族長の秋 の商品レビュー
マルケス死去。これがラテン文学との出会いです。 死去の報を聞き、再読しました。読んだ時に感じる熱波のような熱さと乾いた空気。これを読んでいなければ、おそらくいまだにラテン文学に興味を持つことはなかったでしょうね。ご冥福を祈ります。
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※このレビューにはネタバレを含みます
いや~、読みにくいし、まあほとんどのイメージが極東の読者には分かりづらいもので、段落、改行なしの文体とあいまって、兎に角読むのに困りました。とはいえ、2011は独裁者の当たり年だったので、それなりのタイムリー感もあり、読み終えることができました。「独裁」たるもののメカニズムはどっかの首長のように「独裁で何が悪い」なんて開き直れるほどのヤワなもんではない、当たり前だが、という話。裸体盛ならぬ、おっさんの丸焼きなんて、マイナス方向での強烈なイメージは忘れられないものがあります。
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一回読んだくらいでは理解できない。でもすんごいのは肌で感じる。 章が変わる以外では改行も無く、視点が異なる様々な語りや会話が入り混じり、時間もいつの間にか逆行し、その上高密度なエピソード。 まるでうず潮のように、はじめはゆっくりと進んでいたのにいつの間にかトンデモナイ速さで奥深...
一回読んだくらいでは理解できない。でもすんごいのは肌で感じる。 章が変わる以外では改行も無く、視点が異なる様々な語りや会話が入り混じり、時間もいつの間にか逆行し、その上高密度なエピソード。 まるでうず潮のように、はじめはゆっくりと進んでいたのにいつの間にかトンデモナイ速さで奥深くに引き込まれるような感覚。 登場する独裁者は側近や強国に祀り上げられた裸の王様のようでもあるけどそう単純でも無い。例えば、自分の子供へのたったひとつの忠告「権威と指揮権を与えられた者が生涯に一度も犯すことが許されない、たったひとつの過ちは、実行に移されることに確信のない命令を下すことだ。」は特に印象に残った。 また、残酷な場面はもちろん、<大統領府のバルコニーから暮れなずむ空を眺めている牛>、または鳥や牛の糞等々、視覚や嗅覚に響く描写が目白押しである。 兎に角、再読必至!!
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■ やっぱり、文体の感想から書いてしまう。 300ページで6回ぐらいしか改行がない、とレビューしている人がいるくらいだ。 幸い句読点はある。 ■ 架空の南米の小国。 独裁政権を築く大統領の話。 物語の文体は語り手の主語がわかりにくい。 作者はそれを意識して書いている。 改行...
■ やっぱり、文体の感想から書いてしまう。 300ページで6回ぐらいしか改行がない、とレビューしている人がいるくらいだ。 幸い句読点はある。 ■ 架空の南米の小国。 独裁政権を築く大統領の話。 物語の文体は語り手の主語がわかりにくい。 作者はそれを意識して書いている。 改行がない、語り手の主語がない。 ひとつづきの段落のなかで、物語の進行は語り手が入り交じる。 会話文としての「」も少ない。 ■ 作者は集合意識を書こうとしている、と解説では表現している。 なるほど。 わかるような気もする。 けれども、僕自身の言葉としては表現できない。 ■ 正直、50ページ過ぎたあたりで先人のレビューから読解のヒントとか、おもしろさを紹介してもらわないともう限界だ、と音をあげはじめた。 ■ この本のおもしろさは、”読むという体験””物語の世界を味わうこと”そのものにあると言えるかもしれない。 そんな言い方しか、できないなあ。 色鮮やかな表現、匂ってきそうな糞だらけの描写、暑苦しい気候。 それらの描写とともに、眩惑するような文章が出てくる。 ■ この小説の内容評価をわかりやすく書いているレビューがあったら、どなたか教えてください。 この小説のレビューを書く人は文体のことを書く人が多い。 みんな読むのに苦労したんじゃないかと思う。
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独裁政権の大統領が年老い、落ちぶれていく過程を描いたラテンアメリカの小説。主観なのか客観なのか分かりにくい混沌とした文章が、章分け部分を除いて一つの段落として続くという実験的手法がとられている。 意外にサラッと読めた。なるほど、確かにこの文章だとこの手法以外とれないだろう。「...
