からまる の商品レビュー
うみのはな が好きだった。 田村が華奈子と話してるとこで、 最後まで誰に対してもにこにこしながらきちんと話きいてあげていて、、、すごいって思ってる だけど、かなこは、優しくできるのは何の関心もないからだって自分でわかってって。 そこの気持ちがとてもよくわかる私もずるいのかも。
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13頁目 《とはいえ、女達を敵にまわすとやっかいなので、愛想笑いと邪気のない冗談は欠かさず、たまにお菓子の差し入れなんかもする。》 どこのわたくしですか。女性側に見抜かれているとなると、もうただの道化でしかないじゃないですか。仲良くやりましょう、皆さん。 17頁目 《若いのは面...
13頁目 《とはいえ、女達を敵にまわすとやっかいなので、愛想笑いと邪気のない冗談は欠かさず、たまにお菓子の差し入れなんかもする。》 どこのわたくしですか。女性側に見抜かれているとなると、もうただの道化でしかないじゃないですか。仲良くやりましょう、皆さん。 17頁目 《若いのは面倒くさい。真剣なのも面倒くさい。湿った関係は苦手だ。物事は淡いのがいいのだ。》 他人との関係の種類や度合いをそれぞれ選べたらいいのに。変えられない関係は仕方なくても、作り上げるものまで決められないなんて。自分次第? いや、半分は相手次第だ。 24頁目 《肉親だからって安易に踏み込んでくるな。》 血のつながりを理由になんてしてほしくない。それを持ち出すのならむしろ、肉親にしかわからない心地よい距離を見つけ出してほしい。と言っても、それはそのままこちらにも向く言葉。結局、逃げているのは僕の方なのかな。 54頁目 《きっと、あたしの血が赤くないから、誰もぱっくりひらいた傷口に気付いてくれないのだ。》 自分と違う色の人間には興味すら持てない。そんな感覚が確かにある。だから意識して擬態することで、それぞれの場所に彩りの異なる関係を築く。そうして僕は分裂していく。 89頁目 《だから、追いつめないようにわざと気付かないふりをするが、相手は自分の弱点を避けられていることに気付いている。》 気付かないふりをしていることそのものを気付かれている、そしてそれをこちらも気付いている、という状況がよくある。暗黙の平和協定。 136頁目 《徹底的に馬鹿をやれる人間はけして馬鹿ではない。肚の底では他人を馬鹿にしているのだ。》 他人を馬鹿にできるから自分も馬鹿にできる。その逆も然り。自信のある人間は他人を褒められる。自己卑下が強ければ、相手の悪いところばかりが見えてくる。そんなものだ。 143頁目 《まったく、男のくだらない自尊心を満足させるために演技する身にもなって欲しい。》 滑稽。それは僕らの合い言葉。身体も行為も可笑しくて、まったく真面目に取り組めない。だから駆け引きや思い遣りもなくて、面倒や満足さえもいつの間にかどこかへ消え失せた。 166頁目 《ぶつかれば勝つか負けるかしかない。器用に立ち回っていれば、勝ちも負けもしない。とても平和だ。僕はそれでいい》 器用貧乏? 八方美人? 大いに結構。感情的になるにはたくさんの労力がいる。そんなの面倒だ。巧くやる必要はない。目立たなければいい。 189頁目 《気がついたら僕は走り出していた。》 外じゃなかったら泣いていた。正しさに興味なんてない。わかりたくもない。でも、説明できない理解というものがある。どうしていいか途方にくれたとき、こんな風に走り出すことができたならどんなに良かっただろうか。 第五話「ほしつぶ」を読了。 苦手な話だと思った。嫌いなものばかりだったから。でも、また読み返すことになる。無意識に自分の脆さや弱みに感情がのっていた。考えたくなかったことを思い出してしまった。だからわかる。もう一度向き合ったとき、きっと大切な物語になる。 241頁目 《傷ついたということは、わずかでも期待していたということだ。先を望んでいたということ。それが、恥ずかしかった。》 恥ずかしい。傷つくことは恥ずかしい。それだけ期待していたということだから。相手にではなく、自分に。望むな、願うな。 読了。 無脊椎動物。自分とは違うよくわからないもの。理解の外側。西淑さんの描く人物も心なしか軟らかそうだ。人が交わる。価値は混じり合う。相手を許すこと。自分を認めること。生死を受け入れること。羨ましい、卑怯だと、そう思ってしまう。僕は、からまれない。
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主人公の天窓のあるベッドルームにやってくる女性。空を見ながら横になれるうれしさがよくわかる。彼女の生死と向き合う難しい姿勢は前半で描かれた ものからすると意外なものだった。 ふたりの再会のシーンがとてもいい。 何に対してもどうでもよくて、深くかかわりたくないと思いながら生きてきた男性が、 その女性に再会することで変わったところに心がじんわりする。 そこは他の人の語りだけで、直接のシーンがなかったのが残念。
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各話の登場人物がリンクする短編小説。その仕掛けのせいでわずかなほころびを感じる面もあったが実直な描写で王道をいく、という印象。 俺の場合には予定調和で退屈に感じてしまった。 人物達、物語がからまってるという程にも感じなかったし、読み終えてすっとほどけたとも受け取る事は俺には出来な...
