TRIP TRAP の商品レビュー
2009年発刊で金原さん8冊目の作品。 15歳から25歳の間のマユの6つの旅。 恋人の家(家出先)→沼津→パリ→ハワイ→イタリア→江ノ島 同じ女性の年代ごとの出来事を綴った短編集というところが「オートフィクション」を彷彿させるが、金原さんがこの2つの作品の間に長女を出産し母親と...
2009年発刊で金原さん8冊目の作品。 15歳から25歳の間のマユの6つの旅。 恋人の家(家出先)→沼津→パリ→ハワイ→イタリア→江ノ島 同じ女性の年代ごとの出来事を綴った短編集というところが「オートフィクション」を彷彿させるが、金原さんがこの2つの作品の間に長女を出産し母親となったためか、丸くなったというか成熟したというか、だいぶ変わった印象。後味も違う。 今度、じっくり読み比べてみたいな。 ♪Trip(featuring Mali Music)/Jhené Aiko(2017) →きえる/Chara(2008) *5月は20冊読みました。 ダッシュボードの読書記録によると「新記録!」だそうで、我ながらよく本を読んだ月でした。 感想書くのが全く追いついていなくて悲しいですが…
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・主人公が年齢によって明確に描き分けられている点は作者の力量を感じた。金原ひとみの作品は、物語の舞台が部屋であることが多いが、今作は海が取り入れられていて新鮮さがあった。また母親の姿も描くことで、新たな世界を見せてくれたと思う。芥川賞受賞から五年、計8作目にして新境地を開いた感が...
・主人公が年齢によって明確に描き分けられている点は作者の力量を感じた。金原ひとみの作品は、物語の舞台が部屋であることが多いが、今作は海が取り入れられていて新鮮さがあった。また母親の姿も描くことで、新たな世界を見せてくれたと思う。芥川賞受賞から五年、計8作目にして新境地を開いた感がある。
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※このレビューにはネタバレを含みます
マユという女性を主人公にした短編連作小説。 ハワイ旅行に向けてテンションを上げるために買いました。 6編のうち第1編を除いた5編が旅を題材としていて、第4編「Hawaii de Aloha」が夫と行くハワイ旅行の話です。ちなみに、行き先はホノルル・ワイキキではなく、マウイ島のハナという自然にあふれた小さな町です。 ハワイの話だけ読みたいという方の場合、第1編・第2編を飛ばして第3編「憂鬱のパリ」から読むと、夫との関係性がわかりやすく読めると思います。 金原ひとみといえば『蛇にピアス』が有名ですね。この本にもアングラな感じは多少ありますが、未成年飲酒・喫煙の描写などがあるだけで基本的に平和です。 特に、ハワイ旅行のくだりはとにかく楽しそうで安心して読めますよ。 大の大人がはしゃいでいるのも微笑ましく見守れる、そんな雰囲気です。 *** 以下ネタバレ注意! *** 彼氏になかば監禁されながら生活していた不良少女が、章をまたいだ途端いきなり作家になって海外インタビューを受けているしおまけに結婚もしているのでびっくりします。作者の金原ひとみ氏の実体験が多少ベースになっているんですかね? パリの牡蠣に当たった話は特に面白かったです。気の毒にも笑ってしまいました。 「Hawaii de Aloha」では、夫がハワイでは子どものようにはしゃいでいたのに帰国を前にして急に大人の男に戻ってしまって悲しくなった、というシーンが出てきます。なんとなく共感できて、こういう感覚を持つのは自分だけじゃないんだと慰められた気がしました。 ハワイのゆるやかにあたたかい空気の中で読んだら余計に切なくなりそうです。 ハワイを舞台にした本のレビューを他にも書いています。 ブログへどうぞ→https://yulinyuletide.hatenablog.jp/entry/11/03/hawaii-book-review
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いろんな女性のお話が聞けて楽しかったです。主人公の女性から直接お話を聞いているような心地よさが良いのでは。
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別々の話かとおもいきや、つながってるねこれ。 途中から(結婚してから?)マユと呼ばれなくなってるけど、そうよ。だって『夏旅』で「ユウコが出産した」のユウコは一緒に沼津へ行った友だちだもんね。 妊娠、出産は経験がないからわからないが、結婚後、女性は自分というより周囲の環境に左右され...
別々の話かとおもいきや、つながってるねこれ。 途中から(結婚してから?)マユと呼ばれなくなってるけど、そうよ。だって『夏旅』で「ユウコが出産した」のユウコは一緒に沼津へ行った友だちだもんね。 妊娠、出産は経験がないからわからないが、結婚後、女性は自分というより周囲の環境に左右されやすくなるということを表しているのだろうか? 特に、子供ができたら自分のことより優先してしまいそうだもの。 飛行機内で泣かないようにとか…抱きかかえたりしてそれはそれは大変なのね。子供なんだから泣くのは仕方ないと思うのだけれど、今度からそのような場面に出くわしたら、温かく見守りたいと思う、心のなかでは「ファイト」といいながら。
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滅茶苦茶でありながらどこか冷静。 感情的かつ爆発的な憤りを表わす女性と、冷淡さを匂わせる男性という組み合わせはとても現実的だ。
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マユという女性の少女時代から、大人になるまでの短編連作。強烈な15歳での同棲の話が作者らしかった。マユは何歳になってもマユ。年齢は成長しても心は幼く、自由奔放だ。作者の何かを切り裂くような鋭い刃物を思わせる文体が好き。
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今わたし自身やりたいこととか、全てを任せられるような人がいなくて、だからこそマユの姿に憧れる。わたしも、そうなりたい。 憂鬱のパリで彼氏に深く依存している姿が描かれているけど、子供が生まれたことで彼女は変わった。 自意識を捨て去りその分図太くなり、繊細さや感受性を失うだろう あり...
今わたし自身やりたいこととか、全てを任せられるような人がいなくて、だからこそマユの姿に憧れる。わたしも、そうなりたい。 憂鬱のパリで彼氏に深く依存している姿が描かれているけど、子供が生まれたことで彼女は変わった。 自意識を捨て去りその分図太くなり、繊細さや感受性を失うだろう ありとあらゆるものを捨て去って、女は母になる。 母になるべくしてなった人とそうではない人がいる。わたしもきっと後者なんまろうな。今自分自身のことでさえ、余裕がないんだもの。
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それぞれの感情表現はとてもきれい。裏表紙?の青いイラストが不気味でいい味をだしている。「憂鬱のパリ」「フリウリ」がよかった。
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パチンコ店員と同棲している家出少女から始まり、最後は結婚して子持ちになっている。最初は18歳になったら終わりおばさんといっていたが、なんの不備もなく25歳になっていた。不良少女が仕事もして割と裕福層になっているので、もしや名前は一緒の別の女たちの短編集なのか?と思った。しかし最後の話では最初の母との会話での、〈ドラッグ〉にまた頼ろうとした。子どもを産んだことで女を捨てていく自覚をした。やはりこれは一人の女の一生なんだなと思った。 金原ひとみの本は「モテる女」がよく主人公になる。共感はできないがものすごいファンタジーな「女」ではないのが面白い。
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