たちには、おいおい、学校じゃなくて塾の宿題なんだったら、出来ないところは出来ないって言ったほうがいいんじゃない?と突っ込みながら、テトリスみたいにブロックが埋まって行く過程も面白かった。 同時収録の「サバイブ」は、表題作に出ていたクールな室井いつみの家庭の問題が中心で、なんか、変な面白さがあって読ませられた。いつみの母の不倫疑惑の真相はどうだったんだろう。大人って上手に物事をうやむやにしちゃうよね、と、これって笑っていいのかな。(*^_^*)
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中学生の話かぁ〜、なんて乗り気しない感じで読みはじめたのだけど、すごくおもしろかった、よかった、好きだった。40代も後半のわたしが中学生に共感するって自分の精神面に不安が募るけれども、なんだかすごく主人公に共感するというか気持がわかるというか。なにもかもうざったいとか、先が見えな...
中学生の話かぁ〜、なんて乗り気しない感じで読みはじめたのだけど、すごくおもしろかった、よかった、好きだった。40代も後半のわたしが中学生に共感するって自分の精神面に不安が募るけれども、なんだかすごく主人公に共感するというか気持がわかるというか。なにもかもうざったいとか、先が見えない不安とか、すべてむなしい気がするとか。さすがに大人の気持ちとか事情は少しはわかるので(たぶん)、むやみに親や大人に頭にきたりとかはないんだけれども。でも、親や大人に頭にくる気持もわかる。津村さんの作品ではいつも主人公がすごく他人との会話を気にしてる気がするが、そこが好き。たとえば、相手がしゃべらなすぎとかしゃべりすぎとか、お互い黙っててもきまずくないとか、人のことをきくだけで自分のことを話さない、とか。人の言動をすごく細かく観察してて、それについてどう思うかとか、人によってはくどく感じるんだろうなと思うほど書かれているのが好き。いろいろ家庭に問題があったり、さえない感じの中学生たちの話だけど、すごく悲しいこととかは起きなくてほっとしたし(いつも、なにかあるのかもとどきどきしながら読む)、最後に希望を感じて、読後感がよかった。主人公の成長を感じた。えらいと思った。先は見えなくてもとりあえず目の前にあることを受け入れて地道に生きていくしかないんだな、とか。中学生に諭されたような。やっぱり津村さんの書くものは好き。
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若き労働者たちを多く書いてきた著者が、働かない大人を描いていて、しかも中3生が主人公。新鮮な感じで読んだ。この年代特有の、自ら壁を作ってその中でもがいている様子が懐かしくもあり、家に居場所がなく暑い町をさまよう様子がおかしくもあり。つい大人目線で読んでしまう。同世代で読んだらどう...
若き労働者たちを多く書いてきた著者が、働かない大人を描いていて、しかも中3生が主人公。新鮮な感じで読んだ。この年代特有の、自ら壁を作ってその中でもがいている様子が懐かしくもあり、家に居場所がなく暑い町をさまよう様子がおかしくもあり。つい大人目線で読んでしまう。同世代で読んだらどう感じるのだろう? 受験生なのに塾の宿題写しに奔走している場合か?とつっこみたくもなった。ユニークな友人が印象的だった。
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中学3年生から見た大人たちを描いた作品。 大人にならないとわからないこともあるさと、少し大人になった私は思った。 この小説を読んで確信したけど、津村記久子の書く小説に出てくる女の子はみんなどこか性格が悪い。 もしくは現実を現実として受け入れようとしなかったりする。 でも、そうい...
中学3年生から見た大人たちを描いた作品。 大人にならないとわからないこともあるさと、少し大人になった私は思った。 この小説を読んで確信したけど、津村記久子の書く小説に出てくる女の子はみんなどこか性格が悪い。 もしくは現実を現実として受け入れようとしなかったりする。 でも、そういう部分がとても愛おしくて好きだ。
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