旅する力 の商品レビュー
深夜特急の裏話のようなものも載ったエッセイ集。作者がライターとして駆け出しの頃の時代の空気というものも感じた。エッセイ集なので深夜特急のようなものを期待するとやや肩透かしを喰らうが、それぞれのエッセイを読んでいるとやはり気分が高揚し、紹介されている書籍を読みたくなったり、深夜特急...
深夜特急の裏話のようなものも載ったエッセイ集。作者がライターとして駆け出しの頃の時代の空気というものも感じた。エッセイ集なので深夜特急のようなものを期待するとやや肩透かしを喰らうが、それぞれのエッセイを読んでいるとやはり気分が高揚し、紹介されている書籍を読みたくなったり、深夜特急で訪れていた国の政治経済歴史文化についてもっと知りたくなったりした。人に恵まれている人は、人にはたらきかける力がそもそも強いんだなと思う。うらやましい。
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バックパッカーのバイブル、深夜特急の舞台裏を描いた番外編。著者が物書きのキャリアに踏み込む過程、そして深夜特急の題材となる旅に出かけてから作品に仕上げる過程を描いている。 深夜特急を読み進めるなか、旅先の詳細な描写の秘密が気になっていたが、ノートや手紙など複数のソースを活用したこ...
バックパッカーのバイブル、深夜特急の舞台裏を描いた番外編。著者が物書きのキャリアに踏み込む過程、そして深夜特急の題材となる旅に出かけてから作品に仕上げる過程を描いている。 深夜特急を読み進めるなか、旅先の詳細な描写の秘密が気になっていたが、ノートや手紙など複数のソースを活用したことに加え、様々な仕事を経験することで深夜特急を書き進める上で必要な技術、経験を徐々に積んだこと、さらに人との出会いが重要なファクターだったのが興味深い。旅に関する様々な考察のなかで特に琴線に触れたのは、旅の適齢期について。未経験者が新たな経験をして感動するにはある程度の経験は必要であること、その世代にふさわしい旅はその世代のときにしておくべき、このあたりは僕の実感と一致している。
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『深夜特急』を読んで丁度10年目、書店で目に止まり購入した。『深夜特急』を読んだ頃は大学を休学して引きこもっている時で、この本を読んで家を飛び出してどこか旅に行ってしまえたらと強く思っていた。当時の自分も、「自分のこの気持ちは現実逃避だな」と気付いていたが、その上で、どうせ何も...
『深夜特急』を読んで丁度10年目、書店で目に止まり購入した。『深夜特急』を読んだ頃は大学を休学して引きこもっている時で、この本を読んで家を飛び出してどこか旅に行ってしまえたらと強く思っていた。当時の自分も、「自分のこの気持ちは現実逃避だな」と気付いていたが、その上で、どうせ何も持っていないのなら、無計画に、がむしゃらになってみたいと思っていた。 『旅する力』巻末の対談で、「旅に出たのは、やっぱり逃げ出すためだった」とあり、少し救われた気分になった。 本の内容は、『深夜特急』が生まれる前後の著者の物語。様々なエピソードを楽しみながら、「旅とはなんだろう」という終着点に知らず知らずのうちに向かってゆく構成だ。 私は著者のような旅をしたことはないが、いわゆる旅行は去年から頻繁におこなっている。その上で、「旅とはなにか」と思いを馳せることもあった。 先日旅行した際には、旅とは自分にとって大切なものは何なのか見つけに行くためのものなのだと考えた。心の琴線に触れたものを編み直し、自分というものが見えてくるのだと。「自分探しの旅」と、(時に冷笑的に)呼ばれるものの正体は、これなんだろうなと。 この本では、それだけでなく、自分の力の不足や自分の背丈を示してくれるのだという。旅という不確定要素の多い環境で、危険と安全の分水嶺がどこにあるのか、距離を測ることになる。あえて教訓めいた事を掬い上げるならば、偶然に対し柔らかく対応することが、旅する力の一つのようだ。 また、『深夜特急』第一便でも触れられていた、「旅の適齢期」についても改めて語られる。