四十九日のレシピ の商品レビュー
祖父の四十九日がもうすぐで、思わず手に取った一冊。 百合子と父、ふたりの両面から紡がれていく物語は、それぞれの乙美や相手に対する想いが愛おしくて、切ない。 ふたりが感じた後悔は、失って初めて気が付くこと。 その後悔はずっと自分を苦しめるし、決して消えることはない。 服のボタンは...
祖父の四十九日がもうすぐで、思わず手に取った一冊。 百合子と父、ふたりの両面から紡がれていく物語は、それぞれの乙美や相手に対する想いが愛おしくて、切ない。 ふたりが感じた後悔は、失って初めて気が付くこと。 その後悔はずっと自分を苦しめるし、決して消えることはない。 服のボタンは外してやり直せばいいけれど、人生の掛け違いはやり直せない。 百合子が日常のふとしたことから感じる「もっと日々の暮らしを大事にすればよかった」という後悔や、父の妻や娘に対する苦悩に、胸が苦しくなる。 作者の描く”後悔”は妙にリアルで残酷で、だけど苦しみながらそれに立ち向かい、ときに寄り添って、前を向くことができたときの未来へ向かう力みたいなものは、清々しくて勇気をもらえる。 ふたりにとってその力は、乙美の残した処方箋だった。 「どう生きるのか。どんなことを自分の年表に書き付けていくのか」 年表の空白を埋めようと前を向いた娘に対する、父の想いに涙が止まらなかった。 「笑顔でいてほしい。できることなら、幸せな事柄で埋め尽くされていって欲しい」 そして、夜中に読むとお腹が空くこと請け合い。 バターたっぷりの塩ラーメンと、コロッケサンドがたまらない。 とりあえず今日はスーパーで、「パトカープラス信号」を実践してみようと思う。
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突然に妻を亡くし、生きるための全てを投げ出している男と 夫が不倫をし、居場所をなくした娘と、 冒頭は「この人たちどうなるんだろう」と思うような始まりだが、 そこに現れる井本とハルミに救われる。 バラバラな人たちがチームのようになっていくのを見るのは心地よい。 だから、別れの場面は...
突然に妻を亡くし、生きるための全てを投げ出している男と 夫が不倫をし、居場所をなくした娘と、 冒頭は「この人たちどうなるんだろう」と思うような始まりだが、 そこに現れる井本とハルミに救われる。 バラバラな人たちがチームのようになっていくのを見るのは心地よい。 だから、別れの場面はとてもせつなかった。 自分の成したことは、 誰かに知ってほしい、認められたいと思ってしまうもの。 テイクオフボードの存在でいることに満足し、 自分の価値をそこに見出せる人はすごいなと思う。 辛辣な言葉を言う登場人物。 「女」であることを優先する母親をもつ小さな子の行く末…。 とげが心の中に残り、最後まで抜けないのが ほんわかしたエンディングに対してちょっと引っかかるかな。
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これも再生の物語。 愛情を注いで育ててくれた継母乙美が急死。でも、生前はその継母に心を開くことができないでいた娘百合子。結婚して東京で暮らしているが、夫の浮気、浮気相手が妊娠したことをきっかけに、実家に戻る。 妻が急死した朝、出かけに、些細なことで怒りをぶつけてしまい、そ...
これも再生の物語。 愛情を注いで育ててくれた継母乙美が急死。でも、生前はその継母に心を開くことができないでいた娘百合子。結婚して東京で暮らしているが、夫の浮気、浮気相手が妊娠したことをきっかけに、実家に戻る。 妻が急死した朝、出かけに、些細なことで怒りをぶつけてしまい、そんな自分の言動を悔やんで悔やみきれない良平。「あの日が最後だと分かっていたら・・・」。 そんな二人が、乙美の書き残した願い事に応えて、49日後に宴会を開くために、準備に取りかかる。その過程で、二人はそれぞれの哀しみ、後悔等から立ち直っていく。 その再生には、やはり人との繋がりがあった。人は一人では生きていないし、家族だけで生きているわけでもない。必ずそこに、誰かが関わり、繋がっている。いつも一緒にいるわけではないけれど、大切な必要な誰かが必ずいる。 そんな誰かの人生は、それまで苦しみや哀しみが多かったかもしれない。でも、だからこその出逢いもある。 そして、その出逢いが、いつしか他の誰かを励ますことにだってなる。 その美しさを感じることのできた一冊。良かった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
優しい伏線がたくさん。井本とハルミに有難うだねー。 自分の人生は自分で決める。でも、寂しいものは寂しい。ダーリン熱田が寂しいとちゃんと言えるのっていいなって思った。夫の義母が誰と同居するとかがリアルで読んでて辛い。百合子は自分の心に素直になれてよかった。それでも浮気はだめだ、絶対!!
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不思議な題名と表紙に惹かれて 読みはじめました。 母親が亡くなって 突然 母親から49日まで雇われてますと言って 金髪に染めた女性がやってきた。 はちゃめちゃだけど 純な彼女と彼女の友達と 49日まで バタバタと過ごす様子が楽しく描かれてた。 ストーリーにも考えさせられるような味...
不思議な題名と表紙に惹かれて 読みはじめました。 母親が亡くなって 突然 母親から49日まで雇われてますと言って 金髪に染めた女性がやってきた。 はちゃめちゃだけど 純な彼女と彼女の友達と 49日まで バタバタと過ごす様子が楽しく描かれてた。 ストーリーにも考えさせられるような味付けがされて 一気に読了できました。
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とても良いストーリー。 泣ける。 あまりに人間的で、リアルな部分と 非現実的かも…でもあり得るかもと思わせてくれる魅力的なお話。 温かくて、また読みたい一冊!
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熱田家の母親乙美が亡くなって、書き残した「四十九日のレシピ」の料理を四十九日の法要に出して楽しい大宴会を行うまでの家族再生の物語。 印象に残った文章 ⒈ 川はあの世とこの世の境目だと。 ⒉ 食べ物を買うときには。「パトカー、プラス信号でOK」っていう法則が ⒊ 四十九日の暮らしの...
熱田家の母親乙美が亡くなって、書き残した「四十九日のレシピ」の料理を四十九日の法要に出して楽しい大宴会を行うまでの家族再生の物語。 印象に残った文章 ⒈ 川はあの世とこの世の境目だと。 ⒉ 食べ物を買うときには。「パトカー、プラス信号でOK」っていう法則が ⒊ 四十九日の暮らしの処方箋
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とても読みやすくサラーっと読みました。 ストーリーが、最初からそれでそれで?それからどうなるの?とページを早くめくりたくなるような 作家の筆のうまさを感じられる本。登場人物も世の中にいそうな 清楚系、意地悪系、頑固系、バランスよく配置され分かりやすく物語が進む。最後はきちんとハッ...
とても読みやすくサラーっと読みました。 ストーリーが、最初からそれでそれで?それからどうなるの?とページを早くめくりたくなるような 作家の筆のうまさを感じられる本。登場人物も世の中にいそうな 清楚系、意地悪系、頑固系、バランスよく配置され分かりやすく物語が進む。最後はきちんとハッピーエンドで心が和む。 ただ一つ、とても細かい点だけども 虐待様に扱われていた少年の不幸をそのままにしてしまうのが 現実的で悲しいかな。
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ミステリーばかり読んでいるのであまり読まないジャンルの本ですが、文書も読みやすいしちゃんと面白かった。 百合子の状況に感情移入して辛くて何度も泣きそうになりましたが、最後は人との繋がりっていいなと暖かい気持ちに。食わず嫌いしないで読んでよかった。
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