1,800円以上の注文で送料無料

もうすぐ絶滅するという紙の書物について の商品レビュー

4

93件のお客様レビュー

  1. 5つ

    31

  2. 4つ

    24

  3. 3つ

    15

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2020/01/13

まず、電子書籍に対する紙の本の良さを単純に論評した本ではない。 稀覯書(インキュナビュラ)の楽しみや、本の出版の過程、歴史によってフィルタリングされていく書物について、博識の二人が縦横無尽に気ままに語る内容である。 7歳の孫とテレビゲームに興じて惨敗するウンベルト・エーコなんて...

まず、電子書籍に対する紙の本の良さを単純に論評した本ではない。 稀覯書(インキュナビュラ)の楽しみや、本の出版の過程、歴史によってフィルタリングされていく書物について、博識の二人が縦横無尽に気ままに語る内容である。 7歳の孫とテレビゲームに興じて惨敗するウンベルト・エーコなんて「薔薇の名前」を見た時には思いもしなかった。 披露される蘊蓄は凄まじくハイレベルなのだが、対談内容そのものはかなり緩い。 対談形式ということもあり、翻訳は読みやすいのだけど、日本人にはコンテクストが読みづらい会話も所々に…。 電子書籍に対する優位性はほとんど語られないものの、人が重ねてきた書物の歴史を紐解くことで、紙の本を所有する楽しさを思い起こさせてくれた。装幀もおしゃれなので、本好きなら購入をおすすめする。(表紙裏にもデザインがあるので、図書館で借りる場合には注意) ・グローバリゼーションがもたらしたのは、共有体験の細分化。インド神話のあり方(自分が信仰する神は3,600柱のうちの1柱だが、世界観は共有)は指針になる。 ・珍説愚説礼賛:歴史のフィルタリングを受ける中で消えていく珍説愚説に、人間知性の豊饒をみる。時代的・技術的な善意の無知はやむなし。人間は愚かしさからは逃れられないが、せめて哲学・教養を身につけられればマシになるかも。 ・歴史による評価の変化:ハムレットやモナリザなどは、作品そのものの評価ではなく、後世の人々の解釈や論評まで含めて作品の重みとなっている。再評価される場合もあれば、忘却されていくことも。。。 ・本棚には必ずしも読んだ本やいつか読むつもりの本を入れておくものではありません。本棚に入れておくのは読んでもいい本です。あるいは、読んでもよかった本です。

Posted byブクログ

2019/12/29

高校の時に本屋さんで装丁に一目惚れ! 欲しいなぁとは思ったのですが、一目惚れして即買いするにはちょっと値段が高かった…なので図書館で借りて読みました。 ウンベルト・エーコとジャン・クロード・カリエールの対談。 紙の書物と電子書籍の話から、書物の歴史についてや文学、芸術についてなど...

高校の時に本屋さんで装丁に一目惚れ! 欲しいなぁとは思ったのですが、一目惚れして即買いするにはちょっと値段が高かった…なので図書館で借りて読みました。 ウンベルト・エーコとジャン・クロード・カリエールの対談。 紙の書物と電子書籍の話から、書物の歴史についてや文学、芸術についてなどなど様々なテーマで2人が語り合います。 高校生の私には難しい話も多々でしたが、興味深く読みました。 また機会があれば再読したい一冊。

