天国旅行 の商品レビュー
文庫化されたということで、読みました。しをんさんの作品は、相変わらず綺麗な文章だ。 この作品のテーマは「心中」だ。短編7作品のうち、5作品はダークな作品だ。だけれども、怖いテーマなんて、何のその、しをんさんの綺麗な文章にどっぷりはまり込んで、ページをめくる手が止められませんで...
文庫化されたということで、読みました。しをんさんの作品は、相変わらず綺麗な文章だ。 この作品のテーマは「心中」だ。短編7作品のうち、5作品はダークな作品だ。だけれども、怖いテーマなんて、何のその、しをんさんの綺麗な文章にどっぷりはまり込んで、ページをめくる手が止められませんでした。 「遺言」がよかったです。何度か死に接近した夫婦が、それでも生きぬいて、そして、夫は最後、妻に遺言を残す。これがよかった。 「きみが大切だ。好きだとか、愛してるだとかいった、甘っちょろい言葉を超え、きみの愚痴や小言も含めてきみを大切に思う」 素敵だ。死ぬほど好きとか、殺したいほど愛してるとか、そんなおためごかしをいうよりも、そんな想いを超えて尚、芽生え続けるこの感情をこそ、私は、愛と、呼びたいなあ。と、「遺言」を読んで感じました。 私たちは、どんなことがあったとしても、いったん生を受けたからには、生きねばならない。終わりの来るその日まで。これは、最後の章、SINKを読んで感じたことです。 心中をテーマにした作品で、生きなきゃな、と感じさせられるとは、さすが、しをんさんだ。
Posted by
どれも深い。 『森の奥』『初盆の客』『SINK』は泣けた。 『遺言』は、クスっと笑いながらもホロリとさせられる。よかった。
Posted by
http://tacbook.hatenablog.com/entry/2013/08/21/233842
Posted by
天国旅行・・・読む前は少し楽しいのかと思った。 死についての短編が7編。 読み終えた後は少々頭の中が変な感じになっていた。 7編の中では初盆の客が好きであった。
Posted by
「心中」をテーマにした短編集。 心中というから、もっと暗く重いものを想像していたのだけれど ほっこり系もあり、バラエティに富んでいた。 「遺書」が良かったな。
Posted by
本のタイトルが独立していて、所謂「表題作」を冠した作品は無いのだね。 ちょっと珍しい。 テーマがテーマだから、暗い話が多い…暗いというか重い?湿気が高い? うまく言えないけど、それでも生きている。
Posted by
想いって怖い。 死後の姿や前世って、人の思い込みなんじゃないんだろうか。 強く想う事によって、見えないものが見えるような幻覚を見てしまうのではないだろうか。 夢とかも。 自分は数年前にとても汚いトイレに入る夢をしょっちゅう見ていたけど、当時も何かしら想うところがあったんだろうな...
想いって怖い。 死後の姿や前世って、人の思い込みなんじゃないんだろうか。 強く想う事によって、見えないものが見えるような幻覚を見てしまうのではないだろうか。 夢とかも。 自分は数年前にとても汚いトイレに入る夢をしょっちゅう見ていたけど、当時も何かしら想うところがあったんだろうな。今じゃ全く見なくなったけど。 死ってなんなんすかね。なんで死のうとする人がいるんですかね。人間って平等に与えられ、その美しい世界の中で生きているんじゃないんですか。苦しみも平等で、それに耐えうる能力も平等じゃなかったんすか。なぜ年間で3万人も自殺してしまうんですか。そんなにこの世は生きづらいですか。 善って、なんなんすかね。
Posted by
「心中」がテーマの7つの短編集。 心霊的なものからブラックユーモアまで、虚無感を与えるものから心温まるものまで、テーマがテーマですがそれぞれの話が全く違うテイストで描かれていて楽しめました。 「SINK」が一番よかったかな。起こってしまったことは変えられないけど、捉え方は角度によ...
「心中」がテーマの7つの短編集。 心霊的なものからブラックユーモアまで、虚無感を与えるものから心温まるものまで、テーマがテーマですがそれぞれの話が全く違うテイストで描かれていて楽しめました。 「SINK」が一番よかったかな。起こってしまったことは変えられないけど、捉え方は角度によって違う面を見せる。一家心中から生き残ってしまい苦悩しながら生きてきた主人公がこれから生きていくための話です。心中がテーマですが生を感じさせます。 「森の奥」の樹海で自殺しようとするおっさんと青年の話もよかったです。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
富士樹海のお話がものすごく好きです。互いが互いの愛の証明だというお話も好きです。長い年月をかけて一緒に死んでいくお話も好きです。生まれ変わっても一緒に居ようとするお話はちょっと好きになれません。若気の至りで暴走するお話も少し好きになれません。スピードを出し過ぎると追いていかれてしまうお話は少し好きです。一人取り残されたお話は好きです。「心中」ってあんまり良いイメージが無いものですが、『天国旅行』にはあなたの好みの「心中」が見つかるかも知れません。
Posted by
自殺を決心して樹海に入り込んだ男の話が個人的に印象に残った。 樹海で出会った一人の青年。彼にしばらくついていくことを決めた男は自分の自殺場所を探しながら進んでいく。青年に不審を覚えながらも食料を分けてもらったり動機を語る男に呆れながらも、話に入り込んで読んでしまった。
Posted by