なぜ君は絶望と闘えたのか の商品レビュー
鮮烈に記憶の中に焼き付いている。 「私の手で殺すまでです。」 そう言った彼の言葉を、呆然と聞いていた。 当時18歳。加害者Fとは1つ違い。事件の内容は大まかに知っているものの、詳しくは分からない。 18歳と言えば軽々しく冗談で殺すよ?なんて言葉を使っていたと記憶しているが、人が本...
鮮烈に記憶の中に焼き付いている。 「私の手で殺すまでです。」 そう言った彼の言葉を、呆然と聞いていた。 当時18歳。加害者Fとは1つ違い。事件の内容は大まかに知っているものの、詳しくは分からない。 18歳と言えば軽々しく冗談で殺すよ?なんて言葉を使っていたと記憶しているが、人が本気で言う「殺す」という言葉に打ち抜かれていた。 時は刻刻と過ぎ去り、法廷でのやり取りや、結果をただ耳にする程度で、最終的に死刑になったんだくらいにしか思っていなかった。 それからまた、倍の18年が過ぎ、この本を読んでいま、震えている。 あの時、あの瞬間から、どれだけの思いが交錯していたのかを、思ってだ。 人権の意味や、死生観、無常観。 彼等、それぞれの想いを汲み取ることしか勿論出来ないけれど、ちょっとした虚しさに侵されている。
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本村さん目線で語りながらも著者の語り口が熱くなりすぎずフラットで読みやすかった。本村さんが信念を貫き、司法と戦う姿を描いたノンフィクションとして読み応えがあるのはもちろんだけど、自分はどちらかといえば死刑反対派のため、本村さんがアメリカで同い年の死刑囚と対話する場面や、犯人の弁護...
本村さん目線で語りながらも著者の語り口が熱くなりすぎずフラットで読みやすかった。本村さんが信念を貫き、司法と戦う姿を描いたノンフィクションとして読み応えがあるのはもちろんだけど、自分はどちらかといえば死刑反対派のため、本村さんがアメリカで同い年の死刑囚と対話する場面や、犯人の弁護団でも意見の対立があったという場面などを特に興味深く読んだ。 ちなみに裁判の間の犯人の反省の態度の無さについて終始触れられていたけど、この犯人はどう考えても今で言う発達系だろうなと思った。 なおエピローグで著者が死刑囚となった犯人と対面するシーンがある。さらっと書かれてるけど、え、どういうこと?という犯人の言葉があり、モヤモヤというより、まあ真相は無くなった被害者と犯人にしか分からないことだから、罪を裁くこととか冤罪とかについて改めて考えさせられた。 まあ殺害を犯したことにも、本村さんが家庭を壊されたことにも変わりないから、犯人が最後何か言ったところでってことなんだろうけど。。 それにしても子供の頃、事件の概要が分かるくらい本村さんの顔をしょっちゅうテレビで見ていたけど、今当時の映像を見るとまだ幼さが残る若者って感じがした。自分も実際に同じ目にあったら犯人に死刑を望むのかもしれないし、想像を絶する経験をしたのにも関わらず信念を貫き続ける行動力と発言力は、他の人も感想に書いてるけど、改めて凄いなあと思う。彼の生い立ちについても触れられており、行動力や信念の強さの理由が少し分かった感じがした。
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この事件についてよく覚えている わたしも被害者と同じように 娘がいて夫の帰りを待つ若い主婦だったから 被害者お二人に苦しみを与えた犯人を他人である私も憎い 犯人の18歳で社会人であれば世間ではもう大人として認識されるのに 少年法は鉄壁のバリアだったのだ
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事件のことは、もちろん知っていた。 これを読んで、本村さんが最愛の妻子を失ったとき、守れなかったと悔やんだり、現場の凄惨さにすぐには妻を抱きしめてあげられなかったとその後ずっと自分を責めたりしていたことを知った。 その当時、犯罪被害者がなんの権利も保証されていなかったこと。今で...
