族長の秋 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ラテンアメリカ独特の蒸し返すような暑さと腐敗臭が漂う作品。アルコホル度数の高いお酒を飲みながら音読してみたい。フツカヨイのような酩酊感が味わえそう。 この作品を読んで、メキシコの画家、フリーダ・カーロの強烈な作品群を思い出しました。バス事故での怪我、奔放な恋愛、夫のリベラとの複雑な関係など、エピソードに富んだ彼女はマルケスの登場人物のよう。 『族長の秋』についてはスカトロ、バイオレンスがここまで饒舌に語られると私の感受性では消化出来ない(したくない)というのが正直な感想。 人称もばらばら。映画にするならカメラワークやショットの繋ぎ方で苦労するだろう。文学でしか出来ないことというのはこういうことか、と再認識しました。 マルケスを沢山読んだとはいい難いですが、『百年の孤独』は神話、『予告された殺人の記録』は緻密に構成されたミステリ、『エレンディラ』は大人のための童話として好きです。ただ、この作品はどうしても受け入れられなかった。ファム・ファタールが好きな私には男性色が強いこの作品は皮膚感覚で受け入れられないのだろう。 印象論だが、独裁者である大統領に感情移入してしまった。彼がやっていることは倫理的には許しがたいことですが、独裁者って孤独。お母さまも死んでしまうしね。 因みにこの感想は私の政治的な立ち位置とはまったく関係ありません。
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魔術的リアリズムって要は噂に背びれ尾びれのついた世間話をいかに小説として読ませるかだよな、というのが読了直後の感想。滅多に姿を見せない年齢不詳の独裁者とくれば、そりゃ民衆の噂話の格好の的だろう。影武者が亡くなった後の大統領のエピソードは全て民衆の妄想話だったとしても何もおかしくは...
魔術的リアリズムって要は噂に背びれ尾びれのついた世間話をいかに小説として読ませるかだよな、というのが読了直後の感想。滅多に姿を見せない年齢不詳の独裁者とくれば、そりゃ民衆の噂話の格好の的だろう。影武者が亡くなった後の大統領のエピソードは全て民衆の妄想話だったとしても何もおかしくはない。それにしても睾丸のヘルニアといいやたらと出てくる糞や小便の話といい、ラテンアメリカの気候と合間って、一切の改行を廃した文章からむせ返るような強烈な匂いが立ち込めている。最後の1頁を読み終えた時、ようやく夏が終わるのを感じた。
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GUEST 037/作家・筒井康隆:スミスの本棚:ワールドビジネスサテライト:テレビ東京 http://www.tv-tokyo.co.jp/wbs/blog/smith/2011/07/post115282.html
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南米文学らしい頭がぐるぐるする感じ。あんまり細かく読まずに勢いで読む方がよい。遠いときを見通すようなそんな感覚を抱く。百年の孤独より登場人物は多くないが、しょっちゅう視点が変わるため、読みにくい。
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2012年11月の課題本です。 開催日 : 11月18日(日)受付開始16:00 読書会16:30~18:30 ドレスコード : エスニック お申し込みは下記HPからお願い致します。 http://www.nekomachi-club.com/
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とてつもなく長いのに、そして内容も分かり辛いに、文章が綺麗だと感じた。例えがなるほどなと感じるものも多い。
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作者は現実とは隔絶された完全なファンタジー(例としてディズニーが挙げられていた)は書かないスタンスらしく、そうであるなら風変わりな登場人物達も理解できそう。 大統領も、その部下も、母親も、特定の個人というより抽象化されたもので、ラテンアメリカの現実と作品とを見比べることでその意...
作者は現実とは隔絶された完全なファンタジー(例としてディズニーが挙げられていた)は書かないスタンスらしく、そうであるなら風変わりな登場人物達も理解できそう。 大統領も、その部下も、母親も、特定の個人というより抽象化されたもので、ラテンアメリカの現実と作品とを見比べることでその意味がより深く感じられると思う。 知識が足りず消化不良なので改めて読みたい。
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初めてのガルシア=マルケス作品だった。独裁者とその周辺の人物が織り成す摩訶不思議な物語。周辺の人物は、配下の将軍などの兵卒を始め、市民、正妻、影武者そして母親。いずれも一筋縄ではいかない性格と印象的なエピソードの持ち主たちだった。特に、ある部下のひとりが謀反の疑いをかけられた末、...
初めてのガルシア=マルケス作品だった。独裁者とその周辺の人物が織り成す摩訶不思議な物語。周辺の人物は、配下の将軍などの兵卒を始め、市民、正妻、影武者そして母親。いずれも一筋縄ではいかない性格と印象的なエピソードの持ち主たちだった。特に、ある部下のひとりが謀反の疑いをかけられた末、こんがりと焼き上がった宴会料理として供されるシーンは印象的だった。 みながみな独裁者を恐れ服従しているのではなく、むしろ彼の権力を利用しおこぼれを頂戴しているのはショックだった。が、絶対的な権力は存在しないというメッセージもなるほどという感じだった。
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まとまった読書の時間が取れなかったといえ、読み終えるのに一カ月弱かかってしまった。 まず驚くのは、300ページ以上の本でありながら、改行がたったの6回しかないこと。 そして連なる怒涛の破天荒エピソード。 本の帯の宣伝文にはまるで大統領が悪逆非道であるかのように書かれていたが、全然そんなことはなくて、むしろ大統領がカワイソウになってくる… 本当に心を許すことのできた唯一の人物である母親が亡くなり、生き返ったと思ったら剝製だったなんて… マジックレアリスムだから人が生き返るのも別に不思議じゃない、なんて思ってたら剝製かよ!酷いよ!
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百年の孤独よりも,もっと湿気が高くて空気が濃い感じがする.読むのにはかなり我慢が必要だったが,一見,互いに関係ないように見える過去の出来事の羅列から,ぼんやりと,そして段々はっきりと,孤独な独裁者の姿が浮かび上がる.全然関係ないが,昔読んだ猪瀬直樹の「ミカドの肖像」を思い出した.
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