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族長の秋 の商品レビュー

4.1

53件のお客様レビュー

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    18

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2023/11/03

非常に難解でした。読み始めて20頁くらいでくじけそうになり、他の人の感想に、意味分からなくて大丈夫とあったので、そういうものだと思って読み進めました。偉大な作家なのでしょうが、私には難しすぎました

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2023/10/29

『これらの時代の愛』は好きではなく、『百年の孤独』は好きだったマルケス。久しぶりによんだ今作は好きだったのでたぶん好きな作家だなとようやく思えるようになった。 日本に生まれ育った自分なんぞには及びもつかない生が連ねられている小説。 金井美恵子もそうだけど読む人を選ぶ文体だなと...

『これらの時代の愛』は好きではなく、『百年の孤独』は好きだったマルケス。久しぶりによんだ今作は好きだったのでたぶん好きな作家だなとようやく思えるようになった。 日本に生まれ育った自分なんぞには及びもつかない生が連ねられている小説。 金井美恵子もそうだけど読む人を選ぶ文体だなと思うけど。自分は「われわれ」という語り手のこの文体が好きだった。 装丁も好き。牛さんかわいい。

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2023/01/27

大好きな小説。何度読み返しても凄い。 残酷で目を背けたくなるシーンなのに、なぜか滑稽で思わず笑ってしまう。最上級のブラックユーモア。 改行無しという特殊な構成に加えて、目眩くマジックリアリズムの世界〜 そこはかとなく漂うカラッとした妙ちくりんな明るさ。 私の好きなものが、物語を愛...

大好きな小説。何度読み返しても凄い。 残酷で目を背けたくなるシーンなのに、なぜか滑稽で思わず笑ってしまう。最上級のブラックユーモア。 改行無しという特殊な構成に加えて、目眩くマジックリアリズムの世界〜 そこはかとなく漂うカラッとした妙ちくりんな明るさ。 私の好きなものが、物語を愛する理由がこの小説には全部詰まってる。

Posted byブクログ

2023/01/07

著者、ガブリエルガルシア=マルケスさん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。 ---引用開始 ガブリエル・ホセ・デ・ラ・コンコルディア・ガルシア・マルケス(Gabriel José de la Concordia García Márquez,...

著者、ガブリエルガルシア=マルケスさん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。 ---引用開始 ガブリエル・ホセ・デ・ラ・コンコルディア・ガルシア・マルケス(Gabriel José de la Concordia García Márquez, 1928年3月6日 - 2014年4月17日)は、コロンビアの作家・小説家。架空の都市マコンドを舞台にした作品を中心に魔術的リアリズムの旗手として数々の作家に多大な影響を与える。1982年にノーベル文学賞受賞。 ---引用終了 で、本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 大統領は死んだのか?大統領府にたかるハゲタカを見て不審に思い、勇気をふるい起こして正門から押し入った国民が見たものは、正体不明の男の死体だった。複数の人物による独白と回想が、年齢は232歳とも言われる大統領の一生の盛衰と、そのダロテスクなまでの悪行とを次々に明らかにしていく。しかし、それらの語りが浮き彫りにするのは、孤独にくずおれそうなひとりの男の姿だった。 ---引用終了 ラテンアメリカ文学から1冊、ということで手にした作品ですが、改行がなく、読みにくい作品でした。 なお、ラテンアメリカ文学について、次のような記述がありました。 ---引用開始 1967年に発表されたガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』は、世界の30か国以上の国語に翻訳され、全世界で3600万部以上の世界的ベストセラーとなった。現在もラテンアメリカ文学のみならず、諸芸術、世界文学に大きな影響を与え続けている。世界中の文学者や小説家のみならず、読書家に至るまで、ラテンアメリカ文学というジャンルを世界に認知、紹介させた作品として特筆しておく。 ---引用終了

Posted byブクログ

2021/11/18

大統領のモデルは,ドミニカ共和国で長期間にわたる独裁政治を敷いたトゥルヒーリョらしく,これはバルガス=リョサ『チボの狂宴』でも扱われている。 語り手がどうとかで思い出すのは『千夜一夜物語』で,それでは一人の語り手が多数の物語を展開していた。『族長の秋』はさらに面倒で,語り手は安...

大統領のモデルは,ドミニカ共和国で長期間にわたる独裁政治を敷いたトゥルヒーリョらしく,これはバルガス=リョサ『チボの狂宴』でも扱われている。 語り手がどうとかで思い出すのは『千夜一夜物語』で,それでは一人の語り手が多数の物語を展開していた。『族長の秋』はさらに面倒で,語り手は安定しないし雑音を多く含む。 肝心の作品本体はというと,特に面白くもないダラダラした文章という印象に止まる。いくらイメージで殴ったところで,それは文学の力なのか?

