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街場の大学論 の商品レビュー

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62件のお客様レビュー

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2013/01/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・大学の企業化,巨大化,均質化について。 ・ダウンサイジングの検討について。 ・文科省による制度化の弊害について。

Posted byブクログ

2012/12/11

【大学での生き方を見直せる一冊】 今日は大学で授業のTAがあるので大学論をとりあげます。 個人的に内田樹さんの文章が好きなんです。 優しく語りかけてくれるようで読んでてとても癒される上に、 知的好奇心がどんどん湧いてくるような感覚がして。 苗字が同じだからというのは…関係ないか...

【大学での生き方を見直せる一冊】 今日は大学で授業のTAがあるので大学論をとりあげます。 個人的に内田樹さんの文章が好きなんです。 優しく語りかけてくれるようで読んでてとても癒される上に、 知的好奇心がどんどん湧いてくるような感覚がして。 苗字が同じだからというのは…関係ないか。 この本の中で印象に残っているのは、 ①教育が子どもを均質化しようとしていること。 ②就職活動は「時間割通り」にやりなさい。 ③人文系が強化されないといけない理由。 ①教育システムは「うまくゆきすぎた」ために、バグやノイズを消そうとしすぎているとのこと。システムの効率を「上げる」のではなく、「下げる」ことを考えてみることの提案をしています。 ②僕が就職活動の当事者なのもありますが、この論には納得しました。僕達はまだ大学生であって、いま、ここでやらなきゃならないことである勉強(授業を受けること等)を放棄してまで面接とかに行くような人間を社会人として信用出来るのか、といったことです。 周りが騒いでるときこそ落ち着きなさいというお話。 ③日本の大学では理系分野は世界と張り合えているのに、今一歩そこから上に行けないのは人文系の分野がまだまだ発達出来るからであると述べられています。日本社会全体のものの考え方、発想の仕方が育たないためとのこと。僕も人文系といえばそうなので自戒の念を込めて。 長々と書きましたが、議論の余地がある部分もあると思うので、「教育」に関することに興味がある方には強くオススメしたい本です。

Posted byブクログ

2012/10/20

 内田樹の読書シリーズは密かにまだ続いている。この本はずいぶん前に購入しておいたものだが、改めて読み始めて、読了した。文科省幹部との対談やかつての日比谷高校の様子など、引き込まれるものがいくつかあった。頭を刺激しつつ、執筆に疲れた頭をいやすのには最適な読書である。  次は『街場...

 内田樹の読書シリーズは密かにまだ続いている。この本はずいぶん前に購入しておいたものだが、改めて読み始めて、読了した。文科省幹部との対談やかつての日比谷高校の様子など、引き込まれるものがいくつかあった。頭を刺激しつつ、執筆に疲れた頭をいやすのには最適な読書である。  次は『街場の読書論』に行こうか。そのうち、『街場のアメリカ論』『街場の中国論』なども読みたいものだ。

Posted byブクログ

2012/07/28

知的興奮が味わえました。頭の良い人が書く文章は、内容が多少難解でも、なんとなく理解できてしまう。久々に「いい本(いい書き手)」に出会えた、そんな一冊でした。

Posted byブクログ

2012/05/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ほんと、「そうなんだよ!」と納得するばかり、感心するばかりの本だった。ダンナが大学院で大学について勉強したり、自分も仕事で図書館のラーニング・コモンズに携わったりする中で、以前から漠然とあった大学教育への疑問や不満の正体が少しずつ見えてきていたのだけれど、この本を読んで一気に目の前が開けたような気がする。明解な論理とわかりやすい比喩、そして軽快な語り口。ここで「軽快な」というのは大変重要。論理が正しくても、人を不快にしたり不安にしたりして自分の論理を通そうとするのはもってのほかです。そのあたりの行き届き方が読んでて大変気持ちよかった。さて、内容は、というと、FDやリベラル・アーツ、自己点検・評価など、現在の大学を取り巻く「改革」について。なんだけど、大学で学ぶことの意義や、論文とは何か、などについても書かれている。学術論文に必要なもの、それは「読む人への愛」だそうですよ。これは第7章に書かれているんだけど、図書館でレポート作成についての授業をすることができたら、この部分をテキストにしたい。おしなべて今の教育はスキルばかり教えて精神を教えないから、一つ一つを覚えていくだけで他のことに汎化できなくなってると思いますが、この第7章を読めば、どうしてそうなのか、という根幹の部分がしっかり伝わると思います。他にも教育効果は数値化できない、という話や、大学の評価活動で教育活動が疲弊している話、あれこれと工夫をすることも大事だが、結局目の前の学生と楽しく過ごすほうが長いスパンでは有効ではないのか、という話などが興味深かった。大学で働く人に薦めてまわりたい本です。

Posted byブクログ

2012/05/02

キャリア教育の抱える問題点は、 著者がいろんなとこに書いているけれど、 教育現場は実学を教える場所ではない、 というのは一貫した主張であるし、わたしもそう思う。 キャリア教育や教育ビジネスが間違っているのは、 教育が本来担っている「社会の成員を育成する」 ということ...

