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デフ・ヴォイス の商品レビュー

4.1

71件のお客様レビュー

  1. 5つ

    22

  2. 4つ

    30

  3. 3つ

    13

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2012/03/22

手話を「日本語を手で言い換えたもの」と誤解している人は多いだろう。 その認識は、手話の可能性をもぎとる、単なる無理解でしかない。 手話を用いる人々、その人々を支える人たちをめぐるミステリー小説だが、手話について正しい理解を深めるための入門書にもなる良書。

Posted byブクログ

2012/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

内容(「BOOK」データベースより) 時を隔てた二つの殺人。謎は解け、愛だけがそこに残った―。生活のため手話通訳士になった荒井は、刑事事件に問われたろう者の法廷通訳を引き受け、そこで運命の女性・手塚瑠美に出会う。第十八回松本清張賞最終候補作に加筆修正。感動の社会派ミステリー

Posted byブクログ

2011/12/08

世の中に知らないことは数多くあることは認識していたが,この本を読んで次のことには驚いた. [1]先天的失聴者の多くは誇りを持って自らを「ろう者」と称する.[2]手話には「日本手話」と「日本語対応手話」の2つがある. 「日本手話」だとかなり複雑なことも伝達することができる由.調べて...

世の中に知らないことは数多くあることは認識していたが,この本を読んで次のことには驚いた. [1]先天的失聴者の多くは誇りを持って自らを「ろう者」と称する.[2]手話には「日本手話」と「日本語対応手話」の2つがある. 「日本手話」だとかなり複雑なことも伝達することができる由.調べてみよう!

Posted byブクログ

2011/11/17

本から、知識を得ることがある。 この小説は、手話の世界がこんなにも細分化されていると いうことをワタシに教えてくれた。 読みやすいのに、読み応えのある小説だった。

Posted byブクログ

2011/11/15

「ろう者」「手話通訳」「コーダ」などのテーマも丁寧に描かれているが、 ミステリーとしても読み応えあり。 途中に置かれた謎や、人物の造形が、物語の最後に心地よくおさまって行く感じ。 はじめての著作(?)で、まだ他に本が出ていないようだが、ぜひ次の作品も読みたくなった。 あとテレ...

「ろう者」「手話通訳」「コーダ」などのテーマも丁寧に描かれているが、 ミステリーとしても読み応えあり。 途中に置かれた謎や、人物の造形が、物語の最後に心地よくおさまって行く感じ。 はじめての著作(?)で、まだ他に本が出ていないようだが、ぜひ次の作品も読みたくなった。 あとテレビドラマでこの作品やってほしいなあ。 手話の部分が、文章より映像の方が、心にくると思うので。

Posted byブクログ

2018/04/02

2018/4/2  『龍の耳を君に』にあわせ再読 ----- 8月だったか、新聞でこの小説についてちょろっと紹介が出ていた。「手話通訳士」が絡むらしいというのと、そもそも「デフ・ヴォイス」(聾者の声)というタイトルが気になって、図書館にリクエストしてみたら、わりとすぐ届く。 ...

2018/4/2  『龍の耳を君に』にあわせ再読 ----- 8月だったか、新聞でこの小説についてちょろっと紹介が出ていた。「手話通訳士」が絡むらしいというのと、そもそも「デフ・ヴォイス」(聾者の声)というタイトルが気になって、図書館にリクエストしてみたら、わりとすぐ届く。 伊丹の「地域生活支援のあり方を、当事者・行政・事業者・市民で考えるフォーラム」に出て、手話通訳さんたちの"伝える"力のすごさを見て、帰ってきてから『デフ・ヴォイス』を読みはじめたら、そのまま最後まで読んでしまった。 「コーダ」「デフファミリー」「日本手話」「対応手話」「刑法40条」「ろう文化宣言」「聴覚口話法」「バイリンガル教育」――そういう話が出てくる。タイトルの「デフ・ヴォイス」にはいくつもの意味が込められていると思える。この小説に出てくるある事件は、聾者の声がひとつの手がかりとなって、事実関係を明らかにする糸口がみつかるのだ。 小説の最初は、手話通訳士の試験場面から始まる。主人公の荒井尚人は試験を受けている。読み取り・筆記通訳の試験、聞き取り通訳の試験、読み取り・口話通訳の試験と順にあって、それが二次試験らしい。荒井は学科試験と二次試験とも一発で合格し、通訳として順調に仕事をスタートする。そして、ある障害者支援のNPOから専属的に通訳をしてくれないかと依頼をうけ、聾者が被告となった事件に関わるようになる。そのなかで、森本事件(『生涯被告「おっちゃん」の裁判』で出てくる森本さんは、手話もできない、字も読めない、もちろん口話も無理という聾者で、600円の窃盗で20年近くを「被告」として過ごした)のこともふれられる。 かつては、警察に勤め、事務をしていた荒井がその仕事を辞めたわけも、離婚したわけも、聾者から「あんたは俺たちの仲間」だと言われるわけも、小説の半ばあたりで明らかになる。 荒井はコーダだった。CODA、Children Of Deaf Adults、聾の大人のもとにうまれた子ども。両親も兄も聾者で、家族のなかで聴者は荒井だけだった。幼いころから、聞こえる世界との通訳として荒井はずっと過ごしてきた。 ▼親からすれば、「聴こえる」荒井については心配いらない、その分「聴こえない」兄を庇護しなければ、と思うのは当然だったかもしれない。だが幼い荒井にとって、親の態度の違いは、「自分が愛されていない」と感じるのに十分だった。  両親は、兄のことがすべて分かった。兄は両親の世界の一部であり、兄にとってもまた、両親は世界の一部だった。  そして、自分は彼らの世界の一部ではなかった。両親は、「聴こえる」自分のことを分からなかった。そして自分も、「聴こえない」両親の、兄のことを、分かることはなかったのだ。(p.104) NPOスタッフの片貝は、荒井とは逆に、家族のなかで一人、自分だけが聴こえなかった。普通の子、聴こえる子になってほしいという両親の思い、聴者の子どもたちに負けたくなかったという片貝の思い。 ▼〈両親がありのままの私を受け入れてくれることは〉〈ついにありませんでした〉〈両親が手話を覚えることも〉〈なかった〉  〈私たちは〉〈結局一度も〉〈まともに会話したことさえなかったんです〉 (p.103) 荒井が個人的にこだわり、謎を解こうとした事件の鍵を握る人物もまた、コーダだった。 小説の単行本には珍しく、本の終わりには著者の「あとがき」があった。身内にろう者がいるわけでも、手話を学んだことがあるわけでもない人だという。取材によって、聾の世界やコーダの思いをこんな風に書けるのかと思った。 (2011/9/11了)

