そうか、もう君はいないのか の商品レビュー
城山夫妻の出会いと楽しかった思い出
本書は、城山さんのご息女井上紀子さんがあとがきで明かされますが、氏の死後、氏の遺稿を出版社の編集子が再構成した本になります。 城山さんと奥さんの出会いと別れにかけて、楽しかった思い出が綴られています。ラストに近づくほど、涙を禁じえません。 俳優の児玉清さんが解説に寄稿してられ...
本書は、城山さんのご息女井上紀子さんがあとがきで明かされますが、氏の死後、氏の遺稿を出版社の編集子が再構成した本になります。 城山さんと奥さんの出会いと別れにかけて、楽しかった思い出が綴られています。ラストに近づくほど、涙を禁じえません。 俳優の児玉清さんが解説に寄稿してられます。こちらも秀逸です。
聖熟女☆ミ
城山三郎の著書を手に取ったのは本作が初めて。 とても穏やかな方で、素朴かつ優しい言葉遣いをされる方なんだなと。 容子さんはとっても純粋でひょうきんな方。 微笑ましい二人の生活に少しお邪魔させていただいた。 自分の伴侶が寝ている横で本作を読み切った。 この当たり前の時間を大切に...
城山三郎の著書を手に取ったのは本作が初めて。 とても穏やかな方で、素朴かつ優しい言葉遣いをされる方なんだなと。 容子さんはとっても純粋でひょうきんな方。 微笑ましい二人の生活に少しお邪魔させていただいた。 自分の伴侶が寝ている横で本作を読み切った。 この当たり前の時間を大切に。 50億の人の中で唯1人、おいと呼べるおまえ。 律儀に寝息を続けてくれなくては困る。 静かに行くものは健やかに行く。健やかに行くものは遠くまで行く
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素敵な小説。 夫婦の在り方を教えられた。深い愛情が豊かな人生を作るんだと、本書を読みながら学ばせて頂きました。 読み終わった瞬間、爽やかな感動に包まれます。城山さん、素敵です。
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経済小説という1ジャンルを確立した城山三郎さん。亡くなった奥様との関わりを中心に描いた自伝的小説。 小説で描かれた主人公(落日燃ゆ、黄金の日々、男子の本懐など豪胆な人物が多い)の描き方と余りの違いに脱力します。奥様と最初に会った時の印象は「突然現れた妖精」。 小説のお固い感じとは...
経済小説という1ジャンルを確立した城山三郎さん。亡くなった奥様との関わりを中心に描いた自伝的小説。 小説で描かれた主人公(落日燃ゆ、黄金の日々、男子の本懐など豪胆な人物が多い)の描き方と余りの違いに脱力します。奥様と最初に会った時の印象は「突然現れた妖精」。 小説のお固い感じとは180度違う内容や語り口でした。 本物の男はやはり「愛妻家」で有るべきだと再確認しました。
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『容子がいなくなってしまった状態に、私はうまく慣れることができない。 ふと、容子に話しかけようとして、われに返り、「そうか、もう君はいないのか」と、なおも容子に話しかけようとする』【作中20章より】 生前、直木賞をはじめとする様々な賞を受賞した名作家の遺稿から生まれたのが本著で...