キャリア教育の抱える問題点は、 著者がいろんなとこに書いているけれど、 教育現場は実学を教える場所ではない、 というのは一貫した主張であるし、わたしもそう思う。 キャリア教育や教育ビジネスが間違っているのは、 教育が本来担っている「社会の成員を育成する」 ということをまったく勘定に入れずに、 個人主義や市場原理主義のアポリアに陥っているところである。 そもそも市場原理は、 ある条件のもと個人の利益を最大化するように市場に参加する人々が振る舞えば、 結果的に公共の利益にもなる、 という考えである(たぶん)。 しかし現在は「長期的に見る」という点がすっぽり抜け落ちていて、 短期的な個人の利益追求のみが求められてしまっている。 企業ならそれでいい(ある程度は)。 けれど教育は違うじゃないですか。 学ぶってそういうことじゃないじゃないですか。 なぞと息巻いてみる。

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2012/04/30

〝大学に市場原理を持ち込み改革したせいで変人が減ってつまんなくなった〟という話が、先日読んだ「乾燥標本収蔵1号室」の〝大英博物館が改革したら面白い研究者〟がいなくなったという話と全く同じで興味深い。 内田節炸裂で面白い。某大学学長の談話を「私には『意味ぷー』であった」とか言っちゃ...

〝大学に市場原理を持ち込み改革したせいで変人が減ってつまんなくなった〟という話が、先日読んだ「乾燥標本収蔵1号室」の〝大英博物館が改革したら面白い研究者〟がいなくなったという話と全く同じで興味深い。 内田節炸裂で面白い。某大学学長の談話を「私には『意味ぷー』であった」とか言っちゃったりw。

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2012/04/24

これを書いた当時は神戸女学院の教授だった内田樹先生の本。 以前に読んだ「下流志向」はかなり真面目な本だったんですが、 この本では、結構くだけた感じの文章でかなり読みやすくかつ面白い考え方が満載でした。 たとえば ・今の教育制度は国民を管理しやすい小粒にすることが目的だが、その...

これを書いた当時は神戸女学院の教授だった内田樹先生の本。 以前に読んだ「下流志向」はかなり真面目な本だったんですが、 この本では、結構くだけた感じの文章でかなり読みやすくかつ面白い考え方が満載でした。 たとえば ・今の教育制度は国民を管理しやすい小粒にすることが目的だが、その制度が成功しすぎたため、網にも引っかからない超小粒人間が増えて管理できなくなってきている。 ・日本の小学生をもっと勉強させる方法。下位5%を差別・いじめの対象にする。(問題あるが、さすがにみんな勉強するだろう) この人の本も教員を目指す人には読んでほしいです。

Posted byブクログ

2012/03/20

大学を取り巻く教育(研究も少し含めて)の問題の本質を示してくれている。 中にはわたしが学んだ大学のマーケティングと相容れない説も多く説かれている。マーケティングはアメリカ起源の概念であるのに対し、内田教授はヨーロッパの大学事情に親しいというところからくるものかもしれない。 「メ...

大学を取り巻く教育(研究も少し含めて)の問題の本質を示してくれている。 中にはわたしが学んだ大学のマーケティングと相容れない説も多く説かれている。マーケティングはアメリカ起源の概念であるのに対し、内田教授はヨーロッパの大学事情に親しいというところからくるものかもしれない。 「メディアで発言する人たちも、大学を企業と同一視して、マーケットに選択されなければ、大学は粛々と退場しなければならないと簡単に言い切ってしまっている。だが、一般の企業と大学は成立の歴史的経緯も違うし、担っている社会的機能も違う。それを企業と同じルールで律するところに無理がある。」(p.278) 社会的な役割とか、大学ならではの豊富な有形無形の資源をマーケットの論理で失うのはもったいない、やりきれない、ということだと理解した。 ただ、マーケットに全然求められていない大学は、やはり退場やむなしとも思ってします。いくら擁護しても、「本当にひどい」大学も存在するだろうし。

Posted byブクログ

2012/03/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

内田先生シリーズを読んだ第二弾。 大学の現状と規制改革に伴う大学の変化を追った。 「自ら大学や授業がどうなっているかを律することで、自分たちを高める必要があることに気づく」がこの間の大学改革の目的だったのではないだろうか。 特に、教員がそう考えることで、もっといい大学作りやもっといい教育にしていこう、とする発想を作ろうとしたのではないか。→自分たちの自己満足で終わることなく。 市場原理を導入しよう、という企業人たちの想いを受け止めたくないがそれを交わそうとしたのが文部科学省で、もっと自分たちの取り組みを高めてもらうための方策を導入した、という風に書いてある。補助金もそこで傾斜配分される。 ウソではないのだろう。 でも、いまの大学が疲弊しているのは、結局その傾斜配分のせいなのではないか、という風にも思った。 では、いかにどこの大学にも予算を配分するか。でもやっぱり大学が頑張っていろんな魅力的な取り組みを行うしかないのかな・・・

Posted byブクログ