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2011/09/23

聾の文化(手話文化)の氷山の一角を、いえ氷山の一角からこぼれ落ちたひとしずくを見てきたと思っていた私だけれど、このミステリー小説の中でつまびらかにされる聾文化に目からウロコの思いがした。 はじめのうち、もしかしたら聾文化への興味が強くない場合は、まどろこしく感じるかもしれない。し...

聾の文化(手話文化)の氷山の一角を、いえ氷山の一角からこぼれ落ちたひとしずくを見てきたと思っていた私だけれど、このミステリー小説の中でつまびらかにされる聾文化に目からウロコの思いがした。 はじめのうち、もしかしたら聾文化への興味が強くない場合は、まどろこしく感じるかもしれない。しかしそこを乗り越えれば優秀な一本のミステリー小説だと誰もが思うだろう。そしてまどろこしく感じた部分も全てがなるほどと思えるのではないか。 たなぞうに感想を載せられるのもこれが最後かもしれない。まだ分からないけどね。最後には何を読んで何を載せることになるのかなぁと、漠然と思っていたけれど、とってもいい本と出合い、いい本の感想が載せられて良かった。素晴らしい“たなぞう人生”のしめくくりになった!! (^▽^喜)

Posted byブクログ

2011/09/16

ミステリーとしても、社会小説としても良質。 良質どころじゃない。素晴らしいと思う。 難しいテーマを取り上げていて、しっかりと著者のメッセージが響いてくる。 読み終わると、少し世界が違ってみえる。 この障害を持つ方々に対しての認識が変わる。

Posted byブクログ

2011/09/01

第18回松本清張賞最終候補作を加筆修正。ろう者(著者によれば、聴覚障害者は自らをこう呼ぶのだそうです)が犯罪者となるミステリーで、主役は特異な生い立ちの手話通訳士。今まで全く知らなかったろう者の世界が興味深く描かれています。ミステリーとしてもなかなかよく出来てはいるのですが、親切...

第18回松本清張賞最終候補作を加筆修正。ろう者(著者によれば、聴覚障害者は自らをこう呼ぶのだそうです)が犯罪者となるミステリーで、主役は特異な生い立ちの手話通訳士。今まで全く知らなかったろう者の世界が興味深く描かれています。ミステリーとしてもなかなかよく出来てはいるのですが、親切すぎる伏線でかなり早い段階で仕掛けが読めるにもかかわらず、わざと目をつむっているかのように真相になかなかたどり着かない主人公にイライラさせられるので★一つ減点。

Posted byブクログ

2011/08/31

聴覚障がい(障がい者ではなくろう者と表現した方が適切と知った)の人々がコミュニケーションの手段として使う手話には、古くから使い習わされてきた「日本手話」と「日本語対応手話」があることは、なんとなく知っていた。 先天性失聴、後天的なもの・・。そして環境(両親共にろうあ)によっても表...

聴覚障がい(障がい者ではなくろう者と表現した方が適切と知った)の人々がコミュニケーションの手段として使う手話には、古くから使い習わされてきた「日本手話」と「日本語対応手話」があることは、なんとなく知っていた。 先天性失聴、後天的なもの・・。そして環境(両親共にろうあ)によっても表現の手段は少し違ってくる。 主人公は、両親と兄がろう者で、自分のみ健聴者。家庭内の「通訳」は彼の役目。自在に日本手話が使えるけれど聴こえる人を「コーダ」という。 人は自分のアイデンティティを模索し、苦しむ。 難しい問題を「小説」という形で表現した秀作。

Posted byブクログ