そうか、もう君はいないのか の商品レビュー
初めて読む城山三郎さんの本。タイトルが秀逸。実は、先日、佐々木常夫さんの講演で自著「そうか、君は課長になったのか」というのがこの本のタイトルがヒント言う話を聞いて知った次第なんです。 四つ年下の妻の容子さんを癌で失った城山さんが、彼女との出会いから亡くなるまでのエピソードをつづ...
初めて読む城山三郎さんの本。タイトルが秀逸。実は、先日、佐々木常夫さんの講演で自著「そうか、君は課長になったのか」というのがこの本のタイトルがヒント言う話を聞いて知った次第なんです。 四つ年下の妻の容子さんを癌で失った城山さんが、彼女との出会いから亡くなるまでのエピソードをつづったものです。この本もこの時期にしか読めないかなと思い読みました。 この世に存在しないって言うことをどのようにとらえるのか、実は自分自身の気持ちとしてもとらえどころがない感じなのです。どこかに出かけているだけではないのか、って感じが近いのかもしれません。 先に行って待っていてくれているなら、自分が死ぬことも少しはハードルが下がったような気分になってきます。そんな思いを城山さんもされたのかなって思いながら読みました。
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胸の詰まるようにさみしくて、恐ろしくなるような気持ち。それがたとえ最後の最後、幸福と帳尻があったとしても。
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昔、亡くなった父の書棚にあった本。 なんとなくタイトルを覚えていました。 その時には読んでいなかったのですが、書店で見つけて 気になって手に取りました。 父や母のことを思い浮かべて読むのではなく 自分と妻のことを考えて読む年齢になってしまったようです。 いろんな家庭・夫婦があると...
昔、亡くなった父の書棚にあった本。 なんとなくタイトルを覚えていました。 その時には読んでいなかったのですが、書店で見つけて 気になって手に取りました。 父や母のことを思い浮かべて読むのではなく 自分と妻のことを考えて読む年齢になってしまったようです。 いろんな家庭・夫婦があると思うのですが、私にとっても 妻は非常に大事な人です。相手がおもっているよりは。 身につまされるというか。現実味を帯びて考えると 胸が痛い内容です。
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高度成長期の企業小説で名をはせた城山三郎だが、その絶筆は7年前に癌で先立たれた妻を恋う私的な随筆だった。連れ添った妻が不意にいなくなり、ぽっかりと心に穴が開いてしまった彼の想いは、筆を通すことで透明に純化して、この作品に結晶している。
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タイトルがとても寂しい。夫が綴った妻の手記。特に次女の書いた、「父が遺してくれたもの」には涙が出た。 杉浦さんの人柄 (自分が苦しいのに人への気遣いは忘れない)や家族の想い合う気持ちに感動した。
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作家の城山さんが、亡くなった奥さまとのことを出会いから振り返った作品。遺稿として発見されたもの。 こんなに素敵な夫婦がいるのかというのが、一番の感想。城山さんの作品は2作品読んだことあるけど、あまりピンとこなかった。でも、これを読んで私生活が充実して、とても幸運な人生を送られた...
作家の城山さんが、亡くなった奥さまとのことを出会いから振り返った作品。遺稿として発見されたもの。 こんなに素敵な夫婦がいるのかというのが、一番の感想。城山さんの作品は2作品読んだことあるけど、あまりピンとこなかった。でも、これを読んで私生活が充実して、とても幸運な人生を送られた方だと思った。 胸に迫るのが、後についた20ページほどの娘さんが書かれた奥さま亡き後の城山さんの様子。 娘に看取られるのではなく、年老いた城山さんを付き添い看護に希望した奥さま。死後に、看取れてよかったとつぶやく城山さん。世界に2人とは、こんな愛情のことを云うのかと思った。 明治時代の若者の風紀を見張る日本の体制にも驚いた。
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なんの衒いもなく、妻への 思いが綴られていることに ただただビックリ。 昭和一ケタ世代、 中には、心には思っていたかも しれないけど、人にはあんまり言わない 妻へのほとばしる愛情を 全開で。 娘さんの文章も含めて どこまでも羨ましい家族のカタチ。
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城山三郎さんと奥さま ご夫婦のお話 夫婦の絆、世の夫という立場の方はこれを読んでどう感じられるのだろうか。 空気のように、近くにいるのが当たり前、 普段感じていない存在を、もう一度見つめ直すきっかけになるかも。 あとがきの娘さんの文章心に響きました。 娘としての立場も改めて見...
城山三郎さんと奥さま ご夫婦のお話 夫婦の絆、世の夫という立場の方はこれを読んでどう感じられるのだろうか。 空気のように、近くにいるのが当たり前、 普段感じていない存在を、もう一度見つめ直すきっかけになるかも。 あとがきの娘さんの文章心に響きました。 娘としての立場も改めて見つめないと。 母との接点をもっと持つべきですね。 美容院で読みましたが、涙出そうになるのを堪えるのに困りました。(笑)
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お嬢さんの「あとがき」で涙腺決壊。 未完の作品だったことは初めて知りました。 もし私が結婚できたら、旦那さんにも読んで欲しい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【167冊目】読みながら涙がこみ上げてきた。夫婦の出会いから奥様が亡くなるまでの物語を、短いページ数で、素敵な表現とエピソードの挿入で描き上げる。何気ない表現から、奥様への愛情と、その方をなくしてしまったことの寂しさが伝わってくる。城山氏が肩を落として原稿用紙に向かっている情景が思い浮かぶ。この原稿を書いている間、氏は何度筆を止めたのだろうか。涙で原稿が見えなくなったこともあったに違いない。書くことに意味を見いだせなくなったこともあっただろう。エピローグで、城山氏が亡くなられたことを次女の方が御自身の視点で振り返っておられるのも印象深い。この本の原稿はバラバラだった氏の原稿を編集の方がつなぎあわせた物だとのこと。やっぱり体系的に、時系列に沿って書けるような精神状態ではなかったよう。そう、この本の最大の魅力は、原稿の向こう側に見える「妻に先立たれて落ち込んでいる日本の一流社会派小説家」の姿なのです。
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