族長の秋 の商品レビュー
ラテンアメリカ文学は表現が独特すぎて最初だいぶびっくりする。とはいえ読んだ気がしないことになりそうなのに結局読ませちゃうからすごい。わたしにとって洗礼となったのは「族長の秋」。翻訳してる人もすごいなと思う。 個人的には族長の姿が典型的な王さまの赤マントに金色のクラウン、小ピク...
ラテンアメリカ文学は表現が独特すぎて最初だいぶびっくりする。とはいえ読んだ気がしないことになりそうなのに結局読ませちゃうからすごい。わたしにとって洗礼となったのは「族長の秋」。翻訳してる人もすごいなと思う。 個人的には族長の姿が典型的な王さまの赤マントに金色のクラウン、小ピクセル画で想像されてしまう。
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訳:鼓直、解説:中島京子、原書名:EL OTO?O DEL PATRIARCA(García Márquez,Gabriel)
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強烈な臭気と熱気と熱情と、どん底に引き摺り込まれそうな孤独感に何度も心折れながら読んだ。とても苦しく、死にたくなるほど寂しい物語だけど、これがガルシア=マルケスの真髄だと思った。
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再読。 改行もないし、語り手の視線もコロコロと変わるので、読みづらい、理解しづらいという人も多いかと思うが、僕は割とスラスラと読めた。 改行のなさはちょっと圧倒されるかも知れないが、視線の変化はごくごく自然だと思えたし、必然なことのようにも思えた。 独裁者の物語、な...
再読。 改行もないし、語り手の視線もコロコロと変わるので、読みづらい、理解しづらいという人も多いかと思うが、僕は割とスラスラと読めた。 改行のなさはちょっと圧倒されるかも知れないが、視線の変化はごくごく自然だと思えたし、必然なことのようにも思えた。 独裁者の物語、なのだろうか。 確かにそうなんだろうけど、一般的なイメージの独裁者とはかなりかけ離れていると思う。 少なくとも僕のイメージしている独裁者はここにはいない。 マザコンで、お人よしで、奥さんの暴挙にも何も言えず、魅力的な部下にはいいように使われ、孤独で、自己表現が下手、いつまでもくよくよと過去に固執し、さびしがり屋。 そこには人々を恐怖に陥れるだけのパワーもカリスマ性もない。 そこらへんにいるヨボヨボのたんなる老人にも思える。 独裁者なんて、しょせんはそんなもんさ、ということなのだろうか。 読んでいて、少し自分に似ているところもあるな、と感じたので、この大統領と自分との共通点をつらつらと考えてみた。 そうか、大統領も僕も一人っ子だ。 だからどうした、と言われそうだが、案外重要なキーが隠されているようにも思える。 ガルシア=マルケス自身には兄弟がいたようだが……。
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10年くらい前に読んだ「百年の孤独」以来2冊目のガルシア・マルケス。南米の空気を思わせる(行ったことないけど)ねっとりとしていて、過剰で混沌とした語り口は健在で、読みにくいことこの上ないが麻薬的な魅力があって、読み始めるともっとそれを求めている自分がいることに気づく。冒頭、とある...
10年くらい前に読んだ「百年の孤独」以来2冊目のガルシア・マルケス。南米の空気を思わせる(行ったことないけど)ねっとりとしていて、過剰で混沌とした語り口は健在で、読みにくいことこの上ないが麻薬的な魅力があって、読み始めるともっとそれを求めている自分がいることに気づく。冒頭、とある国の大統領が死んでいるシーンから始まるが、気がつくと大統領の悪逆な過去の言動について過剰な情報量と独特の形容で延々と語っていく。話が一区切りすると、また大統領が死んでいるシーンで始まり、それが過去の言動につながり…というのを何度も繰り返すので、ぜんぜん話が前に進まず、同じところをぐるぐる回っているような、ここからは出られないんじゃないかという絶望感とともに読むことになる。「百年の孤独」はまだしも話が進んでいったのでのめり込み方も強く、後半は一気に読めたものだが、この「族長の秋」は最後まで読むのがキツかった。個人的には面白かったけど、他人には薦めにくい一冊。
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所詮彼は奸智蠢く「大統領」の器ではなかった。 むしろ「部族長」の器だった。 残忍で甘えん坊な人間臭い人。
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改行のない文章、主語が変わり誰が誰を語っているのかわからなくなり、どきどき前に戻って読み返すが、読みづらくはない。 「おもしろいのか?」と問われると「おもしろい」とは即答できないが、読み始めたら読み続けてしまう。残酷でグロテスクだが、大統領の孤独が感じられ、かわいそうになる。 ...
改行のない文章、主語が変わり誰が誰を語っているのかわからなくなり、どきどき前に戻って読み返すが、読みづらくはない。 「おもしろいのか?」と問われると「おもしろい」とは即答できないが、読み始めたら読み続けてしまう。残酷でグロテスクだが、大統領の孤独が感じられ、かわいそうになる。 ところどころ「何かの映画であったような」「何かの本でよんだような」そんなイメージが浮かぶのは、ところどころで人の真理に触れているからなのだろうか?
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金ぴかの大統領。なんでも自由に贅沢に思うがまま。自分の障害になる事は全て部下が力ずくで排除していく。予言のような占いに長寿を保障されながらやがて猜疑心で全て排除していく。酷い出来事だけでなく独裁者の愛についても平行して描かれていたのが魅力的だった。豪華な大統領邸の謁見バルコニーに...
金ぴかの大統領。なんでも自由に贅沢に思うがまま。自分の障害になる事は全て部下が力ずくで排除していく。予言のような占いに長寿を保障されながらやがて猜疑心で全て排除していく。酷い出来事だけでなく独裁者の愛についても平行して描かれていたのが魅力的だった。豪華な大統領邸の謁見バルコニーに牛、安っぽく色をつけられた鳥、ヘルニアをぶら下げみじめに徘徊する老独裁者、やがて生きながら海と同化するように腐りゆく。西洋と違い、腐敗と悪臭と華麗な権力と惨めさと傲慢と卑屈と血と性と愛…全てを等しく内包するラテンアメリカ。強烈であった。
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まず、何もかもが過剰な小説である。イメージの氾濫、煌めき、そしてそれらが収斂することなく物語世界がモザイクのように拡散してゆく。この世界はまさしく熱帯雨林のイメージそのものだ。多様な植物が過剰に繁茂し、その下影にもシダ類が繁殖し、またどこにどんな動物が潜んでいるのかわからない。空...
まず、何もかもが過剰な小説である。イメージの氾濫、煌めき、そしてそれらが収斂することなく物語世界がモザイクのように拡散してゆく。この世界はまさしく熱帯雨林のイメージそのものだ。多様な植物が過剰に繁茂し、その下影にもシダ類が繁殖し、またどこにどんな動物が潜んでいるのかわからない。空中や地上には綾なす色彩に溢れた鳥も飛び交うし、川には魚類や爬虫類も数多生息するだろう。訳文ではあるが、おそらくはスペイン語原文も、いつ終わるともなく連綿と果てしなく物語を語り続けるのだろう。荒廃しながらも廃墟にはならない神話だ。
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ストーリーなんてないようなものだけれど、なんか知らない内に引き込まれて読み終えてしまった。きちんと細部に注意しながらもう一度読みたい。
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