苺をつぶしながら の商品レビュー
乃里子、35歳。 財閥の御曹司剛との生活に終止符を打ち、イラストや画の仕事で玉木乃里子という名前もそこそこ知られるようになり、一人暮らしを楽しんでいる。 画描きの男友達4,5人と、洋装店を経営する女友達、ピアノ講師をする一回り上の先輩などに囲まれて、ほんの二、三年前の結婚生活が...
乃里子、35歳。 財閥の御曹司剛との生活に終止符を打ち、イラストや画の仕事で玉木乃里子という名前もそこそこ知られるようになり、一人暮らしを楽しんでいる。 画描きの男友達4,5人と、洋装店を経営する女友達、ピアノ講師をする一回り上の先輩などに囲まれて、ほんの二、三年前の結婚生活が人生の刑務所だったなんて言いたい放題。 出所祝いと称して仲間たちとバーで飲み、軽井沢への旅行も楽しみ、少しづつ本来の自分を取り戻していく乃里子だったけれど、終盤女性友だちに悲しい出来事が起こります。 一人暮らしの楽しさの裏にある、孤独という恐怖。 それを救ってくれたのは…。 なんかなんかすごくいい話じゃない。 懐に温かいものが染みわたってきます。 乃里子の明るさとか、賢さとか、優しさとか、もうぜんぶが羨ましく感じられ、とても元気の出る物語でした。 乃里子三部作、読んでよかったです。
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私ものりこの言うタダの妻やタダの母になりたくない。 そしてお化粧に5分以上かけない女になりたい。 保守性なんて、力むことだもの 「でもオトナやから彼は。何年会わなくても、昨日会ったような気にならせる。」
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結婚していた事を服役、結婚歴を前科、元夫を看守と呼びつつも、結婚生活全てを否定する訳ではなく女一人の生活を謳歌する乃里子の姿が瑞々しい。 女の人生、男と女、女と女、誰かと生きる事、一人で死ぬ事について深く考えさせられた。 私もいつか「散髪に行ってきます」と言って家を出てみたい。
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津村記久子さんの後書きも大好き。人生時には辛い事、恥ずかしい事を経験する。乃里子は身の回りの状況を時に冷酷なほど分析し、綺麗事でなく本音を綴りながらも最終的に心の赴くまま楽しんでしまう。「人生は美しい、と、台詞で、言うのはたやすいけれども、それを物語として納得させることは至難であ...
津村記久子さんの後書きも大好き。人生時には辛い事、恥ずかしい事を経験する。乃里子は身の回りの状況を時に冷酷なほど分析し、綺麗事でなく本音を綴りながらも最終的に心の赴くまま楽しんでしまう。「人生は美しい、と、台詞で、言うのはたやすいけれども、それを物語として納得させることは至難である。乃里子三部作は、そのことに達成して余り有る。•••乃里子という女の子が、ただ生きているという様子だけで、それを描き尽くす。瞠目する」 乃里子のように生きていきたい。
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今まで読んだ田辺聖子さんの本の中で1番好き。 現代ものでも平安ものでも、読んでいてとても苦しくなってもうしばらく本読みたくない、というのが多かったけど、今回のは内容が軽やなのと、自分の好みが変わったせいかもしれない。 年とったからかなあ。 江國香織さんとかよしもとばななさんとか...
