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光媒の花 の商品レビュー

3.7

251件のお客様レビュー

  1. 5つ

    36

  2. 4つ

    108

  3. 3つ

    77

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    2

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2011/02/24

推理小説というわけではありませんが~広い意味でミステリのうちにはいるかな。 ごく普通の町で、一見普通の人々の中で起きる事件が連鎖していく。 一章「隠れ鬼」 遠沢印章店を継いだ正文は、ぼけてきた母親の介護をしながら暮らしている。父は30年前に自殺していたが、母はそれも忘れている。...

推理小説というわけではありませんが~広い意味でミステリのうちにはいるかな。 ごく普通の町で、一見普通の人々の中で起きる事件が連鎖していく。 一章「隠れ鬼」 遠沢印章店を継いだ正文は、ぼけてきた母親の介護をしながら暮らしている。父は30年前に自殺していたが、母はそれも忘れている。 30年に一度だけ花が咲く笹。母の描いた絵を見てぎくりとする正文だが… 第二章では視点が変わり、小学生が主人公。 両親の帰りが遅いので、妹と河原に虫捕りに出る兄。 どこか心許ない寂しさが、一転して恐怖に… 第三章では、第二章に出てきた大人の~過去にあった事件。 少年が川原でよく出会った少女は‥ 第五章は、運送会社に勤める青年・亮の視点。 父の死後、母と上手くいかなくなった。母が明るく張り切りだして、母は父を愛していなかったと気づいたのだ。亮が父を失った悲しみのやり場がなく八つ当たりもあったと気づいていくのだが。 小学校教師の姉が入院して、がんかもしれないと疑われ、様々な思いが交錯する‥ 最初に事件が起きる様子がつぎつぎに語られるので、え、章ごとに殺人事件が起きるのかとぎょっとするがそうではなくて~ 一ひねりして、関係者のその後やふとしたふれあいを描いていくものです。 抑えきれない衝動のもたらした恐怖、罪悪感。 悲劇に巻き込まれた悲しみ。 それがしだいに、年月をかけて、ささやかな善意とおだやかな日常の中に溶けていきます。 最後の方はもっと読み続けたい気持ちになりました。

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2011/02/12

そこはかとなく切ない、うら寂しい、そういう短編集。ちょっとずつつながっている。人生に必ずあるほの暗い部分だけシュっと抜き取ったような小説なんだけど、琴線に触れるものが多かったな。

Posted byブクログ

2011/02/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【私の場合は小説の書き方目線でみてます】 筆力がすごいな、と思う。 "赤色灯に照らされたサチの顔が、こちらを向いた。彼女は私を見て、一瞬目を広げたが、その顔をすぐに行き交う警官と救急隊員の向こうに紛れて消えた。 途切れ途切れに見えるサチは、もう私を見ていなかった。" こういう状況…半映像的で半心情的な状況が書けるのはさすが。一方では "―世界を全部入れちゃうことだって、できるんだよ―" という精神的な会話というか世界観もきちんと入れ込まれている。このバランスが難しい… 話の内容は色々な人の(ちょっと異常な)人生をリレーしつつ、皆の人生が少しだけ重なっている部分があるという形式。現実を淡々と書きつつ、蝶を希望の象徴のように出現させている。 ただ、あまりに現実的すぎてるんで、もうちょっと作者自身の人生観も入れて欲しかった気もします。

Posted byブクログ

2011/01/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

てっきり直木賞受賞作だから借りたと思ってたのに、今調べたら違うぞ。私はなぜこの本を予約したんだ?しかし、道尾秀介読むの久しぶりだな。すごーくいい話だった。こういうのも書けんだな。6本の連作短編集。主人公は全部違う人だけど、みんなつながっていくというか。みんな秘密を抱えている。人によって見える世界は違う。最近、こればっか思うな。

Posted byブクログ

2011/01/31

読み始めは重苦しい話が続くのに1冊を読み終わる頃にはなぜかじんわりとあたたかい気持ちになっている不思議な1冊でした。 連作(というんでしょうか?)の具合が上手いんでしょうね。 下に記したP199の一文に共感。ドキッとさせられました。

Posted byブクログ

2011/01/30

こちらは山本周五郎賞受賞作品。ここまでの道尾作品の 集大成のような作品のような気がします。連作群像劇に よる短編連作はそのリンクの仕方がミステリ的でもあるし、 このなんとも物悲しくも、ヒンヤリした温度感はホラー作家 としてのベースも感じるし、人の光と闇の対比はここ最近の 文学的ア...

