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なぜ君は絶望と闘えたのか の商品レビュー

4.4

80件のお客様レビュー

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2010/11/20

光市母子殺害事件の初めて判決が下された後の記者会見で、「彼を私の手の届くところに置いてほしい。私の手で殺します。」と言った本村洋さんの姿を見て、テレビから目が離せなかったことを今でも思い出す。 これほどまでに犯罪被害者の気持ちを代弁した言葉はなかったのではないか。 人の「命の重さ...

光市母子殺害事件の初めて判決が下された後の記者会見で、「彼を私の手の届くところに置いてほしい。私の手で殺します。」と言った本村洋さんの姿を見て、テレビから目が離せなかったことを今でも思い出す。 これほどまでに犯罪被害者の気持ちを代弁した言葉はなかったのではないか。 人の「命の重さ」が正しく反映されない司法を変革するために、絶望の中から何度も立ち上がり、そして行動が花開くまでの9年間を描く。 人は死を「自らで」実感した時しか「命」の大切さを理解できないのか。 この本を読み、本村洋さんが歩んだ数年間の活動を知るだけでも、今の自分が幸せであることをかみしめることができ、十二分に「命」の大切さを実感した。 一気に読みました。

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2010/11/16

山口県光市の母子殺害事件を忠実に取材してまとめたノンフィクション。被害者よりも加害者を守ってきた日本のマスコミと司法に真っ向から立ち向かってきた本村さんの姿と彼を支え続けた人々の姿にただただ感動した。 新日本製鉄の上司の「社会人たれ」という言葉にこめられたエピソードには心を打つも...

山口県光市の母子殺害事件を忠実に取材してまとめたノンフィクション。被害者よりも加害者を守ってきた日本のマスコミと司法に真っ向から立ち向かってきた本村さんの姿と彼を支え続けた人々の姿にただただ感動した。 新日本製鉄の上司の「社会人たれ」という言葉にこめられたエピソードには心を打つものがあった。 そして、死刑判決を受けたあとに起こった加害少年の変化。人を殺めるということがどういうことかを考え、自分の罪についてきちんと向き合い始めた少年の変化にも驚いた。

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2010/11/15

記憶にまだ残っている残虐な事件。 山口県光市で23歳の主婦と生後11カ月の幼児が18歳少年・Fに 惨殺され、その夫は何度もメディアに出て死刑を求刑していました。 そして、最後に多くの弁護士集団が出てきたなという事件。 多くを知っているようで、まったく内容を知っていなかったと実感し...

記憶にまだ残っている残虐な事件。 山口県光市で23歳の主婦と生後11カ月の幼児が18歳少年・Fに 惨殺され、その夫は何度もメディアに出て死刑を求刑していました。 そして、最後に多くの弁護士集団が出てきたなという事件。 多くを知っているようで、まったく内容を知っていなかったと実感します。 裁判員制度が取り入れられる前の事件ですが、一般人も一言言いたくなるような話です。読む価値は十分あります。

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2010/11/02

最初に二ページを本屋でさらりと読んで、その衝撃的な言葉で始まる部分で涙が出そうになり、あわてて購入しました。 木村さんがどのように事件と向き合ってきたのか、第三者と視点で進むので読む側も冷静になって読み進めることができました。

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2010/11/12

・光市事件のドキュメント。WOWOWでドラマ化されてて気になってて、観そびれたから本屋で見かけて手に取った。一気に読んだ。綿密な取材と抜群の構成に裏付けられた力作。 ・筆者は本村氏の側にずっといたはずなのに、それをほとんど感じさせない書きっぷりが素晴らしい。 ・本村氏の闘いを中心...

・光市事件のドキュメント。WOWOWでドラマ化されてて気になってて、観そびれたから本屋で見かけて手に取った。一気に読んだ。綿密な取材と抜群の構成に裏付けられた力作。 ・筆者は本村氏の側にずっといたはずなのに、それをほとんど感じさせない書きっぷりが素晴らしい。 ・本村氏の闘いを中心に書いているとしながらも、エピローグでは加害者との面会の様子も描かれていて、冷静に加害者を見つめている。死刑判決後にも加害者が主張し続ける魔界転生=ドラえもん=蝶結びについて俺は冷笑的なのだが、筆者は「罪と向き合い、罪の重さに愕然とした防衛反応」ではないかと言う。この視野の持ち方も好感が持てた。 ・同様に取材をした多くのジャーナリストがいたはずだが、筆者はジャーナリストとしてだけではなく人間として被害者と付き合えたからこそ生まれた良書だと思う。 ・「人を殺めた者が、自らの命で償うのは、当たり前のことなのだ。」や「死刑制度とは、人の命を尊いと思えばこそ存在する。」には強く同意する。

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2010/10/13

第一審判決後の会見。 「司法に絶望しました。控訴、上告は望みません。早く被告を社会に出して、私の手の届くところに置いて欲しい。私がこの手で殺します。 愛する妻と幼い娘を当時18歳の少年に無残に殺害された本村洋のこの言葉。 テレビの画面から、これほどまで人間の憎しみ、怒り、悲しみを...

