デフ・ヴォイス の商品レビュー
初読みの作家さん。これを読んで、初めて『ろう者』という言葉を知った。その言葉自体になんとなく差別のニュアンスを感じとってしまうのは健常者のエゴだろうか。だが、先天性の聴覚障害者は、ろう者であることに誇りを持っているという。 差別というのは本当に難しい問題で、40条を良しとす...
初読みの作家さん。これを読んで、初めて『ろう者』という言葉を知った。その言葉自体になんとなく差別のニュアンスを感じとってしまうのは健常者のエゴだろうか。だが、先天性の聴覚障害者は、ろう者であることに誇りを持っているという。 差別というのは本当に難しい問題で、40条を良しとするか、それを逆差別だと言って無くしてしまうか。結局は無くなったわけだが、それは果たして個人間でも考え方がそれぞれあるわけで、やはり40条があった方が良かったと思う方もいるのだろうなと思ってしまった。 さて、主人公の荒井はコーダである。荒井以外の家族はみんな先天性の聴覚障害者で、荒井だけが聴くことができる人間だった。そんなこともあり、家族の中でも疎外感を感じながら生きてきた。 荒井は警察署でコーダであることを隠しながら事務職に就き、任務をこなしていた。ある時、障害者施設の理事長が殺害される事件が起こった。殺人の容疑で起訴されたのはろう者の男性。上司である警察官に手話通訳を依頼された。自首していることもあり、男性が逮捕されるのは避けられなかったが、本当にこの男性がやったのか。荒井は釈然としないものを感じていた。それから17年。その施設の現在の理事長が殺される事件が起こる。当時、逮捕された男はすでに服役しており、行方が掴めずにいた。果たして当時逮捕された男の犯行なのか。手話通訳士となった荒井は、独自に調査を始めた。 ろう者の考え方であったり、その社会を知ることができ、さらにはミステリとしても読ませる2度美味しい作品。しかし、多少展開に無理が感じられたのは残念。続編に期待したい。
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大好きだったひとが読んでいた本『龍の耳を君に』が読んでみたいなぁ。 と思って知った、この本。 読めてよかった。 知らないことだらけ。知ることができて、よかった。 でも、それだけではない。 自分自身が、ずっと持っている不安感とか、 ふつうになれない焦りとか、 輪の外にいる方が安心す...
大好きだったひとが読んでいた本『龍の耳を君に』が読んでみたいなぁ。 と思って知った、この本。 読めてよかった。 知らないことだらけ。知ることができて、よかった。 でも、それだけではない。 自分自身が、ずっと持っている不安感とか、 ふつうになれない焦りとか、 輪の外にいる方が安心するけど、ちょっぴり感じる寂しさとか、 なんとなくわかる……
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はじめての作家さん。 社会派小説であるとともに、ミステリとしても無理がなく、うまいと思いました。 手話についても知らないことだらけ。この本を読む人もそういう人が多いと思いますが、少しでも多くの人に読んでもらいたいと思いました。 ミステリファンだけでなくすべての人にお勧めの一冊です...
はじめての作家さん。 社会派小説であるとともに、ミステリとしても無理がなく、うまいと思いました。 手話についても知らないことだらけ。この本を読む人もそういう人が多いと思いますが、少しでも多くの人に読んでもらいたいと思いました。 ミステリファンだけでなくすべての人にお勧めの一冊です。
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ろう者の世界を描いた社会派ミステリ。 手話には種類があること、ろう者にも色々な立場の人がいることなど、今までまったく知らなかった世界だが、手話通訳士となった主人公の屈託を通して胸に迫ってくる話だった。 もうすぐ続編が出るようなので、引き続き読んでみたい。
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FMの某番組で紹介されていた本。日曜のこの番組では時折こうやって本が紹介されるのだけど、紹介された本はどれも面白い。 ほんで、自分では絶対に選べない(と、いうか知らない作家さんの)本ばかりなので、かなり楽しみにしている・・・。 ・・・でも、毎週は聞けないんだよね・・・。 今の仕事...
