真贋 の商品レビュー
吉本さんの本は初めて読みました。 荒波に揉まれて人生を送ってきた方の、有り余るほどの含蓄ある言葉の数々に驚くばかりでした。二度三度と読み返したい、読み返すべき本でした。
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昔、吉本隆明に手を出して全く読みきれなかったのだけど、この本はインタビュー?、語り口調でかなり読みやすくなっている。 ただ読みやすい分、残るものも少なかった印象。 ところどころ、いいところはあるのだけど。。 もう少し年をとってからまた読んでみてもいいのかな。
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タイトルに惹かれました。 なんだか物事の本質が見極められそうな・・・。 物事を一方こうから決め付けてみてはいけないよってなことが書いてあったのだと思います。 たとえば読書。 「本を読んだほうが教養が身につき、思考が深くなって、人生が豊かになる」と通常は考えられるわけですけど、そういういい面ばかりではないと。そういう利を得ると同時にまた毒も得るんだよと。 たとえば本を読んだことで日常の実利的なこと関心がなくなり、現実離れしたものが好きになって、一般的に見たら特殊に思われる世界にのめりこんでいったりとかよくあることだそうです。 今年は結構読書にハマっている私ですけど、いろいろな毒も回っているわけですねw 気をつけないと。 後は人格形成に関すること。 人は赤ん坊時代から前思春期あたりまでの親(特に母親)との関係のよしあしが育ちのよさを決めるということが三島由紀夫さんを例にしたりして述べられていました。 三島由紀夫さんは生まれてすぐから母親と別れての生活を強いられてきて、著者の言う「よい育ち」ができていないと、しかしそれがいい作品を書ける作家としての力の元になっているということです。 これも利と毒ですね。 うちの娘を見ていると、そんなに悪くなくここまできているのかなと思ったりして。 そんな感じで難解な部分もありつつ、ちょっと賢くなれたような・・・でも何らかの「毒」もまわったんでしょうね。
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帯によしもとばななからのコメントが載っていて、吉本隆明ってよく聞くけどばなな父だったのか!と知ったような無知なわたし。読んでみて共感するとこ多く、納得すること多く、参考にすることも多かった。読みにくそうと思ってたけど全然。面白かったからすらすら読めた。日本人の思想家をあまり知らな...
帯によしもとばななからのコメントが載っていて、吉本隆明ってよく聞くけどばなな父だったのか!と知ったような無知なわたし。読んでみて共感するとこ多く、納得すること多く、参考にすることも多かった。読みにくそうと思ってたけど全然。面白かったからすらすら読めた。日本人の思想家をあまり知らないので、なるほど芯がしっかりしていて常にものを考える人が思想家になれるのかと思った。考え続けたい。
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価値判断の物差しについて、色んな視点から問うている本。 狭い視野で見ていないか。 信じすぎていないか。 一面を見ただけで分かった気になっていないか。 ▼読書の"毒" 私が興味を持ったところはこの部分。 本と言うのは、私達によい"知識&qu...
価値判断の物差しについて、色んな視点から問うている本。 狭い視野で見ていないか。 信じすぎていないか。 一面を見ただけで分かった気になっていないか。 ▼読書の"毒" 私が興味を持ったところはこの部分。 本と言うのは、私達によい"知識"を与えてくれるが、 その一方で"毒"を与えている。薬と同じ。 例えば、 利他主義の素晴らしさを受け入れるあまり、自己犠牲に走るようになったり。 犯罪者心理の読み過ぎで、実際に行動に移して事件を起こしたり。 これだけではない。 本には、作者の人柄が現れたりする。 後述するが、作家だっていい人だけではない。 内容についてもそうだが、"いい本"だと思ってあまりに影響され過ぎると、それはそれでよくない。 (ショウペンハウエルの『読書について』を読んでいると、この点引っ掛かりを覚える) 結局、自分の軸、自分なりの価値観を持っていることが不可欠なのだ。 自分だけの視座でその本の内容について、"なぜそうなるか?"と問いかけ続ける。 そうしていれば本の内容だって、自分なりに考えて比較・判断できる。 必要な価値観を、無理なく消化吸収できるはず。 (ショウペンハウエルが"多読"を批判している理由はここにあると思う。『知性について』にも同じ事を述べている) 本なんて、偉い人が書こうがそうじゃない人が書いていようが、結局は「他人の人生」「他人の価値観」。 自分には、「自分の人生」「自分の価値観」がある。 他の"木"から取ってきた、あまり相性の良くない枝を無理につぎ木して、自分と言う"木"をわざわざ枯らすこともないだろう。 ▼この人は、いい人? 悪い人? 「さぁ、どうだろうね^-^」。これが全てだ。 