第一審判決後の会見。 「司法に絶望しました。控訴、上告は望みません。早く被告を社会に出して、私の手の届くところに置いて欲しい。私がこの手で殺します。 愛する妻と幼い娘を当時18歳の少年に無残に殺害された本村洋のこの言葉。 テレビの画面から、これほどまで人間の憎しみ、怒り、悲しみを感じたことはありませんでした。 2008年、死刑判決となったこの事件、門田隆将の伝えようとする力がびしびし伝わる力作ノンフィクション。 おそらく今年のMYベスト本。

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2010/10/13

バランスの取れた取材と構成が心地よい、良書。 思えば、差し戻し審の判決日、私は広島高裁にいた。 少年が語ろうとして真実が別にあるのだとしたら、差し戻し審での主張が弁護団によってつくられたものであるとしたら・・・。 死刑言い渡し直後のそんな思いががまた蘇った

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2010/10/12

事件があったとき、私はまだ小学生だった。事件のことはなんとなく知っていたが、実際あまり記憶がない。10年間も戦い続けていたなんて知らなかった。 今はもう事件当時の本村さんの年齢に近い。なので、あんなにも強く生きていることに感心する。事件発生から死刑判決までの本人の強い信念と彼を支...

事件があったとき、私はまだ小学生だった。事件のことはなんとなく知っていたが、実際あまり記憶がない。10年間も戦い続けていたなんて知らなかった。 今はもう事件当時の本村さんの年齢に近い。なので、あんなにも強く生きていることに感心する。事件発生から死刑判決までの本人の強い信念と彼を支える周りの人々の励ます言葉に感動した。友達に薦められて読んだのだが、確かに誰かに薦めたくなるような思い内容だが心に響くものが多い作品だと思う。

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2011/07/30

2008年4月22日、この日、広島高裁で差し戻し控訴審が行われ、その結果が入るのをネットのニュース速報でずっと見守った記憶があります。2年前の最高裁による無期懲役判決の破棄があった時点で死刑は確実と見られていましたが、事件発生から9年、実際に主文後回しの記事を読んだ時は思わず「長...

2008年4月22日、この日、広島高裁で差し戻し控訴審が行われ、その結果が入るのをネットのニュース速報でずっと見守った記憶があります。2年前の最高裁による無期懲役判決の破棄があった時点で死刑は確実と見られていましたが、事件発生から9年、実際に主文後回しの記事を読んだ時は思わず「長かった、、」と赤の他人である私でさえ感じました。即日上告したので裁判そのものは未だ続いていますが。 この本は、光市母子殺人事件で妻と娘を失った本村さん本人の9年間を追ったノンフィクションです。事件当初、テレビのインタビューで少年を「殺す」と宣言し、すべての恨みや怒りを少年Fに向けていた本村さんですが、いろいろな人たちと接することでこの事件だけを考えるのではなく、過去の慣例に縛られて保身を優先する司法や、被害者の人権を無視したこの国の法律に苦しめられる同じ境遇の人々を助けるために動き出します。まさに本のタイトル通りですが、およそ打破する事が困難に思えるこれらの壁を、想像しがたいぐらいの絶望から這い上がって立ち向かって行けたのはなぜなのか、事件当初から取材を続けている著者が迫ります。特に、本村さんの辞表を受け取らなかった上司の言葉は強く心に響きます。

Posted byブクログ

2010/09/14

犯人逮捕の時点から、光市の母子殺害事件は死刑賛否論と嫌でも結びついてきた。死刑廃止の声も出るなか、死刑の是非を問う上で、この事件は非常に重要な材料として扱われる。 しかし、この本は、死刑の賛否が常に付きまとうこの事件を、その議論から一旦切り離してくれる。 事件を単なる死刑賛否論...

犯人逮捕の時点から、光市の母子殺害事件は死刑賛否論と嫌でも結びついてきた。死刑廃止の声も出るなか、死刑の是非を問う上で、この事件は非常に重要な材料として扱われる。 しかし、この本は、死刑の賛否が常に付きまとうこの事件を、その議論から一旦切り離してくれる。 事件を単なる死刑賛否論の一材料として扱わず、事件自体を中心に据えて、事件発生から犯人逮捕、報道内容、裁判内容、本村さんが疑問を抱くようになる司法などを描いている。 そこからみえる、事件に関わる人のもつ、死と死刑と罪という関係の捉え方が、私にとって最も印象強いものだった。 これについては、自分の価値観と照らし合わせながら読むことで、自分の考えがより整理できたことが、私にとって非常に大きい。 上で述べた、死と死刑と罪という関係の捉え方以外にも人と人との関係のなかで、重い言葉がいくつもあった。 「労働も納税もしない人間が社会に訴えても、それはただの負け犬の遠吠えだ。君は、社会人たりなさい。」 何かを主張する時には、その責任を果たせる身分を持っていないと、いくら正論であっても訴えが響きにくい。主張はその内容だけを評価されるのではなく、それが生まれるに至った背景や、主張している人間も合わせて評価される。 それゆえ、背景や主張する人間の点で落ち度を指摘されれば、それによって内容が薄いものになってしまう。 この言葉は本村さんに上司の日高さんがかけた言葉だけれど、主張の正当性だけを重視しがちな私にとって、それを諌められているような気になった。 長くなったが、以上の二点がこの本を読んで、自分が特に強く思ったことである。

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