なぜ君は絶望と闘えたのか の商品レビュー
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一審、二審と司法に裏切られながらも決して諦めない本村さんの姿に胸が痛くなります。 一審では司法の無力さを、二審で裁判官一人の問題ではなく制度そのものの問題であること、傲慢な言い方になるけれど、本村さんが成長していく課程が描かれていると思う。 通夜と葬儀を手配し「君は社会人たりなさい」と言った本村さんの上司、「一緒に少年法を学ぼう」と言った刑事、「一緒に闘ってください」と訴えた検事、お守りを渡したキャビンアテンダント…と、非常に周りに支えられて、何より本村さんの意志の強さで最後まで乗り越えてきたんだと思いました。
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本村さんの苦悩や絶望の塊のような本。ずっと報道で見てたけど、当時の私には理解及ばぬ部分も多々あったと、結婚して主婦になって改めて感じる。きっとこれを読んだところで、真の理解なんて無理だ。加害者少年のなんと浅はかで想像力のないことか。こんな壮絶な事を普通に生きる23歳の夫がなぜ味合...
本村さんの苦悩や絶望の塊のような本。ずっと報道で見てたけど、当時の私には理解及ばぬ部分も多々あったと、結婚して主婦になって改めて感じる。きっとこれを読んだところで、真の理解なんて無理だ。加害者少年のなんと浅はかで想像力のないことか。こんな壮絶な事を普通に生きる23歳の夫がなぜ味合わなければならないのか。妻の亡骸を抱けなかったと自分を責める彼はとても無力で、必死に司法と戦う彼はもはや彼でないようで。被害者側の意を汲むにも範囲を設ける必要はあるし、少年法や死刑制度について議論に尽きることはないだろう。
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光氏母子殺害事件については名前だけ知っていたが、どれほど悲惨な事件かは知らなかった。 本村さんが裁判、また司法制度との戦いの記録として、とても興味深く、涙しながら読んだ。 ただ死刑を勝ち取れたからといって、被害者が帰ってくるわけではない無情さを感じた。 欧米から批判される日本の...
光氏母子殺害事件については名前だけ知っていたが、どれほど悲惨な事件かは知らなかった。 本村さんが裁判、また司法制度との戦いの記録として、とても興味深く、涙しながら読んだ。 ただ死刑を勝ち取れたからといって、被害者が帰ってくるわけではない無情さを感じた。 欧米から批判される日本の死刑制度だが、本書を読んで必要のある制度だと理解し、本書に出てくる死刑制度反対派の弁護士に気持ち悪さを感じた。(あくまでも個人的な見解) 学校教育において、こういったノンフィクション作品を読んで、死刑制度だけでなく、社会制度について考える時間が必要であると感じる。
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凄まじい。 冒頭の、事件の経緯から涙が止まらなかった。 被告、被害者遺族、検察、弁護士、裁判官の想いが生々しく交錯する。 挙句に有名なドラえもん発言。 最終弁論でのまさかの言動。 現在の裁判批判も含まれている。 必ずしも死刑反対論者や「人権派」弁護士の主張が可笑しいわけ...
凄まじい。 冒頭の、事件の経緯から涙が止まらなかった。 被告、被害者遺族、検察、弁護士、裁判官の想いが生々しく交錯する。 挙句に有名なドラえもん発言。 最終弁論でのまさかの言動。 現在の裁判批判も含まれている。 必ずしも死刑反対論者や「人権派」弁護士の主張が可笑しいわけではないと思うが、手段と目的がぐちゃぐちゃになって主張のための主張に陥るのは愚だ。 読ませる。
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なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日。門田隆将先生の著書。光市母子殺害事件で奥様とお子様を奪われた本村洋さんの心情は察するに余りあります。普通の人間なら、容疑者への怨恨を抑えられず、逆上して罵詈雑言を浴びせたり報復措置を考えてしまったりしてもおかしくありません。それなのに...
なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日。門田隆将先生の著書。光市母子殺害事件で奥様とお子様を奪われた本村洋さんの心情は察するに余りあります。普通の人間なら、容疑者への怨恨を抑えられず、逆上して罵詈雑言を浴びせたり報復措置を考えてしまったりしてもおかしくありません。それなのに常に冷静で真摯な対応を取り続ける本村さんのお人柄にはただただ尊敬するばかり。このような残忍な事件が二度と起こらない社会であってほしい。
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まずは筆者の取材力に感服する。 あとがきに書かれたFの変貌ぶりに戸惑いを隠せなかった。ただ筆者が分析するように自分の都合にあわせて過去を作り変える事はふつうにあり得ると自分も思う
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2018/3/16 Amazonより届く。 2019/6/11〜6/15 テレビで良く拝見する門田隆将さんの新潮から独立したあとに出版した最初のノンフィクション。日本中を騒がせた光市母子殺害事件の被害者本村洋さんの長く苦しい戦いを克明に描き出す。死刑制度の是非は非常に難しい問題ではあるが、もっともっと議論を深めていかないといけないんだろうな。この事件をきっかけに日本の司法も大きく動いた経緯もある。本村さんは強い人だ。自分にそこまで出来るか全く自信がない。
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光市母子殺人事件を9年間追った話。 「人を二人も殺害し、謝罪すらしない人間を守る人権とは何なのかと」と当時の司法、社会に疑問をいだき、闘いを挑み逆転死刑を勝ち取った。
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1999年に山口県光市で起きた光市母子殺人事件の裁判を9年にわたって追ったノンフィクション。逮捕されたのが当時18歳の少年で、裁判の行方とくに量刑が注目された。 第1審、第2審とも、過去の判例を参考に(著者は相場主義と呼ぶ)無期懲役の判決が出た。人を二人殺しても、容疑者が犯行時未...
1999年に山口県光市で起きた光市母子殺人事件の裁判を9年にわたって追ったノンフィクション。逮捕されたのが当時18歳の少年で、裁判の行方とくに量刑が注目された。 第1審、第2審とも、過去の判例を参考に(著者は相場主義と呼ぶ)無期懲役の判決が出た。人を二人殺しても、容疑者が犯行時未成年の場合は、死刑になった判例がない。事件当時23歳だった遺族の本村氏は、加害者ばかりが守られる現状の司法制度の問題点を世の中に訴え続け、最高裁で2008年についに死刑判決が下される。本書出版後の2012年には上告が棄却されて、被告人Fの死刑が確定した。 本村氏がアメリカの死刑囚に会いに行き、死刑判決の前と後で意識がどう変化したかの話を直接聞いた部分が印象深かった。裁判が始まった頃は、仕返し意識や怒りに燃えていた本村氏だが、だんだんと命と死刑の意味や重さをより深く考えるようになる。また、被告人Fの変化も注目に値する。 死刑に反対する弁護団が荒唐無稽な主張をしたための作戦負けともいわれている。実名報道の是非。12歳で母親を自殺で失い、実父からの暴力を受けて育った少年Fの気の毒ではある生い立ち。死刑を勝ち取ったあとに本村氏が感じた一種の虚無感。重い内容でいろいろ考えさせられた。
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1999年に起きた山口県光市の殺人事件で、妻と娘を殺された本村さんの、司法との戦いの記録。 当時、常に犯人の死刑を求めていたことを覚えており、その際には友人と死刑の是非に関して話し合ったこともあった。 でも事件の詳細はよく知らなかったため、この本を読んでみようと思い立った。若かっ...
1999年に起きた山口県光市の殺人事件で、妻と娘を殺された本村さんの、司法との戦いの記録。 当時、常に犯人の死刑を求めていたことを覚えており、その際には友人と死刑の是非に関して話し合ったこともあった。 でも事件の詳細はよく知らなかったため、この本を読んでみようと思い立った。若かった本村さんが、どのように絶望を乗り越えたのかを知りたかった。
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