街場の大学論 の商品レビュー
何だかかんだと綴ってはいるが、著者自身も改革という名の下に、大学に新制度を導入し、今の大学を忙しく、ダメにした人間の一人なんだなあと思いつつ、読んだ。所詮は、逃げ切り世代。著書前半は、軽いタッチに著者ならではのジョークに皮肉満載。辟易して、途中で読むのを止めて何ヶ月も放置していた...
何だかかんだと綴ってはいるが、著者自身も改革という名の下に、大学に新制度を導入し、今の大学を忙しく、ダメにした人間の一人なんだなあと思いつつ、読んだ。所詮は、逃げ切り世代。著書前半は、軽いタッチに著者ならではのジョークに皮肉満載。辟易して、途中で読むのを止めて何ヶ月も放置していた。しばらくたって、後半を読み始めたが、文科省の役人との対談。ここでも、結局は、言っていることと今の文科省の政策方針とが全く矛盾していると強く感じた。結局、理想的な教育論を振りかざしながらも、単なる言い訳と無責任のオンパレードという印象。これって、ひねくれた感想?
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内田樹の大学教育論。いつものようにブログ等に記載された記事を集約した本。雑記帖のようなエッセイで、読み終わってみるとあまり記憶に残らない内容も多い。それでも共感できた部分があった。それは、著者が現代の大学教育がビジネスとして捉えられ、就職予備校化していることに危機感を感じているこ...
内田樹の大学教育論。いつものようにブログ等に記載された記事を集約した本。雑記帖のようなエッセイで、読み終わってみるとあまり記憶に残らない内容も多い。それでも共感できた部分があった。それは、著者が現代の大学教育がビジネスとして捉えられ、就職予備校化していることに危機感を感じていることだ。それは自分も時々感じることがある。大学の最終年は今と同じように就職のことばかり気にしていた。内定をもらうと、目標を達成した気分になり、卒業に必要な単位の取得と形だけの卒業論文を書いただけで、その後の人生に身になるような知識の習得がおろそかになった。大学時代の不勉強は、社会に出て永年勤めてみて身にしみることだ。大学教育は、目の前の「就職」という課題を達成するための道具ではなく、長期的な視点で人生を豊かに過ごすための基礎を作る機会と考えるべきなのだろう。
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主に大学の行く先や本来的な機能についてかいたものを集めたもの。最後の文科省の方との対談がすごくおもしろい
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自己評価に基づく大学改革に当事者としてかかわりながら、著者自身の見解が否応なく変化していく様子がそのまま記録されているところなどドキュメンタリーとして読んでも秀逸。とくに教育という面から大学の役割を改めて問い直す姿勢に見るべきものがある。ただ警察官のケツを蹴り逃げする話のすぐ後に「暴力は嫌い」と言われても、どうとらえていいのかわからないのだが、そんな「反権威・反権力」的な装いというのはなんとも居心地が悪いものだ。
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少子化で多くの学部で定員割れを起こす時代を迎えた大学の在り方について、いつものようにブログベースをまとめた内田節と、文科省キャリアとの対談で構成。同じ教育論でも、東大を目指す「ドラゴン桜」と一見対極のようでありながら、真の『学び』について両者が述べていることは、実は同じだったりします。
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ダメなやつはほったって、できるやつをサポートしようというのは、教員だけでなくどこの世界でも正しい解なのか。納得したくないなぁ…。 とてもおもしろかったです。ウチダ先生初読みでした。
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読みやすく、率直な意見がおもしろい。大学の危機的状況を感じたし、大学評価の在り方、教員の質、国が決める提言の裏の意図を読み取ることが必要など、勉強になる点が多かった。
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大学の危機をここまで痛切に、皮肉っぽく、しかも楽しく語ってくれるとは凄い本です。大学人は全ての人が読むべきでは。神戸女学院が生き残るためには・・・これは大手前ではもっと厳しい現実のはずなのです。執筆されたのが10年ほど前の小稿が多いにも関わらず、当時からこれだけ危機感を持っておられた!しかし未だに!というのが印象です。日比谷高校69年卒と同学年で日比谷を放校になったという経歴、紛争のときに警察官のケツを蹴飛ばして逃げた!話などが盛り込まれ飽きさせずに、大学論を考えさせてくれます。大学の教授たちが論文を書かないのは怠慢との理由が、「バカ度を世に公開していない」との論拠、日本の教育は失敗したわけではなく、実に徹底して効率的に規格化された人格を生みだすことに成功しすぎているのであるとの主張も実にアイロニーに満ちた楽しい言葉です。
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『狼少年のパラドクス』(朝日新聞社 2007)の単行本に 文科省の杉野剛さんとの再会対談記が加えられて文庫化されたもの。 さすがです。内田さん。 本を最初から読んでいくと最後の方で「あれ?」と矛盾に思うところが あって、あとがきを読むとちゃんと断り書きもある。 「大学教育につい...
『狼少年のパラドクス』(朝日新聞社 2007)の単行本に 文科省の杉野剛さんとの再会対談記が加えられて文庫化されたもの。 さすがです。内田さん。 本を最初から読んでいくと最後の方で「あれ?」と矛盾に思うところが あって、あとがきを読むとちゃんと断り書きもある。 「大学教育についての自分の意見がこの十年間でずいぶん変わった」と。 内容が濃いすぎてまだ頭のなかで整理がつかないけれど 内田さんの仰る「読む人への愛」をたっぷりと受け取りました。 内田さんのように物事をしっかり考えて意見が言えるように せめてご著書を読破する気合いはあるんだけど、追いつかないなぁ。 自分的にヒットしたキーワード 「象牙の塔」 そういえば、『大学論』を読み始めるより前から読んでいて まだ読み終わっていない本川達雄さんの『世界平和はナマコとともに』 と共通することがたくさんあって、いつかお二人の対談とか ぜひ聞いてみたいと思った。 ぜったいに面白い。
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以前,「街場のメディア論」が面白かったので。 恥ずかしながら教育論なるものを読んだことがなかったため,読み進めていくうちに様々なことを知りました。(地方の国立大学の存在意義など) なかでも印象に残ったのは,「制度内に組み込まれたなかで埋没してしまう個性など,個性ではない」というこ...
以前,「街場のメディア論」が面白かったので。 恥ずかしながら教育論なるものを読んだことがなかったため,読み進めていくうちに様々なことを知りました。(地方の国立大学の存在意義など) なかでも印象に残ったのは,「制度内に組み込まれたなかで埋没してしまう個性など,個性ではない」ということや,「ブレイクスルーは突如起こるものだから予測できるはずもないし,来年度のシラバスなんてきっちりと決められるはずもない」「教員評価制度は,できる人の時間の浪費」「学ぶことは努力と成果の等価交換ではないし,大学に消費者的態度で来てはならない」など。 こういう警告がされるほど,大学はビジネス化してきているんですね…。 まあ,私が通う大学も私学なので,学生を金の支払い者として見ている節もあるのかもしれませんが…? 友人や知人に是非一読してほしい本です。
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