光媒の花 の商品レビュー
微かにつながりのある6つの短編。みんなそれぞれの事情、哀しみ、重みを抱えて生きている。暗闇に沈んでも、いつかは光が灯る。 「虫送り」「冬の蝶」が好み。
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人と人との間に生まれる恨みであるとか後悔であるとか哀しみであるとか・・・ そんないやなものが光によって希望という花になるような、そんなものを望んだタイトルなのかな?と思いました。 今回もラストはとても清々しい気持ちになれる短編集でした。
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第一章 隠れ鬼 第二章 虫送り 第三章 冬の蝶 第四章 春の蝶 第五章 風媒花 第六章 遠い光 1.認知症の母親とひっそり暮らす男性の封印された過去 2.ホームレス殺害に手を染めた小学生兄妹が抱く畏れ 3.密かに心を通わせた少女のために少年がついた嘘 4.両親の諍いを機に耳が聴こえなくなった少女の葛藤 5.病に伏せる姉を見舞う配送ドライバー青年の誤解 6.自信を失った女性教師と孤独と戯れる教え子の希望 …光に満ちた景色も、暗くて哀しい風景も、すべてがこの世界だ。 次の章では前章の脇役が主役という展開をみせ、全体が一本に繋がる。 白い蝶の蝶道によって紡がれる六つの物語 蝶は毎日決まったルートを飛び、必ずもとの場所へ戻ってくる習性があるそうだ。 その軌跡を蝶道と言い、本書は丁度四編目から折り返しを辿る。 前三章は哀しい話が続くが後半は少し温かい、前半の救いとなる話が連なる。
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面白かったです、何が面白かったのかとか表現できる文才はもって ないのですが、4日ぐらいで読みきったぐらい面白かったです。 ただ、愚者に蹂躙される性という設定に頼りすぎたのかなと。 不条理を書けばたいがいの人は憤るんですが、まぁ、それにまんまと揺さぶられてしまっているのは私な...
面白かったです、何が面白かったのかとか表現できる文才はもって ないのですが、4日ぐらいで読みきったぐらい面白かったです。 ただ、愚者に蹂躙される性という設定に頼りすぎたのかなと。 不条理を書けばたいがいの人は憤るんですが、まぁ、それにまんまと揺さぶられてしまっているのは私なのですが。
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もう、駄目だと思った。 それでも世界は、続いていた。 少女は無限の想像力でこの世界を生き延び、 少年はたった一つの思い出にしがみつく。 一匹の蝶が見た、悲しみの先に広がる光景とは……渾身の連作群像劇。 第23回山本周五郎賞受賞作。 第13作。第三連作短編集。 形式:各短編のそれぞれが一人称小説。 「隠れ鬼」 認知症の母親とひっそり暮らす男性の、封印された「過去」 私(語り手、遠沢正文、印章店店主)の「過去」は母親が認知症となって描いたひとつの絵から喚起されることになる。 笹の葉。雨。男女。彦星と織姫。 「虫送り」 ホームレス殺害に手を染めた小学生兄妹が抱く「畏れ」 僕(語り手、小学生)は妹の智佳と虫取りに興じていた。 智佳に悪戯をしようとしたホームレスに、橋の欄干からコンクリートを落とした。 目撃者はいない――「向こうのふたり」を除いて。 「冬の蝶」 密かに心を通わせた少女のために、少年ついた「嘘」 私(語り手、昆虫学者を夢みる中学生)の夢は昆虫学者になること。 クラスメイトの少女と心を通わせるうちに、彼女の秘密、逃避の手段を知ってしまう。 世界を閉じ込めてしまう彼女に、自分は何ができるのか。 「春の蝶」 両親の諍いを機に、耳が聴こえなくなった少女の「葛藤」 わたし(語り手、幸)は隣に住む老人と親しくなり、耳の聴こえない少女と交流を深める。 少女とほんの少し似た境遇を持つわたしは、彼女の態度に疑問を持って――。 「風媒花」 病に伏せる姉を見舞う、配送ドライバー青年の「誤解」 自分(語り手、亮、トラック運転手)は、母親の態度を許せなかった。けれどそれは――。 姉を気遣う弟は、逆に気遣われていた。いつも。 「遠い光」 自信を失った女性教師と、孤独と戯れる教え子の「希望」 わたし(語り手、小学校教諭)は、教え子の朝代の苗字が変わることについて、彼女がどのように受け止めているのか、慎重な態度をとっていた。 そんな日におこったある事件。彼女を助けられるのか。 光に満ちた景色も、暗くて哀しい風景も、すべてがこの世界だ。 ミステリ:☆☆ ストーリー:☆☆☆☆ 人物:☆☆☆☆ 読みやすさ:☆☆☆☆☆
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連作短編で、読みやすさと読み応えどちらもあってよかったです。 やはり心の闇を書かせたらピカイチですね。 暗い話が多いけど、その中でも希望や救いがあるので、読後感は悪くないです。 やっぱり道尾作品って何かクセになる!
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連作短編。それぞれに淡い結びつきがあり、小さな驚きがストーリーを盛り上げる。派手なトリックや仰天のどんでん返しはないが、人の心の深奥が静かに見つめられ丁寧に描かれている。醜い剥き出しの性の領域にも大胆に踏み入んでおり、新たな方向性の胎動を感じた。
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6つに話が分かれていて それぞれ主人公や舞台は違うものの その前に出てきた人物の視点などで さりげなく繋がっています。 暗かったり重かったり影があったりでも どこか希望があったり救われるような そんな一冊でした。 テンポも展開も人物も世界観も 入りやすく読みやすかったです。
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短編ながら、少しずつつながっていて面白かった。 相変わらず「心の闇」の描写はうまいな~ちょっとこっちも暗い気持ちになる。 最後は希望の光が見えた気がして、終わり方が良かった。
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するする入っていけて中盤はかなり夢中になった。 短編の読み易さを活かしつつ、でも連作のせいかしっかり読みごたえもあり満足。面白かったです。
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