事件のことは、もちろん知っていた。 これを読んで、本村さんが最愛の妻子を失ったとき、守れなかったと悔やんだり、現場の凄惨さにすぐには妻を抱きしめてあげられなかったとその後ずっと自分を責めたりしていたことを知った。 その当時、犯罪被害者がなんの権利も保証されていなかったこと。今でこそ、法廷に被害者当人の遺影を持ち込むことは許可されているものの、それすら否定されて布にくるんで持ち込むという無念。 裁判官の人格というか、判例主義に基づいた、到底被害者の感情や実際の犯人の状況をかんがみたとはいえない地裁での判定。 当時の未成年に対する保護法。 マスコミの、未成年犯罪者に対する扱い。被害者家族への対応。 当事件性犯罪の要素が入ったことがわかったときかあのマスコミの変化。あからさまにならないよう、あいまいにすることで、世間からの好奇の目にさらされないよう…といった名目?の中途半端な報道。真実が伝わらないことで、被害を受けた親子の、本当の苦しみがあいまいになる。 本村さん自身、ご家族、検察の思い。 無駄がなく、筆者の思いが伝わる読みやすい文章で、事件が、社会が、遺族がどのように歳月を費やしていったのかが痛い程せまってくる。 まともな心境では読めず、仕事の休憩中、移動中の車内、いろんなところで、泣きながら、止めながら読み進めた。 司法や、国会に、世間にも、本村さんが真摯に訴えた報いが表れたのは、せめてもの救いだった。地獄から少し浮上する、救いの手を自分で手繰り寄せたのは、本村さんの強さと執念、妻子への思いだった。 会社の人たちも、検察も味方してくれてよかった。周りに本村さんが生きることを、続けるよう見守ってくれた人が、いたことで、活動を続けられた面がある。 取材に向かう飛行機でお守り代わりのだるまを渡したCAの人たち。 面会で、犯罪被害者の声を聞き、初めてその、不遇さを知った小泉元首相が、すぐ対策チームを、立ち上げさせたこと。 そして、判決自体で差し戻しされた最終的な判決が極刑であったこと。 アメリカで死刑囚と話して聖人のようだと感じたこと。「毎日冥福を祈るよ」と、言われたこと。 人を、未成年を裁くということ。 死刑が持つ意味。影響。 裁判では、事件の本当の状況や、被告が反省しているかのみならず、弁護団の倫理観にも左右されるということ。 妻との思い出の場所近くへ、一人で墓参りに向かう本村さんの描写を見るに、残された生を生きる切なさを感じた。 とにかくいろんなことを感じ、考えさせられた一冊。今後の自分に大切な意味のある本であった。 筆者の取材と書くことへの熱量へ敬意を表し、本村さんに少しでも心穏やかな、光差し込む生活が続くように祈っている。
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本村さんの、特に公判初期の無念さがとても痛ましい。被害者視点のみで構成されているものの、アメリカまで取材に行った内容などから、死刑はもちろん命そのものについて考えさせられる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
まず第一に、本村洋さん、他のご遺族の皆様が今、少しでも心穏やかに生活されていることを心から願っています。 そして何にも悪くないのに突然被害に遭われた弥生さん夕夏さんが穏やかに眠れていることも、心から祈ります。 「死刑がなければ、これほど皆さんがこの裁判の行方に注目してくれたでしょうか。死刑があるからこそ、F(加害者)は罪と向き合うことができるのです」と洋さんの言葉がこの本の全てだと思った。 最高裁(死刑判決)の前後で牧師さんに出会って変わったように見える、反省しているように見える言葉を言うようになったFの言葉は、本当に心からの言葉なのか、偽りの言葉なのか、読者としては判別がつかない。著者の門田さんとてもフラットに描写されていると思うし、門田さんもニュートラルに聞いているのだろう。
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本村さんは20代前半でこの事件に遭遇されたのか。その時の絶望は想像に耐えがたい。 この方の司法に対する被害者の権利に関する貢献は非常に大きい。尊敬いたします。
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かなり前に買った本だが、どう考えてもハッピーエンドはあり得ないし、なかなか読み始めるのに勇気がいった。 本村氏の生い立ち、そしてアメリカで死刑囚に会ったことなど、もしかしたらニュースで少し流れていたのかもしれないが、こうしてしっかりと本で読むのは初めてであった。 なぜ闘えたのか、...