独裁政権の大統領が年老い、落ちぶれていく過程を描いたラテンアメリカの小説。主観なのか客観なのか分かりにくい混沌とした文章が、章分け部分を除いて一つの段落として続くという実験的手法がとられている。 意外にサラッと読めた。なるほど、確かにこの文章だとこの手法以外とれないだろう。「彼は……」と客観視点で語っていたら突如「閣下、」と誰かが大統領に話しかけてきたり、誰を指しているのかよく分からない「わたし」や「われわれ」という主語が飛び込んできたり(おそらく大統領を取り巻く国民のことなのだろうが)、章が変わって時間軸が現在に戻ったと思ったら気づくと過去の話になっていたり。ただ、それがうまく作品にはまっている。当人である大統領を含め、母親、正妻、軍人、国民、それぞれがカメラの前で思い思いのことを語る、そういうドキュメンタリー見ている印象。 その過程で大統領の人物像が多角的に浮かび上がってくる。自分勝手で自業自得な彼なのだが、読んでいると無性に悲しくなってくる。独裁政治を支持するわけではないが、独裁者の人間らしさ(正の面も負の面も)まで黒く塗り潰してしまうと何か大きな本質を見失う気がする。その結果出来上がるのが、独裁者のバカらしい武勇伝や超自然的能力を信じ込んでしまう国民なのではないだろうか。
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内容がどうとかいうより、まず、文章構成にびっくり。 一見てんでバラバラなのに、とっても読みやすい。 とても緻密に計算されている。 どんなふうにすれば、このような文章が作成できるのだろう。。 今、文章のストーリー構成に悩んでいる身としては、非常に学ぶところが多い。 絶対真似はできそ...
内容がどうとかいうより、まず、文章構成にびっくり。 一見てんでバラバラなのに、とっても読みやすい。 とても緻密に計算されている。 どんなふうにすれば、このような文章が作成できるのだろう。。 今、文章のストーリー構成に悩んでいる身としては、非常に学ぶところが多い。 絶対真似はできそうにないけど。。 内容の、独裁者とその周囲の人たちについては、考えさせられることが多い。 ヒトラー、スターリン、ムッソリーニ、その他現在における社長など、頂点にいる人たちは孤独を抱えている。 他人に下手なことを相談できないし、すべての責任は自分にのしかかってくる。 したがって、すべての結果は自業自得。 でも、目立ったところだけ意識しがちだけど、みんな人間なんだよなと再確認した。 各人がそれぞれの少年・少女時代を経て、それぞれの人格に形成されているんだな、と。 間違いを犯さない人なんていないし、成功だらけの人も多分いない。 私は、失敗を経験して、それを糧に努力を積み重ね、将来自分で自分に納得できる一人前の人間になりたい、と意識した。
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南米のとある国の独裁者の盛衰。ハゲタカが大統領府の建物へ飛び込んだのをきっかけに、人々が足を踏み入れたが、そこは廃墟と化していた。そして大統領と思われる男の死体が。ヨーロッパの占拠から独立し独裁者となった男とそれを取り巻く人間達、様々な視点、時間軸を交差して大統領の姿が描かれます...
南米のとある国の独裁者の盛衰。ハゲタカが大統領府の建物へ飛び込んだのをきっかけに、人々が足を踏み入れたが、そこは廃墟と化していた。そして大統領と思われる男の死体が。ヨーロッパの占拠から独立し独裁者となった男とそれを取り巻く人間達、様々な視点、時間軸を交差して大統領の姿が描かれます。 大統領と影武者、親友の将軍や本妻、母親。大統領の名前は最後まで出てきません。傀儡としての孤独な独裁者。 終わりから終わりへ。誰も信用できない、自分ではどうにもならない、なのに言った事は全て命令として実行され、次々と死者の山が築かれてく。 色彩のイメージも強烈で、なかなかどっしりお腹いっぱいな作品でした。 時間をおいて、また読みたい。 補足。大統領府とは大統領官邸みたいなものかな。政治機能のある施設とは別になっているようです。
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独裁者小説。起きてることがいちいち凄まじい(あまりにも酷いのでブラックジョークとしても楽しめる)。推定年齢100~200歳以上、政敵をワニに食わせて、側近をディナーのメインディッシュにしてしまう大統領とは何者か?本書の最後数ページは何度でも読み返したい。
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悪逆非道をつくす独裁者、「大統領」。 彼、側近、近臣、家族・・・さまざまな人々の言葉を集めて語られる中で 「われわれ」が目にするのは孤独。 唐突に語り手が変わり、改行もないのでちょっと読みにくいのだけれど、たくさんの魔術的エピソードで核心を浮かび上がらせるのがマルケスの真骨頂...
悪逆非道をつくす独裁者、「大統領」。 彼、側近、近臣、家族・・・さまざまな人々の言葉を集めて語られる中で 「われわれ」が目にするのは孤独。 唐突に語り手が変わり、改行もないのでちょっと読みにくいのだけれど、たくさんの魔術的エピソードで核心を浮かび上がらせるのがマルケスの真骨頂。 独裁者は寂しいのか。 ・・・でもまあとても同情はできません。
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段落がなく、語り手がごちゃごちゃしててびっくりしたが、勢いがあって意外と読める。休みの日に一気に読もう。
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