木洩れ日に泳ぐ魚 の商品レビュー

恩田陸【著】

2024/01/21

不思議な空気感が漂うお話。はじめはよくある男女の別れ話かと思ってました。が、私の予想はことごとく裏切られ次々と新展開へ…。何かを思い出すのは、タイミングだったり、ほんのささいな事がきっかけだったり…。ふたりの視点から交互にじわじわと真相に近づく様は、まるで当事者になったようにハッとさせられる場面が多かったです。そして、アキの女心に共感。ダメだとわかっていながら１人しか愛せない気持ちも、禁断じゃないと知ったとたんに興味が失せる気持ちも…。すごくリアルだと思いました。

2024/01/18

痴情のもつれ？というか、彼我の間の深い谷を越えようとする欲求を軸にしたザ・恋愛小説。
ミステリ要素もあるけど突飛気味。

タナトスは深夜テンション。
高校時代の彼氏のくだりはRADの「愛し」の歌詞。

2024/01/21

一つの舞台を観ているかのような空気感がただただ心地よかった。
ストーリーとして劇的な変化は少ないものの、2人の男女の心理の変化は読んでいて心がザワザワした。
続きが気になる書き方で、文章自体がとても読みやすいのもあり、気付いたら一気読みしていた。
読後の疲労感と充足感が堪らない。
夜から朝にかけての描写も美しかった。

恩田陸さんの作品は気になっていたものの読んだことがなく、これが初めてだった。
作品の空気感がとても好きなので他の作品も読んでみたいと思った。

2024/01/13

一組の男女が、別れる前日の一夜。舞台はアパートの一室から動かないが、細かな心理描写と会話、回想で話が展開していく。
不穏な空気と、少しずつ明かされる謎に引き込まれ、先が気になり一気に読んだ。
後半の憶測はやや突飛に感じたものの、情景が目に浮かぶような巧みな表現はさすが。

2024/01/08

暗い芝居小屋でお芝居を観ているような感覚
舞台は深夜のアパートの一室、登場人物は一組の男女だけ、夜明けまで語り明かして少しずつ謎が解けていく。
前半は色々気になって一気に読みすすめるがすべて憶測だけなのでミステリーとしてはなんとなくすっきりしない。
一章ごとに変わっていく男と女の心理描写がよくわかり恋愛小説としては面白かった。

2023/12/16

今までに読んだことがないタイプのストーリーで最初は「？」ってなっていたがこれはこれで面白い。

話が進んでいくにつれて2人の思惑や感情に変化が現れていく感じも面白かった。

別に付き合っていい関係性だとわかった途端に相手への情が冷めるのがリアルだと思った。

2023/12/08

人間くさい感じがすごく良かった
数ページ前には思ってたことも、いつの間にか違う考えになってたり、論点がどんどん入れ替わったり、続きも気になるし楽しく読めた
恩田陸さんの表現、相変わらずとっても好き
一夜って、意外と長いよね
最後の夜明けから朝になるまでが好きだった

2023/11/29

正確に書くと星3.5。
簡単に書くと、恋人が別れ話をするために、ある一つの問題を話し合って片付ける話。
読んでいくうちにこの恋人がよくある関係じゃないことがわかってきたり、殺人のことが出てきたりする。ミステリーの要素が入っている。
最後の男性の方の感じはよくあると思った。
あと最後の女性が電話するのもどうかと思う。

2023/11/16

最後の解説がよかった。
恋愛感情は必ず終わる。幸福であれば、慈愛や友愛などに移行する。相思相愛でなく一方的な恋愛であれば、恋愛感情が長く続く場合がある。恋愛という精神活動はそういうものだって書かれてて、安堵するような悲しいような気持ちになった。

アキが兄弟じゃないと分かって気持ちが冷めるのがリアルだなって思った。

2023/11/27

最初から最後までドキドキと衝撃的な展開の連続で、引き込まれる作品だった。登場人物の設定だったり父親の死に方がちょっと無理やりな気はした、、、
それを踏まえても、この分量でこの内容はすごいと思う。
誰もが少しは感じている恋愛観から、罪の意識まで、登場人物の感じる気持ちのリアリティが凄い。

ただ、真相が明らかになったあとにだらだら話を続けていたのが蛇足な気がした。
読んでる途中、これまだ続くの？って。
2人で心中するか、普通に寝て終わるエンドで良かった気がする。