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2021/08/07

1982年、ガルシア=マルケスのノーベル文学賞受賞の理由として『現実的なものと幻想的なものを結合させて、ひとつの大陸の生と葛藤の実相を反映する、豊かな想像力の世界」を創造した』が挙げられた。(本書解説より) 本作品の要諦としては架空のラテン小国の独裁者の暴虐と孤独であるが、あら...

1982年、ガルシア=マルケスのノーベル文学賞受賞の理由として『現実的なものと幻想的なものを結合させて、ひとつの大陸の生と葛藤の実相を反映する、豊かな想像力の世界」を創造した』が挙げられた。(本書解説より) 本作品の要諦としては架空のラテン小国の独裁者の暴虐と孤独であるが、あらすじを語ることは難しい。段落を排し高精度カメラで撮影した連続した凝縮されたコマをひたすら見えられるような、そんな感覚に陥る。政治というリアリティと寓話的なイマージナルが相互に織り成されマルケス氏の才能にただただ圧倒される。文学という表現手段の持つ可能性の、ひとつの到達点だと思う。テーマ性やメッセージ性はあまりないので一般的にはお薦めしにくいが文学好きは必ず読むべきだ。

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2021/04/24

ノーベル文学賞を受賞したコロンビアの作家ガルシア・マルケス。マルケスの作品の中で最も難解とされる「族長の秋」。100年以上、大統領に君臨した独裁者の物語。権力者としての孤独と猜疑心をふり払うかのように、たてつく者を虐殺していく。段落や会話のカギ括弧がまったくなく、時間の流れも縦横...

ノーベル文学賞を受賞したコロンビアの作家ガルシア・マルケス。マルケスの作品の中で最も難解とされる「族長の秋」。100年以上、大統領に君臨した独裁者の物語。権力者としての孤独と猜疑心をふり払うかのように、たてつく者を虐殺していく。段落や会話のカギ括弧がまったくなく、時間の流れも縦横無尽に書かれているのが特徴。10巻の歴史小説を読破した時くらい脳に汗をかく作品。残虐非道な所業さえもコミカルに感じたが、このような修辞的な表現が味わいなのだろうか。【印象的な言葉】死への恐怖は、いわば幸福の埋火なのです。

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2022/09/09

ノーベル賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの 独裁者小説。 クーデターによって三軍の最高司令官に推挙され、 新大統領となった男は英国艦隊を後ろ盾としていたが、 それを可能ならしめたのは、領事を相手に 夜毎ドミノ勝負に勤しんだためだった――という 中南米の(架空の国の)独裁者、...

ノーベル賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの 独裁者小説。 クーデターによって三軍の最高司令官に推挙され、 新大統領となった男は英国艦隊を後ろ盾としていたが、 それを可能ならしめたのは、領事を相手に 夜毎ドミノ勝負に勤しんだためだった――という 中南米の(架空の国の)独裁者、 名前のない大統領の人生の黄昏。 側近たちが自分を尊敬も信頼もしておらず、 ただ権力の犬に過ぎないことを察しながらも 黙々と道化を演じ続けた男の、暴虐と表裏一体の不安と孤独 ――お決まりの強迫的な就眠儀式がよくそれを反映している――、 老境に至ってもずっと幼児のような内面、 シングルマザーだった母への愛情と尊敬と甘えが、 複数の人々の入り組んだ語りで描出されている。 一つの章が一段落で綴られた極めて息の長い文章で、 視点が様々に切り替わるので、 初めは少々読みにくかったが、すぐに慣れた。 未成熟なまま取っ散らかって内部から腐っていく 小国の衰亡記に相応しい語り口ではなかろうか。 一国の頂点に据えられたと言っても、 特別な能力があるわけでなく、 むしろ凡庸な人物だからこそ、 特権階級の連中にいいようにあしらわれるべく 神輿として担ぎ上げられたのではないかと思わされる 情けない大統領。 政権の運営には占いや母の何気ない言葉を必要とするし、 身体的なコンプレックスは強いし……といったところで、 現実の現代社会にも生き残っている独裁者の内情なぞ、 案外こんなものかもしれないと考えたが、 マザコンで非識字者 ――ちなみに、影武者をより自分に似せるため、 リテラシーを抹消するよう迫ったが成功しなかった――、 一目惚れして強引に娶った若い妻(元修道女見習い)から 読み書きを教わったエピソードなど、 不快な人物だというのに、どこか微笑ましく、 可愛げを感じてしまったのだった。

Posted byブクログ

2020/04/10

病的なモノローグ。 行政府の長というのは長く居座っていてはならない。 およそ現代の政治学では1期4年、2期まで(計8年)3選は禁止という欧州・北米の大統領制・議院内閣制で設けられる限界がその指針となっている。 とはいえ、日本の市民・政治家共にその常識的指標を知らないのか、軽...

