木洩れ日に泳ぐ魚 の商品レビュー
引っ越しが終わって片付けられた部屋に残った男女。明日から別々の暮らしを始める為最後の夜を語り明かす事にした。お互い1年前に起きた「あの男」を殺した犯人ではないかと疑惑を胸に。 最初「あの男」は劣悪な人間かと思ったらそうでもなく、2人の関係やら「あの男」の正体が徐々に明るみに出て...
引っ越しが終わって片付けられた部屋に残った男女。明日から別々の暮らしを始める為最後の夜を語り明かす事にした。お互い1年前に起きた「あの男」を殺した犯人ではないかと疑惑を胸に。 最初「あの男」は劣悪な人間かと思ったらそうでもなく、2人の関係やら「あの男」の正体が徐々に明るみに出てくる。 最初から最後まで2人の会話と独白のみで構成されている。男のほうは一見好人物、しかし心の声を聞くとかなりズルい。「黒と茶の幻想曲」の牧生を彷彿させた。女のほうも辛気臭くてあまり好きに慣れないキャラ。ただ、彼女は気の毒だと思う。 面白いけど読んでいて疲れる作品だった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
一枚に写真の話であり、一人の男の死の謎についての話であり、山の話であり、一組の男女の別離の話であるミステリー。 一組の男女の掛け合いで進んで行く、ちょっと「Q&A」に似た進み方が面白い。 こちらは完全主観で、それぞれの想いが重なり合ったり、ぶつかりあったり、並行して進んでいったりしながら真実に近づいていく。 でも二人の密室会話劇なので、その真実が真実であるかは曖昧で、まさに恩田節炸裂といった感じで、どんどんこの二人の世界に引き込まれていく。 解説にもある通り、ミステリーであると同時に、禁じられた恋愛、の話でもあって、鴻上さんがおっしゃっている通り、苦しい恋をするときのシミュレーションになるのかもしれない。
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なんといえばいいのか、この全体に及ぶうす気味のわるい暗さは。 みんながみんなそんな、心に闇持ってるんじゃないんじゃないか。と思うのに、そのまた闇だとか囚われる檻だなんてのもまた、結局自分の作り出したものなのかもしれない。 まあ、夜中って時空が歪みがちだからなあ。
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息詰まる部屋、謎に満ちたシチュエーションから徐々に真相や状況が分かっていく様子や、夜から朝になっていく時の白々しい空気感、真実を知った時の妙な冷めなどがうまくグラデーションの様に表現されていて面白かった。
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同居解消を翌日に控えた男女の最後の一晩を描いた作品。がらんとした部屋で晩酌をしながらの二人の会話はじょじょに過去を明らかにしていく心理戦のようで、読んでいるこちらにもその不穏な雰囲気が伝わってくる。こういった、たった一つの舞台で限られた登場人物がああでもないこうでもないと思考を...
同居解消を翌日に控えた男女の最後の一晩を描いた作品。がらんとした部屋で晩酌をしながらの二人の会話はじょじょに過去を明らかにしていく心理戦のようで、読んでいるこちらにもその不穏な雰囲気が伝わってくる。こういった、たった一つの舞台で限られた登場人物がああでもないこうでもないと思考をめぐらせる話が大好きな私の好みにぴったりの作品だった。男女のずるさや儘ならなさを感じながらも、爽快感のあるラストで面白かった。
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「君が殺したんだろ?」「あなたが殺したんじゃないの?」という一晩の対話。シンプルな設定だからこそ、読ませる力が存分に出ている。こういう作品は人に薦めたりレビューを書いたりして面白さを伝えるのが難しいなぁ。むしろあまりあおらない方がいいし。
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舞台はアパートの一室。別々の道を歩むことを決めた男女が、引っ越し前夜、最後の夜を徹して語り合う。 男女が関わるひとつの死亡事故、そして複雑な過去。 濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる真実とは。 たった一晩の物語なのに、近い過去から遠い過去まで行ったり来たりして、しかも展開...
舞台はアパートの一室。別々の道を歩むことを決めた男女が、引っ越し前夜、最後の夜を徹して語り合う。 男女が関わるひとつの死亡事故、そして複雑な過去。 濃密な心理戦の果て、朝の光とともに訪れる真実とは。 たった一晩の物語なのに、近い過去から遠い過去まで行ったり来たりして、しかも展開が二転三転して、濃いミステリ小説だった。 時々頭のなかで相関図を整理しながら読まないとややこしくなるかも知れない。 ミステリの感想はうっかりネタバレしたらまずいからあんまり詳しく書かないけど。笑 恩田陸さんのミステリってたまに伏線を回収しないまま終わることがあるけれど、この小説はすっきり終わる。 禁じられるから強く求めてしまう、という心理って実際ある、と頷いた。駄目と言われるとどうして欲しくなるんだろう。 それが“駄目”じゃなくなったら興味を失う、という人間のおかしな心理。 その関係にこだわるのは、愛情なのか執着なのか。目が開けてそれが分かったあと、果たしてどうするのか。 お互いを疑いながらの関係は、どれだけ騙し騙し過ごしたとしても長くは続けられない、苦しすぎて。 そんなことを、改めて思った。
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濃密な一晩 2人の地獄とも思える状況に心の動かされ、 それでいて思ったよりさくさく物語が進んでいき少しずつ謎解きがされていく…… 自分の暗い部分にちゃんと向き合うのってすごいなぁ…… でも、アキほど自分の気持ちを言語化できる人っているのかな。自己認識がすごい。 自分の気持ち...
濃密な一晩 2人の地獄とも思える状況に心の動かされ、 それでいて思ったよりさくさく物語が進んでいき少しずつ謎解きがされていく…… 自分の暗い部分にちゃんと向き合うのってすごいなぁ…… でも、アキほど自分の気持ちを言語化できる人っているのかな。自己認識がすごい。 自分の気持ちを整理する時、言語が媒体になって助けになると思うけど、それがなかなかできずにモヤモヤしてる人が一般的だよなーと思った。 小説のドキドキ感ももちろんだが、そんなことを考えた作品でした
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「木漏れ日に泳ぐ魚」読んだ 登場人物は男女二人だけで、それぞれの一人称で交互に話がすすむ舞台劇みたいなお話でありました。 最近読んだ恩田さんの本は、最後モヤモヤ残す感じのが多かったけど、これは真相(と登場人物の一人が思ったこと)がちゃんと提示されるんでスッキリしていいね。 考え...
「木漏れ日に泳ぐ魚」読んだ 登場人物は男女二人だけで、それぞれの一人称で交互に話がすすむ舞台劇みたいなお話でありました。 最近読んだ恩田さんの本は、最後モヤモヤ残す感じのが多かったけど、これは真相(と登場人物の一人が思ったこと)がちゃんと提示されるんでスッキリしていいね。 考え過ぎちゃうん?とは思ったけど。
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アパートの一室で繰り広げられる男女の話。 それは別れ話から始まる。 二人の間は近いけど、深い溝がある。 それは何か。少しずつ明かされる真実。 たった二人だけの空間に、スーッと引き込まれて行くような感覚。 2015.4.27
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