何かを始めるのに遅すぎるということはない、という文句はあくまでお年寄り向けのもので、私自身やはり適齢期というものはあると思う。 例えば本にしてみても、人生経験をある程度積んだからこそ分かる小説というものもあろう(分からないという思いを抱く経験もまた財産、という考え方もアリだとは思うけど)。逆に、まだ若いからこそ胸に刺さり心を揺さぶってくれる小説もあろう。 この本では、特に若さがクローズアップされる。 「~経験は大きな財産だが、未経験もとても重要な財産なのだ。本来、未経験は負の要素だが、旅においては大きな財産になり得る。なぜなら、未経験ということ、経験していないということは、新しいことに遭遇して興奮し、感動できるということであるからだ。 もしそうだとするならば、旅をするには押さなければ幼いほどいいということにならないか、という疑問が湧いてくるかもしれない。しかし、それはそうならない。きわめて逆説的な言い方になるが、未経験者が新たな経験をしてそれに感動することができるためには、あるていどの経験が必要なのだ。」 経験と未経験のバランス。いかにも難しそうだが、そのギリギリを突くことで、きっと心が締め付けられるような何かを心に刻み付けることができるのだろう。 そして、仕事や生活に忙殺されていれば、きっと時期尚早なことよりも、やり残したことの方が多くなっているのではないかと思う。今しかできないことを、時間の許す限り味わって行けたらと思った。
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私の紀行文学の最高傑作『深夜特急』。やってみたかったの だよね、アジアからヨーロッパまで乗り合いバスで行く旅。 憧れながらも結局は実行できずに今まで来てしまった。でも、 今から同じような旅をしようとしても、気力・体力共に衰え ているなら無理なんだよね。 本書のなかで...
私の紀行文学の最高傑作『深夜特急』。やってみたかったの だよね、アジアからヨーロッパまで乗り合いバスで行く旅。 憧れながらも結局は実行できずに今まで来てしまった。でも、 今から同じような旅をしようとしても、気力・体力共に衰え ているなら無理なんだよね。 本書のなかで著者も書いているが、旅をするには適齢期がある のだ。そう考えると、もう若い頃に憧れた旅のスタイルは憧れ のままで終わるのが自然なのだと思う。 だから、本書は私の憧憬を再認識する為の読書でもあった。大学 卒業後の著者が物書きになったきっかけや、その時に培った人脈、 『深夜特急』が生まれるまでの過程、旅に出る為の荷造りメモ、 訪れた地でのエピソードが満載。 若き日の著者はとにかく周囲の人たちに恵まれていたのではないか と感じた。それは著者の人柄が、そういう人たちを惹きつけたこと もあるのだろうな。 だって、サイン会では流れ作業的にサインをするだけではなく、会場 に訪れた人たちと必ず会話することを心がけていたというのだもの。 このサイン会でのファンとのやり取りが一部収録されており、著者の 人に接する時の温かさも伝わって来る。特に小学生の男の子との会話 にはほっこりさせられた。 『深夜特急』を読み、その世界に魅了された読み手には2度おいしい 作品である。 映像版「劇的紀行 深夜特急」に出演した大沢たかおとの対談も収録 されている。 こうやって『深夜特急』誕生前夜からのエッセイを読んでしまうと、 本編を再読したくなる誘惑と、旅に出たくなる衝動と闘わなけれな らないことにある。 あ~~~、行きたいっ!アジアからヨーロッパまで。 あ、極東ロシアからモスクワまでは行ったことがあるぞ。シベリア鉄道 だったけどね。モスクワに到着したした時、「さらばシベリア鉄道」を 口ずさんでいたわ。
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沢木耕太郎の『深夜特急』、ロバート・ハリスの「Vintage Garage」、堀内貴之の「Radio Rover」、野村訓市の「Traveling without Moving」、NHK「世界はほしいモノにあふれてる」、NTV「アナザースカイ」、KTV「にじいろジーン」の合わせ技...
