猫鳴り の商品レビュー
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第一部は、飼えない子猫に対しての彼女の行動は仕方ないのかもしれないのだけど、そこまでして?って思った。それでも子猫の懸命に生きる姿に心打たれた。死んでもおかしくないのに、強い生命力に安堵した。20年も生きるなんて凄い。 第三部は、本当に切なくて、でも最期まで懸命に生きるモンと飼い主の絆になんとも言えない気持ちになりました。現在、同じく猫の闘病生活を送っていたものですから、リンクしてしまい、最期を迎える時の飼い主の葛藤や気持ちが痛いほどわかった。 自分も心の準備ができた気がしました。
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「生きもの」について考えるときに読む一冊。 命あるものの禍々しさと崇高さと、言葉にできない混沌とした存在感が伝わってくる。名作だと思う。
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p152「もてあますほどの若い活力のすぐそばで、死は黒々とどくろを巻いている。友人たちは、いったいどのようにしてこれに耐えているのだろうかと 、不思議でならなかった。」 p167「カマボコのみじん切りを無心に食べている様子を見ながら、藤治は日頃の自分がときどき猫に冷たくあたってしまうことが、ただ悲しくてならなかった。」 p170「自分もモンも衰えて、余分なものをずいぶん失くしてしまった。余分な、役にも立たない、たくさんの美しいもの。」 p189「部屋に入り、ベッドの下をのぞき込むまでの一瞬、今度こそ息絶えているのではないかと怯える。その怯えの中に、だがたしかに、もういい、もう終わってほしい、という思いが混じっている。」 p197「何をどう考えてもわからないのだから、何をどう考えようと自由だ。」 動物そこまで好きというわけでもなかったけど、第三部では思わず涙がにじんだ。私も小さい頃から家族や友人など大切な人の死に対する恐怖が人一倍強かったから、「そう遠くない日に、俺自身が行かなけりゃなんない道を、自分が先に楽々と歩いて俺に見せているみたいだ。」という一文にすごく心が救われた。
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飼い猫、飼い犬の死が近づいた時、どんな治療をするか…悩んで悩んで…死んだ後もあれで良かったのか?間違ってた?と後悔ばかりのペットロス(u_u) 後半とてもリアルな看取りの内容で涙… 天国の愛犬に逢いたくなっちゃいました(/ _ ; )
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モンがどのように猫生を送っていたのか詳細には書かれていなかったのに最終章凄くリアルで苦しくて悲しくなって涙が出た。徐々に迫ってくる死を受け入れてるモンの姿を見て、こういう死生観もいいなと思った。アヤメの話をもっと知りたかった。
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最終章、涙なしでは読めません。 愛猫が年齢は違えど全く同じ状況なので、重ねてしまって、というよりうちの子のことかな?なんて。
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11歳で亡くなったうさぎのことを考えて辛くなった。年寄りになったら見返したい本。死ぬ準備できるのか、できるような死に方するのかわからないけれど。
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最後は泣きながら読みました。わたしもねこを3匹飼っているのですが、ねこの描写があまりにもリアルで自分のねこの姿とかぶって色々想像しながら読みました。いま飼っているねことの時間を大切にしようと思える作品でした。
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死を受け入れる、とは。大事な人の死、自分の死。生々しく描かれている。絶対に避けて通れないし、少しずつ、確実に近づいてきているものなので、リアルに感じさせられた。
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間違いなく「モン」(猫)が主役の物語。 「犬派?」「猫派?」と聞かれれば迷うことなく「犬派」と答えます。 犬は何匹か飼ってきましたが、猫は飼ったことがありません。 飼ったことがない以前に人生で何度触れただろう?という感じです。 決してキライという訳ではなく、私には縁が無かったと言うのが正しいかも知れません。 そんな私が猫と縁を持ってしまったのが、本作「猫鳴り」です。 読み終えるまで正直こんなにはまるとは思っていませんでした。 3部構成で描かれるのはまさに「モン」の一生で、いかに生き、いかに死ぬかの物語。 決して心温まる優しい物語ではありません。 何せ、物語は生まれたばかりの子猫(モン)を40代の主婦信恵が見つけることから始まりますが、怪我をした子猫を信恵は何度も何度も捨てに行きます。 その度に何故か子猫は信恵のもとに戻って来ますが、それを見つける度、カラスにでも食われてしまえとより家から遠いところに捨てに行く。 動物好きの方にすれば「なんて酷い」まさにそんなシーンから物語は始まります。 そして、藤治と信恵夫婦の家で飼われることが決まり、「私がその猫を捨てた」と言う少女から「モン」と言うのが名前だと告げられ、飼い猫「モン」が誕生。 第2部では心に闇を抱えた少年に不思議と寄り添う「モン」が描かれます。 ラスト第3部で描かれるのは、信恵が亡くなり、年老いた藤治と20歳となった「モン」が生涯を閉じるまでの姿。 いずれ訪れる「死」を自然なものとしてある意味で自然体で迎える「モン」はまるで藤治に「死なんて怖くも何ともないよ」と優しく諭すかの如く。 部が変わるごとに、描かれるの人の視点は変わっていきますが、いつもその中心には「モン」がいます。 読み終えた時に感じる読後感はそれぞれかと思いますが、私には20年以上前に亡くなった愛犬を思い出さずにはいられませんでした。 まだ3作しか読んでいない著者の作品。 感銘を受けた「彼女がその名を知らない鳥たち」でも感じたのは決して心地よい雰囲気や、キレイな景色ではなく、敢えて読者が嫌悪感を感じる文体を描くのが上手い作家さんだと思います。 なのに読者を魅了する。 凄い作家さんです。 説明 内容紹介 流産した哀しみの中にいる夫婦が捨て猫を飼い始める。モンと名付けられた猫は、夫婦や思春期の闇にあがく少年の心に、不思議な存在感で寄り添ってゆく。まるで、すべてを見透かしているかのように。そして20年の歳月が過ぎ、モンは最期の日々を迎えていた。濃密な文章力で、生きるものすべての心の内奥を描き出した傑作。 内容(「BOOK」データベースより) ようやく授かった子供を流産し、哀しみとともに暮らす中年夫婦のもとに一匹の仔猫が現れた。モンと名付けられた猫は、飼い主の夫婦や心に闇を抱えた少年に対して、不思議な存在感で寄り添う。まるで、すべてを見透かしているかのように。そして20年の歳月が過ぎ、モンは最期の日々を迎えていた…。「死」を厳かに受けいれ、命の限り生きる姿に熱いものがこみあげる。 著者について 1948年大阪府生まれ。主婦、僧侶、会社経営などを経て2004年『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞。圧倒的な筆力が選考委員に絶賛される。他の著書に『彼女がその名を知らない鳥たち』『アミダサマ』『痺れる』がある。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 沼田/まほかる 1948年大阪府生まれ。主婦、僧侶、会社経営などを経て2004年『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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