Posted byブクログ

2019/03/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

かなり分厚いですが、対談のまとめということもあり 割とさくさく読める内容です。 また、厚みや装丁もなんとも言えず紙の本の良さが出ています。 原題の直訳は本から離れようったってそうはいかないという感じなようで 原題もまた、本好きはにやっとしてしまうタイトルだなと思いました。 電子書籍を否定し、紙の書物を礼賛するような浅はかな内容ではないので、本が好きな人には取り敢えず読んでみては、とおすすめしたい気持ちです。 私は保管場所を取らず軽々何百冊と持ち歩ける電子書籍は 大変便利に利用していますし、 紙の本の魅力もまた捨てがたいとも思っています。 様々な実用と習慣が並存し、選択肢が広がるのは願ってもないことというのは私も共感するところです。 傘は18世紀から進化しないと言われますが、本も パピルス、巻物、印刷機、などと形が変わり 本を形作るための道具や素材も変わってきたとは言え 変わっていないものと言えます。 変わりはしても、やはり本は消滅しないのでしょう。 「ネットが登場したことでアルファベットの時代に戻った」という表現に なるほどと思いました。 本というのは不思議なもので、昨年出版された真新しい本に 100年前に書かれた内容が載っていることもあるわけで 形があり、それでいて形のない歴史や思考が詰まっています。 昔は手で書くしかなかった本が、印刷技術の発展で多くの人に広まるようになりました。 一部の上流階級や知識層だけのものではなくなり 昔のように本を燃やしてもその一冊しか無いという本は 最近出版されたものなら基本的に無いわけで、 確かに駆逐しようとしても難しいでしょう。 紙の本は場所を取るので保管には困りますが、保存の点では優れています。 たとえば和紙と墨で書かれたものなら千年はもちます。 電子書籍は便利ですが、hontoで買ったものはKindleで読めず 互換性がありませんし、データを配信している電子書籍店が潰れた場合 今まで購入してきた本のデータがどうなるのかというリスクがあります。 FD、MD、VHSが現在ではほぼ使用できる機器が無いように、 記録媒体はすぐ時代遅れになってしまい、そうなると中身を見られなくなりますが、 紙の本はそこにありさえすれば中を見ることができます。 道具としてケース・バイ・ケースで使い分けするのが良いのだろうと思うのです。 電子書籍がこの先完全に浸透したとしても、紙の本はゼロにはならないのではないでしょうか。 録音や記録媒体といった技術の質の違いではなく、 人間の体格となども変わってるから声自体が変わってる可能性があるというのも 確かに、と思ったところでした。 カフカは死後に作品を焼いて欲しいと言いましたが 電子書籍化されて広まってしまうとやはり完全に消すことは ほぼ不可能なのだと思います。 そしてまた、燃やして欲しいというのは生前は無名であったから 言い残した言葉なのかもしれません。 大島渚が日本人なら誰しも一度は本気で自殺を考えたり自殺未遂をおこしたりしていると言ったそうで 実際のところはさておき、そう言えなくもないのかもしれません。 日本人の死生観は、時代にもよりますが外国の方から見れば 独特なところもあるでしょうし。 インターネットが広まったことによって、 電子書籍の配信も勿論ですが、ブログや情報サイトなど ありとあらゆる情報が飛び交うようになりました。 それぞれの信憑性は謎ですし、出版された本のように校閲が入っているわけでもありません。 (近頃は出版された本でも校閲が入っているのか疑問に思うような 内容の間違いや誤字脱字がやたら多い場合もありますが。) 未精製の情報が数多とある中から、自分で真偽を調べつつ より分けられる人間でないと、すぐ嘘に騙されたり情報の洪水に押し流されたりしてしまうでしょう。 歴史家たちはしばしば国家の言いなりになると言われていましたが 本やネットなどにある情報が正しいとは限らず、なんらかの意図で 捻じ曲げられていることはよくある話です。 文字を持たない民族について、 文章で残さないと存在しなかったのと同じになってしまう、とまでは言えないかなと思いますが 残しづらいのはその通りだと思います。 アルツハイマー病は長生きになったから出てきた病で、 百歳まで生きるようになったら大半の人は癌で死ぬという話も 興味深かったです。 紙の本が電子書籍に駆逐されるのか、書店はなくなるのか という論点ではなく、雑多に脱線しつつ、本が好きな人たちによる 様々な話題が語られているのが良いです。 読書は咎められない悪習だというのも面白い言い方ですね。

Posted byブクログ

2019/01/03

2人の愛書家エーコとカリエールの本に纏わる対談本です。特筆すべきは2人の引き出しの多さで、書籍、物語、あるいは情報について、自分が気づいていなかった視点からの見方が知れたのが有意義でした。

Posted byブクログ

2018/10/22

●書物はできた当初からすでに完成されたもの。それに比べ新しいメディアは進化の途上であり、使い方をマスターしなければならない上に、すぐにより新しいものができて、またマスターし直す必要がある。その点が、紙の書物の優位点である。

Posted byブクログ

2018/04/06

『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』 「裁判の証拠書類を2500点押収するようなときに、電子化されていれば楽」はというのは確かにと思った。また、「テレビやラジオは書物から何も奪えなかった。電子書籍はどうか?」という問いかけは面白い。

Posted byブクログ

2018/03/05

紙か電子書籍かという話というよりも、知識はどうやって繋がるか、学ぶのかということがテーマ。出版されたときにはなかった、AIと人間を考えさせられた。電子書籍をよく使う人が読んでもいいと思う。

Posted byブクログ

2017/10/19

閉ざされていた空間にひっそりと忍び込むよろこび 夫とまだ付き合っていたころ、彼の住んでいた寮の近くで暇をつぶすために入った古書店。その古書店で手に取って買おうか迷っていた本を、ようやく読みました。 あの時の直感はまちがっていなかった、心にのこる一冊でした。

Posted byブクログ

2017/03/26

インテリ万歳!タイトルだけ見ると、なんだかシリコンバレー系の人がpdf移行と電子書籍について書いたAMZNの動向とかベゾスがどうのとか思いそうだけど、あらまだそんな知らない本があったのね、と沢山教えてくれる対話形式。ありがとうエーコ。最高です。

Posted byブクログ

2017/01/29

本の魂と肉体についていろんな側面から語りつくす一冊。 エーコとカリエールの博学には驚くばかり。しかも何か資料を片手に対話しているのでもない。おそろしい二人だ。 エーコの蔵書数は3万冊を超えているという。へぇーっ‼︎

Posted byブクログ