夜想曲集 の商品レビュー
雰囲気は独特のものがあります。この本の表紙だけ見ると、怪しい本に思えてしまいますが(苦笑)そんなことはありません。 短編集ですが、なんとなくもやっとしたものが多い。それぞれの登場人物たちが納得して道を選択しているのはわかるのだけれども、なんとなく「もっと他にいい方法がなかったのか...
雰囲気は独特のものがあります。この本の表紙だけ見ると、怪しい本に思えてしまいますが(苦笑)そんなことはありません。 短編集ですが、なんとなくもやっとしたものが多い。それぞれの登場人物たちが納得して道を選択しているのはわかるのだけれども、なんとなく「もっと他にいい方法がなかったのかなぁ」と思ってしまいます。よい意味で。面白いというわけではないけれど、夢の余韻のようにちょっと心の中に残っちゃう、みたいな雰囲気です。
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同じ著者の「日の名残り」「わたしを離さないで」が面白かったので購入に至る。 ストーリーに大きな山もなく、(この著者にしてはポップでギャグが多いのだが、)一般的にいえば恐らく些か静かな短編が5編収録されている。長編の習作ではない短編は初めてで、また短編集を出すこと自体も初とのこと...
同じ著者の「日の名残り」「わたしを離さないで」が面白かったので購入に至る。 ストーリーに大きな山もなく、(この著者にしてはポップでギャグが多いのだが、)一般的にいえば恐らく些か静かな短編が5編収録されている。長編の習作ではない短編は初めてで、また短編集を出すこと自体も初とのこと。 普通に面白い作品ばかりだったが、「日の名残り」や「わたしを離さないで」に比べれば、少し型落ちするかなという印象。いずれも余韻を残した終わり方をする話ばかりで、それが僕にとっては「残しすぎ」と映ってしまった。面白いのはここからじゃないのかと。それでも僕は夢中になって一日で読み終えてしまったが。 登場するキャラクターのひとりひとりは皆、魅力的で、 会話やちょっとした設定なんかも面白く感じた。特にリンディは無邪気で気分屋でかわいらしい。 また、巻末の訳者あとがきが面白かった。欧米でも日本でも短編は人気が無いらしい。具体的にいえば、欧米の短編マーケットは、長編に比べて、1/4になるそうだ。自分の好みとは逆なので、非常に驚くとともに、面白いなと感じた。
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音楽をモチーフにした短編5作。売れない音楽家の哀感を描いたものが多い。余韻を残すためか、終わり方が中途半端なのがある。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
やはり短編であってもカズオ・イシグロ氏の不思議な空気感や 味わいは健在です。 本書は「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」というサブタイトル通り それぞれ独立した5つの短編からなっています。 内容に関しては、そのほとんどが結末に余韻を残し、読者に委ねる ような形をとっています。 ですから、物語としてハッキリ白黒ついたのを読みたいという方には オススメはできません。 音楽や愛、夢、才能といったもの、または社会的な成功について 描かれていますが、サブタイトルの「夕暮れ」という言葉であらわ された数種の意味合いが、読み手の状況に合わせて様々な 思いを抱かせてくれています。 若い方よりもどちらかというと、人生も半ば過ぎの人の方が共感を 持てそうです。
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をーもしろい! 電車で読むと笑っちゃう。降っても晴れても 唐突に不穏な空気をかもしてくるとこがすき
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表題作の「夜想曲」が一番気に入った。ぎゅっとなるような、ほろ苦いお話ばかり。 イシグロの作品に触れたのはこれで3つ目ですが、今のところ感じていた彼の持ち味は、長編のほうが活きるのかもしれないと感じた。抑制された語りとか、緻密に張り巡らされたミステリとかが延々と続くのが巧みだな!と...
表題作の「夜想曲」が一番気に入った。ぎゅっとなるような、ほろ苦いお話ばかり。 イシグロの作品に触れたのはこれで3つ目ですが、今のところ感じていた彼の持ち味は、長編のほうが活きるのかもしれないと感じた。抑制された語りとか、緻密に張り巡らされたミステリとかが延々と続くのが巧みだな!と思っていたので。
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クラッシックに興味があったため、タイトルのノクターンにつられて手に取りました。内容はもちろん音楽が密接に関係していますが、印象が強かったのは男女の恋愛です。短編集なんですが、どれもが恋愛色が濃いですね。またそれが夫婦間ということもあり、まだ二十歳になったばかりの私には理解しかねる...
クラッシックに興味があったため、タイトルのノクターンにつられて手に取りました。内容はもちろん音楽が密接に関係していますが、印象が強かったのは男女の恋愛です。短編集なんですが、どれもが恋愛色が濃いですね。またそれが夫婦間ということもあり、まだ二十歳になったばかりの私には理解しかねる場面が多々ありました。正直に事を云うのではなく、フィーリングが大切なんですね(苦笑)。 それぞれの話は違った世界観があり、とても楽しめました。知らない単語もありましたが気にせずスラスラ読めましたね。あまりの大人な話になんだか自分がませたような気がしますよ(笑)。 著者のカズオさんは私と同じ長崎出身だそうで大変光栄です。私好みのお話ということもあり他の作品を読んでみたいです。
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昨日読了。 著者初の短編集。 タイトル通り、全ての作品に 音楽家(二篇目のみ音楽愛好家)が登場する。 各篇独立しながらも、 夫婦の危機、音楽家としてのアイデンティティといったテーマは、 全篇通底している。 その手法はどこか、 60~70年代の英国ロックバンド達が世に送り出した、...
昨日読了。 著者初の短編集。 タイトル通り、全ての作品に 音楽家(二篇目のみ音楽愛好家)が登場する。 各篇独立しながらも、 夫婦の危機、音楽家としてのアイデンティティといったテーマは、 全篇通底している。 その手法はどこか、 60~70年代の英国ロックバンド達が世に送り出した、 コンセプトアルバムを思わせる。 しかし、作者は作中の音楽愛好家に、 そのコンセプトアルバムについて、 「仰々しいだけのロックバンド」が奏でる音楽だと 語らせている。 そういった、皮肉のきいたユーモアが、 全篇に満ちている。 普通なんだけどどこか変・・。 くすくす笑っていたのになんだか切ない・・。 そういった読了感は、 イシグロ氏の長編小説のそれと共通するもの。
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イシグロの作品に、病みつきになっている。いつも、いつまでも手放したくない思いだ。この短編も良い。どれも確かな手応えがある。全てにこれからがあるというのが魅力なのだ。それも予測不能なのがよい。
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全編、短編らしい魅力があった。 イシグロらしい抑えた筆致が 淡い水彩画のようで好きだ。 「降っても晴れても」のどうしようもない 間の悪さ。 鮮やかに切り取ってみせる 一つのトラックみたいだ。
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