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空が青いから白をえらんだのです の商品レビュー

4.4

76件のお客様レビュー

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2023/06/15

彼らがこの世に生を受けた瞬間は真っ白で真っ直ぐな赤子。真っ直ぐさを歪めてしまうのは社会や家庭だ。少年たちは少しの場づくりや、他人からの肯定によりその真っ直ぐさを取り戻していく。そして、これ以上の被害者を出さないために、少年自身のほかに彼らを取り巻く社会や家庭側も変わる必要がある。...

彼らがこの世に生を受けた瞬間は真っ白で真っ直ぐな赤子。真っ直ぐさを歪めてしまうのは社会や家庭だ。少年たちは少しの場づくりや、他人からの肯定によりその真っ直ぐさを取り戻していく。そして、これ以上の被害者を出さないために、少年自身のほかに彼らを取り巻く社会や家庭側も変わる必要がある。 涵養プログラムを通して、真っ直ぐさを取り戻し、幼児のような純粋な詩を書く少年たち。バックグラウンドを思うと、胸が苦しくもなり、可能性や伸びしろが眩しくもある。

Posted byブクログ

2023/05/07

奈良少年刑務所は、一度見に行ったことがある。 それはそれは素晴らしい門構えで、 刑務所と言われなければ歴史的建造物にしか 見えない美しさ。 その刑務所の中で過ごす700名あまりの 青少年たち。 罪を起こしたことは、被害者の方たちを思うと 決して許されることではない。 しかし、そ...

奈良少年刑務所は、一度見に行ったことがある。 それはそれは素晴らしい門構えで、 刑務所と言われなければ歴史的建造物にしか 見えない美しさ。 その刑務所の中で過ごす700名あまりの 青少年たち。 罪を起こしたことは、被害者の方たちを思うと 決して許されることではない。 しかし、そんな加害者たちの育った家庭環境や社会は複雑で、 罪を犯した彼らだけのせいではないことを改めて 考えなければならない。 だって、やっていいことといけないことの分別は 分かるはずだから。 分からなかった理由は、必ずあるはずだ。 そこをちゃんと考えて大人や仲間が寄り添ってあげることが彼らには必要なんだ。 社会性涵養プログラムから生まれた彼らの詩は、 柔らかく、優しい。 寂しさも込められたものもある。 若い青年たちの言葉や行動で表現しきれなかった感情を、この本に載っている詩で少しでも感じ取ることができたような気がした。

Posted byブクログ

2023/04/19

同じテーマで違う切り口の本があるので、続けて読むと感動が薄れるところはあるものの、やはり心の深い所を揺さぶられる本だった。解説のない詩は背景を色々想像してしまう。 自分の気持ちを言葉に変えるという作業が、詩という媒体を使ってこんなにも効果があるというのに(効果を出すためにはここの...

同じテーマで違う切り口の本があるので、続けて読むと感動が薄れるところはあるものの、やはり心の深い所を揺さぶられる本だった。解説のない詩は背景を色々想像してしまう。 自分の気持ちを言葉に変えるという作業が、詩という媒体を使ってこんなにも効果があるというのに(効果を出すためにはここの教官のように背景を知り待つということが不可欠で、チームメイトの実直な感想も大きいとはいえ)、今の国語教育はあまり文を書かせない。小学生のころ灰谷健次郎を読んでいたから、もっと詩が心の更正に利用されているかと思ったけど、実際の教育現場ではそんなことなかったです。読書や作文は効果を計りにくいからかな~。 重大な犯罪者が収監されている刑務所なので、強盗、殺人、強姦、レイプなどの単語は頻出。気になるなら小学校NG。

Posted byブクログ

2023/03/19

誰も耳を傾けないところに、感情の発露はない これらの詩作品の作者はすべて、我々が絶対に関わり合いになりたくないと願うような少年たちである だから、この情動涵養プログラムを引き受けた作者の勇気には脱帽した また、強い熱意でこの情動教育を推し進めた職員の皆さんにも 犯罪者である少...