何から何まで、いい人なんて言うのは存在しない。"いい"の捉え方でも多種多様。その人をどう見るかで良くもなるし、悪くもなる。 美点も欠点もある。それが人間。 人の評価は、得てしてその人のある一面を見たもの過ぎない。 人間として素晴らしい人が、事業で成功しているとは限らない。 "人格者"として有名な人が、家庭でどうかはわからない。 ある分野での大家が、人間的に優れているかどうかは分からない。 そもそも、人間を一面だけ見て「なんて素晴らしい人だ! きっと、この人はこんな面でも理想的な人に違いない」なんて思うのはむしろその人にとって酷だ。 人に対する評価が以下に危ういかは『自分の小さな「箱」から脱出する方法』を読むとよくわかる。 なので、 その人のいい所を見たときには、「この人は、この一面ではとても素晴らしい人だな、見習おう」と思い、 悪いところを見たときには、「こういう面もあるのか、もったいないなぁ…」と思い、 適切な人間関係の形成や、アクションを取っていけばいいのではと思う。 そして、その人の真贋を問うなら、筆者の言うように、ある一面を見て、その一面でその人が目指すあり方(モチーフ)に合致しているかで評価すればいいんでないかと思う。 人に対する評価は、慎重に、丁寧に。 ▼その他 この著書で一番印象に残っているのは、最後の方に出てくる、人間の生い立ちと人格形成について述べている5章。才能は、コンプレックスの裏返し。何かしらで成功している人の中には、その面であまりに人並み以下だったから、一生懸命努力して、いつの間にか人より抜きんでるようになった人もいる。"大家"にこそむしろ"歪み"のある人間がいるということ。あまりに突き抜けていて、色々欠けている感じ。とても共感できた箇所だった。 他にも、作家についての評価や、人からの批評についての考え方(一番思い入れのあるものは自分の中に隠しておくといい、という考え方は共感できなかった)等、 手を変え品を変え、その価値判断は「真」か、「贋」か、を問うてくる。 一度は手に取ってほしい、そんな一冊です!!
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学生運動時代の代表的思想家と聞いて、一度読んでみようと思いました。 思った以上にやさしい言葉で、分かりやすかったです。 全てに納得できる内容ですが、案外読後にのこっている内容は薄いです。
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吉本隆明『真贋』。賢人の言葉と言う感じがすごくする。 戦後最大の思想家などと言われるが、本人は日本固有の文化・思想について考える文芸評論家という認識にブレがないのが、すごいな。
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「デカルトからベイトソンへ」を読んだあとだったので、「善悪二元論の限界」はすごくしっくりきました。娘のよしもとばななさんの書くものにもナラティヴ的な(小説だからナラティヴなのは当たり前だと言わないで…)ものを強く感じるのですが、父親の吉本隆明氏が「乳児期から前思春期における母親ま...
「デカルトからベイトソンへ」を読んだあとだったので、「善悪二元論の限界」はすごくしっくりきました。娘のよしもとばななさんの書くものにもナラティヴ的な(小説だからナラティヴなのは当たり前だと言わないで…)ものを強く感じるのですが、父親の吉本隆明氏が「乳児期から前思春期における母親またはその代理との関係が人格を形成する」ということを繰り返し繰り返し述べているのは非常に興味深いですね。吉本家のお母さんとはどういう人物だったのか……?
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ものすごい抽象的にグルグル回って、核心を突くところが無かった。「人格の根本は思春期以前に形成される」「戦中は戦争推進派、戦後に軟化した心境」
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よしもとばななのお父さんの思想?の本。 戦中〜現代まで、著者の思うところが口語っぽく書かれて、軽妙で読みやすく、内容も至極真っ当なことを書いてあると感じた。 田中角栄、小沢一郎についての項で『菅直人は「政治的な技術」に関しては素人』って切り捨て気味に書いてあったのが一番面白かった...
よしもとばななのお父さんの思想?の本。 戦中〜現代まで、著者の思うところが口語っぽく書かれて、軽妙で読みやすく、内容も至極真っ当なことを書いてあると感じた。 田中角栄、小沢一郎についての項で『菅直人は「政治的な技術」に関しては素人』って切り捨て気味に書いてあったのが一番面白かった。 /************************* まえがき 1.善悪二元論の限界 2.批評眼について 3.本物と贋物 4.生き方は顔に出る 5.才能とコンプレックス 6.今の見方、未来の見方 あとがき *************************/
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