各話の登場人物がリンクする短編小説。その仕掛けのせいでわずかなほころびを感じる面もあったが実直な描写で王道をいく、という印象。 俺の場合には予定調和で退屈に感じてしまった。 人物達、物語がからまってるという程にも感じなかったし、読み終えてすっとほどけたとも受け取る事は俺には出来なかった。
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ひらがなの名前がついた短編の連作.いろいろな人物が登場するが、後の作品で再度出てきて、重要な役割を演ずる.「まいまい」で筒井とからむ女性は、次の編で名前が分かり、最後の「ひかりを」で女医としての姿がはっきりと示される.
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ゆるやかに絡み合う人々 短編 夜になると猫のように静かにベッドの滑り込んでくる女がいる 金魚を殺してしまった甥、戸惑う母 冷め切った夫婦に差し込んだ光のきっかけ 男に何度も遊ばれる女とそのたびに慰めてくれる友人の心 女医で多忙な日々を送るなか出会った老人 みんな繋がっている! でもほんとうにはこんな身近でつながるのは無理だと思うw 人と人とのつながり 憎しみ合いながらも本当は互いを羨んでいて 憎しみ戸惑いながらも人は人を求めて前へ進んでいく。 いいね!もっと読みたい!)^o^(
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時がすすみ、戻り、さまざまな人が交錯してゆく。はじめて千早茜さんの作品を読んだけれど、とても綺麗な言葉の表現をする人なんだなと感じた。 もやもやしてしまうような行き場のないような色んな感情を、それはそれでいいんだと肯定してくれる、静かで優しい話集。 しかも、各話のタイトルがなんと...
時がすすみ、戻り、さまざまな人が交錯してゆく。はじめて千早茜さんの作品を読んだけれど、とても綺麗な言葉の表現をする人なんだなと感じた。 もやもやしてしまうような行き場のないような色んな感情を、それはそれでいいんだと肯定してくれる、静かで優しい話集。 しかも、各話のタイトルがなんとも美しい。日本語っていいなー、と並んだタイトルを眺めながらしみじみ思った。 まいまい。ゆらゆらと。からまる。あししげく。ほしつぶ。うみのはな。ひかりを。 あししげく、とひかりを、が特に好きだなあ。
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それは少しずつからまっている、人々のお話。 「魚神」がとても好きだったので手に取った本。 やっぱ良いわーこの雰囲気。
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少しずつ重なり合っているこの7人は、決して特別な人達ではありません。でもみんな誰かにとっては特別な人。感じることや考えることも、それぞれで違ってくるのが当たり前と思っていても面白かった。 ひとつの事柄をおり込み、別の人達の価値観や視点を描かれると、少々苦手(だと思う)なジャン...
少しずつ重なり合っているこの7人は、決して特別な人達ではありません。でもみんな誰かにとっては特別な人。感じることや考えることも、それぞれで違ってくるのが当たり前と思っていても面白かった。 ひとつの事柄をおり込み、別の人達の価値観や視点を描かれると、少々苦手(だと思う)なジャンルの小説でも心がくすぐられ、いろいろ当てはめて考えてしまうものですね。 最後までじっくりと読んでいました。 千早さんは、美しい文章で不思議なストーリーが多いのかな?と思っていたけれど、いろいろなジャンルを描ける作家さんなんですね。 次作も楽しみです。
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一気読みをするのがもったいないくらいに、文章表現が素晴らしい。じっくり、まさしくカタツムリのように、ゆっくりじわりじわりと読んでいたい、そんな気持ちにさせてくれる。 不思議な時間の流れ方をする。 水の中を漂っているような繊細は人間描写が、肌に触れるようで新鮮。 人の数だけ物語り...
一気読みをするのがもったいないくらいに、文章表現が素晴らしい。じっくり、まさしくカタツムリのように、ゆっくりじわりじわりと読んでいたい、そんな気持ちにさせてくれる。 不思議な時間の流れ方をする。 水の中を漂っているような繊細は人間描写が、肌に触れるようで新鮮。 人の数だけ物語りは存在する。そんな一人一人の個性を大切にしたい、いろいろな形で触れ合いたいと読書後、そんなことを思った。
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