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ねむり の商品レビュー

3.6

142件のお客様レビュー

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2020/09/30

昔『TVピープル』に収録されていた「眠り」は読んでいた。本書は、あとがきによると文章的に手を入れヴァージョンアップしているとのこと。どこがどう違うかは読み比べていないからわからないけれど。 春樹さんは40歳を迎えたころ、小説が書けなくなっていた時期があり、この「眠り」と「TVピー...

昔『TVピープル』に収録されていた「眠り」は読んでいた。本書は、あとがきによると文章的に手を入れヴァージョンアップしているとのこと。どこがどう違うかは読み比べていないからわからないけれど。 春樹さんは40歳を迎えたころ、小説が書けなくなっていた時期があり、この「眠り」と「TVピープル」で再出発したそうだ。その意味で「深く心に残っている作品でもあり、僕にとってのいわば記念すべき作品となっている」とのこと。 このイラストレーション付き単行本はドイツのデュモン社によるもので、日本の版元は新潮社だけど、区切りの良いところで次のページに文章を送ったり、イラストの位置が的確だったり、組み方や見せ方がうまい。オリジナルの短編小説とは当然味わいが異なり、それぞれ楽しめる。 『アンナ・カレーニナ』は未読だけど、気になるな。いつか読む日が来るのかなぁ。 眠れなくなり、普段ならば眠っているはずの時間に起きて本を読んだり車で出かけたりして、日常というものを客観的に見る視点を得るというのが面白くて、当時から好きな作品。 ラストはこんなだったか。 2人の男に車がゆすぶられて、そして、どうなるのだろう。何かが変化して、再び眠れるようになり、日常に戻るのだろうか。それとも、本当の死を迎えるのだろうか。ここはわからない箇所だけれど、眠れない時間に主人公の女性がさまざまな新しいことに気づいたり、昔好きだったことを思い出したり、そんなあれこれがとても魅力的。 【気になった箇所の引用】 P44 わたしは「アンナ・カレーニナ」の内容をろくすっぽ記憶していなかった。登場人物も場面もあらかた忘れていた。全然別の本を読んでいるような気さえした。不思議なものだ、と私は思う。読んだ時はそれなりに感動したはずなのに、結局のところ何も頭に残っていない。(略) それではあの時代に、私が本を読むことで消費した膨大な時間はいったい何だったのだろう? P49 ソファーにひとりで横になって、チョコレートを食べながら、「アンナ・カレーニナ」のページをめくりたかった。私は食器を洗いながら、ずっとヴロンスキーという人間のあり方について考えたいたのだ。どうしてトルストイは登場人物をみんなこんなに上手く自分の手のうちにくるんでしまえるのだろう。彼はとても素晴らしい的確な描写をする。善や悪さえもが、善や悪である前に、ひとつの相対的な情景として―― P56 眠れなくなってから、私の思ったのは、現実とは何とたやすいものだろうということだった。現実をこなしていくなんて、ずいぶん簡単なことだ。それはただの現実にすぎない。それはただの家事であり、ただの性交であり、ただの家庭にすぎない。機械を動かすのと同じで、一度運用の手順を覚えてしまえば、あとは反復でしかない。(略)ただの繰り返しだ。

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2019/11/24

自分用メモ 読破できず。 今、自分自身が、 小説をゆっくり読む体制になってないらしい。 たぶん、私の中で 小説を求める時期、 成長のためのビジネス書を求める時期、 があって、 今おそらく後者の時期。 ビジネス書を集中的に読んでいこう。

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2019/05/05

すぐに読めるはずなのにゆっくり考えながら1つ1つ読んでたらすごく頭を使って時間がかかった 難しくてよく分からない、何が分からないかも分からない 奇妙な違和感が最初から最後まで、ぞわぞわした これは現実か、夢なのか、それとも死なのか、人生とは? ラストに驚いた。短編なのに、重みがす...

すぐに読めるはずなのにゆっくり考えながら1つ1つ読んでたらすごく頭を使って時間がかかった 難しくてよく分からない、何が分からないかも分からない 奇妙な違和感が最初から最後まで、ぞわぞわした これは現実か、夢なのか、それとも死なのか、人生とは? ラストに驚いた。短編なのに、重みがすごい

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2019/05/03

面白かったです。 眠れなくなる女性のお話でした。 「眠り」の改稿版らしいですが、そちらは未読です。 眠れないことを「人生を拡大している」と捉えるなんて壮大な考え方、と思いましたが、わたしも度々眠れなくなるのでこの考え方はいいかも、と思います。眠れなくなることを否定的に捉えずに。 ...