こちらは山本周五郎賞受賞作品。ここまでの道尾作品の 集大成のような作品のような気がします。連作群像劇に よる短編連作はそのリンクの仕方がミステリ的でもあるし、 このなんとも物悲しくも、ヒンヤリした温度感はホラー作家 としてのベースも感じるし、人の光と闇の対比はここ最近の 文学的アプローチな作品でも浮き彫りになっていた要素 なのでは?と。その幾つかの道尾作品の融合したような 濃密で、独特の優しさを秘めた一冊。 個人的には「カラスの親指」のようなよりベタで エンタメ作品に寄った優しい作品が読みたいですが、 今作の光と影が表裏一体になった危うさのある ストーリーも上手いです。第一話の辛いラストが 最終話のラストで救われる様は一瞬、鳥肌が...。 月9ドラマの原作、そして直木賞と増々、知名度を 上げて注目され、ハードルが上がってしまうでしょうが 今後も色んなカラーの作品を期待してしまいます。

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2011/01/29

道尾秀介の短編連作。それぞれの登場人物がほかのエピソードにゆるやかにつながっていて環のようになっています。読み始めはうっすら怖いんですが読み進むにつれてだんだんと怖い感じは減ってゆき最後にはほっとひと息つけました。さすが技巧ミステリの名手、良くできています。

Posted byブクログ

2011/01/28

直木賞を貰ったけど,新聞では対象作ではなく,この本が広告に出ていた~『隠れ鬼』:呆けが入った母の面倒を見ながら父の印章店を細々と営んでいる遠沢正文は高原の別荘で出会った女性と父の死に人には言えない秘密を抱えている。『虫送り』:共稼ぎの両親が帰ってくる前に近くの土手に行き虫取りをし...

直木賞を貰ったけど,新聞では対象作ではなく,この本が広告に出ていた~『隠れ鬼』:呆けが入った母の面倒を見ながら父の印章店を細々と営んでいる遠沢正文は高原の別荘で出会った女性と父の死に人には言えない秘密を抱えている。『虫送り』:共稼ぎの両親が帰ってくる前に近くの土手に行き虫取りをしているが,ある晩虫追いの方法を教えるというホームレスが妹に悪戯をしかけて,兄妹で力を合わせてコンクリートブロックを落として仕返しをする所を対岸にいる別のホームレスに目撃されたが,秘密にしておくと言われて安心する。『冬の蝶』:兄妹を救ったホームレスは昆虫学者になり損なった者だが,中学校の時に河原で虫取りをしていてサチという同級生と親しくなったが,母の新しい男に関係を迫られていることを知って,救いたい想いを告げるが,サチは自分で始末をつけて姿を消した。『春の蝶』:ファミレスで働くサチが住むアパートの隣室には老いた男が一人で暮らしていたが,娘と孫娘が住み始め,なけなしの老人の蓄えをベランダから侵入した泥棒に盗られてしまうが,目撃していた孫娘は両親が別れることになる電話を盗み聞きしたショックから耳が聞こえなくなってしまったらしく何も語らないが,河原でバックしてきたトラックに気が付いたサチが声を上げると気が付いて逃げ出した。『風媒花』:トラック運転手は小学6年の時,父が膵臓癌となった途端に暗さを一掃して嬉々として総菜店の切り盛りを始めた母が憎くて仕方ないが小学校教諭をしている姉とは仲がよく食道ポリープで入院した姉が衰弱していくと,姉の願いである母との和解を自分の謝罪で模索し始めた。『遠い光』:初めて担任になって持った女児の成績は良いが誰にも心を開かない態度になすすべを持たないが,知らされていなかった家庭環境に愕然とし,朝代は育ての親である叔母の再婚話が持ち上がって混乱し犬に育てられている子猫に八つ当たりをするが,担任として何の手立てもできず,子猫を探す手助けをしたくて生徒と行動を共にするうちに光が見えてきた~父の愛人を殺してしまう中学生の話だったり,悩める親子関係を解きほぐす姉の話だったりして,一貫性がないように思えるのだが,もともと独立した話なら良いのだが,一冊にまとめられて並べて次々に読んでいくと温度差やテーストの差が気になる

Posted byブクログ

2011/01/26

とても読みやすい文章でした。 人と人、袖振り合うも多生の縁、とでもいうべきな。 個人的にもっとどすぐらい話を書く人だと思っていたので、そういう意味では思ってたのと違いましたが、面白く読めました。 またこの方の違う本も読んでみたいと思います。

Posted byブクログ

2011/01/25

なんだか、薄暗い印象の文章を書かれる方ですよね。悪い意味でなく、どの本を読んでもなんだかぺったりと薄暗い印象を受けます。

Posted byブクログ