かなり前に買った本だが、どう考えてもハッピーエンドはあり得ないし、なかなか読み始めるのに勇気がいった。 本村氏の生い立ち、そしてアメリカで死刑囚に会ったことなど、もしかしたらニュースで少し流れていたのかもしれないが、こうしてしっかりと本で読むのは初めてであった。 なぜ闘えたのか、を第三者が軽々しく論じられるものではないが、本村氏がたどってきた道が本当に大変なものであったことがよく分かる労作だと思う。 単なるFの断罪物語にせず、著者が判決後も何回もFと面会をしてそのエピソードが載っているのもよい。
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門田隆将『なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日』新潮文庫。 綿密な取材により描かれたノンフィクション。非常に読み応えがあり、司法制度の問題に様々なことを考えさせられた。 1999年に山口県光市で起きた23歳の主婦と生後11ヶ月の乳児の18歳の少年による惨殺事件。独り残...
門田隆将『なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日』新潮文庫。 綿密な取材により描かれたノンフィクション。非常に読み応えがあり、司法制度の問題に様々なことを考えさせられた。 1999年に山口県光市で起きた23歳の主婦と生後11ヶ月の乳児の18歳の少年による惨殺事件。独り残された夫は絶望の淵から立ち上がり、周囲の人に支えられながら、少年法に守られた18歳の少年の裁判に9年間も挑み続けた。 自らの性的欲求を満たすために近隣の家を周り、若い女性を物色した挙げ句に2人もの尊い命を奪い、殺害後に強姦するという残虐極まりない犯罪を犯した少年。反省の態度を見せない少年を弁護する死刑制度反対の立場を取る弁護団。 当時、テレビのニュースで遺族となったまだ若い夫が、犯人の少年を殺害すると恐ろしいまでの怒りの口調で発言したことに驚いた。不慮の事故ではなく、明らかな目的を持って殺害に及んだ少年が少年法に守らというのは全く理不尽なことである。犠牲者や遺族はニュースで実名報道されるのに、犯人の少年は匿名で報道されるだけでなく、過去の判例では少年が2人を殺害しても最高刑は無期懲役にしかならず、少年が無期懲役になれば僅か7年で仮釈放されるというのだ。 自分は少年であろうと相当の非道な犯罪を犯したら死刑にすべきだと思う。そのような犯罪を犯す少年には更正の可能性など無い。仮釈放されれば再び犯罪を犯す確率の方が高い。 また、犠牲者は予期せぬうちに命を奪われたというのに対して、刑が確定した死刑囚が何年も生かされているのはおかしい。三権分立と言いながら、法務大臣という政治家の許可が無いと死刑が執行されないという制度が間違っているのだ。死刑判決が確定したら法務大臣の判断など待たずに、定められている期日以内に執行すべきだと思う。 本体価格514円(古本100円) ★★★★★
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山口光母子の事件は当初から衝撃を持って事件のニュースを聞いていた。本村さんの執念は画面越しに伝わってきた。このように詳しく書き記された本が世に出たことは事件をただの事件として埋もれさせにないためにも良かったと思う。この事件とその後本村さんが起こした行動による社会的影響はその位すご...
山口光母子の事件は当初から衝撃を持って事件のニュースを聞いていた。本村さんの執念は画面越しに伝わってきた。このように詳しく書き記された本が世に出たことは事件をただの事件として埋もれさせにないためにも良かったと思う。この事件とその後本村さんが起こした行動による社会的影響はその位すごいものだった。
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