沢木耕太郎の『深夜特急』、ロバート・ハリスの「Vintage Garage」、堀内貴之の「Radio Rover」、野村訓市の「Traveling without Moving」、NHK「世界はほしいモノにあふれてる」、NTV「アナザースカイ」、KTV「にじいろジーン」の合わせ技一本で旅への憧憬を抱くことになった私にとってこの作品は私自身の旅を振り返るきっかけであり、またこれからの旅の指針ともなっていくのでしょうか。
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深夜特急は初めて訪れたインドで読み、自分の今置かれてる旅と照らし合わせて読んだりしたものだがこれはなんだかつまらなかった。 というか、二十代のときに出た旅のことを振り返る感傷的なおっさんの愚痴というふうにしか読めなかった。 旅への憧れというのは誰にでもあるのかもしれないが、特別視...
深夜特急は初めて訪れたインドで読み、自分の今置かれてる旅と照らし合わせて読んだりしたものだがこれはなんだかつまらなかった。 というか、二十代のときに出た旅のことを振り返る感傷的なおっさんの愚痴というふうにしか読めなかった。 旅への憧れというのは誰にでもあるのかもしれないが、特別視するあまりに失うものも得るものもあると書いてあるがそれは本当にそうなのだろう。
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旅には、その年代しかできない旅というものがある。 旅を通して、自分の無力さを知ることができる。 実際的な旅だけでなく、人生という旅についてより深く捉える上で、沢山のヒントが散りばめられた良作。
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20180329 『深夜特急』の最終便として書かれた集大成としての作品。深夜特急が完成されるまでの裏話や、旅を出る時の心構えが書かれ、デリー初ロンドン行の旅から数十年経っているだろうが、今なお情熱に溢れている作品だ。 旅の適齢期と、旅をする意味=自分を試すことは、下記記載の通り、...
20180329 『深夜特急』の最終便として書かれた集大成としての作品。深夜特急が完成されるまでの裏話や、旅を出る時の心構えが書かれ、デリー初ロンドン行の旅から数十年経っているだろうが、今なお情熱に溢れている作品だ。 旅の適齢期と、旅をする意味=自分を試すことは、下記記載の通り、沢木氏から学んだことである。自分がなぜ旅をしたいのか、色々な新しい文化・味・匂い・音・景色を感じたいのか考えたい。今陳腐な言葉で記載することはしたくないが、漠然として持っている核を言葉にして、周りにも共有できるほど育てて行きたい。 恐れずに。しかし、気をつけて。 旅立つすべての人へのメッセージ。裏表紙からすでに旅への情熱がほとばしる。 26歳になる年である。情熱を新たに、自分が為すべき道とは。 旅=途上にあること →人生と同義 余儀ない旅+夢を持つ旅 →自分ならではの旅 経験と未経験の配分 →20代、26歳辺り=旅の適齢期 予期しないことが起こると、予期しているか。 その経験が積めるのが旅
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2012年に読み終わっている。2018年東南アジア旅行に携帯する。殆ど記憶に残っていない。時々、この部分は読んだという記憶が蘇る。読み返しても読み返してもこれはという部分が出て来る。それだけ僕も旅行の経験を積んで来たおかげだろう。
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深夜特急を読んでから何年になるんだろう。サラリーマンとして仕事に追われ、結婚し子どもができて生活のために全ての時間を費やしてきた。それが自分のしたい事なのかとか考えたこともなかった。20代には1度も旅をしないで過ごした。それ以降もひとり旅などしたこともなかった。今にして思えば、人...
深夜特急を読んでから何年になるんだろう。サラリーマンとして仕事に追われ、結婚し子どもができて生活のために全ての時間を費やしてきた。それが自分のしたい事なのかとか考えたこともなかった。20代には1度も旅をしないで過ごした。それ以降もひとり旅などしたこともなかった。今にして思えば、人生の大きな悔いかも。今さら取り返すことは不可能か。
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