誰も耳を傾けないところに、感情の発露はない これらの詩作品の作者はすべて、我々が絶対に関わり合いになりたくないと願うような少年たちである だから、この情動涵養プログラムを引き受けた作者の勇気には脱帽した また、強い熱意でこの情動教育を推し進めた職員の皆さんにも 犯罪者である少年たちにこんな美しい心があったなんて…などと軽々しく言うつもりはない ただ一つ確かなことは 「誰も耳を傾けないところに、感情の発露はない」 彼らに感情が「無い」わけではない、彼らの生育歴において誰もそれを聞こうとしなかっただけだ 何度も繰り返されるこのメッセージと、私が逆立ちしても書けない素晴らしい作品の数々に 知らず涙していた これがどこから来る感情なのかわからない 再度、おそらく何度でも裏切られ、失望し、時には危険を感じながら、人間の可能性を諦めず本プログラムを推進した方々に賛辞を送りたい

Posted byブクログ

2022/10/11

ネグレクトでしつけも教育も無く育ったのは無責任な親のせい。犠牲者の子どもが、自分を取り戻すきっかけが与えられて良かったと思う。

Posted byブクログ

2022/10/02

☆くも 空が青いから白を選んだのです ☆言い訳にするな あの日 あの一歩を踏み出さなかったことを いまをがんばらない言い訳にするな オレ これからは いまを生きていく自分でありたい ☆言葉 言葉は 人と人をつなぐ ひと言だけで 明るくなり ひと言だけで 暗くなる 言葉は魔法 正し...

☆くも 空が青いから白を選んだのです ☆言い訳にするな あの日 あの一歩を踏み出さなかったことを いまをがんばらない言い訳にするな オレ これからは いまを生きていく自分でありたい ☆言葉 言葉は 人と人をつなぐ ひと言だけで 明るくなり ひと言だけで 暗くなる 言葉は魔法 正しく使えば たがいに楽しいし 気持ちがいいけど 間違えば 自分も相手も傷ついて 悲しくなる 言葉はむずかしい けれど 毎日使うもの 大切に使って 言葉ともっと なかよくなりたい ☆サンタさん ぼくは 余った子どもなんだ どこかに さみしいママがいたら ぼくがプレゼントになるから 連れて行ってよ

Posted byブクログ

2022/09/17

まず、純粋な「詩」として心を鷲掴みにされました。 こんな無防備な、純粋な、ストレートな言葉たち。 ほとんどの受刑者がかなり複雑で苦しく、厳しい背景を持つようですが、幼い子供が書いたようなものもあれば、中には文学や哲学に造詣が深いのでは、と思わせる詩もありました。 どのようなスタイ...

まず、純粋な「詩」として心を鷲掴みにされました。 こんな無防備な、純粋な、ストレートな言葉たち。 ほとんどの受刑者がかなり複雑で苦しく、厳しい背景を持つようですが、幼い子供が書いたようなものもあれば、中には文学や哲学に造詣が深いのでは、と思わせる詩もありました。 どのようなスタイルにしても作品として素晴らしいものばかりでした。 ほとんど初めから最後までボロボロと涙を流しながら読みました。 プログラムでは誰も仲間を否定せず、辛抱強く発表者の言葉が出るまで待ち、ひとつでも多くその子の、その作品の良いところをみつけようとし、褒めたたえ、励ましあい、認められることで自らも相手を見つめようとする素晴らしい循環。 また、子らの母への思いには、悲痛なものを感じました。 この「社会性涵養プログラム」に参加した受刑者たちは、薬物依存者や強盗、殺人、レイプなどの重罪で刑を受けている人もいるとのこと。 そこに被害者、被害者の家族が居ることを思えば安易な言葉を記せないけれど、刑務所で生まれて初めてこころの扉が開いた日から、ほんとうの意味での反省と償いの日々が始まること、生涯償うということ、刑務所の門を出た後に、生涯、薬物や悪い仲間の誘惑や孤独や世間の厳しさに耐え、ここでの仲間や先生との出会いを忘れず、しっかりと更生の道を歩んでくれたらと願わずにはいられません。