『容子がいなくなってしまった状態に、私はうまく慣れることができない。 ふと、容子に話しかけようとして、われに返り、「そうか、もう君はいないのか」と、なおも容子に話しかけようとする』【作中20章より】 生前、直木賞をはじめとする様々な賞を受賞した名作家の遺稿から生まれたのが本著でした。 本著では、これまで日本経済を舞台とした社会経済小説等を中心に執筆してきた城山三郎氏が、今までの執筆スタイルとはまるで違う、『妻=容子さん』との出会いや、自身の心の奥底から湧き出てくる容子さんへの愛情、そして築いてきたその暖かな日々。そして二人三脚で歩んできた、いや、一心同体と言っても過言ではなかった容子さんを失い、『自身の半身が削ぎ落とされたかのように感じた』と綴られた晩年について、短い章で書かれた遺稿を紡いだように描かれていました。 エピローグとして、城山氏の次女にして作家の井上紀子氏からも、容子さんの死後の城山氏について寄稿されていました。 現代日本では、沢山の“モノ”に恵まれ、たくさんの選択肢を持てるようになりました。 しかし、それと同時に失った“モノ”も多くあると思います。本著ではその失った“モノ”の本質にも触れているように感じました。 巻末の解説にて、児玉清氏が引用していた一節にこうありました。 『仕事と伴侶。その二つだけ好きになれば人生は幸福だという…(「小説日本銀行」より)』 城山氏自身の作品で描かれていたこの一節は、まさに自身の内からでた言葉だったのだなと、そう感じさせてくれました。 ・ ・ ・ ・ ・ 彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分に襲われる──。 気骨ある男たちを主人公に、数多くの経済小説、歴史小説を生みだしてきた作家が、最後に書き綴っていたのは、亡き妻とのふかい絆の記録だった。終戦から間もない若き日の出会い、大学講師をしながら作家を志す夫とそれを見守る妻がともに家庭を築く日々、そして病いによる別れ……。 没後に発見された感動、感涙の手記。
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著者、城山三郎さん(1927~2007年)の作品、ブクログ登録は16冊目。 で、本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分に襲われる-。気骨ある男たちを主人公に、数多くの経済小説、歴史小説を生みだしてきた作家が、最後に書き綴って...
著者、城山三郎さん(1927~2007年)の作品、ブクログ登録は16冊目。 で、本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 彼女はもういないのかと、ときおり不思議な気分に襲われる-。気骨ある男たちを主人公に、数多くの経済小説、歴史小説を生みだしてきた作家が、最後に書き綴っていたのは亡き妻とのふかい絆の記録だった。終戦から間もない若き日の出会い、大学講師をしながら作家を志す夫とそれを見守る妻がともに家庭を築く日々、そして病いによる別れ…。没後に発見された感動、感涙の手記。 ---引用終了 著者が愛してやまなかった妻・容子さんは、著者より4歳年下で、2000年2月、がんにより68歳で逝去。 そして、著者は2007年3月に逝去。
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この遺稿のタイトルをつけたのは誰だろう?文中の言葉を抜粋したこのタイトルが、本のすべてを要約している。こんなに悲しくて素敵で完璧なタイトル‥‥なかなか出会えないと思う。
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奥様への愛情の深さがストレートに表現されていた。 夫婦二人三脚で人生を築いていたことを感じさせられた。 愛情と敬意を持って奥様を大切にし、また、奥様との生活にこの上なく幸せを感じる姿に、私もそうありたいと強く思わされた。
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家族を亡くした方が、SNSでこの本が救いになったと紹介していたので、私も手に取った。昨年に母を、今年に父を、どちらも病気で亡くした私にとって、とても共感できる一冊だった。私の父と母も強い絆で結ばれていた。 母を亡くしてからすっかり落ち込んだ父を思い出しながら読んだ。泣いた。城山...
家族を亡くした方が、SNSでこの本が救いになったと紹介していたので、私も手に取った。昨年に母を、今年に父を、どちらも病気で亡くした私にとって、とても共感できる一冊だった。私の父と母も強い絆で結ばれていた。 母を亡くしてからすっかり落ち込んだ父を思い出しながら読んだ。泣いた。城山三郎さんの次女•井上紀子氏が書いたあとがきを読んで、また泣いた。城山氏の奥様と御本人の、最期の状況が私の両親のそれと似ている。 解説を書いた児玉清氏も鬼籍に入られている。人生とはなんて儚くて美しいものなのだろう。私もずっと若く、ずっと幼い子供のように過ごしてきたが、両親は(早すぎる他界だと思うが)もういない。 時の流れは思っている以上に、(その時は自覚なんてしないけれど)早いものだ。過去や未来を見るのではなく、「今」を大切にするべきだが、なかなかそれが難しい。 しかし私は元気だった両親が私に伝え残してくれたものに対して、ありがとうという気持ちをもって生きていこうと思う。 城山三郎氏が晩年「ありがとう」とばかり言っていたことが書かれたあとがきがリンクする。
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妖精か天女だと始まって仲睦まじい姿が書き連ねられてるだけに、後の著者の心の空洞のいかほどに大きかったか、察して余りある。なのに、遺す者のつらさ・遺される者のつらさをも上回る慈しみの心に癒される気がする。
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