FMの某番組で紹介されていた本。日曜のこの番組では時折こうやって本が紹介されるのだけど、紹介された本はどれも面白い。 ほんで、自分では絶対に選べない(と、いうか知らない作家さんの)本ばかりなので、かなり楽しみにしている・・・。 ・・・でも、毎週は聞けないんだよね・・・。 今の仕事が落ち着いたら、また毎週チェックしたいな! さて、この本は「ろう者」のお話。知覚障害と書いてはいけないということがわかった。 ご両親がろう者、ご兄弟もろう者。家族で自分だけ「聴こえる子」として育った荒井氏が、その境遇だけじゃなく、17年前に「ろう者」が容疑者とされる殺人事件に関わることになったことからいろいろな事件、人間と関係していき、17年前の事件の真相にたどり着く・・・、と、いう話。 始めからこういう人がいて、こういう過去があり、こういう職業に就いていて、と、説明していくのではなく、邂逅なども交えながらひとつの物語が紡がれていく筋は、とにかく目が離せない・・・。 厚みのあるハードカバーやけど、後半は一気読みしたよ・・・。 最後の手話のシーンはかなりぐっときたし、ラジオで紹介されていたように、 「真相は驚く展開」 と、いうのも、うなずける・・・。 手話というのは、「音声言語が話せない人が使う言葉」ではなくて、そういう言語なのね。 日本語や英語を使うように、手話を使うわけやね。 だからこそ、ろう者が「障害者」と、いわれるのを嫌うわけだ。何の障害もない。 ただ、少数派ということで理解が得られないというのはあるんやね。 私もこの本を読んで、手話が二通りあることは初めて知ったし、「聴こえる人」が手話を学んでも、荒井氏のようなコーダにはかなわない、と、いわれると、少し寂しい気もした。 ま、そりゃそうか。私らが生まれたときから日本語を学ぶ以前に身に着けていくように、コーダの人は手話を身に着けていくんやもんね・・・。 普段の私が好んで読むような、ややキャラ小説よりのキラキラした本とは全く違った本。 荒井氏もイケメンで想像して読んじゃうけど、40代のオジサンなんだよね。笑 その他、何森氏や米原氏など、たぶんビジュアル的にかっこいいわけではないやろうオジサンがわんさか登場して、結構ギリギリの書かれ方をしている。 (ギリギリって何といわれたらアレなんやけど) ひつこいけど、最近こういう手合いの本を読んでいないので、新鮮な気分で読んだわ。 巻末の広告に乗ってるほかの本も読んでみたいけど・・・。私の読解力で読めるかどうかは怪しいから、とりあえずチェックせんと返そうかな。 ■■■■ ■スノッブ 上品ぶったり教養ありげに振舞ったりする、鼻持ちならない人。 ■つづまやか [形動][文][ナリ] 1 簡潔で要を得ているさま。てみじかなさま。 「歎願なせる趣きを右小弁家の宛 (あて) にして最 (いと) ―に記されたり」〈染崎延房・近世紀聞〉 2 控えめで質素なさま。つつましいさま。「―な暮らし」 ■立志伝中 人一倍の苦労と努力をして成功した人、などという意味で使われる表現。「立志伝」は、志を立てて努力と精進を重ね、最終的に成功を収めた人の伝記、のことを指す言葉。「立志伝中の人」などという具合に使われる。 (2017.02.02)
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本書を読むまでは、手話に種類があることや手話通訳に認定試験があること。中途失聴者、難聴者とDeaf(デフ)ろう者、どちらも「聴こえない集団」ではあるけれど、区別する考えがあること。 彼らならではの悩みや困難、社会の無理解や不利益もあること。 コーダ(Children of Dea...
本書を読むまでは、手話に種類があることや手話通訳に認定試験があること。中途失聴者、難聴者とDeaf(デフ)ろう者、どちらも「聴こえない集団」ではあるけれど、区別する考えがあること。 彼らならではの悩みや困難、社会の無理解や不利益もあること。 コーダ(Children of Deaf Adults=両親ともにろう者である聴こえる子)の存在に気が付いていなかった。 聴力障害はパッと見には分かりづらく、その困難を理解してもらいにくいために危険もあると言う。 「障害を持つ人たちだけに限らず、世の中には何か訴えたいことがあっても大きな声を上げられない人たちが少なからずいる。そういう人々の声を小説という形でより多くの人たちに届けられたら」‥との作者の思いに共感する。
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ろう者を扱った作品を読むのは初めてです。ミステリー仕立てですが、ろう者の世界を伝えようという思いがあり、勉強になりました。読んでいるうちに、ドラマ「君の手がささやいている」を思い出しました。原作の良さと菅野美穂の優れた演技で圧倒的な名作でしたね。
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先ずマイノリティを題材にした社会性の高い本であるのにミステリーとしても面白かったところもすごい。手話に種類があることは知識はあったけれどその背景を知り感銘を受けた。ろう者という言葉も当然知っていたけれど、『ろう文化』という単語に変われば今までの私の中に全くない価値観であったことに...
先ずマイノリティを題材にした社会性の高い本であるのにミステリーとしても面白かったところもすごい。手話に種類があることは知識はあったけれどその背景を知り感銘を受けた。ろう者という言葉も当然知っていたけれど、『ろう文化』という単語に変われば今までの私の中に全くない価値観であったことにショックを受けた。そうしてラストでは感動し、涙し、大満足で読み終わり、新しい価値観を与えて貰えた本に感謝した。のですが…、あとがきで、『手話に種類はなく、手話言語と呼ばれるようになるだろう』。この一節で、もう恥ずかしいと思うほど再びガツンとやられてしまった。これで本当に価値観を変えられた一冊となった。
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聾施設の経営者が殺される。以前にその父親も殺されていた。ミステリーではあるが主人公は手話通訳士という聞きなれない職。少しハードボイルドな雰囲気がある。手話に大きく二通りあることなど聾社会についても少し知ることができる。
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