面白かったです。 眠れなくなる女性のお話でした。 「眠り」の改稿版らしいですが、そちらは未読です。 眠れないことを「人生を拡大している」と捉えるなんて壮大な考え方、と思いましたが、わたしも度々眠れなくなるのでこの考え方はいいかも、と思います。眠れなくなることを否定的に捉えずに。 でも、死が暗闇の中で永遠に覚醒していることならそれは怖いです。死はどんなものでもあり得るなら。。 ラストも怖かったです。

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2018/08/11

あなたにはあるものが私にはない。でも、それって変?変ではあるけど許容できる? 捉え方一つで無限の可能性になること。 退屈でどうしようもない人生を二度と忘れられない一日に誰しも変えられる。 もう、戻ってこれないかもしれない、それでもやりたいならやればいい。あなたの人生はあなたのもの...

あなたにはあるものが私にはない。でも、それって変?変ではあるけど許容できる? 捉え方一つで無限の可能性になること。 退屈でどうしようもない人生を二度と忘れられない一日に誰しも変えられる。 もう、戻ってこれないかもしれない、それでもやりたいならやればいい。あなたの人生はあなたのもの。

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2019/07/23

“文句のつけようがない、と私も思う。でもその文句のつけようのなさがしばしば私を苛立たせる。その「文句のつけようのなさ」の中には、何かしらの想像力の介在をゆるさないような、妙にこわばったところがある。”(p.76)

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2018/06/02

素敵だった 前に読んだ同じ短編よりも少しバージョンアップしてる 同じ毎日を繰り返すことの退屈さ、 永遠に続くことなどないのに、一定期間は本心でなくても繰り返すことができる、 そんな自分が分離しているような感情に以前はよく悩まされた 「それではあの時代に、私が本を読むことで消費...

素敵だった 前に読んだ同じ短編よりも少しバージョンアップしてる 同じ毎日を繰り返すことの退屈さ、 永遠に続くことなどないのに、一定期間は本心でなくても繰り返すことができる、 そんな自分が分離しているような感情に以前はよく悩まされた 「それではあの時代に、私が本を読むことで消費した厖大な時間はいったい何だったのだろう?」p44

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2017/06/25

装丁の美しさとタイトルに惹かれて借りた。村上春樹の独特な世界観が昔はよく分からず苦手とさえ思っていたけれど、最近はしっくりきてとても好き。 女の淡々とした毎日とねむりの関係。女が金縛りにあった時に老人は何故足に水をかけたのか 不思議で色々想像するのが楽しい。 終わり方もぞくっした...

装丁の美しさとタイトルに惹かれて借りた。村上春樹の独特な世界観が昔はよく分からず苦手とさえ思っていたけれど、最近はしっくりきてとても好き。 女の淡々とした毎日とねむりの関係。女が金縛りにあった時に老人は何故足に水をかけたのか 不思議で色々想像するのが楽しい。 終わり方もぞくっした。もう一度読みたい。

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2017/05/29

眠れない状態になってからの17日間。 眠れなくなるトリガーや、本にのめり込む喜びを思い出すところから段々と狂っていく過程など、描写がとても生々しくて怖かった。 邪悪なものが前面に出てきます。 ドルストイを読んでみたくなった

Posted byブクログ

2017/05/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 眠れなくなった女の話。不眠症ではない。2週間以上もの間一睡もできなくなるなんて、一つの病名で表される類のものではない。  睡眠ってなんのためにあるんやろう。忙しいとき、楽しいとき、睡眠を削りたくなる。一日の三分の一、この多大なる時間を活動に充てられればと思うけど、肉体がそれを許さない。のみならず、精神にとっても必要な行為だと本書の中では述べられている。眠りを失えば、人の存在そのものが存在意義を失ってしまうと。  でも、傾向の檻の中で生きるくらいなら眠りなんて必要ない、と主人公は開き直る。そして、覚醒した暗闇の中で、死を思い描く。  村上春樹らしからぬ短編小説。何かがスイッチとなり、その人の内面世界を深く掘り下げていく感じ(これをカフカ的と呼ぶのかな?)、嫌いじゃない。

Posted byブクログ