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街場の大学論 の商品レビュー

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62件のお客様レビュー

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2011/01/03

神戸女学院大学文学部で教鞭を取る著者による教育改革論(あるいは、反教育改革論)。著者も後書きでエクスキューズしているが、2000年頃から2010年までの文章が雑多に収められているため、主張にずいぶん幅がみられる。特に、大学内の研究者評価システムに対する姿勢は、はじめ推進派であった...

神戸女学院大学文学部で教鞭を取る著者による教育改革論(あるいは、反教育改革論)。著者も後書きでエクスキューズしているが、2000年頃から2010年までの文章が雑多に収められているため、主張にずいぶん幅がみられる。特に、大学内の研究者評価システムに対する姿勢は、はじめ推進派であったものが、最後には完全な反対派に転じている。大学の”成果”は、本質的に一握りの優秀な研究者によってもたらされており、その他大勢の研究者の底上げによるベネフィットは、優秀な研究者を忙殺することによる機会遺失を上回るものでないというのが、その主たる理由である。 それにも関わらず、大学を、「知」そのものに価値を見出し追及することが許される「場」として、市場原理からは隔離した状態で存続させねばならないという氏の信念は一貫している。大学の意義をその経済効果のみで図ることへの危惧と、大学経営を市場原理に基づいて行うことへの警鐘は、不況と採用難の現在において、むしろ価値を増しているように感じられる。 内田樹氏のニヒリスト的な性向は、もしかすると日比谷高校で圧倒的な能力の持ち主を目の前にし、”挫折”を経験した結果ではあるまいかと邪推する次第。彼は傑出しているというほどではないにしろ基本的に優秀な人物だが、そういった人にありがちな全能感が妙に欠如しているように思われる。最近の若者の右翼化傾向に対する攻撃的な姿勢は、単に学生運動に加担した経験だけではなく、右翼的言説と盲目的な全能感の結び付きを感じ取ってのことではないだろうか。以上、余談でした。

Posted byブクログ

2011/01/01

日本の大学が抱えている問題〜。ゆとり教育による学生の質の低下、少子化による大学経営の悪化、市場原理の導入による過剰な実学志向と規模拡大。真の「学び」とは何か。大学の持つ社会的意義とは何か。そして筆者はなによりも日本の社会自体が「知」というものを蔑ろにしていることを憂う。文部省官僚...

日本の大学が抱えている問題〜。ゆとり教育による学生の質の低下、少子化による大学経営の悪化、市場原理の導入による過剰な実学志向と規模拡大。真の「学び」とは何か。大学の持つ社会的意義とは何か。そして筆者はなによりも日本の社会自体が「知」というものを蔑ろにしていることを憂う。文部省官僚である杉野剛氏との対談も興味深い。

Posted byブクログ