Posted byブクログ

2022/08/11

少年刑務所の受刑者が更生プログラムの中で書いた詩を集めた詩集。 少年刑務所に入るような子は育ってきた家庭環境だったり、学校、周りの大人の影響が深く関わっている。そこで心を閉ざした子が詩を自分で書く、書いた詩が他の人に受け入れられることで心を開いていく。 普通の人から見れば犯罪...

少年刑務所の受刑者が更生プログラムの中で書いた詩を集めた詩集。 少年刑務所に入るような子は育ってきた家庭環境だったり、学校、周りの大人の影響が深く関わっている。そこで心を閉ざした子が詩を自分で書く、書いた詩が他の人に受け入れられることで心を開いていく。 普通の人から見れば犯罪者としか見えないかもしれないが、この本を読むと、普通の子で、育ってきた環境が悪くてそんな形になってしまったんだと悲しみを感じ、 じぶんが育った環境に恵まれていたのだと感じた。

Posted byブクログ

2022/08/06

詩は美しく琴線にふれる 共感や自己肯定がなく罪のために刑務所に収監された子供たち みんな逃げ場がなかった、純粋とありますが刑務所のなかは決められたルーチンです 社会の荒波にまた巻き込まれないとも限りません、確かにやり直す権利は必要です  薬物ではなく傷害で収監された人もいるはずで...

詩は美しく琴線にふれる 共感や自己肯定がなく罪のために刑務所に収監された子供たち みんな逃げ場がなかった、純粋とありますが刑務所のなかは決められたルーチンです 社会の荒波にまた巻き込まれないとも限りません、確かにやり直す権利は必要です  薬物ではなく傷害で収監された人もいるはずです 死に至らしめた罪状の子供もいるはず。その方や家族の痛みは治りません。その痛みを忘れずに読む必要があります

Posted byブクログ

2022/05/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読了。 読書仲間として仲良くさせて頂いている年配の方にお勧めしてもらい、読んでみた。 奈良少年刑務所に収監されている、受刑者たちによる詩集。 (入所時の年齢は17〜26歳未満)    強盗、殺人、レイプといった重罪を犯した人達とは思えないほど 感受性豊かで 変に飾ろうとして余計な言葉を使っていない為か 真っすぐで純粋な詩ばかりだった。 受刑者に対する自分の先入観も浮き彫りになった。 〝おかん〟 という詩が心に残った。 ※一部抜粋させて頂きます 〝それが愛情のつもりか   強くするために  あえて子どもを突き放すこと  それが正しい愛情のつもりか〟 〝「あたしの育て方が 悪かったんやろか」  「おれの育ち方が 悪かっただけやろ」  それでも おかんが笑ろてると  おれもうれしくなる  あんだけ大嫌いやったはずなのに〟 育て方と育ち方。 どちらも主語が異なるが、どちらも本当に個人だけの責任にしていいのだろうか。 しかも、年齢を重ねていくうちに育ち方にだけ責任が追求されている気がする。 生まれ育った環境によって、人の一生は大きく左右されてしまう。 その人の背景を知ろうとせず 社会はつい自己責任と切り捨ててしまう。 皆んな同じ人間であって 罪を犯してしまうかどうかは ほんの紙一重の違いのような気がした。 どんなに憎くても、母親は特別な存在なのかな。 映画「すばらしき世界」に感じたような 社会の不条理と人間の心の素晴らしさが同居したような本だった。 〝空が青いから白をえらんだ〟という言葉は いろんな解釈ができる。 #空が青いから白をえらんだのです #寮美千子 #奈良少年刑務所詩集

Posted byブクログ