病的なモノローグ。 行政府の長というのは長く居座っていてはならない。 およそ現代の政治学では1期4年、2期まで(計8年)3選は禁止という欧州・北米の大統領制・議院内閣制で設けられる限界がその指針となっている。 とはいえ、日本の市民・政治家共にその常識的指標を知らないのか、軽視しているのか、無視しているのかはわからないが3選・4選が多々みられている。 この物語は年齢不明・時代不詳の南米の大統領と「われわれ」が主人公となる。 しかし、この語り手は大統領なのか、われわれなのか、そしてわれわれとは一体何者なのだろうか。 今目で追っている文章はどの主体が何について話していたのだろうか、と混乱を生む。 この物語は科学・客観・文脈が損なわれる。 権力の象徴でも行政府の長という役割でもなく、この大統領は権力そのもの、国家そのものだ。 しかし、人治は長引かずやがて形骸化し、知らず知らず統治機構が不十分だが機能をはじめる。 従って、人治ではなく法治へ移行する。 人治がなぜ善くない統治で、そこに正義・正統性がないかについては旧くはマキャベリの古代の王政の議論に始まり、ホッブス、モンテスキュー、ノージック、サンデルと自由主義思想の議論と変遷に見出せる。 しかし、この本はあくまでも小説であって物語であるはず。にも関わらず、体験として物語という感覚を抱きにくい。 それはこの文体に依るものが大きいと感じる。 この文体は支離滅裂であって、思考解体に近い奇異さである。 文脈も人称もなく、年齢・場所・立場も曖昧というよりも拡散してしまっている。 最重度の妄想幻覚状態という恐ろしい推測を立ててしまう。 思えば時系列もめちゃくちゃで、刺激に即行的に反応し、文脈は解体。 エピソードもおよそ了解不可能である。母親からの声が聞こえる幻聴等々、これらを症状として読み取れてしまう。 だからこそ途切れのない、支離滅裂な独語が延々と続いてしまう。 この物語が読みにくいというのは恐らく通常の反応だと思う。 これは物語というよりも病的なモノローグへの暴露体験といった方が良いのかもしれない。

Posted byブクログ

2019/10/09

永年にわたり独裁者として君臨してきた大統領が死んだ。108歳とも232歳ともいわれる大統領は本当に死んだのか。ハゲタカに食い荒らされた死体は本当に彼なのか。 『予告された殺人の記録』、『エレンディラ』に続くマルケス3冊目。 「魔術的リアリズム」にもだいぶ慣れてきましたが、語り手...

永年にわたり独裁者として君臨してきた大統領が死んだ。108歳とも232歳ともいわれる大統領は本当に死んだのか。ハゲタカに食い荒らされた死体は本当に彼なのか。 『予告された殺人の記録』、『エレンディラ』に続くマルケス3冊目。 「魔術的リアリズム」にもだいぶ慣れてきましたが、語り手も回想シーンの時代もころころと移り変わっていく今回の文体にはびっくり。 いったい今がいつの話なのか、この思い出は大統領の幻想なのか、それともすべてが壮大なホラ話なのか、よくわからないまま。 独裁政権が長すぎて、彼自身が出した覚えのない命令によって政治が動き、ほかのものが作り出した大統領の幻影だけが世間に流れる。あまりに昔のことなので彼が権力を掌握していた時代を誰も覚えていない。権力の残像として存在する大統領。 母親も愛人も腹心の部下も政敵も彼の前から消えていって、誰も彼のことを思い出さなくなってもひとり生き残っている大統領。その壮絶な孤独。 残虐でグロテスクですらあるのに「聖と俗」でいえば「俗」だけで描かれる彼の長い長い人生。 まったく、一筋縄ではいかない作品ですが、めちゃくちゃおもしろかったので『百年の孤独』もこんな感じでいけるんでは。 以下、引用。 よそ者は照れるようすもなく答えた、祖国のために命をささげることぐらい名誉なことはない、と思っています、閣下。相手を哀れむような笑いを浮かべて、大統領はそれに答えた、ばかなことを言うもんじゃない、いいかね、祖国とはつまり、われわれが生きていることだ。 おふくろよ、ベンディシオン・アルバラドよ、女って、どうしてこう、手綱を取りたがるんだろう、なぜ、男みたいに振る舞いたがるんだろう。 持っていきたければ、なんでも持っていけばいい、ただ、この窓から見える海だけは困る、分かってほしいんだな、いつもそうだが、あたりが炎を吹き上げる沼のようになるこの時刻に、海を眺めることができないとなったら、このだだっ広い建物のなかで、わしは、いったい何をすればいいのかね、 さんざん苦労して、これがその結果か、畜生、権力というのは結局、いかれた連中がうろうろしているこの建物、人間そっくりな、焼け死んだ馬のこの臭い、わびしいこの夜明けなのか、 真実はたくさんだ、聞けば信じたくなるからな。 これでは生きているとは言えない、ただ生き永らえているだけだ、どんなに長く有用な生も、ただ生きるすべを学ぶためのものに過ぎない、と悟ったときはもう手遅れなのだと、やっと分かりかけてきたが、しかしそのために、いかに実りのない夢にみちた年月を重ねてきたことか。

Posted byブクログ