通天閣 の商品レビュー
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これ、西加奈子の小説なん?津村記久子みたいやん…って思ったら、なんと解説が津村記久子という巡りあわせ。せやろな、この作品は津村解説がぴったりやわ。 生きがい、やりがい、目標…人生を有意義に生きていくのは良いことだけど、現実として目標や生きがいを持てない人がいるもの確かである。 それを「あの人は覇気がない」とか「何が楽しいて毎日過ごしてるんやろ」とか思ってしまいがちだが、その人たちにはその人たちの事情があって、今日を生き抜くだけで精一杯なのかもしれない。それも、貧困とかハンディとかそういうのじゃなく、もっともっと至近にある事情でそういう境遇になってしまうんねんなぁと。どないしたって人間生きていけるし、生きてるだけでもエラいのである。丸儲けなのである。 主役二人のつなぎ方は見事。小説の構成も上手いが、技巧だけじゃなく、通天閣のある生活を、こういう風に描くかぁ。大阪ラブをこういう風に描くかぁ。読ませるなぁ~
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※ネタバレあり 全く別の人生を歩んでいる2人がまさか繋がっているとはおもわなかったです。読み進めていくうちに2人の共通点が見えるのが面白かったです。 また、人生何があってもやり直せる。そう思えた作品でした!
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通天閣をめぐる人々の話。 関連のないストーリーが交錯して、生きるってなんだ、というテーマも交錯して。 前半は、あまりにリアルで美しくない情景に入り込めず、でも西加奈子さんらしい見方、感じ方、表現の仕方で、いつものように後半からぐいぐいと引き込まれた。
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文中笑いあり、ホロリ泣かせるか所あり、喜劇であり悲劇であり日常であり、今一つ主題が掴みにくい作品ではある
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なるほど。思いっきり、西さん節。 そうだよな。 どんなに無茶苦茶でも、どんなにどん底でも、どんなに馬鹿らしくても、生きるということ。見つけるということ。 がむしゃらにかっこ悪くても、生きていくことは素晴らしいのだ。 自分の人生。 通天閣の下でね。
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夢に向かって頑張っていないと駄目なのか、何かを作っていないと駄目なのか。マメのことだけ思って眠る生活をしている私は、駄目なのか。(171ページ) 「ああ、そうか、別に自転車押してもええんや。」「しんどいときは、自転車降りて歩こうな。」(206,207ページ) こんな私を、誰か...
夢に向かって頑張っていないと駄目なのか、何かを作っていないと駄目なのか。マメのことだけ思って眠る生活をしている私は、駄目なのか。(171ページ) 「ああ、そうか、別に自転車押してもええんや。」「しんどいときは、自転車降りて歩こうな。」(206,207ページ) こんな私を、誰か愛してくれるのだろうか。阿呆のように、誰か叫んでくれるのだろうか。 愛してくれるのだろうか、ではない。愛そう。(262ページ)
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通天閣の周りで繰り広げられる物語。 主人公は二人。 生きているのではなく、毎日自分が決めたことだけをこなしていく40代の男と、恋人が突然出ていった後「私たちは別れたわけではない」と呪文のように自分に言い聞かせる20代の女。 この二人が交差するように物語は進む。 女の働くスナックのママが励ますセリフがいい。 「ゆっくりでええから坂上ろう。きっと綺麗な通天閣が見えるから。……いつか、この高みから、いつかの自分を見下ろせる日が来るから。」 通天閣が立っている。 何をしてても、ええですがな。 読後ジーンと切なくなった物語。
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最初は中々物語に入りこめず、今はこれを読む気分ではないのかなと思いつつも読み進めてくうちに、少しずつ主人公たちの思いや感情に惹かれて、中盤からは一気に読んでしまいました。人間のクズな部分も、そのキャラを知れば知るほどに愛しく思えてしまう西加奈子の描く人間ドラマは本当に面白いです!
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実は西加奈子を読みはじめたのはわずか数年前。ずいぶん前から気にはなっていたにもかかわらず、『きいろいぞう』の映画版がつまらなすぎて、原作に手を出せませんでした。『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』を観たときに大阪出身の人だと知って親近感は湧きましたが、それでも手を出せず。どんだけ大...
実は西加奈子を読みはじめたのはわずか数年前。ずいぶん前から気にはなっていたにもかかわらず、『きいろいぞう』の映画版がつまらなすぎて、原作に手を出せませんでした。『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』を観たときに大阪出身の人だと知って親近感は湧きましたが、それでも手を出せず。どんだけ大きいねん、『きいろいぞう』のトラウマ(笑)。 『泣いたらアカンで通天閣』を観て坂井希久子の原作が読みたくなった折り、それがまだ文庫化されていなくて見送り。そうしたら、『通天閣』というタイトルの西加奈子の文庫本が目に留まり、270頁とわりと薄めの本だったこともあって読んでみる気になったのでした。……めっちゃおもろいやんか。ツボにハマってしまいました。 主たる登場人物は2人。1人は町工場で働く40代独身のオッサン。もう1人はスナックで働く20代後半の女。何の接点もないように見えるこの2人の人生が交差します。脇役も上手く絡んで、悲哀とユーモアに満ちていて大好きな小説になりました。 可笑しくてふきだしたシーンもいくつか。女が働くスナックのホステスの風貌についての描写があり、「ルーシー・リューからシャープさを取った感じ」なのですが、「ルーシー・リューからシャープさを取ったらだいぶギリギリ」、これには大笑い。 西加奈子の小説には、がんばっていることをアピールはしない人がいっぱい。『炎上する君』、『円卓』、『地下の鳩』などなど、読点の打ち方や文体が独特なものもありますが、それぞれにおもしろかったです。 西加奈子って、大阪育ちではあるけれど、生まれはテヘランなのですよね。映画監督のマルジャン・サトラピ然り、不思議な才能が生まれる土地なのかもしれません。
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「通天閣」 ここに馴染みがあるのでついつい手にとってしまった。 二人の主人公の話が交互に出てくる。 西さんの作品は好きで読むけど、コレは私にはあんまりよくわからなかった。
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