今まで読んだ田辺聖子さんの本の中で1番好き。 現代ものでも平安ものでも、読んでいてとても苦しくなってもうしばらく本読みたくない、というのが多かったけど、今回のは内容が軽やなのと、自分の好みが変わったせいかもしれない。 年とったからかなあ。 江國香織さんとかよしもとばななさんとか、せんさいでやさしいおんなのこ、が読むものより好きになってきたかも。 昔ほど何もかもが面白い、ということはないからこそたまに楽しいって思えることはとても大切だし。 どうしても思い通りになってほしい!がんばって!というより、どことなく、どうなったっていいぜ、という気分というか。 どうにかなるでしょ、ってわかっているというか。 常に男がいないと不安(物理的にも、精神的にも。今1番気に入ってるのはこの人、って決めないと不安だった)っていうより、そのうち気に入った男が現れるでしょ、とか、仕事という刑務所に服役することない、とか。 全く同感なので、周りに小さな声で言ってみるんだけど、あんまりわかってもらえないんだよねえ。それも良いって思えるようになるかな。 わかりあうためじゃなくて話し合うために話せばいいし。 何より主人公、思いやりと優しさがあっていいですね。気を使うより愛を使うってこういうこと? 雨の日に超ミニのレインコート着てお散歩に行きたい。 これは売らないでもっておこうっと。
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大人の恋愛のひとつの形だと思う。乃里子さん人生楽しそう。自分の中にもちょっと乃里子さんを持ちたいな。
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家庭に入って子育てをするだけが女の幸福ではない!と、真っ向勝負している第三部。この小説が執筆された昭和五十六年の時流を考えると、本当に乃里子は「女の人生革命家」だったのではと思う。自分の人生を自分で選んでいく乃里子は格好良くて、最後はどんな道を選ぶのだろう?と、どきどきしながら見...
家庭に入って子育てをするだけが女の幸福ではない!と、真っ向勝負している第三部。この小説が執筆された昭和五十六年の時流を考えると、本当に乃里子は「女の人生革命家」だったのではと思う。自分の人生を自分で選んでいく乃里子は格好良くて、最後はどんな道を選ぶのだろう?と、どきどきしながら見守った。前作『私的生活』ですっかり嫌いになっていたあの人も出てきて、その有様に思わずきゅんとしてしまった自分はかなりちょろい(笑)対して、乃里子の選択には惚れ惚れする。 『言い寄る』から始まった「乃里子三部作」には、アラサー女性のすべてが詰まっていた。きまった男がいない自分に感じる欠乏感、結婚にともなう煩わしさと閉塞感、再びひとりの生活に戻ったあとの享楽や老後への恐怖──。こんなに女性に親身に寄り添ってくれる本は他にないと思う。「ピッカピカの三十五」になる頃にまた読み返したい。
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2022.09.06 散髪にいって来ます 女が同性に優越感をもつとき、自分が安定している、あるいは、一人の男に定着してる、という場合が多いのはなぜかしら。 やさしい声が出せるから寝られるのだ。 一人ぐらしの楽しさは、この孤独の恐怖と、うらおもてに貼り合わせられていたのだ。
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大学生のときは最後まで読めなかった本。モテる人の感覚って全然わからなくて。 今でも私は別にモテたり、異性に気にされるようなタイプの人間ではないけど、あのときよりずっとずっと人間関係の愉しみ方を知ってる。感情の動きの味わい方を知ってる。人生の奥行きを知ってる。 だからこそ、乃里子の...
大学生のときは最後まで読めなかった本。モテる人の感覚って全然わからなくて。 今でも私は別にモテたり、異性に気にされるようなタイプの人間ではないけど、あのときよりずっとずっと人間関係の愉しみ方を知ってる。感情の動きの味わい方を知ってる。人生の奥行きを知ってる。 だからこそ、乃里子の物事の味わい方に共感できたんだと思う。そんな自分が嬉しいというのがいちばんの感想かな。
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田辺聖子さんの本を初めて読みました。 主人公の乃里子さんはおしゃれで自立していてとても明るい性格。ポジティブで考えもしっかりしており憧れます。 物語が良いのは言わずもがな、文体はキラキラした光の粒が弾けるようでとても素敵でした。 40年の時を経ても色褪せない、はたらく女性のバイブ...
田辺聖子さんの本を初めて読みました。 主人公の乃里子さんはおしゃれで自立していてとても明るい性格。ポジティブで考えもしっかりしており憧れます。 物語が良いのは言わずもがな、文体はキラキラした光の粒が弾けるようでとても素敵でした。 40年の時を経ても色褪せない、はたらく女性のバイブル。読むことができて良かったです。
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